原因 - 中国医科大学

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細菌性赤痢
中国医科大学附属第二病院伝染病科
李智偉
概念

赤痢菌によって大腸粘膜に偽膜性潰瘍性
の病変を起こし,発熱および粘液、膿、血
液をまじえる下痢便の排泄を主症状としる
急性伝染病である。
原因
1.病原体
原因たる赤痢菌は発見者の名前志賀潔の名
をとってShigellaと呼ばれる。チフス菌に類似
しているグラム染色陰性。
原因
2.分類
血清学的に4群に分類される。 即ち
 A (Shigellady senteriae).
 B(Sh.flexneri).
 C(Sh.boydii).
 D(Sh.sonnei)
原因
3.毒素
内毒素
外毒素
全身毒血症の原因である。
Shiella菌が外毒素をよく放
出する。
細胞毒ー腸粘膜細胞壊死
神経毒ー神経系統の症状
腸 毒ー水様性下痢
原因
4.抵抗力

果物、青物の上に或いは10 ℃の水に10
日間生きる。

各種の化学性消毒剤が有効である。
疫学---感染源

患者とキャリア

非典型の患者、慢性患者と保菌者は臨床上に
よく見透かすから、流行に意義がある。
疫学---感染経路

便口感染

食物、水ー流行

生活の接触ー散在発症(流行季節以外)

ハエーー伝播の媒(流行季節)
疫学---感受性

普通に感受性がある。短期または不安
定な免疫を獲得する。各型の間に交差
免疫がない。
疫学---流行の特徴
➀季節 夏、秋に流行ピークである。
➁年齢 子供つねに青壮年が多い。
➂感染の菌株
Flexneri—発症が多い。
Sonneiーー発症が多い。
Boydiiーー症例が少ない。
Shigellaーー地方によって稀にみられる。
赤痢菌
胃
殺滅
腸
発症しない
腸上皮細胞に粘着ない
発症しない
粘膜上皮に増殖
固有層(盛んに増殖)
腹痛
免
疫
力
低
下
小血管の痙攣
壊死
潰瘍
粘液血性の下痢
神経毒
神経症状
腸毒
水様性下痢
白血球の活化
発熱
ショック
DIC
脳浮腫
(疫痢)
外毒素
内毒素
微小循環障害
菌血症
過敏反応
特異体質
物質増加
カレコールアミン類
病理

主として結腸、ことに下行結腸、S結腸が
侵されるが、回腸もともにおかされることが
ある。通常つきの3期に分けられるが、各
期がまざり合って現れることもしばしばあ
る。
1.カタル期

大腸粘膜および筋層における浮腫、充血、
腫脹、粘液分泌亢進などを見る。
2.壊死期

カタル期の発赤、腫脹が加わる。新たに腸
の皺襞上に米糠状の分泌物が付着し偽膜
が形成される。即ち特有のジフテリア様炎症
像を呈する。稀には腸壁の崩壊をおこす。
3.潰瘍期

壊死部はやがて剥離し、表在性、辺縁不
規則な潰瘍ができる。
4.治癒期

潰瘍底に肉芽組織ができ、粘膜の増殖が
起こって被覆される。
疫痢

結腸炎症が軽い、全身反応が重い。
臨床症状






潜伏期
1-2日(数日ー7日)
臨床症状は菌の型、侵入量と宿主の抵抗能力
によって決められる。
Shigella----重い
Sonnei------軽い
Flexneri----中間
慢性化し易い
小児ーーー疫痢
分類
急性赤痢
典型
非典型
疫痢 ショック型
脳型
混合型
慢性赤痢
遷延型
頓挫型
急性発作
典型赤痢

前駆症状として 全身違和、食欲減退、腹痛を
示すこともあるが、多くは急に発病する。

発病は全身倦怠、頭重感など伴う発熱で始まる。
悪寒まれに悪寒戦慄が前駆する。ついで特有な
症状として、粘液。血液または膿を混じた頻回の
下痢、腹痛、しぶりばら(裏急後重)をきたす。

下痢は最初は希薄便で1日5-6回であるが、1-2
日のうちにその回数を増すとともに、血液および
粘液塊が混じてくる。こうして早いものでは数時
間多くは数日後に、便は純血性粘液性になる。

腹痛は各便通のたびに下行および横行結腸の
部分において仙痛として現れ、便通後には強烈
な便意促迫即ち、「しうりばら」をきたす。これは
糞便、分泌物などが炎症に陥った直腸粘膜を刺
激するために起こるものである。

なお これらの仙痛の間においても多少強
い疼痛を全腹部に感ずる。便排泄後は「渋
り腹」が漸次軽快する。

体温は発病時に急激に上昇し、38-39℃に
達するが、通常は2-3日下熱する。全腹部
圧痛があって、左下腹部圧痛が著明である。
疫痢

2-7歳の子供にみられる赤痢の特異な種類
である。

潜伏期は普通12-24時間であるが、長いとき
は48時間に及ぶときもある。多くは前駆期を
有し、不活発になって静臥するようになり嗜
眠傾向を示す、通常に1-2回の下痢便を排泄
し、かつほとんど同時に38-39℃の発熱。

こうして6-7時間後にはいわゆる固有期に
入り。体温はさらに上昇して40℃以上となり、
同時に中毒症状として痙攣を起こして 嗜眠、
昏睡に陥り、初めから頻数であった脈拍は
微弱となりチアノーゼを呈し。発病後12-4
8時間で心臓衰弱によって死亡する。
ショック型

ショックの症候がある。

血圧が低くなり、脈拍は微弱と頻数になり、
呼吸が速い、チアノーゼを呈し。
脳型

脳浮腫および脳ヘルニアの症候がある。
激しい頭痛、頻発な嘔吐、血圧上昇、呼吸
不正、瞳孔大小不等。
混合型

ショックと脳症が同時に出現するもの。
慢性期

経過が2カ月以上越えるものは慢性赤痢
と言い。
原因

治療の不適当

宿主の免疫低下
遷延型

症状多彩、腹痛、下痢、粘液血液を混ざる
便が多彩見られる。便秘の交替出現がし
ばしばみられる。
頓挫型

症状がほとんど見られない。内視鏡で異常
を認め、便培養陽性がときときみられる。
急性発作

急性赤痢の症候が出現する。
実験室検査
血液像
急性期 WBC>10.0G/L.慢性期にて貧血がある。
糞便検査

鏡検:大量膿球、赤血球などが認められる。診
断に意義が或る。確診検査ではない。

培養:陽性の場合、症状を参考して確診できる。
免疫学検査
診断
急性赤痢

季節:夏、秋

症状:発熱、下痢、腹痛、しぶりばら、粘液、血液
便

実験室検査:血液像、糞便検査

鑑別

アメーバ、急性壊死性腸炎。
疫痢
季節:夏、秋
 症状:急性発症し、高熱、循環障害、脳症
の症状。
 実験室検査:血液像、糞便検査
鑑別
 日本脳炎

治療
急性赤痢
 一般療法:休息、隔離糞便培養2回陰性、
飲食。
 対症療法:解熱、静脈補液、口服補液。
 抗生物質治療:
norfloxacin 成人0.2-0.4/回、 4回/日。小児
2 0 -4 0 mg/日、4回にわけ。
SMZ-Co 成人2錠/日。 2回にわけ。
疫痢
一般療法:同急性赤痢
 抗生物質治療:
 Ciprofloxacin 0.2-0.4 qd iv drop.
Levofloxacin 0.1-0.2 qd iv drop
Cefotaxime4-6/d, iv drop.

対症治療
 高熱: 解熱剤投与、物理方法。
 痙攣:
valium0.2-0.3mg/kg/回、
Chloral Hydrate1-2mg/kg浣腸

ショック型

末梢血管収縮の改善:654-2 0.5-2mg/kg/回,
成人10-20 mg iv 5-10分間おき1回。

循環血液量不足の是正:

グルコース、生食塩水液の投与

アミとーミスの是正:5%炭酸水素ナトリウムの投与。

低血圧の対策:Dopamin 10-20mg iv drop.

副腎皮質ホルモン投与。
脳型

酸素吸入
気道確保

脳浮腫の是正

呼吸興奮剤
20%マンニトース
予防

感染源の管理

感染経路の遮断

予防接種