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小標本検査データを元にした
疲労破損率のベイズ推定
2004年12月2日
○岡島智史(東大),酒井信介(東大)
泉聡志(東大) ,岩崎篤(東大)
研究の背景
RBM (Risk Based Maintenance)
危険
プラント内の各機器について
リスクを評価、優先順位をつけて
メンテナンスを行う手法
高
破損確率
低
安全
小
大
現在国家的に導入に向けた
取り組みがなされている
影響度
リスク=破損確率×被害の大きさ
問題点
•プラント内の、膨大な数の機器・部品に対して
破損率評価が必要
•既存の検査データは破損率評価を意識して
記録されていない
検査データのみから通常の統計処理により
破損率評価を行うのは非効率・非現実的
欧米では…
汎用データベースを元に、ベイズ推定によって
個々の機器の破損率を導出
ベイズ推定
通常の統計処理
(最尤法など)
検査結果A
ベイズ推定
事前分布
P, 
推定値 ˆ ,ˆ
誤差
事後分布
P, A
検査結果A
確率分布の母数を、確定値で無く確率変数であるとして扱い、
検査結果により分布を絞ることで推定を行う手法
汎用データベースの情報を
事前分布として推定に利用可能
研究の目的
検査データからの機器の破損確率推定において
ベイズ推定を利用することの有効性、
およびその限界範囲を調査する
課題
推定手法の整理
破損、検査のモデル化
推定手法
ベイズ推定の有効性調査
実機検査データによる検討
•実機検査データによる推定の可否
仮想検査データによる検討
•通常の統計処理との比較
•事前分布の推定精度への影響
推定手法整理
• 破損・検査のモデル化
• 推定手法構築
疲労破損のモデル
前提:
疲労による破損の検査データとして、
検査時期と、き裂の有無が与えられている。
・ き裂が発生することをもって破損と定義した。
・ 検査を行うことで、必ずき裂を発見できるものとした。
・き裂が発見された機器には補修が行われるが、
補修が行われた機器は新品同様の寿命を持つとした。
推定手法
疲労寿命の分布として、故障率が時刻と共に上昇する
という疲労の特徴を表現可能なワイブル分布を用いる
  t  
F t   1  exp   
    
ワイブル分布の累積分布関数
(α:形状母数 β:尺度母数)
検査データからベイズ推定によりα,βを推定
寿命の累積分布関数は時刻tまでの破損確率なので
寿命分布が推定されれば破損確率も計算可能
ベイズ推定の有効性調査
• 実機検査データによる検討
– 実機検査データによる推定の可否
• 仮想検査データによる検討
– 通常の統計処理との比較
– 事前分布の推定精度への影響
実機検査データ
炉壁付箱型構造物のコーナ部
溶接部(128箇所)のき裂検査データ
1st
inspection
2nd
inspection
3rd
inspection
Number of
start and
stop
Number of
inspected
equipment
Number of
equipment
with
crack
Number of
equipment
with
no crack
225
128
128
0
310
30
18
12
331
96
18
78
炉壁付箱型構造物
実機検査データによる推定結果
ベイズ推定の事前分布として、
事前情報なしの場合に用いることが適当とされる
無情報性事前分布を用いた
ベイズ推定 α
β
最尤法
α
β
1st
2nd
3rd
(0) 10.90± 32.27 2.63±0.32
(0) 86.3± 7.4 130.4± 6.1
(∞) 3.35±542.02 2.63±0.31
(0) 87.2± 367.8 130.9± 6.0
寿命分布母数が推定可能
仮想検査データによる検討
シミュレーションによって仮想的な検査データを作成し、
このデータを用いた推定結果より以下の検討を行う。
通常の統計処理と比較した優位性の調査
事前情報なしのベイズ推定 ⇔ 最尤法
事前分布の推定精度への影響調査
事前情報ありのベイズ推定 ⇔ 事前情報なしのベイズ推定
シミュレーション条件
機器数:10個
形状母数:2.6, 尺度母数:130
検査:起動停止回数30回ごと
仮想検査データ数:20個
優位性の基準
優位性の検討を、一つの指標によって行うため、
き裂発生までの平均時間(MTBF)を用いて、
MTBFの90%確信区間が狭く推定されることを優位とする。
 1
MTBF  1  
 
Γ(x)はガンマ関数である
比較にあたり、ベイズ推定における「確信区間」と
最尤法における「信頼区間」が同等のものであるとした。
通常の統計処理と
ベイズ推定の比較
True value
700
MLM lower
600
MLM upper
MTBF
500
Non-info. lower
400
Non-info. upper
300
200
100
ベイズ推定有効
0
1
2
3
推定結果に大差なし
4
5
6
7
Number of inspection
8
9
汎用データベースの情報を利用しない場合であっても、
少回数の検査データからの推定では
最尤法よりベイズ推定が優位
事前分布の影響の検討
汎用データベースを利用して事前分布を与えた場合を想定し、
事前分布の真値に対する偏差が推定精度に与える影響を調査する。
事前分布
母数の取りうる範囲がα>0,β>0であるため
対数正規分布として事前分布を設定
2



1
1 ln   ln Me 


f prior ,  
exp  
 2

2 
 

2



1
1  ln   ln Me  


exp  
 
2

2  
 

Meα,Meβを様々に与える。
σα,σβは0.5とした。
事前分布の形状母数の影響
事前分布中央値
Meα
Meβ
Case1 5
130
Case2 1.5
130
いずれも無情報の場合より優位
True Value
Non-info. lower
Non-info. upper
Case1 lower
Case1 upper
Case2 lower
Case2 upper
350
300
MTBF
250
200
150
100
50
0
0
2
4
6
Number of inspection
8
10
事前分布の尺度母数の影響
事前分布中央値
Meα
Meβ
Case3
2.6
250
Case4
2.6
60
いずれも無情報の場合より優位
True Value
Non-info. lower
Non-info. upper
Case3 lower
Case3 upper
Case4 lower
Case4 upper
350
300
MTBF
250
200
150
100
50
0
0
1
2
3
4
5
6
Number of inspection
7
8
9
10
結言
•実機検査データからの疲労破損率推定を通じて、
疲労破損率推定にベイズ推定が利用できることを
確認した
•シミュレーションによる仮想検査データからの推定を
通じて、疲労破損率推定へのベイズ推定利用の
有効性とその範囲を系統的に調査した
発表内容
•
•
•
•
•
•
研究の背景
研究の目的・課題
破損率推定のモデルと手法
実機検査データによる検討
シミュレーションによる検討
結言