Transcript 1.24

サンマはいつまで豊漁か?
• 松田裕之(東大海洋研)
– 京大理博、数理生態学
– IWC国際捕鯨委員会科学委員会日本代表団
– WWF日本の自然保護委員
– 生態学会、水産学会
– 「環境生態学序説」
主な著書
浮魚類の魚種交替
多くの魚種はすでに獲りす
ぎ?
Percentage of major marine fish resources in various phases of fishery development
http://www.fao.org/WAICENT/FAOINFO/FISHERY/publ/circular/c920/c920-1.htm
現状(2)
とっくに頭打ちの底魚資源
http://www.fao.org/WAICENT/FAOINFO/FISHERY/publ/sofia/fig5e.htm
現状(3)
まだまだ獲れる浮魚資源
http://www.fao.org/WAICENT/FAOINFO/FISHERY/publ/sofia/fig4e.htm
鯨類の摂食量
北太平洋ミンククジラの胃の
中はカタクチイワシだらけ
鯨研のページ http://www.icrwhale.org/02-E.htm
クジラは漁業の害獣か?
• 鯨はカタクチイワシ、中深層性
ハダカイワシなどを大量に摂食
• 必ずしも漁業とは競合しない
• 大昔より鯨が増えてはいない
• たくさんいる鯨を食べよう!
• サンマ投棄魚はどうなるか?
マイワシの世紀末の真相
• 乱獲なら高齢魚からいなくなり、
漁獲物が小型化する
• 加入の失敗による高齢化社会
• 加入失敗は環境汚染・生息地破
壊ではない(貝類)
• 有史以前からの自然変動
まだまだ獲れる浮魚類
• 1970年代、ペルーのカタクチイ
ワシは1200万トン獲れた
• 1980年代、日本のマイワシ450
万トンは乱獲でなく、豊漁貧乏
• 現在、サンマは資源保全でなく、
生産調整をしている
問題点
魚種ごとの漁獲量は大きく変動
• 増えた魚を獲る
– 魚種交替に備える
• 子供を獲らず、大人を獲ること
– 泳がせ捜査(成長乱獲)
• 減った魚を保護すること
– 種もみを残す(加入乱獲)
• 選択性の高い漁業技術を開発する
こと
マサバの乱獲,未成魚捕獲
70年代
尾数
80年代
90年代
93年以降
65.0 60.0% 87.0% 90.6%
%
ゼロリスク探究症候群
• ミンククジラ76万頭は持続的に
利用できる
– 推定頭数は不確実。予防原理!
• エゾシカ20万頭は緊急減少措置
– 推定頭数は不確実。予防原理
ABCの決め方
ア
メ
リ
カ
日
本
20%
魚種交替の3すくみ仮説
• 競争力に3す
くみ関係?
マサバ
マイワシ
カタクチイワシ
サンマ、マアジ
次の優占種は予測可能
A
A
B C
A
B
C
B
C A
B
C
3すくみ仮説によると
• 次の魚種交替はいつか?
– 海のみぞ知る
– 予測不可能
• 次の優占魚種は何か?
– カタクチの次はマサバだろう
– 反証可能な予測
プランクトン食浮魚類の変動と
生活史特性
毎年の加入量
継続期間
産卵場・索餌域
集団間の交流
回遊
成長速度
産卵期
産卵数・成熟率
成熟齢
初期生存
仔魚の生存
親魚の生存
低水準期
高水準期
たまに良い
だいたい多い
数十年
およそ十年
沿岸に限る
沖合に広がる
分断化
一体化
沿岸に定着
大回遊
速い
遅い
?
?
少ない・低い
多い・高い
早熟(1-2 年)
晩熟(~4年)
マイワシ減少期も悪くなかった
悪い(減少期)
良い
どちらも良い
鹿熊管理は漁業管理の応用!
ヒグマ春季管理捕獲
エゾシカ保護管理計画
マサバ加入量は大きく変動
Var[加入量]:80s>90s, P<0.3%
Var[RPS]:80s<90s, P<10-7
2度の卓越年級群
マサバの過去と未来を読む
• 1970-89年の漁獲圧をかけた場
合と、90年代のそれを比べる。
• 再生産成功指数RPSは過去と同
じ。今後は90年代のRPS値を無
作為抽出
• 99年資源量から始めた将来予想
マサバ資源復活の逸機
漁獲量も十分だった
失われた10年
漁獲の回復確率(50万トン以上)
どこまで理論を信じるか?
• 既存の資源解析学では、サバは
– 乱獲しなければ回復していた?
– 改めないと永久に回復しない?
• 3すくみ仮説では、マサバもマイ
ワシも回復せず、カタクチ・サン
マ・アジの黄金時代が永続す
る??
• 壮大なる実験
サンマ漁船の選別機
(カタクチイワシ分離機)
• ローラに通し、小型魚を選別可能
• 1997 選別した魚を持ち帰ること
• 1999 ローラ幅を15mm以上とする
→なお、20cm以下のサンマを選別で
きる
→カタクチイワシは洋上投棄
2000年春の水産学会発表以降の補足
サンマの秋、冬、春生まれ群
• 漁期は9月~12月、成熟1歳?
「系群」
漁期
休漁期
翌年漁期
秋生まれ
仔魚
未成魚
中大型、産卵
冬生まれ
小中型
産卵
死亡?
春生まれ
じゃみ、小型
大半産卵
大型、特大
• 小型魚投棄は春群への打撃
サンマ水揚げ量と来遊量指数
銘柄別漁獲量
春・冬生まれが主群
• 選別機で大量に捨てられる恐れ
二重の誤り
• 小型魚を獲る(成長乱獲)
• 捨てる(投棄魚問題)
「小型魚を大量投棄すれば、サンマ
は減るか?」
「資源変動が自然要因なら、捨てて
もいいか?」
「減少期には多大な影響の恐れ」
TAC(漁獲可能量)制度の問題点
• 投棄魚もTACに含めよ(選
別機登載船は見なしTAC)
• 銘柄(体長)別のTACを!
• 漁法別のTACを
• 混獲魚のTACを=カタクチイワ
シは捨てて良いか?