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海辺の建築物の外装材
9班
馬場雅博
林盛
深尾宙彦
逸見豪
細川啓介
動機
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海岸の多い日本の地形的特性
構造物にとって厳しい環境条件
人を引きつける美しい景観
地球温暖化等による海辺環境の変化
海辺環境の特徴
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海辺の景観
軟地盤
海水中の塩分の飛来
津波・高潮・波浪による災害
海岸浸食
強い紫外線
強風
特徴的な劣化状況
鉄筋コンクリート
鉄筋はpH12のセメントモルタルの環境中で不
動態化
↓
海塩中の塩化物イオンが不動態皮膜を破壊
↓
海塩中の塩化物イオンが主筋と周囲の鉄筋を
電気的に接続
↓
電池の原理で周囲の鉄筋の腐食が早まる
鉄骨(鋼)
塩化物イオンの存在下で鉄が酸化→還元されて
赤錆になる
FeOOHのカソード還元反応Fe→Fe2++2e
Fe2++8FeOOH+2e-→3Fe3O4+H2O
酸素による再酸化反応
3Fe3O4+3/4O2+9/2 H2O→9FeOOH
海水が付く
↓
低湿度で水分蒸発
↓
さらに海水が付く
↓
さらに蒸発
↓
高濃度の塩化物溶液
↓
腐食
低湿度で腐食は促進
海辺建築の実例
伝統的な海辺の建築 「厳島神社」
厳島神社
・宮島の小さな湾の海上に
社殿を配置
・1168年、平清盛によって
造営
・木造、寝殿造り
・37の社殿とそれを取り囲
む回廊、床
・回廊の床板にすき間
→高潮時には床上まで上昇する海面に対し、自然の流れに
逆らわない構造
・高床構造を支える床柱の多様性
上部に建物がある場合→太い木柱。
平床や舞台など上部構造のない場合→床下は石柱。
回廊など上部荷重が比較的小さい場合→細い木柱
→荷重と海水の浮力に対する対応
・海中にある柱は腐食しやすい
→メンテナンスが必要
→短い干潮の間に交換可能な柱の根継ぎのディティール
・・・現代の「代謝建築」にも通ずる方法
※海水と木材の腐朽について
・陸上よりは明らかに腐りやすい。
・柱の空洞化の原因は海水中のプランクトンではなく
虫害であった
・大雨で湾内が淡水化したあと、急速に水腐れ
→木材は海水ではむしろ腐りにくい。(木材腐朽菌は
海水を好まない。)
→海水と接する木材は、腐朽よりも虫害による劣化
が激しい。
・・・防腐剤・防虫剤の開発によって、海辺の建築のための材料
として新たな可能性
アクアポリス
全景写真
アクアポリス
上空からの写真
アクアポリス
アクアポリスの劣化を伝える記事
腐食が進行していることが分かる
アクアポリスの経緯
• 菊竹清訓建築設計事務所設計
•
未来の海上都市をかたどった観客2,400人を収容する巨大な
浮遊式海洋構造物
• 1975年
沖縄海洋博会場として130億円で建設
• その後、沖縄県、台湾国営企業などに譲渡されるも有効利
用されず
• 2000年
上海に曳航されスクラップにされた
海上建築の背景
• メタボリズム運動
→1960年に東京で開催された世界デザイン会議と同
時に出版されたマニフェスト『METABOLISM/1960』
に「海上都市」プロジェクトが収録されている
• 沖縄本土復帰の記念イベントとして、地元産業
の育成、鉄鋼市場開拓などが見込まれていた
• 大阪万博に味をしめた産業界が後押し
外装材の選定
• 鉄鋼、造船業界からの後押しで、金属材料を選択、大量
調達やコスト、施工性から一般鋼材を主体に用いること
になったと考えられる
• 塩害に対抗するため、防錆塗料を塗った後、ペンキで仕
上げるのは、造船の技術によっていると考えられる(ア
クアポリスは造船所で作られた)
• 仕上げ材料の色は、白色を選択しているが、これは周囲
の景観となじむようにという意匠上の配慮のためだと考
えられる
腐食状況
• 一般鋼材、ステンレス材、アルミニウム材が用いられて
いる
• 異種金属との接触部に腐食の発生が多い
• 一般の構造物より腐食量が著しく大きい
• 鋼材の上に防錆塗膜、ペンキの仕上げ塗料が塗ってある
が、仕上げ材には広範囲にヒビ、ワレ、メクレが発生し
ている
• 仕上げ材の下の防錆塗膜の欠陥から腐食が始まっている
腐食の原因と対策
• 異種金属の接合が多く、過酷な気象条件
のため、腐食が進んだ
• 防錆塗膜は有効だが、欠陥が生じないよ
うに定期的なメンテナンスが必要であっ
た
• メンテナンスや海洋博以降の利用など建
築のライフサイクルに関する検討が十分
でなかった
例:葛西臨海公園レストハウ
ス(谷口吉生)
設計意図
・来園者の休憩、展望施設としての機能
をもたせる。
・公園計画の締めくくりとして記念的な
建築
・隣接する水族園との建築的調和
例:葛西臨海公園レストハウ
ス(谷口吉生)
設計に絡む環境条件
・樹木を越える程度の高さで視界が開
ける
(海辺の眺望の良さ)
・厳しい環境条件(前述のとおり)
例:葛西臨海公園レストハウ
ス
(谷口吉生)
結果として...
・海辺の眺望の良さを利用した低層の展望施
設
・周辺の自然との一体化、視界を広くとる
→極力透明性の高いガラスのファサード
例:葛西臨海公園レストハウ
ス(谷口吉生)
ガラスのファサードについて
・サッシュを白にすることでガラス面が
目立たなくしている(透明性)
・隣接する水族園のドームと統一された
デザインでもある。
例:葛西臨海公園レストハウ
ス(谷口吉生)
ガラスのファサードについて
・屋根荷重を支える構造である
(剛性が強く、海辺の強風に対応)
・耐火被覆のメンテナンスが省けるFR鋼を使
用
・白い塗料はフッ素樹脂塗装(対腐食)
・内部コアを保護
例:葛西臨海公園レストハウ
ス(谷口吉生)
現状の問題点
・全面ガラス張り→海辺の強い直射日光
に対応していない。暑い。
・ガラス屋根にヒビ→雨漏り。内部コア
に塩害のおそれ
・外構のコンクリートうち放し(基礎
も?)→痛みまくり。海辺でうちはな
しはキツい。
海の博物館
海の博物館
所在地 三重県鳥羽市浦村町
建築 内藤廣建築設計事務所
構造 構造集団SDG
施工 鹿島建設
大西種蔵建設
主体構造 プレキャストプレストレストコンクリート
設計テーマ
• 文化財収蔵庫としての高い耐久性
• 極端なローコスト
• 18m無柱空間の実現
日本の伝統的な瓦屋根の使用
• ステンレスでも2、3
年で穴があく塩害
• 品質管理さえすれば高
い性能
• 風に対する弱点は敷地
周辺の作りや樹木に
よって補完
• 瓦のピースによって屋
根勾配の決定
• 大きく出された庇
タール状の塗装
• ローコストの実現
• 鯨油を使用したこの
地方伝統の外壁と似
ている
プレキャスト・プレストレストコンクリート
の採用
• 懸垂曲線の躯体
ピアノ線によるプレス
トレスとによって曲げ
応力を低減
• 品質管理
中性化劣化によるク
ラックの派生の抑制
• スチール型枠の再利用
による低コストの実現
• コンクリートから空気
中に出るアルカリ性分
の低減
終わり