社会システム論

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社会システム論 第 1 回 システムとは何か 大野正英 経済学部准教授

この授業のねらい  現代社会をシステムという視点から捉える。  社会の複雑さをシステムというツールを用 いることによって、理解する。

さまざまに用いられる システムという言葉  経済システム  政治システム  コンピュータシステム  情報システム  金融システム  エコシステム(生態系)  教育システム  免疫システム  予約システム  生産システム  流通システム  オンラインシステム  サッカーのフォー メーション

システムとは何か  現実の世界におけるさまざまな事象を認 識し、分析するための枠組み 現 実 世 界 シ ス テ ム 認識 主 体

一般システム理論  ミクロからマクロまで、さまざまなものに共通する 特徴をシステムとして捉えようとする科学理論     さまざまな学問分野を統合する一般理論を目指 す 生物学者ベルタランフィー 経済学者ボールディング 学際的

関連する学問領域  物理学  生物学  情報工学  政治学  経済学  法学  経営学・マネジメ ント論  心理学  家族  政治学  経済学  法学

さまざまなシステム  宇宙  地球  生物  人体  コンピュータ  社会集団  企業  政治  地域社会  家族

システムの定義  相互に依存し、相互に影響を与え 合う複数の要素から構成されるまと まりのある全体  アリストテレス  「全体はその部分の合計以上のものである。」

部分と全体  複数の要素から構成される  それらの要素が互いに連関し、影響を及 ぼしあう  全体として一つのまとまりとなり、ある目的 を実現する

システム論  従来の科学の方法論である還元主義に対 する新しい見方

近代科学の特徴としての 還元主義 還元主義とは  複雑なものごとを調べるために、個別の要素 に分解し、部分を調べることによって、全体が より明確に理解することができるという考え方  物理学、化学の基本的研究態度  原子>分子>素粒子

還元主義的思考の落とし穴の例 例) 医者の発言 「手術は成功しましたが、患者さんは亡くなり ました」 ある分野の専門家の提言 一つの分野としては正論であるが、全体と しては適用できない。

木を見て森を見ず

 構成要素を合計した以上の働きを、全体 のシステムが発揮する。  部分のはたらきからは、予想できない行動 が

システムの同型性 3つのシステムに例をとる 宇宙 人体 社会

システムの同型性  それぞれの構成要素からなる  相互の関連性  全体としての機能

システムの階層構造 システムとサブシステム  それぞれのシステムは、それぞれの下部 に属する複数のシステム(サブシステム) から構成されている。  下部のシステムは、一定の自律性を持っ ていると同時に、上位のシステムに支配さ れるという

システム構造のイメージ

サブシステムの 2 面性  サブシステムの自立性  サブシステムは、そのシステムを維持するた め必要なある程度の自律性を持っている。  しかしそれだけで完結するわけではない。  全体システムの支配性  サブシステムは、上位である全体システムに 支配を受ける。

全体と部分のバランス  サブシステムは、全体システムとの間でバ ランスを保とうとするように常に調整される。  あるサブシステムから見ると、全体システ ムは、そのシステムにとっての環境である。

システムと環境の相互作用

システムと環境の相互作用  環境 あるシステムの外部 ● 環境の変化に対してシステムが適応する ● 環境に対してシステムが働きかける。

システム的思考  システム論の考え方を用いることによって、 全体との関係で部分を見る 部分との関係で全体を見る