要求分析における 合意形成ツールの評価と分析
Download
Report
Transcript 要求分析における 合意形成ツールの評価と分析
要求分析における
合意形成ツールの評価と分析
2006/02/10
海尻・海谷研究室
M2 渋木千歳
目次
背景
目的
運用実験
実験結果
アンケート集計結果
まとめ
今後の課題
背景
ソフトウェア開発において、顧客の要求を
満たしていることは第一条件である。
そして要求を的確に捉えることができれば、
ソフトウェアの品質は向上し、幾度にも渡
る要求のすり合わせの手間を省くことがで
きる。
その結果、開発期間の短縮や、コストの削
減にも繋がる。
背景
しかし要求獲得の段階において、顧客の
中にある潜在的な要求(非機能要求)をう
まく引き出せなかったりすることがある。
ここで言う非機能要求とは、ソフトウェアの品
質に関わる項目で、機能にどんな要素を重視
するかという付属的な機能のことを表している
機能の抽出は的確に行えていても、非機
能要求は認識の違いや見落としも多い。
目的
本研究では、これらの問題を解決するに当
たり、複数の視点(ビューポイント)からの
要求の引き出しを「投票」という方法で実現。
要求獲得の段階での非機能要求の見落と
しや、ビューポイント間の認識の相違を効
率的に排除することを目的としている。
目的
この手法に基づく合意形成サポートツール
を使用した運用実験を行った。
ツール使用時と、不使用時(紙ベース)を
比較し、手法の問題点、ツールの改善点な
どを評価、分析することが本研究の目的で
ある。
運用実験
あらゆる機能要求は、何らかの非機能要
求を持っていると仮定して、機能に非機能
を対応付けていく。
例えば、mp3プレーヤーの「音楽を再生する」
という機能でも、「素早く」や「確実に」といった
当たり前かもしれない非機能要求を持ってい
ると考えられる
運用実験(題材)
今回用意した機能要求の題材は二つ。
携帯電話…(91個)
Webブラウザ…(93個)
()内は抽出した機能要求の個数
非機能要求は、ISO-9126で定義されたソフ
トウェアの品質を表したものを利用。
これはソフトウェアの品質を6つの特性と、20
個程度の副特性に分類して表現したもの。
運用実験(非機能要求リスト)
運用実験(ビューポイント)
ビューポイントは 3人×2グループ
ユーザー(使用者)
システムを直接操作したり、直接やり取りする人
計算機システムのサービスを利用する人
カスタマー(顧客)
プロジェクトに対して金銭を払う立場にある人
ハードウェア製品やソフトウェア製品を正式に受け入れる人
(利用者=顧客の場合も当然ある)
サプライヤ(開発者)
実際にソフトウェアを開発する人
+ モデレータ(議長、自分)…会議の進行役
書記(上條君)…記録係
運用実験(ツール-Client)
運用実験(ツール-Server)
運用実験(紙)
投票用紙(題材-Webブラウ
ザ)
運用実験(順番)
携帯電話
(前半)
ブラウザ
(後半)
グループA
紙
ツール
グループB
ツール
紙
実験結果
題材
(FRの個数)
ツールor紙
(グループ)
総計時間
(集計時間
含)
携帯電話
(91)
ツール
紙
(B)
(A)
166分
101分
ブラウザ
(93)
ツール
紙
(A)
(B)
127分
82分
一項目当り
の平均時間
議論個数
110秒
67秒
82秒
53秒
60個
67個
57個
48個
アンケート集計結果
回答項目は(紙 or ツー
ル or どちらでもない)
グループA
スムーズだった方
0
2
0
3
他人の意見が聞けた方
1
0
0
0
自分の意見が言えた方
1
0
0
0
結果の納得度
0
0
0
0
他人の意見の影響度
1
3
3
1
退屈しなかった方
0
3
1
1
紙
グループB
ツール ツール
紙
アンケート集計結果
ツールの使用感に関して
ツールの難易度は低く理解しやすいもので
あったが、操作性に少し難点があるという回
答を多数得ることができた。
• Reloadボタンを追加してほしい
• 投票した時にコメントがリセットされない
• 非機能要求リストとコンボボックスの同期がされない
面と向かっての議論では、コメント機能必要な
く、ほとんど使われない
考察・まとめ
投票システムの手法について
一項目ずつ投票
長所
• 一つずつ意見を考えられる
短所
• 他の人の意見の影響を受けやすい
全項目一度に投票
長所
• 潜在的な要求(ビューポイントが最初に持っている意見)を
得るのに適している
短所
• まとめて議論をするので、意見を忘れてしまう場合がある
考察・まとめ
紙ベース
非常に集計が面倒で、人数が増えれば増えるほどそ
の負担は大きくなると考えられる。
しかし類似した機能があった場合など、素早く非機能
の決定ができるため、思ったより効率は良かった。
ツールベース
類似した機能の場合でも、投票ステップを踏まないと
いけないので、そこで時間的効率に差ができたと思わ
れる。
この問題を解決し、ツールの操作性を改善できれば
効率はもう少し良くなる。
今後の課題
この実験結果、分析を基に
手法の欠点を改善する方法を考察し
ツールを改修
その他の要求分析手法を取り込むために、
分析するのも一つの方向性として考えて良
い