補論 - 桃山学院大学経済学部・大学院経済学研究科

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Transcript 補論 - 桃山学院大学経済学部・大学院経済学研究科

『世界市民』 by 矢根 真二 ([email protected])
資料URL http://rio.andrew.ac.jp/~yane/class/water/
<15A>
研究入門2: 分析「ツール(道具)」を使おう
Back 15
水道事業の効率性ランキングの修正
本日の課題
研究の始め方2: 効率性を比較する「ツール(道具)」を使おう
1 情報・視点: 日本の水道事業の効率性
2 ツールの使い方: DEA・SFAと使用条件
3 環境7要因と効率性ランキングの修正
>>
1 情報・視点: 日本の水道事業の効率性
<14A>  先行研究から学ぶ「視点 = 効率性」
1. 「市営」水道事業の効率性  中山(03)
2. 「全(=県から村まで)」水道事業の効率性  原田(04)
But 「<14A>視点と問題の限定」の前に,効率性の測定法?
 Coelli (05), Fried(08): 教育・病院・スポーツ・経営・経済
2種類の「効率的フロンティア分析 EFA」によるランキング
1. ノンパラメトリックなDEA (包絡線分析)
2. パラメトリックなSFA (確率的フロンティア分析)
効率性を測る類似したツール: 効率的なフロンティアからの距離
「視点と問題の限定」の具体例
「視点と問題」の限定
1. 対象:生産の効率性  収入・費用・利益
先行研究と同じ + 容易
2. 方法:SFA  DEA
水道事業では具体的な生産関数の形状が幾つか実証済み
差別化するアイデア?  このままではデータのみの差
1.
<14A>散度が大きい  同じフロンティアで評価できない?
2.
もしそうなら,どう測る?
2 ツールの使い方: DEAとSFA
生産の(技術)効率性「E」の測定法
1.

2.
3.
生産量のフロンティア上にあれば,1 ≒「生産性」の概念
≒ 同じ投入量で,最大の産出量(生産量) or 同じ産出量を最小の…
そこから乖離する分だけ,0.9. 0.8などと小さくなる
∴効率性のランキング (たとえ多種の投入・産出の場合でも)
違いは,SFAはフロンティアの形を特定化(DEAは不要)
コブダグラス型生産関数 Y = A Kα Lβ Oγ  A αβγ
But 同じフロンティアを共有する同種の主体が使用条件
DEAによるフロンティアと効率性のイメージ
1投入X・1産出Yの場合のVRSフロンティアの投入指向型効率性E
Y
D
C
E
G
B
H
F
A
I
2
4
X
1 フロンティア上は効率的
・A,B,C,D,Eは E=1
・内部はすべて E<1
2 Eの測り方(投入指向)
・点GのE= 2/4= 0.5
・B,F,G,HのE?
・B,G,IのE?
・*D,EのE?
DEAとSFAによる水道事業の効率性
有収給水量Y  有形固定資産K・労働L・その他O
1. DEAによる平均値: 0.472,中央値:0.439
最大値: 1,最小値:0.109
2. SFAによる平均値: 0.767,中央値:0.788
最大値: 0.936,最小値:0.247
3. DEAとSFAによる効率性の相関(順位相関) 0.63 (0.75)
∴手法によっても結果は変わる,特に環境の差は?
DEAとSFAのソフトウェアの例
1. 福山平成大学福井教授のDEAソフト
2. Coelli教授のDEAおよびSFAソフト (DOS, R)
3. \ DEA Solver Pro
4. \ PIM DEA
5. \ SFA対応の統計・計量ソフト(Limdep, Stata)
3 環境7要因とランキングの修正
「技術効率性効果フロンrヒアモデル」を適用する意義
1. 中山(03)から原田(04)へのサンプル拡大は自然な発展だが,
2. 分散の不均一性や異質性の拡大のため,その効率性には問題
3. 少なくとも7つの環境要因が同時に有意に影響している
 + 取水規模,受水比率,地下水比率,負荷率,顧客密度
 ー 平均料金,補助金比率
4. ∴同質homo性を前提とするフロンティアもランキングも修正
平均値は0.79から0.54へ,相関は0.7
結論: 要約と課題
結論 = ツールを使った結果,過去の結果との異同点は?
1.
2.
3.
4.
5.
環境要因を考慮すると,フロンティアの形状が変わる
ゆえに,効率性のランキングも変わる
特に,効率的なグループでの変化は大きい  図5
上位20社や上位10%の比較からも明白  表7,9,11
∴水道事業の評価には,環境要因の考慮が不可欠
残された課題  他の研究課題の発見
1. SFAの手法の工夫(異常値,変数,関数,測定法,パネル)
2. 環境要因の差を考慮したDEAおよびその結果との比較
本日の要点&次回の準備
「ツール」を身につければ,読み書きは飛躍的に効率化
1.
2.
3.
4.
5.
ただし,ツールの理解・習得にはコストがかかるので,
自分の興味ある事柄に使えるなど,
応用範囲が広く,
操作しやすいソフトが利用可能で,
今後も重要であるようなツールを選択
 DEAが候補の1つになる理由

応用範囲が広い,SFAより手軽,容易かつ無料ソフトの開発
今回が最終回: ご苦労様でした
参照文献
1.
2.
3.
4.
5.
中山徳良(2003) 『日本の水道事業の効率性分析』多賀出版
原田禎夫(2004) 「水道事業の効率性分析」 『經濟學論叢』 55(4),
101-134.
Coelli, T.J.・他(2005), An Introduction to Efficiency and
Productivity Analysis, 2nd Edition, Springer.
Fried, H.・他(eds.) (2008), The Measurement of Productive
Efficiency and Productivity Change. Oxford University Press,
New York
吉川丈・他(2012)「確率的生産フロンティアと環境変数:技術効率
性効果フロンティアモデルの上水道事業への適用」『経済経営論
集』(桃山学院大学)第53巻第4号, 59-97.