「ゆらぎの非線形に関する一考察」
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ゆらぎの非線形性に関する一考察
Wiener Hermite 展開を用いたゆらぎの成長の記述
天文学教室4年
望月悠紀
目次
1.背景
2.考察の目的
3.準備
4.手法の紹介と方程式の導出
5.数値計算の結果
6.結果の考察
7.まとめ
8.今後の発展
1.背景(1)~宇宙のゆらぎの成長
宇宙初期において、ごく小
さな密度ゆらぎ
この密度ゆらぎが少しずつ
成長
→密度の濃いところと薄いとこ
ろができる。
濃いところには星や銀河な
どの構造ができる。
密度ゆらぎが成長して、我々
の銀河などができる
1.背景(2)~ゆらぎには…~
密度ゆらぎの成長にはたくさんの情報が含まれ
ている!例えば…
• ダークマター、ダークエネルギー、バリオン密度などの
宇宙論パラメータの決定
• ニュートリノの質量に制限
などなど、色々なことがわかる!
1.背景(3)
~密度ゆらぎから宇宙論パラメータ決定~
銀河の2点相関関数
(銀河が空間的にどのように群れ
集まっているかを表す)
→→バリオン音響振動の名残りが
成長したもの
ゆらぎの成長モデルが理論的
に分かれば、この観測結果に
あうように、宇宙論パラメータを
決めることができる。
→ゆらぎの成長モデルが要
る
Eisenstein et al. (2005)
1.背景(4)
~密度ゆらぎからニュートリノ質量制限~
ニュートリノの質量制
限
ニュートリノは、速度分散が非常
に大きい。
→重力で粒子が集まろうとしても、
すぐどこかにいってしまう。
→ニュートリノがゆらぎの成長を
抑制。
ゆらぎの成長モデルが理論的に
分かれば、観測と合うようにニュー
トリノの質量に制限をかけることが
できる。
やはり、密度ゆらぎの成
長モデルが必要!!
2.本考察の目的
宇宙論パラメータの決定、ニュートリノの質量制限のための
密度ゆらぎの成長モデルがほしいが…
精密な密度ゆらぎの成長モデルはまだ誰も作れ
ていない!
→→→まずは、ダークマターの密度ゆらぎを、非
線形性も考慮したモデルの構築!
世界一精密がいい。二位ではだめ。
3.準備
宇宙のダークマターを流体粒子と考える。
膨張宇宙における流体力学の基礎方程式
連続の式
オイラー方程式
ポアソン方程式
・ [(1 )u] 0
t
u
1
2Hu (u・ )u 2
t
a
4Ga2
さらに、速度ポテンシャルψ
:
u
を導入し、そしてフーリエ変換
フーリエ変換後
ˆ(k, t ) 2 ˆ
ˆ (k k' , t )(k k ' ) k 0
k (k, t ) d 3k 'ˆ(k' , t )
t
ˆ (k, t )
ˆ (k, t )
1
3
ˆ (k, t )
ˆ (k' , t )
ˆ (k ' , t )k'(k k' )
2H
d k'
const
2
t
2
a
ˆ (k, t ) 4Ga2 ˆ(k, t ) 0
k 2
これで準備は整った。ここからオリジナル。
4. Wiener Hermite展開
Wiener Hermite 展開の方法
ˆ(k, t ) A(1) (k, t ) H (1) (k ) d 3lA( 2) (k l, l, t ) H ( 2) (k l, l)
ˆ (k, t ) B (1) (k, t ) H (1) (k ) d 3lB ( 2) (k l, l, t ) H ( 2) (k l, l)
ˆ (k, t ) C (1) (k, t ) H (1) (k ) d 3lC ( 2) (k l, l, t ) H ( 2) (k l, l)
A(1) A( 2) , B (1) B ( 2) , C (1) C ( 2)
かつて、乱流現象を記述するために使われた摂動展開の一つ。
Hは関数値がランダムな値をとる確率関数(ただし、分布はガウス分布になるよう
なもの)。これを基底に。
これを先の、フーリエ変換した式に代入し、アンサンブル平均をとると4元連立微
分積分方程式が出てくる。
計算する4元微分積分方程式
A(1) (k , a)
4 2
(F) :
a
a m a 3
k k '
2 (1)
16 4
2
2
2
(1)
( 2)
( 2)
(1)
k
C
(
k
,
a
)
dk
'
dmk
'
m
(
k
m
k
'
){
A
(
k
'
,
a
)
C
(
k
,
k
'
,
m
,
a
)
A
(
k
,
k
'
,
m
,
a
)
C
(
m
,
a
)}
|kk '|
k 0
C (1) (k , a) 2 (1)
3
(G) :
C (k , a)
m a 3 2m 2 A(1) (k , a)
a
a
2a
4 k
k k '
(2 ) 6
1
dk
'
dmk' m(k 2 m2 k '2 )C (2) (k , k ' , m, a){C (1) (k ' , a) C (1) (m, a)}
|k k '|
2a m a 3 k 0
A(2) (k , k ' , m, a)
4 2
1
(f) :
[k 2C (2) (k , k ' , m, a) {A(1) (k ' , a)C (1) (m, a)(k 2 k '2 m2 ) A(1) (m, a)C (1) (k ' , a)(k 2 k '2 m2 )}]
a
4
a m a 3
3
C (2) (k , k ' , m, a) 2 (2)
2
3 m a
2
2
2
(1)
(1)
(g) :
C (k , k ' , m, a)
(k k ' m )C (m, a)C (k ' , a) 2 2
m A(2) (k , k ' , m, a)
a
a
a
8 k
a m a 3
とにかく、
ˆ(k, t ) A(1) (k, t )H (1) (k) d 3lA( 2) (k l, l, t ) H ( 2) (k l, l)
ˆ (k, t ) C (1) (k, t ) H (1) (k) d 3lC ( 2) (k l, l, t ) H ( 2) (k l, l)
ψ
のA1とC1の数値が主要な項なので、ここを数
値計算によって求める。方法は4次のRungeKutta法。
5.数値計算の結果
数値計算の結果(2)
6.結果の考察(物理的に正しい
か?)
宇宙は大きいスケールになるほど一様で等
方だと考えられる。
→つまり、波数の小さいところでは、線形理論と
ほとんど同じであることが予想される。
Wiener Hermite 展開で
(1次の項)>>(2次の項)
になっているか?
数値計算の結果は物理的に非常に正しいと
思われる!
7.まとめ
密度ゆらぎの精密なモデルを作ろうと試みた。
特に、Wiener Hermite展開を使ってオリジナ
ルのゆらぎの成長モデルを考案した。
数値計算の結果を物理的に解釈すると、この
方法は正しいと言える。
→→→密度ゆらぎの成長モデルの構築に成功
8.今後の発展
数値計算をより精密に。
→積分の刻み幅、積分の上限の打ち切りなどをより正確にし
たい。
数値計算の結果を他の理論モデルと比較
数値計算の結果を観測と比較
バリオンのゆらぎの成長のモデルも作る
宇宙論パラメータの決定、ニュートリノの質量
制限に結びつけたい!
参考文献
二間瀬敏史・池内了・千葉柾司 シリーズ・現代の天文学宇宙論Ⅱ(日本評論社)
Atsushi Taruya (2000) Stochastic Biasing And Weakly Nonlinear Evolution Of Power
Spectrum
Toshifumi Futamase, Takuya Matsuda (1979) Spectrum evolution of primordial
cosmic turbulence
Tsutomu Imamura, Wiliam C. Meechan (1963) Symbolic Calculus of the Wiener
Process and Wiener-Hermite Functionals
Komatsu et al. (2010) Seven-Year Wilkinson Microwave Anisotropy Probe (WMAP)
Observations: Cosmological Interpretation
Bruce A. Bassett & Renee Hlozek (2009) Baryon Acoustic Oscillations
Masahiro Takada, Eiichiro Komatsu, Toshifumi Futamase (2006) Cosmology with
High-redshift Galaxy Survey: Neutrino Mass and Inflation
今村勤 応用数学講座 Wiener-Hermite 展開
感謝1
4年生のみなさんに感謝します。
呑んだり、風呂行ったり、呑んだり、屋上で呑
んだり、芋煮したり、花見したり、花見の場所
取りをM2から頼まれたり…
本当に楽しい思い出をありがとうございまし
た!
感謝2
続いて、2人の先生方に。
まずは秋山先生。
主に活動銀河のゼミでした。先生の熱心なゼミのおかげで、
勉強が楽しくできました。本当にありがとうございました。
そして、二間瀬先生。
宇宙論の知識がまったくない私をビシビシ鍛えてくださいま
した。毎日のように質問に行く私に時間をとって議論してい
ただきました。本当にありがとうございました。
ここで、二間瀬大先生にメッセージがあります。
早く…
私の…
名前を…
……
覚えてください!!
っちゅう。
ご清聴ありがとうございました
補遺
計算ルール
H (1) (k ) 0
H (1) (k ) H (1) (k ' ) ˆ(k k ' )
H ( 2) (k 1 , k 2 ) H ( 2) (k 3 , k 4 ) ˆ(k 1 k 3 )ˆ(k 2 k 4 ) ˆ(k 1 k 4 )ˆ(k 2 k 3 )
H ( 2) (k 1 , k 2 ) H (1) (k 1 ) H (1) (k 2 ) ˆ(k 1 k 2 )
H (i ) H ( j ) 0
(if i j odd)