健康の社会的決定要因

Download Report

Transcript 健康の社会的決定要因

健康の社会的決定要因
の視点から考える
人はなぜ虫歯や病気になるのか
〜健康の社会的決定要因
の視点から考える〜
M:I-2 (2000) という映画
• トム・クルーズ主演のアクション映画
• 薬の売り上げを伸ばすため、病原微生物
と治療薬を同時に開発した製薬企業の計
画の頓挫から話が始まる…
製薬会社の社長の告白
• 「ペニシリンで、あらゆるばい菌を退治でき
た時代は、過ぎた。過去のことだ」
– 20世紀前半は、ペニシリンが健康の決定要因
だった、という前提
• それは「真実」か?
健康の社会的決定要因
•
•
•
•
•
•
ヘルス・プロモーションの源流
「健康の湧き出る泉」とは?
医療はどのくらい健康に寄与してきたのか
社会格差と健康格差
地方の医療はどうあるべきなのか
臨床における漠然とした無力感の原因
健康とは?
• 「身体的・精神的・社会的に完全に良好な
状態であり、たんに病気あるいは虚弱でな
いことではない」
– 世界保健機関, 1946
– 健康とは、身体面のみからなるのではない
– http://www.who.int/suggestions/faq/en/inde
x.html
社会とは?
• 生活空間を共有したり、相互に結びついた
り、影響を与え合ったりしているひとびとの
まとまり。またその人々の相互の関係。
– 大辞林, 三省堂
健康の社会的決定要因
• 「健康の社会的決定要因(けんこうのしゃ
かいてきけっていよういん、Social
determinants of health)は、人々の健康
を規定する経済的社会的状況である」
– 世界保健機関、カナダ公衆衛生機関
– http://www.phac-aspc.gc.ca/sdhdss/glos_e.html
健康の社会的決定要因
• 「健康の社会的決定要因(けんこうのしゃ
かいてきけっていよういん、Social
QuickTime™ and a
determinants
of health)は、人々の健康
TIFF (Uncompressed)
decompressor
are needed to see this picture.
を規定する経済的社会的状況である」
– 世界保健機関、カナダ公衆衛生機関
– http://www.phac-aspc.gc.ca/sdhdss/glos_e.html
疫学の3要因との関係
• 健康異常の要因
– 病原要因
– 宿主要因
– 環境要因
• 物理的環境
• 社会的環境
病原要因
ウィルス・化学物質
宿主要因 環境要因
体調・生活習慣・免疫 物理的社会的環境・ストレス
目次
• 健康の社会的決定要因とは何か?
• 健康の社会的決定要因の探究と変遷
• 健康の社会的決定要因の導く戦略
健康の社会的決定要因とは
何か?
• 健康に決定要因があるのは、誰も疑わな
いでしょう
• 生物学的決定要因(年齢、性別、遺伝)が
あるのも疑わないでしょう
• 同様に社会的決定要因(社会的地位、社
会的結束)という概念が考えられています
– 単なる理屈や視点の違いか?
– より本質的な要因か?
社会的決定要因がまやかしなら
• 健康の生物学的要因の理解
– 年齢、性別、遺伝…
– 衛生、栄養、医療…
• 健康の生物学的要因の管理
– 医療従事者への責任の集中
• Lalonde Report (1974)
– 健康への気づき(行動変容、健康教育)
社会的決定要因が本質なら
• 健康の社会的決定要因の理解
– 健康の社会的決定要因とは何か?
• 健康の社会的決定要因の管理
– 社会的要因を管理するとは?
– 管理における医療従事者の役割は?
健康の社会的決定要因の
理解の難しさ
• 「社会」という概念の漠然さ
– Health promotion: concepts and principles
(1984)
• 健康をターゲットとしたフィールドに存在す
る既存の概念との「あつれき」
– Impediments to health promotion in
developing countries: the way forward
(1996)
健康の社会的決定要因とは
何か?
• 個人の意思 VS 健康の社会的決定要因
– あなたの場合
– 受診者の場合
– スラムの場合
– 開発途上国の場合
あなたの場合
• 今まで人生の判断は、誰にも影響を受け
ずに、一人で決めてきた
– 今日、ここには、誰にも影響を受けずに、一人
で決めてきた
• 今まで自分の健康は、誰にも影響を受け
ずに、一人で守ってきた
• 自分は、どんな環境、地域、国に生まれて
も、この健康状態だ
健康の守れない人は
意志の弱い人?
• 女性、17歳、妊娠3ヶ月、アルバイター、
DMFT index 20
– 意志の弱さが虫歯を招いた?
• 男性、2歳、dft index 6
– 保護者の不注意が虫歯を招いた?
受診者の健康行動
• なぜ、人々は喫煙習慣の健康への危険性
を知りつつ、禁煙できないのか?
– 喫煙者の1/4は禁煙に挑戦
– 禁煙の成功は意志が左右?
• http://kumanichi.com/iryou/kiji/kokyuuki/39.html
• なぜ、親たちは歯への有害性を知りつつ、
小児にお菓子を与えるのか?
スラムの場合
• 正しい情報や個人の気づき、意志の強さ
は、どれくらい大切なのか?
• 健康の社会的決定要因は、どれくらい大
切なのか?
– スラムに住むから不健康?
– 不健康で意志の弱い人たちが集まるからスラ
ム?
開発途上国の場合
Millenium Development Goals
不健康
60
50
40
30
Children under five years of
age underweight for age
Under-five mortality rate
Infant mortality rate
20
10
0
Af
gh
an
ist
Al an
ba
n
Al ia
g
An eria
An
do
tig
rr
ua
an An a
d go
Ba la
r
Ar bud
ge a
n
Ar tina
m
Au enia
str
a
Au lia
Az str
er ia
ba
ija
n
健康
Maternal mortality ratio
http://www.who.int/whr/2004/annex/en/index.html
QuickTime™ and a
TIFF (Uncompressed) decompressor
are needed to see this picture.
先進国の場合
• 平均寿命はすべての地域で改善
– 改善は、一人一人の努力の成果?
– 健康的な環境が、集団の健康を改善?
• 平均寿命の改善は、幼少期の死亡の改善
が大きい
– ペニシリンの開発が平均寿命を改善?
健康の社会的決定要因とは
何か?
• 個人の意思 VS 健康の社会的決定要因
– あなたの場合
– 受診者の場合
– スラムの場合
– 開発途上国の場合
健康の社会的決定要因とは
何か?
• 個人の意思 VS 健康の社会的決定要因
– あなたの場合
QuickTime™ and a
TIFF (Uncompressed) decompressor
– 受診者の場合
are needed to see this picture.
– スラムの場合
– 開発途上国の場合
社会的決定要因が本質なら
• 健康の社会的決定要因の理解
– 健康の社会的決定要因とは何か?
• 健康の社会的決定要因の管理
– 社会的要因を管理するとは?
– 管理における医療従事者の役割は?
健康の社会的決定要因の
探究と確立
– 1970年代以前 医学者・歴史学者の指摘
• 1970年代 マキューン教授の分析
– 1974年 ラロンド報告での分析
– 1979年 ヘルシーピープルの分析
– 1980年 ブラック報告
• 1984年 健康づくりプログラムの確立
– 1986年 健康づくり国際会議(オタワ憲章)
医学者の指摘
• 「空気、水、場所について」
– ヒポクラテス(BC460-377)
• ペッテンコーファーの環境医学
– 下水道の整備と分離(1830年代)
– スノーとの上水道論争(1890年代)
• コッホの細菌学説
– 炭疽菌、結核菌の発見(1870年代)
偉大な医学者の肖像
ヒポクラテス
BC460-377
「空気、水、場所につ
いて」
ペッテンコーファー
1818- 1901
下水道の普及
コッホ
1843-1910
結核菌の発見
ノーベル生理学賞
社会学者の指摘
• 衛生改革(1848), 公衆衛生法(1875)
– トマス・サウスウッド・スミス(1788-1861)
– エドウィン・チャドウィック(1800-1890)
– 「我々は、健康を押しつけられるくらいなら、コ
レラへの感染を選ぶ」(Times, 1854)
• 「社会医学の意味」(1954)
– イアゴ・ガルドストン
その警察医は、他殺事件の被害者を剖検し、心臓内に弾丸が
入っているのを発見し、この事件の原因は弾丸であると断定した。
社会学者の指摘
•
衛生改革(1848),
公衆衛生法(1875)
そのご、彼は戦場におもむき、戦争は大規模な殺人と考え、多く
– エドウィン・チャドウィック
の戦死体に
弾丸を発見し、これが戦争の原因と信じた。
– トマス・サウスウッド・スミス
– 「我々は、健康を押しつけられるくらいなら、コ
やがて毒ガスが殺人の原因であること知り、彼は
弾丸と毒ガスが
レラへの感染を選ぶ」(Times, 1854)
戦争の原因であると考え、戦争を防ぐには、ばくぜんとした人種
的・経済的・政治的条件ではなく、ともかく、原因中の原因である
•
「社会医学の意味」(1954)
弾丸と毒ガスを何とかする方法を発見しなければならないという
– イアゴ・ガルドストン
研究に熱中した。
歴史学者の指摘
• 病気と文明の相互作用
• 飢餓・飽食、住生活・衣食住、文明の接触
が、それぞれの時代の流行病/健康状態
に影響する。
• 戦争・貧困・病気、とくに貧困と病気の関係
は、病気の階級性をもたらす。
– 病気の社会史(1971)
ジュリアン・チュ−ダー・ハートに
よる指摘
• 医療反比例の法則 (Lancet, 1971)
• 医療の提供とニーズは反比例する
– 医療が市場の力学にさらされると、よく機能す
る
– 医療資源の不適正配分が生じる
– http://www.sochealth.co.uk/history/inversec
are.htm
トマス・マキューンの考察
• バーミンガム大学公衆衛生学教授
• 医学の役割:夢か幻か (1976)
• 現代の人口増加 (1976)
– 人口増加の要因
– 感染症の減少の要因
– 健康の階級性
現代の人口増加 (1976)
world poipulation
world population (millions)
4500
4000
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
1000 1100 1200 1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000
year
現代の人口増加 (1976)
population in England and Wales
population in England and Wales
(Million)
60
50
40
30
20
10
0
1000 1100 1200 1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000
year
イングランドの死亡率
Death-rates (standardized to 1901 population):
England and Wales.
20
15
Males
Females
10
5
0
18
40
18
50
18
60
18
70
18
80
18
90
19
00
19
10
19
20
19
30
19
40
19
50
19
60
19
70
Death-rate (per 1000)
25
year
年代別死亡率
Mortality at different ages: England and Wales.
Number of deaths per 1000
conceptions
700
600
500
400
1838-54
1970
300
200
100
0
Prenatal
0-14
15-44
Age
45-64
65 and over
空気感染による死亡率の推移
Standardized death-rates (per million) from Airborne disease
Smallpox
10000
Scarlet fever, diphtheria
8000
Measles (under 15)
6000
Whooping cough (under 15)
4000
Bronchitis, Pneumonia,
influenaza
Tuberculosis
2000
0
1840
1850
1860
1870
1880
1890
1900
1910
1920
1930
1940
1950
1960
1970
Death-rate (per million)
12000
year
医学の役割 (1976)
アンチトキシンの利用
Standardized death-rates (per million) from Airborne disease
Smallpox
10000
Scarlet fever, diphtheria
8000
Measles (under 15)
6000
Whooping cough (under 15)
4000
Bronchitis, Pneumonia,
influenaza
Tuberculosis
2000
0
1840
1850
1860
1870
1880
1890
1900
1910
1920
1930
1940
1950
1960
1970
Death-rate (per million)
12000
year
抗生物質の利用
予防接種の利用
健康の階級性
Mortality by social class and age
Relative mortality (%), SMR
死にやすい200
死ににくい
150
Öü professional occupations
Ö† managerial and technical
Ö°N skilled non-manual
Ö°M skilled manual
Ö¢ partly skilled
Ö£ unskilled
100
専門職
肉体労働
50
0
Stillbirths
Infants
(less than 1
year)
age
死産にもみられ
る階級性
Children Adults (15(1-14
64years)
years)
ラロンド・レポート (1974)
• カナダ人の健康のための新たなる展望
– マルク・ラロンドは当時のカナダの保健大臣
• 医術あるいは医学のみが、健康の湧き出
る泉なのか?
– http://www.hc-sc.gc.ca/hcssss/alt_formats/hpb-dgps/pdf/pubs/1974lalonde/lalonde_e.pdf
カナダ保健大臣マルク・ラロンド
ラロンド・レポート (1974)
• 疾病の要因を生物学的要因、環境、行動
様式、医療に解体
– 環境:個人では管理できない
– 行動様式:個人で一部管理できる
• カナダの疾病と死亡の多くの原因は、環境
と行動様式にある
• 環境と行動様式の研究の推進
ラロンド・レポート (1974)
• 疾病の要因を生物学的要因、環境、行動
様式、医療に解体
QuickTime™ and a
TIFF (Uncompressed) decompressor
環境:個人では管理できない
are needed to see this picture.
–
– 行動様式:個人で一部管理できる
• カナダの疾病と死亡の多くの原因は、環境
と行動様式にある
• 境と行動様式の研究の推進
ヘルシー・ピープル (1979)
• ラロンド・レポートの分析をアメリカに適応
• アメリカの死亡10大原因 (1976)
– 行動様式50% 環境20%
– 生物学的要因20% 医療の力不足10%
• 行動様式と環境の重要性を追認
– http://profiles.nlm.nih.gov/NN/B/B/G/K/seg
ments.html
20%
ヘルシー・ピープル
(1979)
• ラロンド・レポートの分析をアメリカに適応
• アメリカの死亡10大原因 (1976)
QuickTime™ and a
TIFF 50%
(Uncompressed)
decompressor
行動様式
環境20%
are needed to see this picture.
–
– 生物学的要因20% 医療の力不足10%
• 行動様式と環境の重要性を追認
10%
50%
– http://profiles.nlm.nih.gov/NN/B/B/G/K/seg
ments.html
20%
ブラック・レポート (1980)
• イギリスにおける、健康の階級性を再吟味
• 多くの疾病において、高い死亡率と有病割
合を占めているのは低い社会階層
– 拡大傾向にある(Acheson report, 1988)
• 無料診療は、健康格差には影響しない
• 健康格差と社会経済的状況の相関
– http://www.sochealth.co.uk/history/black.ht
m
健康づくりの精神 (1984)
• 健康づくりと生活様式/環境の改善
• 人々と環境の仲介的戦略の採用
• 個人の選択と社会的義務の統合
– Health promotion: concepts and principles
(1984)
– http://whqlibdoc.who.int/euro/1993/ICP_HSR_602__m01.pdf
健康づくり:禁煙の場合
• 健康づくりと生活様式/環境の改善
– 環境が人々の健康にもたらす影響の認知
• 人々と環境の仲介的戦略の採用
– 禁煙環境の推進の影響の認知
• 個人の選択と社会的義務の統合
– 環境の整備による、喫煙の自由と公共での禁
煙というジレンマの統合的解決
健康づくり国際会議 (1986)
• 健康の前提条件
• 3つの戦略
• 5つの活動分野
– 健康づくりのためのオタワ憲章
– http://www.who.int/healthpromotion/confere
nces/previous/ottawa/en/index.html
健康の前提条件
• 平和、住居、教育、食品、収入
– 環境的要因
• 安定した環境、持続可能な資源
– 急激な環境変化の管理
• 社会的公正と公平
– より有効な資源の利用
3つの戦略
• 可能にする
– 積極的に健康を選択できるような環境を創造する
– 協働:多部門との提携活動
• 推奨する
– 変化することの利点を説明する事により、積極的に生
活習慣を変化するよう後押しする
• 調停する
– 利害関係の対立する2つの政党を仲立ちし、健康づく
りにむけた妥協点を模索する
5つの活動分野
• 保健政策の制定、支援環境の整備
– 健康づくりと生活様式/環境の改善
– 人々と環境の仲介的戦略の採用
• 地域活動の強化、個人スキルの開発
– 個人の自由と社会的義務の統合
• 医療の再設定
– 健康の決定要因の解明と働きかけへシフト
その後の健康づくり国際会議
•
•
•
•
•
•
第1回-オタワ憲章(前提条件,’86)
第2回-アデレード勧告(保健政策,’88)
第3回-スンツバル声明(支援環境,’91)
第4回-ジャカルタ宣言(決定要因,’97)
第5回-メキシコ声明(健康格差,’00)
第6回-バンコク憲章(国際社会,’05)
健康の社会的決定要因の解明
•
•
•
•
ウィルキンソン&マーモット(1998)
社会格差、ストレス、幼少期
社会的排除、労働、失業、社会的支援
薬物依存、食品、交通
– http://www.euro.who.int/document/e81384.
pdf
健康の社会的決定要因
口腔の健康の場合
• 健康の社会的決定要因は、人間の平均寿
命を物差しにしている
• 健康の社会的決定要因は、歯の寿命にも、
適応できる?
– 歯の寿命は個人で管理できる?
– 歯の寿命も社会の影響を受けている?
歯の健康の決定要因
• 砂糖の消費、フッ化物への暴露
• 喫煙、飲酒
• 口腔清掃、ストレス、事故
– 歯の健康の決定要因の多くが健康の決定要
因と共通している
– 社会的決定要因の影響を受けている
– Oxford Textbook of Public Health (3rd ed.)
齲蝕の要因の分析
• 生物学的要因
– 遺伝、唾液、微生物
• 環境
– フッ化物への暴露
• 行動様式
– 口腔清掃習慣、砂糖の消費
• 医療
– 歯科医療の提供
齲蝕のばらつきの寄与要因
• (生物学的要因 ?%)
• 環境・行動様式 65%
• 医療 3%
– Nadanovsky and Sheiham (1995) Relative
contribution of dental services to the changes
in caries levels of 12-year-old children in 18
industrialized countries in the 1970s and early
1980s. Community Dent Oral Epidemiology
Dec; 23(6):331-9
65%
齲蝕のばらつきの寄与要因
• (生物学的要因 ?%)
• 環境・行動様式 65%
QuickTime™ and a
TIFF (Uncompressed) decompressor
• 医療 3%
are needed to see this picture.
– Nadanovsky and Sheiham (1995) Relative
3%
contribution of dental services to the changes
in caries levels of 12-year-old children in 18
industrialized countries in the 1970s and early
1980s. Community Dent Oral Epidemiology
Dec; 23(6):331-9
?%
社会的決定要因の影響
• チェアサイドでのメッセージの影響は限定的
• 健康教育は、 無力感と犠牲者非難により 健康
格差の拡大をもたらす
– Labonte, R. and Penfold, S. (1981) Canadian
perspectives in health promotion: a critique.
Health Education, 4, 4-9.
– Schou, L. and Wight, C. (1994) Does dental health
education affect inequalities in dental health?
Community Dental Health, 11, 97-100.
社会的決定要因の導く戦略
• 全身の健康との統合的なアプローチが有効
– 食事、ストレス、衛生、喫煙、飲酒、運動、事故など
– 肥満、糖尿、がん、心疾患、呼吸器疾患、精神疾患、
歯科疾患、皮膚疾患、外傷
– Grabauskas, VJ. Integrated programme for
community health in noncommunicable disease
(Interhealth). In: Leparski E. , editor. The prevention
of non-communicable diseases: experiences and
prospects. World Health Organization Regional Office
for Europe, Copenhagen; 1987. pp. 285-310.
社会的決定要因の導く戦略
• 個人の選択は社会的な文脈により形成さ
れる
• 口腔保健を個人単位で考えるのは、効果
的ではない
– Dickson, M. (1995). Oral health promotion.
In Promoting oral health in deprived
communities (ed. W. Mautsch and A,
Sheiham), pp. 175-86.
社会的決定要因の導く戦略
• 健康的な選択をより易しい選択に
– Milio, N, (1986). Promoting health through
public policy, Otawa, Canadian Public
Health Association.
社会的決定要因の導く戦略
• 「下流」から「上流」へ
• 現在は下流で努力している
• 本当の課題は上流にある
– MaKinlay, j. (1979). A case for refocusing
upstream; the poolitical economy of health .
In Patients, physicians and illness (ed. E,
Jaco), pp. 9-25. Basingstoke, Macmillan.
ふと、流れの速い川の岸に立っていると、溺れている人の叫び声
が聞こえてきました。
社会的決定要因の導く戦略
そこで、私は川に飛び込み、彼に手を差し伸べ、岸まであげて、
人工呼吸を施しました。溺れた人が息を吹き返すと、また助けを
求める叫び声が聞こえてきました。再び、私は川に飛び込み、彼
• 「下流」から「上流」へ
に手を差し伸べ、岸まであげて、人工呼吸を施しました。溺れた
• 現在は下流で努力している
人が息を吹き返すと、また助けを求める叫び声が聞こえてきまし
た。もちろん選択肢はありません。私は川に飛び込み、この繰り
• 本当の課題は上流にある
返しは果てしなく続きました。私は、川に飛び込み、彼らを岸にあ
– MaKinlay, j. (1979). A case for refocusing
げて、人工呼吸を施すだけで、精一杯でした。
upstream; the poolitical economy of health .
In Patients, 分かってください。
physicians and illness (ed. E,
Jaco), pp. 9-25. Basingstoke, Macmillan.
私には、上流に分け入って、どんな地獄が彼らを川に落としてい
るのかを確認する時間なんてなかったのです。
社会的決定要因の導く戦略
• 健康格差の要因
– 病気の発生頻度の格差
– 医療へのアクセスの格差
– 医療の質の格差
– Goldberg, J., Hayes, W., and Huntley, J.
(2004) Understanding Health Disparities,
Health Policy Institute of Ohio
社会的決定要因の導く戦略
• 病気の発生頻度の格差
– 生物的・遺伝的ばらつき
– 社会経済的なばらつき (Acheson, 1998)
• 社会に住む誰もが同じ水準の健康を享受
できるというのは、現実的ではない
– 回避可能で不必要、不公正、不公平な健康の
ばらつき (Whitehead, 1991) は、社会的決定
要因へのとりくみで緩和される
医療従事者の役割
• 「健康の湧き出る泉」はどこにあるのか?
– 健康の社会的決定要因への取り組み
• 健康づくりの示す原理/原則
– 人々と環境の仲介的な戦略に寄与
– 個人の選択と社会的義務の統合
• 健康づくりの3つの戦略
– 可能にする、推奨する、調停する