10月~12月2004年: 中野区民環境講座 5回目

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Transcript 10月~12月2004年: 中野区民環境講座 5回目

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CREST
中野区民環境学習講座その5
日常生活と持続可能
そして最終結論
国際連合大学・東京大学
安井 至
http://www.yasuienv.net
Ylab
CREST
目次







家庭からの環境負荷を減らす
LCAとは
LCAいくつかの実例
飲料容器
リサイクル
ゴミ問題
5回の講座全体の結論
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CREST
家庭からの環境負荷を減らす
Ylab
CREST
家庭での環境負荷概要

エネルギー・水






電力の使用
ガスの使用
石油の使用
ガソリンの使用
上水道の使用
下水道の使用

廃棄物・汚染






ゴミの排出
危険物の排出
洗剤などの排出
医薬品の排出
園芸用農薬使用
ペットの排泄物
Ylab
CREST
これらを分類して

地球レベルの負荷



これを解析するには、LCA
LCA=ライフサイクルアセスメント
家庭内での影響、個人への影響

これを解析するには、リスクアセスメント
Ylab
CREST
LCAとは何か
Ylab
CREST
地球のエネルギーバランス
Ylab
CREST
究極の持続可能性
太陽
製品の製造と利用
宇宙
廃熱
Ylab
CREST
再生可能資源
すべて太陽エネルギーの変形





森林資源
その他の植物
漁業資源
放牧
自然農業
再生量の範囲内で使用すれば。
 水力発電
 太陽光発電
 風力発電
 波力発電
など
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CREST
様々なレベルの持続可能性
枯渇性
資源、エネルギー
太陽
入力
製品の製造と利用
地球
出力
宇宙
廃熱
環境容量を
超える負荷
シンク
Ylab
CREST
LCAの歴史
Ylab
CREST
製品のライフサイクル
Ylab
CREST
原単位という考え方

例えばCO2に着目して、




ガソリン1LあたりのCO2排出量
電力1kWhあたりのCO2排出量
など、単位量あたりの排出量を原単位
同様に、NOx、SOx、水使用、廃棄物な
どなど、様々な対象がありうる。
Ylab
CREST
家庭に関係するCO2原単位

排出原単位






ガス:2.36kg-CO2/Nm3(東京ガス)
電力:0.378kg-CO2/kWh(環境省2003)
上下水道:0.58kg-CO2/m3(環境省環境家計簿)
ガソリン:2.45kg-CO2/L(環境省2003)
廃棄物(紙など):0.1kg-CO2/kg
廃棄物(プラスチック):2.6kg-CO2/kg
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CREST
いくつかの実例

(1)お風呂による二酸化炭素負荷




仮定:水200L、温度15℃~42℃
燃料ガスは効率80%=0.8
ガスの発熱量は10000kcal/立米
計算




ガス使用で発生するCO2量
=200*(42-15)/0.8/10000*2.36=1.59kg-CO2
水の使用で発生するCO2量
=200/1000*0.58=0.12kg-CO2
水の使用によるCO2発生量は、お湯にすると10~15倍になる。
Ylab
CREST
お風呂の費用と二酸化炭素発生
160
140
120
100
80
60
40
20
0
ガス
水道
水道
費用
ガス
二酸化炭素
費用は単位円(1回分)、二酸化炭素は単位kg(100回分)
Ylab
CREST
買い物:ティッシュペーパー
近くの小売店では4箱で400円。ところが、4km離れた
スーパーでは、300円。
そこで、遠くのスーパーに車で買い物に出かけ、4箱×2
=8箱を買うことにした。




紙のCO2原単位
ガソリンのCO2原単位
ティッシュ8箱の重さ
ガソリンの価格
1.2kg-CO2/kg
2.775kg-CO2/L
120円/L
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CREST
カーボンニュートラルという考え

紙は燃やしても二酸化炭素を出さない?




実際には出す。しかし、過去10年程度で木
が吸収した二酸化炭素を再度放出している。
そのため、大気中の二酸化炭素は、10年ぐ
らいの時間を考慮すれば増えない。
化石燃料は、数億年~数1000万年
地球温暖化は、100年程度の現象
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CREST
二酸化炭素放出量と再生パルプ含有量
カーボンニュートラル
CO2 bound and CO2 emission (kg)
4000
バイオマス起源
3000
CO2 from
biomas
2000
化石燃料起源
CO2 from fossil
1000
fuels
0
CO2 bound
固定された二酸
化炭素
-1000
-2000
-3000
0
0
25
25
50
50
DIP content (%)
75
75
100
100%
Fig.3.13 Relationship
between DIP content and CO2 bound・CO2 emission
再生パルプ含有量
for a life cycle of woodfree paper (woodfree paper:1,000kg).
Ylab
CREST
ティッシュの買い物編
800
700
600
500
400
300
200
100
0
近く8箱
遠く8箱
遠く8箱
価格
近く8箱
CO2*100
Ylab
CREST

前提条件






ガス:2.36kg-CO2/Nm3(東京ガス)
電力:0.378kg-CO2/kWh(環境省2003)
上下水道:0.58kg-CO2/m3(環境省環境家計簿)
使用回数


給水温:春夏20℃、秋冬10℃
給湯温:食洗機60℃、手洗い春夏20℃(給水温)、秋冬30℃
水量:食洗機10リットル、手洗い50リットル(実測による)
排出原単位


食器洗い機のCO2排出量比較
3回/日×365日/年=1,095回/年(春夏及び秋冬で等分)
効率



ガス給湯器:0.8
電気給湯器:0.85
エコキュート:0.85×3.5=3.15
Ylab
CREST

手洗いの水使用量【食器約20点】





費用の比較
200ml/4sec = 50ml/sec = 15,000ml/5min = 15㍑/回
【食器60点では】 15*(60/20) = 45㍑/回
伊藤さんLCIデータに比べると大きい
各社カタログ値に比べると小さい
単価



ガス:111.68円/m3
電力:23円/kWh
上下水道:228円/m3
Ylab
CREST
料金比較
30,000
(円/年)
29,709
上下水道
25,000
給湯
20,000
12,483
19,431
18,000
17,131
2,497
15,000
12,483
10,000
12,483
8,750
2,497
15,504
17,226
6,680
2,497
5,000
6,253
4,184
6,948
4,648
0
食
洗
機
(
給
湯
接
続
)
食
洗
機
(
給
水
接
続
)
食
洗
機
(
エ
コ
キ
ュ
ー
ト
)
手
洗
い
(
ガ
ス
給
湯
)
手
洗
い
(
電
気
給
湯
)
手
洗
い
(
エ
コ
キ
ュ
ー
ト
)
Ylab
CREST
CO2排出量比較
教訓:電気を熱にするならヒートポンプ。
400
(kg-CO2/年)
350
上下水道
300
給湯
200
179
138
6
32
255
100
50
32
261
6
250
150
315
75
6
132
283
108
32
147
76
69
0
食
洗
機
(
給
湯
接
続
)
食
洗
機
(
給
水
接
続
)
食
洗
機
(
エ
コ
キ
ュ
ー
ト
)
手
洗
い
(
ガ
ス
給
湯
)
手
洗
い
(
電
気
給
湯
)
手
洗
い
(
エ
コ
キ
ュ
ー
ト
)
Ylab
CREST

「食洗機」も「お湯」も使わない場合



その他想定される使用場面
秋冬はゴム手袋を使用して手洗い
ゴム手袋は月に1双使用すると仮定(1×6=6双/年)
産業連関表より(国環研3EID)

「食器洗い乾燥機」としてのデータは無し(類似品を探す)
「電気洗濯機」 93.75Mg-CO2/千台
「電子レンジ」 82.37Mg-CO2/千台 【→約90kg-CO2/台】
「ゴム手袋」 0.94Mg-CO2/千双

食洗機→CO2排出量「90kg-CO2/台」、使用年数を「9年」と仮定



Ylab
CREST
150
「食洗機」も「お湯」も使わない場合
(kg-CO2/年)
138
10
6
120
食洗機
ゴム手袋
上下水道
給湯(ガス)
90
132
60
37
6
30
32
0
食洗機
手洗い(水のみ)
Ylab
CREST
飲料容器のLCA
容器間比較研究会
Ylab
CREST
今回の目的
500mlの容器の環境負荷比較を行う
 できるだけ統一的な取扱いを行う
 廃棄プロセスにシナリオを設定する
 未来型の予測も行う
 ペット、ガラス(ワンウェイ、リターナブル)
アルミ缶、スチール缶、紙パック

Ylab
CREST
各容器の説明

無炭酸のニアウォータ飲料500ml






ペットボトル
ワンウェイガラス
リターナブル
アルミ缶
スチール缶
紙容器
31.87g
190g
193.5g
15.2g
43.0g
18.5g
Ylab
CREST
リターナブル瓶の重量





ビール633ml=605gが標準
現在軽量化瓶(キリン)=475g
ビール500ml=470g標準
仮想軽量化瓶500ml=380g?
無炭酸飲料なら、表面処理を施して
193.5gが可能
Ylab
CREST
ワンウェイ瓶 現状と未来
現状
未来
市中カレット46%
市中カレット70%
場内カレット29%
場内カレット20%
直接埋め立て44%
直接埋め立て15%
カスケード利用5%
カスケード利用10%
Ylab
CREST
二酸化炭素排出量(kg)
0.0
ペットボトル
ワンウェイびん
ワンウェイ未来
リターナブル5
リターナブル5未来
リターナブル20
リターナブル20未来
アルミ缶
アルミ缶未来
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
0.1
0.2
0.3
C O 2(kg)
Ylab
CREST
SOx、NOx排出量(g)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
ペットボトル
ワンウェイびん
ワンウェイ未来
リターナブル5
リターナブル5未来
SOx(g)
リターナブル20
NOx(g)
リターナブル20未来
アルミ缶
アルミ缶未来
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
Ylab
CREST
水使用量(kg)
0
2
4
6
8
ペットボトル
ワンウェイびん
ワンウェイ未来
リターナブル5
リターナブル5未来
リターナブル20
リターナブル20未来
アルミ缶
アルミ缶未来
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
水(kg)
10
12
Ylab
CREST
エネルギー消費量 kcal
0
200
400
600
800
ペットボトル
ワンウェイびん
ワンウェイ未来
リターナブル5
リターナブル5未来
リターナブル20
リターナブル20未来
アルミ缶
アルミ缶未来
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
エネルギー消費量 kcal
1000
Ylab
CREST
固形廃棄物量 kg
0.00
0.02
0.04
0.06
0.08
0.10
ペットボトル
ワンウェイびん
ワンウェイ未来
リターナブル5
リターナブル5未来
リターナブル20
リターナブル20未来
アルミ缶
アルミ缶未来
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
固形廃棄物量 kg
0.12
Ylab
CREST
CO2排出量 ステージ別
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
CO2排出量(kg)
ペットボトル
ワンウェイびん
リターナブル2.5
リターナブル5
リターナブル20
アルミ缶
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
製造
製造輸送
廃棄
廃棄輸送
0.35
Ylab
CREST
(7)リサイクル型問題



1997年の容器包装リサイクル法実施以
来、各種リサイクル法が動き始めた
しかし、一部にはリサイクルは効果がない
という主張もある。 果たしてどうか。
最大の問題点は、恐らく、誰がどうやって
費用を負担するかという問題。
Ylab
CREST
Ylab
CREST
リサイクル効果判定
リサイクル一般論へ
リサイクルをすればするほど、コストは掛かる。
しかし、エネルギー消費量、環境汚染は低下。
Ylab
CREST
Ylab
CREST
Ylab
CREST
Ylab
CREST





銅、アルミ、貴金属など
2.単一的な資源・環境負荷の低減


経済性
1.経済活動として成り立つ


リサイクルのレベル
環境負荷
低減
動く
紙・ペット、ゼロエミッション
3.総合的な資源・エネルギー消費削減 LCA
4.総合的な環境負荷(廃棄物)の低減 LCA
5.持続性社会実現を指向
6.社会的責任としての循環
EPR
7.国内雇用の創出のための循環
Ylab
CREST
カスケードリサイクルの効用
回収
輸送
原料
エネルギー
社会
コスト
ペレット
Ylab
CREST
非リサイクル比較モデル
ペレット
原料
エネルギー
社会
コスト
Ylab
CREST
リサイクル時非リサイクル時の比較
非リサイクル時の資源投入量
リサイクル時の資源投入量
回収などの
費用
Ylab
CREST
この重要性が余り議論されない
オリジナル製品の効用
資源投入量
リサイクル品の効用
回収などの
費用
Ylab
+CREST
価値の推移
再商品化
-
回収
輸送
ペレット
Ylab
CREST
日本の家庭ゴミトレンド
Ylab
CREST
ご
み
排
出
量
推
移
Ylab
CREST
世界との比較
人口
3000
27000
12000
5400
5700
700
3800
Ylab
CREST
一人あたりの排出量
1000トン 万人
1人1日あたり
カナダ
18800
3000
1.72
アメリカ
187790
27000
1.91
日本
50767
12000
1.16
フランス
27000
5400
1.37
イタリア
20000
5700
0.96
スイス
2820
700
1.10
ポーランド
13000
3800
0.94
Ylab
CREST









日本の物質の流れ
入力総量
製品総量
食糧消費
エネルギー消費
リサイクル
不要物
埋立量
20.2億トン
12.0億トン
1.3億トン
4.0億トン
2.0億トン
3.1億トン
0.8億トン
1人あたり1年間に17トンの資源
10トンの製品
Ylab
CREST
家庭
からの
BOD
Ylab
CREST
家庭ゴミの中身 1920年




紙、布、ワラなど
土砂、石塊など
厨芥類
ガラスと金属類
39.5%
44.0%
12.3%
4.2%
Ylab
CREST
家庭のゴミ






1996年
厨芥類
42.8%(重量)
紙類
28.6%
プラスチック 12.1%
繊維
4.3%
ガラス
2.5%
金属
2.3%
Ylab
CREST
家庭での商品購入と環境








食料品 : 旬の地場産のものを
飲料
: 自作が一番
衣料品・靴 : エコプレミアム(修理ができる)
紙類
: 使用量削減、リサイクル
家具・耐久消費財 : 長寿命
容器・包装 : できるだけ少ないもの
自動車 : 低燃費
家電製品 : 低電力
Ylab
CREST
5回の講座全体のまとめ
Ylab
CREST
持続型市民の価値観





ヒトには寿命があることを前提とした人生哲学
未来世代を思いやるだけのやさしさ
全世界人々の生活を知る好奇心
地球の限界を知る好学心
より具体的には



人類の公平とは、といった大きな問題への考察力
現状の正しい状況分析を行う能力
「ノスイズム」に陥らないこと
Ylab
CREST

正しい状況判断を行う能力
マクドナルドへのバッシング問題

2004年5月、「スーパーサイズ・ミー」なる映画


2004年11月、韓国の「環境正義市民連帯」




監督が自ら、マックのみで1ヶ月生活
同様の実験で、「ファストフードの有害性が証明された」と主張。
成分表示の制度化の運動を進めることを発表。
いずれも、太りすぎと肝臓障害を引き起こす。
日本人の変化


老人病 → 成人病 → 若年性成人病 → 生活習慣
病 と名前が変わった。
このようなヒト側の変化を「環境だけが原因」と考えてい
ないか。
Ylab
CREST
「環境ノスイズム(ノスィズム)」
に陥らないこと


エゴイズム:エゴ=吾(ラテン語)
ノスイズム:ノス=我々




イスラム系のテロイズムは、ノスイズム
その集団の中のみの合意が全価値
オウム真理教も同様
ノスイズムに陥らないためには



多様な価値観を認める
できるだけ広い見識をもつ
全人類を対象とした考察を行う
Ylab
CREST


(1)人間の生きる目標を健康だとするのなら
肉体を「動物として健全」に保つべし





ヒトは大脳がやや優秀な動物に
過ぎない
苦しいことに耐える能力
過度の快適・快楽から逃れる
過度の安全性を求めず、自分で判断
(2)人間の生きる目標を次世代への文化の
伝承だとするのなら
大脳を健全に保ち、できるだけ大脳支配・脱
欲望支配の個体となることを目指す
Ylab
CREST
すべての環境問題は




地球の限界と人間活動の規模が抵触す
ることによって発生する。
解決するには、人間活動を地球の限界の
範囲内に納める以外に方法は無い。
「持続型社会をデザインする」とは、単に、
それだけのことである。
それができるのだろうか?
Ylab
CREST
過
去
の
温
度
変
化
中世小氷期
人類はエネルギー転換と産業革命を行った。
ヤンガードリアス寒冷期
人類は農耕文明による革命を行い生存した。
Ylab
我々は今、第三の革命、「脱物質/脱エネルギー革命」に向
CREST
かって進んでいる過程にあるのだろう。
過去の歴史から見ると、人類という生物は、相当切羽詰った
状況にならないと、考え方を変えない。過去2回の革命は、
人類の固有の欲求に沿ったものであり、なんとかなった。し
かし、第三の革命は違うかもしれない。
これまでに活用していない人類の欲求は無いのか。
ある。それは、社会貢献を行うことによる満足感、他人に感
謝されることによる満足感、他人に自慢できることをもつ満
足感、未知の他人と交流する満足感、など。「他者との関係」
この「他者」が「仲間うち」ではなく、「全人類」になれば。。。