OECD 多国籍企業ガイドライン - training.itcilo.it
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OECD
多国籍企業ガイドライン
OECD多国籍企業ガイドライン
とは何か?
下記の諸国において事業を行う多国籍企
業、あるいは、下記の諸国出身の多国籍
企業に対する政府の勧告
OECD加盟国30カ国、アルゼンチン、ブ
ラジル、チリ、エストニア、イスラエル、
ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ス
ロベニア
世界中の企業活動に適用
OECD加盟国
オーストラリア
オーストリア
ベルギー
カナダ
チェコ共和国
デンマーク
フィンランド
フランス
ドイツ
ギリシャ
ハンガリー
アイスランド
アイルランド
イタリア
日本
韓国
ルクセンブルク
メキシコ
オランダ
ニュージーランド
ノルウェー
ポーランド
ポルトガル
スロバキア共和国
スペイン
スウェーデン
スイス
トルコ
英国
米国
OECD多国籍企業ガイドライン
とは何か?
法的拘束力はないが、全く任意だという
わけでもない。
各政府は、各多国籍企業におけるガイド
ラインに関する具体的な問題に対処する
ため、ナショナル・コンタクト・ポイン
ト(NCP、国別窓口)を設置する法的責
任を負っている。
ガイドラインの内容
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅴ
Ⅵ
Ⅶ
Ⅷ
Ⅸ
Ⅹ
定義と原則
一般方針
情報開示
雇用および労使関係
環境
贈賄の防止
消費者利益
科学技術
競争
税
I
定義と原則
3. «ガイドラインは多国籍企業の明確な定
義を必要としない。
(......)
ガイドラインは多国籍企業内の全ての事
業体(親会社および/または地元の事業
体)に向けられている。»
II 一般方針
2. «企業活動により影響を受ける人々の人権
を尊重し、受入国政府の国際的な義務と
責任に矛盾しない»
II 一般方針
4. «特に、雇用機会を創出し、従業員の教育
機会を促進することで、人的資本の形成
を促す。»
II 一般方針
10. «実行可能な場合には、供給業者と下請
け会社を含むビジネスパートナーに、本
ガイドラインに矛盾しない企業経営の原
則を適用するよう促す。»
III 情報開示
活動、組織、財務状況、業績に関して、
適時で定期的、しかも信頼性があり適切
な情報が必ず公開されるようにする。
情報開示、会計、監査、及び、財務に関
係ない情報(社会的報告など)に関して
も高水準を保つ。
IV
雇用及び労使関係
中核的労働基準を網羅する。
従業員の代表者に施設を提供する。
事業における労働安全衛生を確保する。
地元の人材を雇用し、トレーニングを行
う。
IV
雇用及び労使関係
6. «従業員の生活に多大な影響を与えると考
えられる事業変更を検討する際には、
……変更に関してきちんとした通知を
する ……実際に起こりえる悪影響を可能
な限り軽減するため、従業員の代表者お
よび適切な政府関連機関と協力する。»
IV 雇用及び労使関係
7. 従業員が団結権を行使している時に、
その国から事業の全てあるいは一部
を引き揚げると脅したり、その企業が
他国で展開している事業所から従業員を
移してくるようなことはしない……。»
V 環境
アジェンダ21におけるリオ宣言の原則と
目標を反映させる。
環境安全衛生に関する労働者の教育なら
びにトレーニングを行う。
VI
贈賄の防止
賄賂を贈ったり要求したりしない。また、
政党への違法な献金は行わない。
透明性を高め、贈賄を防止するような経
営管理システムを採用する。
VII
消費者利益
商品やサービスに関して、正確かつ明解
な情報を提供する。
消費者の苦情を処理し、消費者争議を解
決するために、透明性の高い方法を取る。
第8章~第10章
VIII 科学技術
■事業展開する国に技術とノウハウを伝え広め
ることができるやり方で業務を行う。
IX 競争
■固定価格や生産制限のような反競争的行為を
控える。
X 税
■税法や規制に従い、当局へ情報を提供する。
背景
1976年、ガイドラインが初めて承認され
た。
多国籍企業の政府に対する
過度な影響力への反動
拘束力のある基準に関する国連内の交渉
が失敗に終わる。
採択後最初の10年間で、ガイドラインに
関係する訴訟が数件解決された。
背景
ガイドラインは1979年、1982年、1984年、
1991年に修正された。
1980年代中頃、政治情勢が変わり、使用
されなくなる。
多国間投資協定(Multilateral Agreement
on Investment:MAI)の失敗と1990年代
終りに企業行動が再び議題にあがったこ
とをうけて、本ガイドラインに再び注目
が集まる。
ガイドラインの再検討
1998年~2000年
労働組合、企業、NGOとの協議で行われ
た。
以下の点で大きな進展が見られた。
-ガイドラインの世界規模での適用可能
性
-サプライチェーンへの言及
-人権に関する語気の強さ
ガイドラインの再検討
1998-2000
-贈賄と消費者利益に関して2章追加
-環境に関する章の補強
-実施方法の強化
実施
OECD理事会は、2000年6月、加盟国各国
に対し以下のことを行うよう定めた。
ガイドラインの推進と実施のために、ナ
ショナル・コンタクト・ポイント(国別
窓口、以下NCP)を設置する。
労働組合、企業、その他の関係各者に
NCPが利用可能であることを通知する。
NCPは年に一度集まり、お互いの活動を
報告する。
実施
NCPは以下の4つの原則に基づき業務にあた
ること。
目に付きやすいこと
アクセスしやすいこと
透明性があること
説明責任があること
手続き案内
A 制度上の取り決め
NCPは個別に組織できる(3者加盟、4者
加盟、官庁)
NCPは労働組合、企業、NGOの代表との
関係を発展させ持続しなければならない。
手続き案内
B 情報と促進
NCPは、投資見込み者に情報を提供するな
どして、ガイドラインに対する意識を高め
る責任がある。
NCPは、ガイドラインに関する質問に回答
しなければならない。
手続き案内
C 具体的な訴訟での実施
NCPは、個々の企業でガイドラインに関
して持ち上がった問題を解決するように
努めなければならない。
その際、NCPは以下のことを行う。
-提起された訴訟がさらに検討する価値
のあるものかどうか査定し、提起した当
事者に回答する。
手続き案内
-効率よく時宜に適った方法で問題に対処
するため、話し合いの場を設け、当事者
をサポートする。
-調停と仲介を申し出る。
-当事者が同意に達しない場合、声明を出
し、勧告を行う。
手続き案内
-訴訟手続きの機密性を維持する。
-訴訟の結果を誰でも知ることができる
ようにする。
D 報告
NCPは毎年活動報告を行うこと。
NCPへの提訴方法
1.訴訟手続きを話し合うために、労働組
合ナショナルセンターおよび/または国
際産業別組織(Global Union
Federation:GUF)に連絡を取る。
2.他の関連労働組合組織に通知する(労
働 組 合 諮 問 委 員 会 [ Trade Union
Advisory Committee:TUAC]と企業が
本拠地とする国のナショナルセンター)。
3.関連のあるNCPに申し立てを行う。
NCPへの提出に含まれるべき事項。
訴訟内容の正確な記述。
会社に関する基本情報。
企業名、連絡先、本社所在地、担当責任者
など、
当該企業がどの条項に違反しているのか。
NCPが取るべきだと考えられる行動。例
えば、当事者間の会合を召集するなど。
裏づけになる証拠の添付。