Transcript 探査機で探る火星
探査機で探る火星 中村正人 文部科学省宇宙科学研究所 日本の火星探査機 プラネットB計画 立案は1993年ごろ プラネットAは1985年ハ レー彗星へ プラネットCは2008年金 星へ 1998年7月4日打ち 上げ 「のぞみ」と命名 火星の何を調べるのか? 太陽からの風と火星の大気がぶつかり 合って、どの様にして大気が宇宙空間に 逃げ出していくか? ⇒ 太陽風と火星大気の相互作用 太陽からの風とは? X線で見 える太陽 目で見え る太陽 バリアーとしての地球磁場 太陽風はプロトン(正の電気を帯びた粒子)と電子 (負の電気を帯びた粒子)=プラズマの流れ 太陽風 磁気圏 火星における酸素イオンビームの生成 (ソビエト連邦フォボス探査機の観測) 軌道上ののぞみ 衛星の組立 内部機器とりつけ 太 陽 電 池 パ ド ル 取 付 推進器の組み付け 試験(1) 衝撃試験 スピン試験 試験(2) 熱真空試験 磁気シールド試験 ネームプレート アルミ板20枚に名前(270、694人全員分)が焼き付けられた 完成 MIC(Mars Imaging Camera) 可視光のカメラ MICは、火星大気のグ ローバルな変化を調べ る たとえば、ダスト・ストー ムの成長、ダストや薄 い霞のような雲による 大気の透明度の変化、 雲の特徴の変動、極冠 の消長、極域に発生す る霧の発達と厚さなど MGF(Magnetic Field Measurement:磁場計測器) 火星周辺の磁場を計測 アメリカの火星探査機マー ズ・グローバル・サーベイ ヤーが火星には強い局所 的な磁場があるだけで、グ ローバルな固有の磁場は ないように見えることを発 見 火星の昼側で太陽風プラ ズマと火星大気の圧力が バランスしている状況では、 固有の磁場による圧力が 存在している? 粒子計測器 ESA(Electron Spectrum Analyzer:電子エネル ギー分析器) 12eVから16keVまでのエネルギー領域で電 子のエネルギー・フラックスを測定 磁気圏と電離圏の構造の研究について貴重な情 報を与え、また火星周辺の粒子加速や波動・ 粒子の相互作用のプロセスについても重要な 情報となる ISA(Ion Spectrum Analyzer:イオンエネルギー 分析器) 電荷あたり10eVから16keVまでのエネル ギー領域でのイオンのエネルギー・フラックス を測定 ESAの測定と同様に、磁気圏と電離圏の構造の 研究について貴重な情報を与え、また火星周 辺の粒子加速や波動・粒子の相互作用のプロ セスについても重要な情報となる XUV & UVS XUV(Extra Ultraviolet Scanner:極端紫 外光スキャナー) 中性ヘリウムガスとヘリウムイオンで散 乱された極端紫外線領域での太陽光を 観測する事によってことによって、火星電 離圏のヘリウムガスとヘリウムイオンの 量と分布を調べる 中性ヘリウムガスの観測は、火星内部の 活動、たとえば火山活動や水の循環など についての情報を与える ヘリウムイオンの測定は、ヘリウムガスの イオン化の過程やその電離圏からの脱出 についての情報をもたらす UVS(Ultraviolet Imaging Spectrometer:紫外線撮像分光計) 波長115nmから310nm(遠紫外線か ら中間紫外線領域)の範囲の分光観測を 行う 火星まわりの水素・酸素のコロナや、一酸 化炭素などの昼間大気光を観測 火星大気の脱出のプロセスや進化を研究 するために、D/H比(重水素/水素比) も測定 UVおよびEUV分 光計による全天 球地図 He H 電波の観測 PWS(Plasma Waves and Sounder:プラズマ波動並びにサウ ンダー観測装置) トップサイド・サウンダーという方法 によって、火星電離圏の構造を20k Hzから7MHzまでの周波数範囲で 観測 高周波のスペクトルを測定 LFA(Low Frequency Plasma Wave Analyzer: 低周波プラズマ波 動計測器) 低周波帯のスペクトル(10Hzから3 2kHz)および波形(DCから1kHz) を測定 電離圏プラズマと太陽風プラズマの 直接の相互作用を支配するプラズマ 波の特徴を調査 海外からの観測装置 TPA(Thermal Plasma Analyzer:熱的プラズ マ分析器) カナダ 火星上層大気の熱的イオンの特性物理量、た とえば、ドリフト速度・温度・組成などを観測 MDC(Mars Dust Counter:ダスト計測器) ドイツ この計測器は、宇宙空間のダスト粒子の速度 (測定レンジは1km/s - 70km/s )と質 量(測定 レンジは速度10km/sのダストで 5*10^-15 -10^10 g)を測定する。 最大の目的は、火星のダストリングの検出であ る。火 星の月で あるPhobosの軌道にはリング 状に、Deimosの軌道にはトーラス状にダストの 粒子が分布している領域があると予測されてい るが、今回のMDCで実際にダストを測 定し、そ の分布を明らか にする。またNOZOMIが火星 に到達する前の宇宙空間でも、小惑星や彗星 から供給 されるダストや、太陽系の外からやっ てくるダストの測定を継 続して行っている。 1999 年末までに40個以上のダスト粒子を検出 した。 ロケット組み立て 2段目の輸送 ロケット打ち上げ角度設定 M-V-3打ち上げ 地球脱出スウィングバイにおけるバルブ故障! 火星への新しい軌道 世界の火星探査 マリナー4 最初に火星を訪れる 1964年11月28日打ち上げ: 1965年7月14日フライバイ 搭載機器 宇宙ダスト計測器、太陽風プラズマ計測器、放射線、宇宙 線、磁場、カメラ 1962-1973年の間に、NASAのジェット推進研究所は、マ リナーという名の10機の宇宙船を設計し建造し、初めて金 星、火星および水星へフライバイ マリナー3および4は火星の最初のフライバイを目指した同 一の宇宙船 月のクレータと同様のクレーターの発見 極冠の霜 マリナー6&7 打ち上げ 1969年2月24日(マリナー6) 1969年3月27日(マリナー7) フライバイ 1969年7月31日(マリナー6) 1969年8月5日(マリナー7) デジタルテープレコーダー、赤外線分光計および放 射計、紫外線分光計 赤道および南極の上を通り過ぎて、火星の大気およ び表面を分析 表面上の暗い特徴が運河でなかったことを示した マリナー9 初の火星オービター 打ち上げ 1971年5月30日 到着 1971年11月13日 サイエンス機器: 赤外線分光計および放射計、紫外線分光計 到着時惑星全体を覆う大きな砂塵嵐が一か月継続 予想と異なる惑星表面の解明 巨大な火山、 表面を横切る4,800キロメータの壮大な峡谷 古代の河床の痕跡 フォボスとデイモスという火星の月の最初のクローズアップ バイキング1&2号 初めての火星着陸 打ち上げ: 1975年8月20日(バイキング1) 1975年9月9日(バイキング2) 到着: 1976年6月19日(バイキング1) 1976年8月7日(バイキング2) 高解像度カメラ、水蒸気観測機、表面の熱測定 ランダー 着陸: 1976年7月20日(バイキング1) 1976年9月3日(バイキング2) 原子力電池によって長期間活動可能となった 生物検出のためのガスクロマトグラフ/質量分析計、X線蛍光分光計、地 震計、気象測定装置、ステレオカメラ、土壌の測定、火星の大気の組成 着陸地はChryse Planitia(金の平原)の西部斜面上(一号)ユートピア Planitia(2号) 火星表面のデータを集めるとともに生命の痕跡を探すミッション 生命は見つからなかった マーズ・グローバル・サーベイヤー 1996年11月7日打ち上げ 1997年9月12日到着 高解像度カメラ、熱放射分光計、 レーザー高度計; 磁力計/電子反射率計、USO 20年ぶりの火星ミッション 1999年3月から1火星年(2地球 年)火星全体の表面撮影 惑星の表面、あるいはその表面 の近くに、現在液体の水の現在 の源があるかもしれないことを示 唆する溝および土石流特徴を捉 える マーズ・パスファインダー 1996年12月4日打ち上げ: 1997年7月4日到着 パラシュートによって下りた 後エアバッグで着陸した 3台のカメラ 土の磁気特性を測定する磁 力計 風向風速計 大気の構造を測定する気象 学パッケージ プロトン及びヘリウムイオン によるX線分光計 2001マースオデッセイ 2001年4月7日発射: 2001年10月24日到着 放射画像システム(テミス)、ガ ンマ線分光計(GRS) 、放射線 測定装置 惑星の表面の構成を決定し、 水および地面の下の氷を遠隔 探査 火星の地表面の下の炭酸塩の 量を調査→ 海はあったかもし れないが長くは続かなかった 2003 Mars Exploration Rover Mission 2003年7月発射 2004年1月到着 パノラマカメラ、小型の熱放射 分光計、メスバウアー分光計、 アルファ粒子X線分光計 パスファインダー探索車よりは るかに大きく一日に40メータ 移動可能 液体の水の存在をはかる測定 装置 マースエクスプレス 2003年6月打ち上げ 2003年12月到着 高速中性粒子アナライザー、着陸船、高解像度ステレオイ メージャ、電波科学、レーダ/高度計、赤外線分光計、フーリ エ分光計、紫外線・赤外線大気の分光計 ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の衛星+ランダー 搭載された7台の科学機器が火星の大気、惑星の構造およ び地質学を研究 着陸船は、チャールス・ダーウィンのビーグル号にちなんで ビーグル2と命名。 地表における生物学および化学的分析 2005-火星偵察機 2005年発射予定 これまでよりさらに詳細 な画像を取る さらにデータリレー衛星 として機能し、今後の ミッションのデータを地 球に中継