Transcript Document
バーチャルリアリティ・
制作
~第二回~
システムの実装(1) センサシステム
(復習)Virtual Realityの三要素
D.Zeltzer, MIT (1992)
臨場感(Presence)
コンピュータが作り出した環境が,人間にとって自然
な三次元空間(バーチャル空間)を構築していること
対話機能(Interaction)
バーチャル空間の中で自由に行動でき,バーチャル
空間との相互作用が自然に実時間に生じること
自律性(Autonomy)
単なる人間とコンピュータ間のインタフェースではなく,
そのバーチャル空間が自律的に存在すること
(復習)Virtual Realityの要素技術
臨場感(Presence)
ディスプレイシステム
各感覚器の入力を合成し実際には存在しない外界を錯覚させ
る。システムから人間への情報の流れ。視覚に限らない。
対話機能(Interaction)
センサシステム
人間からのシステムの入力動作を処理する。
自律性(Autonomy)
シミュレーションシステム
コンピュータ内での人工的な因果関係の連鎖を作り出す。
Virtual Realityシステムの
標準構成(復習)
real space
virtual space
Display system
Person
Simulation system
Sensing system
computer
システム構成
ディスプレイシステム
stereo, sound, force, tactile and olfactory
display (Presence)
システム→人間 (Interaction)
センサシステム
人間→システム (Interaction)
体動(位置,姿勢,動作)センサ
意志,感情センサ
シミュレーションシステム
ディスプレイとセンサ(入出力)の因果関係を規
定 (Autonomy)
システム構成
ディスプレイシステム
stereo, sound, force, tactile and olfactory
display (Presence)
システム→人間 (Interaction)
センサシステム
人間→システム (Interaction)
体動(位置,姿勢,動作)センサ
意志,感情センサ
シミュレーションシステム
ディスプレイとセンサ(入出力)の因果関係を規
定 (Autonomy)
センサシステム
「どこで」「どんな」行為が行われたか?
「どこで」の計測
三次元空間での位置と方向(姿勢)
6自由度(6 Degree Of Freedom : 6DOF)
位置 各座標軸方向の並進成分(x,y,z)
姿勢 座標軸周りの回転成分(オイラー角)
“Tracker”
「どんな」の計測
手の形や体の姿勢,これらの運動
CG画像が生成され,提示
操作意図のコンピュータへの入力
オイラー角
3軸の回転により物体の姿勢を表現
回転のルールを与える
第一回目の回転軸(3通り)→第二回目の
回転軸(一回目を除く2軸のいずれか)→第
三回目の回転軸(二回目を除く2軸のいず
れか),の計12通りの表現方法
よく利用されるのは次の表現
z, y, z
z, y, x
zyz-オイラー角
z軸のまわりに角度α回
転
回転後のy軸のまわりに
角度β回転
回転後のz軸のまわりに
角度γ回転
二軸回転時の回転角を
(heading, pitch, bank)
とも言う
zyx-オイラー角
z軸のまわりに角度α回転
回転後のy軸のまわりに角度β回転
回転後のx軸のまわりに角度γ回転
三軸回転時の回転角を(azimuth, elevation, roll),
または(yaw,pitch,roll)とも言う
0
x 1
y 0 cos
z 0 sin
0 cos 0 sin cos sin 0 X
sin 0
1
0 sin cos 0 Y
cos sin 0 cos 0
0
1 Z
(X,Y,Z):基準座標系,(x,y,z):物体座標系
zyx-オイラー角
z軸のまわりに角度α回転
点Aについて,回転した後の座標軸上でのx座標を,元の
Y
Y
(X,Y)で表現する
x a b
A
a X cos
α
Z
X
X
zyx-オイラー角
z軸のまわりに角度α回転
点Aについて,回転した後の座標軸上でのx座標を,元の
Y
Y
(X,Y)で表現する
x a b
A
a X cos
α
Z
X
X
b Y sin
zyx-オイラー角
z軸のまわりに角度α回転
点Aについて,回転した後の座標軸上でのy座標を,元の
Y
Y
(X,Y)で表現する
y a'b'
A
α
Z
X
X
zyx-オイラー角
z軸のまわりに角度α回転
点Aについて,回転した後の座標軸上でのy座標を,元の
Y
Y
(X,Y)で表現する
y a'b'
A
a' Y cos
α
Z
X
X
zyx-オイラー角
z軸のまわりに角度α回転
点Aについて,回転した後の座標軸上でのy座標を,元の
Y
Y
(X,Y)で表現する
X
y a'b'
A
a' Y cos
α
Z
X
X
b' X sin
zyx-オイラー角
x X cos Y sin
y Y cos X sin
zZ
x X cos Y sin 0
y X sin Y cos 0
z 00 Z
x cos sin 0 X
y sin cos 0 Y
z 0
Z
0
1
オイラー角:補足
三軸回転時のオイラー角を(yaw, pitch,
roll)と呼び,座標系の取り方により次のよう
に表す
yaw : 鉛直軸周りの回転角
pitch : 前後の傾き角
roll : 左右の傾き角
回転例
<「どこで」の計測>
Trackerの要件
位置(並進成分3自由度)と姿勢(回転成分3自由度)の
合計6自由度の計算ができること。
1回の計測に要する時間がリアルタイムであること。
計測のサンプリングレートがユーザの自然な動きを表す
のに十分であること。
計測精度が各種感覚器官の精度に対して許容範囲であ
ること。
Trackerの計測可能範囲が想定する作業内容や人の動
きの範囲をカバーすること。
Trackerを身体に装着する場合には,人の運動をできるだ
け拘束せず,センシングする環境に対する拘束も少ない
こと。
磁気による空間位置計測
<基本原理>
ファラデーの電磁誘導の法則
「磁束の変化によってコイルに起電力が生じ
る」=「誘導起電力」
「誘導起電力の大きさは,コイルを貫く磁束の
時間変化率に比例する」
レンツの法則
「誘導起電力の向きは,原因となった磁束の
変化を妨げる向きである」
磁気による空間位置計測
<原理>
受信コイル
(x,y,z,α,β,γ)
磁界の発生と
変化(交流電圧)
起電力の発生
V=f (x,y,z,α,β,γ)
発信源からの距離と,磁束方向とコイ
ル断面のなす角(コイルを貫く磁束)に
依存して変化
V=f (x,y,z,α,β,γ)
V=f (x,y,z,α,β,γ)
発信コイルも同様に直交コイル化
順番に励磁
発信コイル
(基準:固定)
9つの式,6つの未知数
磁気による空間位置計測
<システム>
磁界
トランスミッター
(直交コイル)
ドライブ回路
コントロール
ユニット
出力(x、y、z、Roll、Yaw、Pitch)
レシーバー
(直交コイル)
検出回路
磁気による空間位置計測
<特徴>
長所
理想的環境では比較的高い精度で計測可
位置精度数ミリ,角度精度1度以下
機械式と異なり非接触計測であるため動作が拘束されない
超音波式と異なり物理的な障害物に影響されない
小型軽量のため装着による動作拘束は少ない
短所
高価
測定範囲が狭い(固定コイル中心,半径数m程度),レシーバケー
ブルの長さにも依存する
周りの磁性体の影響を受け精度が劣化する。スチール製の机でも
影響は大きい
レシーバの数を増やすとサンプリングレートが低下する
ある特定の位置や姿勢の近傍で計測値が不安定になる(連立方程
式の解法に除算を含むため)。
磁気による空間位置計測
<製品例1>
POLHEMUS社製 3SPACEシステム
FASTRAK
ISOTRAKII
磁気による空間位置計測
<製品例1>
FASTRAK
ISOTRAKII
精度
位置 0.8mm
角度 0.15度
位置 2.4mm
角度 0.75度
測定範囲
半径約76cmの半球内
半径76cmの半球内
センサ数
最大4
最大2
センササイズ
標準センサ 約2cm
データレート
120ポイント/秒(1レシーバ)
60ポイント/秒(1レシーバ)
価格
\1,300,000-
\600,000-
磁気による空間位置計測
<使用例>
磁気による空間位置計測
<製品例2>
Ascension Technology Corporation
Flock of Birds
mimiBird
磁気による空間位置計測
<製品例2>
Flock of Birds
miniBird
精度
位置 1.8mm
角度 0.5度
位置 1.8mm
角度 0.5度
測定範囲
半径約120cmの半球内
半径76.2cmの半球内
センサ数
最大30
最大1
センササイズ
標準センサ 25mm
5mmセンサ
データレート
144ポイント/秒
120ポイント/秒
価格
\478,000-
\720,000-
磁気による空間位置計測
<製品比較:動作原理>
磁界発生方式の違い
POLHEMUS
交流磁界
Ascension Technology
直流パルス式磁場
直流パルス磁場の方が金属物体など周囲の
磁性体の影響を受けにくい
超音波による空間位置計測
<原理:二次元の場合>
A
交点位置が発信器Aの場所となる
B
Tracker
発信器を2つ持つ
円弧状のどこかに
発信器がある
超音波受信
距離を求める
同様に発信器Bの位置を求める
Trackerの傾き(姿勢)が求まる
受信機(固定)
超音波による空間位置計測
<特徴>
3つの発信器と3つの受信機により6DOFの計測が
可能
長所
安価
計測が容易
周辺磁場の影響は受けない
短所
音速変化による誤差
計測範囲はあまり広くないが複数台リレーする事で広
くする事は可能
反射の影響をうける
障害物があっては測定できない
超音波による空間位置計測
<Ivan Sutherlandの方法>
ヘルメット上に3つの超音波発信素子
37, 38.6, 40.2kHz
周囲4隅に超音波受信素子を配置
連続超音波を送信し,受信後に分離,受信
超音波と送信超音波の位相ずれ(12通り)
から距離を推定する
送信3素子,受信4素子なので,位置と姿勢
が推定できる
超音波による空間位置計測
<製品例>
ジャイロセンサ(姿勢計
測)との組み合わせ
InterSense社 IS-900
広範囲のトラッキングが
可能
3m×3m~15m×15m
測定精度
位置 4mm
角度 0.2度~0.4度
センサ 約3cm~4cm
データレート 180Hz
画像処理による点追跡
<原理>
位置が分かっている2台のカメラを利用した立体測量
画像処理による点追跡
<特徴>
かなり広い範囲をカバーする事が可能,ただし
その場合は画素数に依存して精度が劣化する
多点同時計測が可能
計測を確実にする(対応点を見つけやすくする)
ためにLEDを用いたりマーカーを用いたりする。
カメラパラメータ(レンズ中心位置や焦点距離な
ど)の測定が必要
ある角度でカメラに写らなくなった場合に計測
不可
<「どんな」の計測>
グローブ型デバイス
1点位置計測=三次元カーソルの動き
もっと細かな人間の姿勢や動きの入力
=「操作意図」の入力
たとえば,「手指の動き」
対話的な関わりの時にもっとも頻繁に利用する部
位
自由度は20~30,1点計測型センサでは。。
グローブ型デバイス
グローブ型デバイス
<基本原理>
手指に簡単なセンサを装着,その変形(曲
げ角度)を測定
光ファイバの利用
指の曲がり具合による光の透過率の変化
VPL社,DataGlove,
1987
導電性インクの利用
指の曲がり具合による抵抗値の変化
Virtual
Technologies社,CyberGlove
コンピュータ内のCGの手との対応
グローブ型デバイス
<原理:光ファイバ>
透過率が指の曲がり
受
光
素
子
出
力
デ
ー
タ
r Ce
r
ファイバ曲げ角θ
具合により変化
曲線形状は個人差が
あるためキャリブレー
ションによりC,αの値
を決定する
指数関数的な変化を
するため,曲げ角が大
きくなったときの検出
精度が低下する。
グローブ型デバイス
<製品例:光ファイバ>
VPL社 DataGlove 1987
光ファイバの曲がる部分にキズ
が付けられ,曲げに対して光が
漏れやすいように工夫
LEDから発した光がU字型の
ファイバを一周して,フォトトラン
ジスタにより受光される
1本の指に2本のファイバ=第
1,2関節の曲げを測定(ちなみに
第一関節とは指先の方)=10自由
度の計測
ソフトウェアによる動きの近似
グローブ型デバイス
<原理:導電性インク>
短い=低い抵抗値
長い=高い抵抗値
導電性インクによる曲げ角度センサ
導電性インク
炭素など導電性をもつ粒
子を含ませた液体
曲げ角度に応じてセンサ
の長さが変化,抵抗値が
変化する
柔軟性・伸縮性があるた
め手指にフィットし易い
曲げ角度に対する出力が
線形であるため精度が高
い
外側への曲げも計測可能
グローブ型デバイス
<製品例:導電性インク>
Virtual Technologies社,
CyberGlove
センサ数:18 or 22
18モデル
第一関節を除く各指2関節,親
指付け根,手首の関節の曲げ,
回転
22モデル
18モデル+4つの第一関節
精度:0.5度
リフレッシュレート:149レコード/秒
価格 \2,486,000- (18センサ)
グローブ型デバイス
<使用例:CyberGlove>
グローブ型デバイス
<その他の例>
Virtual Technologies社
Display system (Haptic)としてのGlove
CyberTouch
CyberGrasp
モーションキャプチャ
<基本原理>
ユーザの体の各部にTrackerを取り付け,各部位の三
次元位置座標の変化を記録する。
ユーザの体の各部に取り付けられた反射マーカの位
置を複数のカメラで計測してその位置を特定する。
記録されたモーションデータを,ユーザの体と同じ骨格
構造でモデリングされたキャラクタのアニメーション
シーケンスとして与える。
計測点の数(自由度)が増加したことによる,精度向上
のためのキャリブレーション作業,ユーザ骨格構造と
CGキャラクタの形状モデルの構造との一致,計測デー
タとCGキャラクタとの対応,などが問題
モーションキャプチャ
<関節角度計>
ポテンショメータ
回転型抵抗器(オーディオの音量調節のよう
なもの)を関節部に取り付け屈曲角を測定す
る。
回転軸が固定のため自由度が少ない。
VPL社のDataSuitで腰と膝に利用された。
フレキシブル屈曲センサ
ストレインゲージを用い,伸縮時の圧力による
電気抵抗変化を利用
光ファイバや導電性インクもこの部類
モーションキャプチャ
<製品例1>
VPL社 DataSuit
光ファイバセンサ(屈曲)
首,肩,肘,胴部,手首,腰,
膝,足首
ポテンショメータ(ひねり)
腰,膝
3SPACE(位置・姿勢)
手首,頭,腰
圧力センサ(着地検出)
かかと
合計66自由度
モーションキャプチャ
<製品例2>
Motion Analysis社
HiRES
反射マーカの位置を複数のカメ
歩行解析例
ラで特定する光学式(赤外線お
よび赤色光反射方式)
最大16台のカメラ使用
解像度 649×491
240フレーム/秒
反射マーカは3mm~25mm,
円錐型のラバーコーン,200個
まで認識済み
モーションキャプチャ
<製品例3>
Ascension Technology,
MotionStar
磁気センサによるリアルタイムトラッキン
グ
ワイヤレスタイプ有り
光学式よりも高コストパフォーマンス
センサ数に関係なく100Hzのデータレート
1人当たり20センサー,合計80センサー
まで可能
計測範囲:半径3mの半球内
金属の影響はごくわずか(直流パルス式)
価格 \15,100,000(ワイヤレスタイプ,20センサシステム,
スーツ,制御用PCなどは別)
Motion Star
2003.11.6 NAVSにて
Motion Star
モーションキャプチャの様子
モーションキャプチャ
<製品例4>
キャプチャ
イメージ
CGイメージ
マーカ
ReActor
赤外線方式であり,光学式の精
度と磁気センサ式のリアルタイム
性をもつ
ユーザの体のマーカから赤外線
が照射,12本のフレームの500
個以上のカメラセンサにより動き
検出
フレーム固定のためキャリブレー
ション不要
マーカはIDを持つため複数同時
キャプチャも可能
データレート 900Hz(1マーカー)