タンパク質とは

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Transcript タンパク質とは

タンパク質
とは
生体成分の割合
細胞内液
30%
細胞外液
25%
水分
60〜70%
タンパク質
20%
脂質
15%
固形分
30〜40%
無機質 糖類
4% 1%
タンパク質とは
・20種類のアミノ酸が100個〜3000個くらい
結合してできた高分子化合物
(これにセレンを含むセレノシステインと,ピロリシンを加え
種類のアミノ酸とも言われている)
・細胞の乾燥重量の60%はタンパク質
・ヒトを構成するタンパク質は,数万種類
合計22
アミノ酸
アミノ酸は,炭素原子にアミノ基 (-NH2)とカルボキシル基
COOH)が結合した共通構造を持つ
(-
アミノ酸は,すべてα-炭素 (カルボキシル基の隣の炭素原子に結合
しているので,α -アミノ酸の属する.
アミノ基
アミノ酸
特有側鎖
カルボキシル基
アミノ酸
光学異性体
D型
鏡像が異なる
=
L型
立体構造が異なる
アミノ酸はL型, 糖はD型
ラテン語の「右」がdexter
「左」がlaevus
アミノ酸の種類
必須アミノ酸 (哺乳類10種類,ヒトは8種類)
生命維持に必要な量を体内で合成できないために,食品から
取り入れなければならないアミノ酸.
動物食品に多く,大豆以外の植物性食品に少ない
アルギニン,メチオニン,フェニルアラニン,リジン,ヒスチジン,
トリプトファン,イソロイシン,ロイシン,バリン,トレオニン
雨降り一色鳩 (アメフリヒトイロバト)
非必須アミノ酸
必要量を体内で合成できるアミノ酸.
グリシン,アラニン,チロシン,セリン,システイン,プロリン,
アスパラギン,グルタミン,アスパラギン酸,グルタミン酸,
アミノ酸 *必須アミノ酸(哺乳類)
中性アミノ酸
グリシン
Gly (G)
システイン
glukus甘い(ギ)
メチオニン
アラニン
バリン
Ala (A)
*
ロイシン
*
イソロイシン
トリプトファン
フェニルアラニン
チロシン
セリン
トレオニン
*
*
*
*
cystineは膀胱結石から
Cys (C)
*
見つかったシステイン
の脱硫縮合物
Met (M)
メチル基とチオ基(硫黄)を
含むため
Pro (P)
pyrrolidineを縮めたもの
aldehyde脱水された
アルコール(ラ)
プロリン
Val (V)
valerianという木の
アスパラギン Asn (N)
アスパラガスに含
Leu (L)
leuko白(ギ)
グルタミン
glut満腹(英)
Ile (I)
ロイシンのイソ型
根から発見
酸性アミノ酸
Trp (W)
trpsisこする(ギ)膵臓をこすると
trypsinが得られた
Phe (F)
アラニンに
フェニル基が付いたもの
Tyr (Y)
trosチーズ(ギ)
Ser (S)
sericus絹(ラ)絹の
表面タンパク
Thr (T)
erythro赤(ギ)
Gln (Q)
アスパラギン酸 Asp (D)
アスパラギンのアミノ基
が水酸基で置換したもの
グルタミン酸
グルタミンのアミノ基
が水酸基で置換したもの
Glu (E)
塩基性アミノ酸
アルギニン *
Arg (R)
リジン
*
Lys (K)
*
ヒスチジン His (H)
arginoeis明るい(ギ)
lysoほどく,分ける(ギ)
histo体組織(ギ)
(+ セレノシステイン,ピロリシンの計22)
タンパク質
の構造
アミノ酸どうしを結ぶ結合様式
N末端
アミノ末端
C末端
カルボキシル末端
ペプチド
アミノ酸2個の結合
オリゴペプチド
アミノ酸10個以下の結合
ポリペプチド
アミノ酸10個以上の結合
タンパク質
アミノ酸10個以上のポリペプチドで
特定の立体構造を持つ
タンパク質構造の階層性
一次構造
タンパク質毎のアミノ酸の配列順序
N末端アミノ酸を1番とし,C末端を最後にする
二次構造
タンパク質中の規則的な構造部分をいう.
水素結合によるαへリックス構造や
βシート構造
三次構造
ポリペプチド鎖が折りたたまれた構造で
タンパク質固有の三次元立体構造
四次構造
オリゴマータンパク質(2本以上のポリペプチド
鎖から成るタンパク質)の全体の立体構造.
オリゴマータンパク質の各ポリペプチド鎖を
サブユニットという.
DNAの情報に従いタンパク質を作る過程(翻訳)
タンパク質の一次構造
・タンパク質毎のアミノ酸の配列順序
・N末端アミノ酸を1番とし,
C末端を最後にする
・生合成の順番と同じ
N末端
アミノ基
アミノ酸
特有側鎖
カルボキシル基
C末端
タンパク質の一次構造
N末端
C末端
3文字表示
Thr
Gly
Gly
Phe
Met
1文字表示
Y
G
G
F
M
N末端→C末端方向に記す
ペプチドの特徴
ペプチド結合には解離性プロトンは存在しないので、N末端、C末端および特定アミノ
酸の側鎖のみに電荷が存在する
正電荷を帯びたタンパクは,陽性イオン(カチオン)と同様に陰極へ移動する
負電荷を帯びたタンパクは,陰性イオン(アニオン)と同様に陽極へ移動する
タンパク質は,正味の電荷が0となる等電点(pI)で移動せずに沈澱する(等電点
沈澱)
genome + protein → proteome
塩基性
分
子
量
電
気
泳
動
大
小
等電点電気泳動
酸性
主鎖のカルボニルCO基と
4残基後方のNH基が水素
結合して形成される
タンパク質の二次構造
・タンパク質中の水素結合による規則的な構造部分
2
・ペプチド鎖が右巻きらせん状となるαへリックス構造
・ペプチド鎖が2本,あるいは数本横並びに伸びたβ(プリー
ツ)シート構造を持つ
4
3
・折りたたみ構造
水素結合
シート
1
水素結合
アミノ酸側鎖の
寄与は少ない
タンパク質の二次構造:  ヘリックス構造
・3.6残基で1ピッチの
右巻きらせん7残基で
重なる
1
2
3
4
・4残基離れたOとNの間に
水素結合(安定化に寄与)
・側鎖は外側を向く
・プロリン残基などの
幾何学的秩序を壊す
残基は,ヘリックス
構造を壊すために
存在しない
5
6
7
アミノ酸特有の側鎖の性質の違いは、
ペプチド鎖間の ヘリックス構造の
相互作用を可能とする
タンパク質の二次構造:βシート
水素結合
隣あった二本以上の
ポリペプチド鎖が必要
ポリペプチド鎖のカルボニ
ルCO基と,NH基間の水
素結合により構造が安定
化する
平行、逆平行などの
パターンがある
平行
逆平行
超二次構造(モチーフ)
αヘリックスやβシートが含まれる特定の折りたたみ(folding)
パターンが存在し,多くはタンパク質のDNA結合モチーフとして働く
1. ジンクフィンガ− (Zn-finger)
2. ヘリックス-ターン-ヘリックス (helix-turn helix)
3. ロイシンジッパー (leusine zipper)
4. ヘリックス-ループ-ヘリックス
5. コイルドコイル (coiled coil)
6. ランダムコイル (random coil)
特定の構造をとらない
DNA結合に関わる超二次構造(モチーフ構造)
Zn(ジンク)フィンガー
ヘリックス-ターン-ヘリックス
亜鉛をキレートするアミノ酸残基を持つ
転写因子TFIIIA,Sp1,核内受容体群
原核生物の転写制御因子
DNA結合に関わる超二次構造(モチーフ構造)
ロイシンジッパー
ヘリックス-ループ-ヘリックス
コイルドコイル構造
2本のヘリックスがよじれ合う
コイルドコイル構造をとり,N末に
DNA結合に必要な塩基性領域を持つ
2量体となりDNAと結合するが,
これを介して他のタンパク質と結合する
疎水性アミノ酸の関わる超二次構造
長いα ヘリックス部分が平行して,2分子間で
互いにねじれ合い2重らせん構造をとること.
ケラチンやフィブリノーゲンに見られる
コイルドコイル構造 (coiled coil)
タンパク質の三次構造(コンフォメーション)
ポリペプチド鎖が折りたたまれた構造でタンパク質固有の立体構造
タンパク質構造名: アクチン
サイズ [Å] : 長軸82,中軸44,短軸 28
機能 : 筋肉タンパク質
アミノ酸残基数: 633
分子量 [Da] : 71853.5
QuickTimeý Dz
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ÅB
β シート構造
α へリックス構造や
β シート構造は,
タンパク質の
DNA結合領域である
α へリックス構造
タンパク質構造百科辞典 eProtS より
http://eprots.protein.osaka-u.ac.jp/eProtS/Top.jsp
タンパク質の立体構造形成に関与するアミノ酸側鎖の相互作用
相互作用
イオン結合
ジスルフィド結合
(共有結合)
一次構造上で離れた位置にあるアミノ酸残基間の相互作用も三次構造の形成に関わる
タンパク質の三次構造の特徴
1)疎水性アミノ酸は,主に分子の内側に存在する
2)親水性アミノ酸は,主に分子の外側に存在する
3)タンパク質が変性すると,疎水性のアミノ酸が
表面に露出し、不溶性となり沈澱しやすくなる
タンパク質の四次構造
・2本以上のポリペプチド鎖から成るオリゴマータンパク質(サブユニット)が会合して
できるタンパクの高次構造
・サブユニット間は非共有結合をする
・タンパク質の高次構造がタンパク質分子の機能を司る
QuickTimeý Dz
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ÅB
タンパク質構造名: ヘモグロビン
サイズ [Å] : 長軸 98,中軸 46,短軸 39,
機能 : 酸素運搬
アミノ酸残基数: 574
分子量 [Da] : 64534.0
サブユニット数:4
http://eprots.protein.osaka-u.ac.jp/eProtS/Top.jsp
四次構造はタンパクに機能的な違いを可能とする
QuickTimeý Dz
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ÅB
QuickTimeý Dz
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ÅB
ミオグロビン
(モノマー)
ヘモグロビン
(テトラマー)
四次構造はタンパクに機能的な違いを可能とする
ヘモグロビンとミオグロビンの酸素結合能
ヘモグロビン(テトラマー)
アロステリック効果を示す
ミオグロビン(モノマー)
アロステリック効果を
示さない
allosteric effect
allos「 異なる」steric「空間」(ギ)
基質とは異なる結合部位にエフェクター
が結合することで,酵素の反応速度が
変化する現象
タンパク質の性質(変性と再生)
変性
タンパクは熱や尿素などの変性因子によりペプチド結合の
加水分解が起こらなくてもポリペプチド鎖の折りたたみ
(folding)が壊れて変性する
再生
変性因子を取り除くと多くの場合,変性タンパクは
元のタンパクに戻る。この過程を再生と呼ぶ
タンパク質の翻訳後修飾
タンパクの構造と機能は,遺伝子だけでは決まらない
タンパクの構造と機能に多様性を与える
酵素的に起こるものは機能に関係する
リン酸化、糖付加、メチル化、ヒドロキシ化、アセチル化、ADPリボシ
ル化など。
糖鎖によるさまざまな機能制御
合成されたのち修飾(プロセス)されるタンパクがある
インスリン
ジスルフィド結合で
つながったA鎖とB鎖に
血糖を低下させる活性
がある
プロインシュリン
C鎖はERで切断される
B 鎖 (32アミノ酸)
翻訳後修飾されるアミノ酸(3重らせん構造)
アミノ酸配列の決定法 (1)
DNA塩基配列から推定するアミノ酸配列には,ポリペプチド鎖生合成後の側鎖修飾
の情報がない.
システイン残基間のジスルフィド結合 (S-S結合)や糖タンパク質の結合位置やメチル化
などは読み取ることができない.
タンパク質
塩酸+減圧加熱
ペプチド結合の加水分解
アミノ酸
イオン交換クロマトグラフィー
自動アミノ酸分析計
アミノ酸組成の決定
アミノ酸組成分析
アミノ酸配列の決定法 (2)
エドマン分解法による自動アミノ酸配列決定装置によるタンパク質の一次構
造(アミノ酸配列)の決定
アミノ酸配列分析
タンパク質
フェニルイソチアネート
N末端から1アミノ酸切り取り
3-フェニル-チオヒダントイン (PTH)
クロマトグラフィー
アミノ酸誘導体の同定
40〜50アミノ酸残基配列の決定
タンパク質の高次構造の決定法
X線解析像
X線結晶構造解析
核磁気共鳴 (NMR)法
数オングストローム (10-10 m)
の精度
タンパク質
の分類
機能によるタンパク質の分類
酵素
調節タンパク質
生体内で起こる反応の触媒として働く
DNAの転写を調節する
ペプシン タンパク質の加水分解酵素
転写因子
ポリペプチドホルモン
Αアミラーゼ でんぷんの加水分解酵素
構造タンパク質
生体の構造や形態を保持する役割
コラーゲン 支持組織の主成分
受容体タンパク質
特定のタンパク質を認識して細胞に
シグナルを伝達する
エラスチン 支持組織の主成分
ホルモン受容体
ケラチン 爪・毛の主成分
神経伝達物質受容体
サイトカイン受容体
収縮性タンパク質
筋肉の収縮を引き起こす主体
アクチン
ミオシン
防御タンパク質
免疫反応に係わる
免疫グロブリン 抗体
インターフェロン
輸送タンパク質
物質の運搬に係わる
ヘモグロビン
トランスフェリン
滋養タンパク質
栄養源
カゼイン
卵白アルブミン
組成によるタンパク質の分類
糖タンパク質
糖がセリン残基,スレオニン残基,
アスパラギン残基に共有結合したもの
リポタンパク質
脂質がタンパク質に共有結合したもの
LDL 低比重リポタンパク質
HDL 高比重リポタンパク質
金属タンパク質
金属がタンパク質と結合しているもの
フェリチン,トランスフェリン(鉄)
αアミラーゼ(金属酵素)(カルシウム)
アルコール脱水素酵素(亜鉛)
ヘムタンパク質
ヘムを含むタンパク質
ヘモグロビン,ミオグロビン
シトクローム,カタラーゼ
フラビンタンパク質
リボフラビン(ビタミンB2)の補酵素型
のFADやFMNがタンパクと結合したもの
コハク酸脱水素酵素
核タンパク質
核酸とタンパク質の非共有結合
ヌクレオヒストン
リンタンパク質
リン酸がエステルの形でタンパク質と
結合したもの
ホスビチン
糖タンパク質
N-グリコシド結合糖鎖
糖がアスパラギンと結合したもの
タンパク質の分別輸送のマーカー
細胞間の認識マーカー
細胞成長因子様活性を持つ
プロテインキナーゼを活性化する
タンパク質の安定化
O-グリコシド結合糖鎖
糖がセリン,スレオニンと結合したもの