参考資料 - 環境学生会議

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Transcript 参考資料 - 環境学生会議

理工学部システムデザイン工学科
エネルギー環境システム研究室
Produced by 佐藤春樹研究室学部4年生
はじめに
• 本研究室は『エネルギー環境システム研究室』
として以下の3つのグループに分かれて研究を
行っている
1.熱流体物性グループ
2.自然エネルギー利用グループ
3.シミュレーショングループ
• この展示ではその研究背景および内容につい
て解説する
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1.熱流体物性グループ
背景 フロン系冷媒と地球環境問題
• 私たちの生活に冷蔵庫・空調機器は欠かせない。こ
れら機器の効率は冷媒により大きく左右される
• 冷媒の選定はこれらの機器の効率向上や設計の上
で大変重要
• これまで、優れた安定性・安全性からフロン系冷媒
が選ばれてきたが・・・
冷蔵庫
エアコン
冷媒によって性能がきまる!!
⇒冷媒の選定が重要
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1.熱流体物性グループ
背景 冷媒について
• フロン系冷媒の一部(HCFC22※)がオゾン層破壊や地
球温暖化に大きく関与していることが明らかになり
規制の対象になっている(モントリオール議定書)
• オゾン層を破壊しない新冷媒(HFC)が開発された
※HCFC22は日本を含む先進国で1995年をもって生産などが全廃された
HCFC(R22)の削減スケジュール(生産規制)
※1 基準量=(HCFCの1989年消費量)+(CFCの1989年消費量)
×2.8%
※2 冷凍空調設備の補充用冷媒に限る。
National 風の職人 http://national.jp/mapps/general/aircon/40103.html
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1.熱流体物性グループ
熱流体物性グループの取り組み
• 冷蔵庫や空調機器などのエネルギー利用機器に用
いる冷媒として、地球環境にやさしく、省エネを実現
できる冷媒の選定が急がれている
• そのために必要な冷媒の性質(熱物性)を表現する
高精度な状態方程式を決定している
状態方程式
P ρRT
高校の化学で習う理想気体の状態方程式
P  ZρRT
実在気体の状態方程式モデル
冷媒の高精度な測定により、圧縮係数Zを決定
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2.自然エネルギー利用グループ①
背景 世界の水問題とエネルギー資源問題
• 現在、水の確保が困難な地域が世界中で多数存在
し、世界人口の約40%の人々が日々の水の確保に
苦しんでいるといわれている
• 世界中で蒸留水を求めて多くの海水淡水化装置が
稼動している
• しかし、これらの装置のほとんどが大型プラントで主
に石油など大量の化石燃料の消費によって水が精
製されているため、エネルギー資源の枯渇や二酸
化炭素排出による地球温暖化問題に寄与している
水不足
石油消費
海水淡水化
エネルギー資源問題
地球温暖化問題
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2.自然エネルギー利用グループ①
太陽エネルギー
• 以上のような背景から、太陽エネルギーを利用した
海水淡水化装置は世界でも多く研究がなされてきた
• しかし、以下のような問題から実用化が難しい
①太陽のエネルギー密度が1kW/㎡と希薄
②耐久性
③生産量
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2.自然エネルギー利用グループ①
自然エネルギー利用グループの取り組み①
• 多重効用という原理を用いた太陽エネルギーを利
用した蒸留器の作成
多重効用
最上段
蒸気は強制的に冷却→蒸留水に
冷却
最終段
蒸気
↑
蒸留水
3段目
↑
原水
2段目
↑
2段目~
原水は下段からの蒸気に加熱され、
蒸発→蒸気に
蒸気は凝縮潜熱を放出し、凝縮
→蒸留水に
↑蒸気の流れ
1段目
加熱
凝縮潜熱を次の段に再利用
1段目
原水は加熱され、蒸発→蒸気に
系内を減圧⇒容易に沸騰
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2.自然エネルギー利用グループ②
背景 太陽熱利用
• 現在、さまざまな方法で熱エネルギーを得る方法が
検討されている。一般的には、化石燃料を燃やすこ
とにより熱を得ている
• 給湯や暖房に用いるために熱を得る方法として太
陽エネルギーを利用する方法が期待されている
• 一般的な太陽熱温水器では、パネルで所要温度ま
で温度を上げるので、パネル表面温度と外気温度と
の差が大きくなり、損失が大きくなる
石油消費
空調・給湯用エネルギー
エネルギー資源問題
地球温暖化問題
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2.自然エネルギー利用グループ②
自然エネルギー利用グループの取り組み②
• 入力された熱を上手に使う方法として、減圧沸騰と
いう原理を用いる
減圧沸騰ソーラーパネル
大気圧下で水は約100℃で沸騰
密閉容器内で圧力を下げる
沸点が生活環境の温度まで下がる
生活環境の温度で沸騰
入力された熱の大半が沸騰・蒸発に用いられるため
効率の良い熱輸送ができる
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3.シミュレーショングループ
背景 エネルギーシステムの需要供給バランス
• ビルなどの空調設備や地域冷暖房のための設備に
は最大負荷時にエネルギー供給が可能なように、
過大な設備を導入している
• そのため、エネルギー供給設備は効率の悪い部分
負荷での運転を多くすることになる
• 一方で、エネルギーの需要は地域的な気象条件や
人間の活動によってダイナミックに変化するため、エ
ネルギー需要の変動に対して最適かつ安定性のあ
るエネルギー供給が必要となる
需要
バランス
供給
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3.シミュレーショングループ
エネルギーダイナミック需要モデル
• 人の行動に関する統計データに矛盾しないように個
人の行動スケジュールを確率的手法で決定すること
で、世帯ごとのダイナミックな熱需要計算をしている
人の行動に関する統計データ
NHK国民生活時間調査
国民生活基礎調査 など
個人の行動スケジュール
睡眠、在宅、食事、身の回り
モンテカルロ法、分割、比例計算
世帯ごとのスケジュール
家族構成員のスケジュール
毎日入れ替える
熱需要計算
お湯消費の原単位、建築データ
給湯、追い炊き、暖房需要の計算
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3.シミュレーショングループ
ヒートポンプ機器の運転性能評価
• 冷蔵庫・エアコンなどのヒートポンプ機器は環境温
度条件によりその性能が変化する。すなわちこう
いった機器はカタログに表示されたとおりの性能で
運転されていないことが多い。そこで、実際に仮定
に置かれた冷蔵庫・エアコンの性能をヒートポンプ
の理論に基づいて明らかにする
エアコン
ヒートポンプの性能はCOPで表現
このCOPが温度条件で変化
⇒カタログと違う性能で運転
電気
環境条件
熱
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3.シミュレーショングループ
供給システムの最適化
• 建物・環境・需要・要素機器をオブジェクトとして表
現し、オブジェクト間の相互作用によりシステムを構
築している。このオブジェクト指向モデリングによっ
て機器導入最適化の検討をしている
オブジェクト指向モデリング
需要
環境
建物
コントローラ
オブジェクト間の相互作用によりシステムを構築
各オブジェクトを独立して発展させることが可能
要素機器
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参考資料
各年度における一次エネルギー消費量/
1990年度における一次エネルギー消費量
エネルギー消費量の推移
1.40
1.35
1.30
民生部門でのエネルギー利用が増加
1.25
1.20
産業部門
民生部門
運輸部門
1.15
1.10
1.05
1.00
0.95
0.90
1990
1992
1994
1996
1998
2000
年度
図 1990年を1とした各部門におけるエネルギー消費量の推移
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部門別エネルギー消費量の割合
産業用の大型冷蔵庫
運輸部門
25%
エアコン・冷蔵庫
コージェネレーションシステム
民生部門業務
16%
民生部門
29%
産業部門
46%
民生部門家庭
13%
図 2001年度における部門別最終エネルギー消費量の割合
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ヒートポンプの原理
• 冷蔵庫や空調機器は「ヒートポンプ」という原理
で動いている。ここではその仕組みについて簡
単に説明する
• ヒートポンプの原理を説明する前に・・・
– 手のひらを水でぬらすと・・・
– 富士山の頂上でお湯を沸かそうとすると・・・
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ヒートポンプの原理
手のひらを水でぬらすと乾くときに手がスーッとする
これは水が蒸発するとき
に手の表面の熱を奪うから
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ヒートポンプの原理
富士山の頂上では低い温度でお湯が沸いてしまう
富士山の頂上は圧力が低
⇒低い温度で沸騰してしまう
もっと気圧が低ければ、
もっと低い温度で沸騰し、
水はそれ以上高い温度に
ならない
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ヒートポンプの原理
主に4つの部分からできている
・圧縮機 ・膨張弁
・蒸発器 ・凝縮器
圧縮機
蒸
発
器
凝
縮
器
膨張弁
この4つの部分をパイプで
つなぎ、密閉し、ある液体(気体)を充填
この液体を
冷媒という
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ヒートポンプの原理
冷媒が蒸発するとき
周りから熱を奪う
気体になった冷媒を圧縮
して、液体に戻る準備
圧縮機
気体冷媒が圧縮
蒸
発
器
冷媒が蒸発
液体→気体
凝 冷媒が凝縮
縮
器 気体→液体
液体冷媒が膨張
膨張弁
液体になった冷媒を膨
張して、気体に戻る準
備
冷媒が凝縮するとき
周りに熱を放出する
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ヒートポンプの原理
液体の冷媒
このようにして熱をくみ上げる
だから「ヒートポンプ」
電力
冷蔵庫
圧縮機
蒸
発
器
エアコン
気体の冷媒
熱のエネルギー
電気エネルギー
暖気
エアコン
凝
縮
器
エコキュート
の暖気
の冷気
冷気
膨張弁
エアコンの性能は成績係数COP(Coefficient of Performance)で表す
例えば、COP=4のエアコンなら
電気のエネルギー1で熱のエネルギー4を取り出せる
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冷媒について
フロン系冷媒
CFC,HCFC系冷媒
冷媒としての性能は理想的だが、オゾン層を破壊してし
まうためCFC系に関しては1995年末までに全廃、HCFC
系に関しても2020年までに全廃することが決まっている
HFC系冷媒
オゾン層は破壊しないが、温暖化係数(GWP)がCO2と
比較しても非常に高いため地球温暖化へ寄与がある
自然冷媒
可燃性 毒性 冷媒能力
などの問題点がある
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新聞記事
読売新聞 2005年9月24日(土)
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新聞記事
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減圧沸騰ソーラーパネル(写真)
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