なぜ人は雲を見ると地震を予知したくなるのか

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Transcript なぜ人は雲を見ると地震を予知したくなるのか

地震予知の科学
第1章 地震の発生をあらかじめ知るとは
総合科学4年 3041-6016
小山研究室
塩田 圭佑
目次
1 なぜ人は雲を見ると地震を予知したくなるの
か
2 地震予知とは何か
3 長期予知と場所・規模の予知
1 なぜ人は雲を見ると地震を予知したくなるのか

地震雲の落とし穴
雲を見ると地震と関わりがあるのではないか?とい
う疑問。
もともと私達には自然現象に関して何らかの法則
性を見出そうとする欲求がある。
雲を見ると地震が予知できるかもしれないと考える
ことは「科学」としては正しい態度である。
地震雲と主張されている雲
仮説は検証しなければならない
自然現象の中で気づかされるあらゆる仮説(ここで
は地震雲)はほとんど科学的証明という篩にかけ
られる。
実際、科学的証明に耐えうる前兆現象というのは
地震雲ばかりでなくとも現状では限りなく少ない。
特に地球科学での地震学においては検証が難しい。
地下で起きている現象は実験室で再現が難しく、し
くみの検証には大規模な観測が必要である場合も
多い。
ある仮説が正しかったとしても、答えが出るまで何
百年も待たなければいけないこともある。


雲と地震は関係づけられるか
地震は年間 約13万個以上、1日あたり400個弱
地震の発生数はマグニチュードが一つ小さくなる
と発生数が約10倍に、二つ小さくなると約100倍
になるという性質を持っている。
地震雲に求められる科学的ルール
地震雲のような経験的な手法の地震予知の場合
①地震前の異常現象などの事例を収集する
②その中の規則性を見出す
③事例を説明する仮説を立てる
④仮説を検証する
仮説が検証できれば仮説は定説となる。④ができ
ない場合は今までの仮説を捨て③にまで戻り新た
な仮説を立てるか、②の規則性を見直すか、場合
によっては振り出しの①にまで戻らなくてはいけな
い。
これらは研究者であれ、素人であれ科学者が守らな
ければならないルールである。

①における望ましい事例集
a 異常な雲が存在し地震が起きる場合
b 異常な雲が存在したのに地震が起きない場合
c 異常な雲が存在しなかったのに地震が起きる
場合
d 異常な雲が存在せず地震も起きない場合
がすべて明らかになっていないといけない。
しかし地震雲研究者が報告する事例はaのみであ
ることが多い。
「地震雲=地震前に異常な雲が発生する」という
仮説は科学的に検証不能になる。
地震雲の仮説は死ななければならない。
2 地震予知とは何か
地震とは地下で発生する岩盤の破壊現象で岩盤
が地下の断層を境に「ずれる」現象のことである
 断層のずれは秒速2~3kmで広がるため、全部
がずれるには時間がかかる
 断層がずれる際に地震波が生じる。地震波は周
囲に伝わり、広がっていく。


将来の地震発生を予測すること
地震予知という場合の「地震」とは地下にある断層が急
激にすべる現象である。これは地震学者がしばしば用
いる狭義の「地震」である。
地震が起こり個々の地点のゆれを知るためには狭義の
「地震」を予知する必要がある。
いつ、どこで、どのくらい
地震予知の三要素とは
地震が「いつ」発生し「どこ」が震源となり、「断層」
から「どのくらい」(=マグニチュードのこと)の規
模で発生するかという地震予知で重要な要素
「どこで」、「どのくらい」でほぼ実用的な予知ができ
ているのが
東海地震や東南海地震でマグニチュード8クラス
であることがほぼ分かっている。

数十年の長期予知、数年の中期予知、数日の直前
予知
地球科学の世界では時間スケールの「常識」が異なる
地質学の世界での「ごく最近」が数千年前であったり
地震学に世界でいう「長周期」の地震動が数秒のゆ
れのことであったりする。


過去の履歴に基づく長期予知
「今後30年以内に宮城県沖を震源とするマグニュ
チュード7.5程度の地震が発生する確率は99%」
長期予知は都市計画や建物の耐震化、長期的な
地震防災意識の向上に活かされるべきものである。
欠点は過去に起こった地震の発生パターンから将
来を予測するために大きな時差が伴う、何年の何
月何日に地震が起こるかは予知できず、地震発生
の状態になっていても分からないことである。

地殻の観測データに基づく中期予知
長期予知の欠点を克服するために地震がどの程
度まで切迫しているかを観測データに基づいて推
定するのが中期予知である。
地震や地殻変動をくまなく観測している地震観測網
やGPS観測網によるデータを用いて予知する。
3 長期予知と場所・規模の予知

歴史資料や考古遺跡から
過去の地震を調べる上での歴史史料の利点は、
地震の発生した年、日付や時刻までがわかるこ
とである。
ゆれの強さに関しては建物の被害などから推測
し現代の震度に対応させていく。
100年以上争いの続いた戦国時代などの史料の
乏しい時代からは遺跡の発掘で発見される液状
化の跡から地層の重なり具合と遺跡との年代と
の関係で大まかな地震発生の年代を特定でき
る。

繰り返す十勝沖地震
2003年9月26日に発生した十勝沖地震(M8.0)で
は1952年に発生した十勝沖地震(M8.2)の再来
と見なされている。
十勝沖地震は北海道の下に沈みこむ太平洋プ
レートと陸側のプレートの境界が一気にすべるこ
とによって発生したプレート境界型の地震で長
期評価では約70年の平均間隔でM8.1前後の
地震が繰り返されるとされていた。2003年3月
に発表されていた時点での30年間発生確率が
60%となっていて長期評価の成功した例となっ
ている。

南海トラフ沿いの巨大地震
静岡県の駿河湾から四国沖にかけての南海トラ
フ沿いの巨大地震がある。
駿河湾から遠州灘にかけて発生する東海地震、
伊勢湾沖から熊野灘にかけての東南海地震、
紀伊水道沖から四国沖にかけての南海地震
と震源域がありそれぞれの場所で繰り返し地震が
発生している。これらはほぼ同時期に起こるのが
特徴。
1944年の昭和の東南海地震ではそれに引き続き
1946年に南海地震が発生している。
1854年には東海、東南海の同時発生(安政の東海
地震)その30時間前後に南海地震が起きている。
1707年には三つの震源域が連鎖して次々に地震
が起き、日本史上最大級の宝永地震となった。
まとめ
このように大地震は連動による不確定性はあるも
のの、ある決まった場所(震源域)と規模を持って
いると考えられる。
 大地震が発生する場所や規模が一定ならば地震
発生の間隔も一定である。
 現在日本では高密度地震観測網、高密度GPS
観測網をはじめ各種の観測が行われている。こ
れらの観測データを用いて中期予知へとつなげ
地震発生の予測誤差を小さくしていくことが今後
の地震予知の研究方向である。
