Transcript 音声学と音韻論
音声学と音韻論
英語音声学Ⅰ(2)
2011年4月19日
ウォーミングアップ
電話がかかってきました。受話器から次のよう
な音声が聞こえてきました。どのような情報を
そこから得ることができますか?
「もしもし?鈴木ですが、今いいですか?あの
う、今日先生がおっしゃっていたテストのこと
なんですが、本当なんですか?…」
言語的情報
パラ言語的情報
非言語的情報
音は難しい?
音は瞬時に消えてしまう
音は目に見えない
音のことを文字で説明するのは難しい
音には専門用語が特に多い
言語学にとっての音
音声は物理的に見れば空気を媒質とする疎
密波であり、つまりは音である。
音の種類
騒音、楽音、言語音
音の三要素
高さ、強さ、音色(tone, quality)
音色に関係した音声特徴…分節的特徴
音色以外に関係した特徴…韻律的特徴
音声学と音韻論
~音声研究への二つのアプローチ~
次の等式を満たすためにカッコ内に適切なも
のを入れてください
ga:ka=ba:(
)
① ga:ka=ba:(ha)→が:か=ば:は
かな文字の対応関係
日本語の文法体系の中で[b]という子音と
有声/無声(濁音/清音)の対立をなしてい
るのが[h]
日本語の体系の中では[h]-[b]が[k]-[g]
と同じ対応関係を成している
② ga:ka=ba:(pa)
[g]と[k]は口の中で同じ場所(軟口蓋)で狭
め(閉鎖)を作る
ただ声帯が振動するか否か、即ち、有声音
か無声音の点だけで異なる
[b]と[p]は同様に口の中で同じ場所で作る
(唇で閉鎖を作る)
ga:ka=ba:(ha)
→言語(この場合は日本語)という体系の中で
分析しようとする音韻論的な答え
ga:ka=ba:(pa)
→音声を客観的に分析しようとする音声学的
な答え
窪園晴夫(1998)『音声学・音韻論』
音声学
音声現象を客観的に調べる学問
音韻論
音声現象を言語の体系の中でとらえようとす
る学問
↓
二者択一的な関係にあるものではなく、同
一の音声現象を異なる視点から分析する
相補う関係にある
これだけは覚えたい用語
有声音
声帯の振動がある音
無声音
声帯の振動がない音
テキストp.18参照
調音位置、調音点(p.20)
音が作られる際に、気流がせき止められたり通
り道を狭めたりするところ
→唇、歯、歯茎、硬口蓋、軟口蓋、口蓋垂、咽
頭、喉頭、声門(p.21)
調音方法、調音法(p.20)
気流の性質をどう変えるかの方法
①閉鎖(いったん気流をせき止める)
②強い狭め(小さな隙間を作って気流を通す)
③弱い狭め(広めの隙間にして気流を通す)
④気流の阻害なし(狭めをつくらず気流の流れ
を妨げない)
母音
声道を空気が比較的自由に流れていく音
子音
声道を通る空気の流れが唇や舌の動きによっ
て妨げられる形で作られる音
↓
両者の間には明確な境界があるわけではない
音声学的には両者は連続している
無標
自然性が高い、最も基本的
有標
自然性が低い
Q.母音の中の母音は何でしょうか?
A.「ア」
①「ア」という母音を持たない言語は殆どない
②言語習得過程で子どもが真っ先に獲得する
母音
③言語喪失過程で最後まで残る母音
Q.「あいうえお」はなぜ「あいうえお」?
イ
ウ
オ
エ
ア
Q.子音の中の子音は何でしょうか?
A.
ヒント①調音方法から見ると、口腔内に閉鎖を作
り出すような子音が最も無標
p/b, t/d, k/g, m/n
ヒント②調音点から見ると、口の出口付近(唇や
歯茎)で調音される子音ほど有標性が低い
p/b/m/w, f/v, t/d/s/z…
「あかさたなぱまやらわ」の配列規則
k
s t n
p m
j
r
w
調音点
軟口蓋 歯茎・歯 唇
硬口蓋 歯茎 唇
調音法
阻害音・鼻音
接近音
Take care of yourself!