第1回 CHDF学習会

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Transcript 第1回 CHDF学習会

第1回 CHDF学習会
京都民医連中央病院
CHDF学習推進委員会
CHDF 持続緩徐式血液浄化法

集中治療を要する重症患者の多くは、敗
血症、消化管出血、心肺機能の低下などを
合併していることが多く、血行動態は不安
定になりがちである。このような状態では、
通常の間欠的血液透析が困難なことがし
ばしばあり、緩徐で持続的な血液浄化法が
適応されることが少なくない。
血液透析(HD)のクリアランス

血液透析(Hemodialysis:HD)血液側と透
析液側の濃度差による拡散で溶質が除去
できる。拡散による物質の移動は分子量が
小さいと効率よく行われるが、分子量が大
きくなるにつれ効率は低下する。
血液濾過(HF)のクリアランス

血液濾過器(Hemofilter)による水の濾過
にさいし、溶存している溶質も同時に移動
する物質輸送であるため、血液濾過器の膜
孔を通過できる物質であれば分子量に関
係なく、ほぼ同じクリアランスで除去するこ
とができる。
(100mgー40mg)÷100mg×200=120ml/min
(BUN IN側濃度-BUN OUT側濃度)÷BUN IN側血中濃度×血液流量
BUN100 QB200
BUN40 QB190
CHFのフロー図
サブラットBS
送血
補液
フ
ィ
ル
タ
ー
除水
脱血
廃液
CHDのフロー図
サブラットBS
送血
透析液
フ
ィ
ル
タ
ー
脱血
廃液
除水P
廃液
CHDFの概略フロー図
補液
送血
サブラットBS
透析液
フ
ィ
ル
タ
ー
脱血
廃液
除水P
廃液
除
水
コ
ン
ト
ロ
ー
ル
通常実施条件
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へモフィルター 0.7~1.0㎡
血液流量は80~100ml/min
急性期は透析液+補液で1000ml/min位
安定時は透析液+補液で500~600ml/min
保険適応は15L/日
除水は基本的に200ml/hr以下
知っておきたい事


通常HFでは1回で20Lの置換液を使用する
これが通常透析の1回分の使用量です
CHDでは血流80~100ml/minの場合ダイ
アライザー出口の透析液のBUNは100%飽和に
近いのでBUNのクリアランスは1分間当たり
の透析液流量+補液流量+除水量になる
したがって いくら血流をあげたり膜面積
をあげても効率上げることは期待できない。
この場合は 透析液or補液 の流量を上
げることが必要となる。
Kの補正について

サブラットBS のK濃度は2mEq/L ですから 長時間
CHDFを施行した場合 低Kになることがあります。 方
法としては サブラットに補正Kを添加して3~4mEqに
調整するか別にKを補液します。状況に合わせて選択し
てください
サブラット+ 安定していますが 下げたい時、調整
したサブラットは使えません
別ルート+
不慣れな場合リスクがあります 経済
的です。
へモフィルターの比較
材質
APF03S
APF06S
ポリアクリロニトリル(PAN)
ポリアクリロニトリル(PAN)
APF10S ポリアクリロニトリル(PAN)
AEF07 ポリスルホン(PS)
AEF10 ポリスルホン(PS)
AEF13 ポリスルホン(PS)
CH06L ポリメチルメタクリレート(PMMA)
SH0.8
ポリスルホン(PS)
内径
膜厚
面積
容量
250
250
35
35
0.3
0.6
33
63
250
225
225
35
45
45
1.0
0.7
1.0
87
52
74
225
200
200
45
30
40
1.3
0.6
0.8
97
38
50
適応症例

腎不全
重症急性膵炎

劇症肝炎又は術後肝不全

• 一連につき8回を限度
• 一連につき月10回を限度として3ヶ月間
* 夜間に開始しても午前0時以降に終了した場
合においても、1日として算定する。
保険適応


材料価格 25800円(回路含む)
処置料 1日につき1990点
• 入院患者以外に対して午後5時以降もしくは午後
•
9時以降に終了した場合は又は休日に行なった
場合は300点加算する 著しく施行困難な障害
者に行なった場合は1日120点加算
持続緩徐式血液濾過器と血液濾過器(へモフィ
ルター)は別物です へモフィルター 5360円
CHDF
No2
臨床工学課
CHDFの主な目的
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感染対策 自己防衛機能の賦活
Endotoxin対策
Humoral mediator 対策
組織酸素代謝対策
Artificial support
Homeostasisの維持
栄養管理
MOFの発生機序
感染症
侵襲(外傷・重症急性膵炎・熱傷)
自己防衛機能低下
エンドトキシンの産生
各種humoral mediatorの産生
SIRS
組織低灌流・組織酸素代謝の失調
臓器を形成する細胞の機能不全
腎不全
MOF
Humoral mediatorの除去

各種Humoral mediatorの産生による
SIRS(全身性炎症反応症候群)の治療
Cytokine(サイトカイン)

リンパ球や単球などの細胞から産生されて、細胞の
増殖、分化、成熟、機能発現を作用する蛋白(糖蛋白)
を、サイトカイン(cytokine)と総称するようになった。
これらのサイトカインの内、遺伝子工学の技術の進歩
により、その蛋白を産生する遺伝子が発見(クローニン
グ)されて、存在が確認されたものは、「インターロイキ
ン(interleukin)-何番」と、命名された。
サイトカインは、炎症反応や免疫応答を調節したり、
アポトーシスを誘導したり、造血因子や成長因子として
作用したりする
Cytokineの種類
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1).インターロイキン(interleukin:IL)
2).インターフェロン(interferon:IFN)
3).腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor-α:TNF-α)
4).コロニー刺激因子(colony stimulating factor:CSF)
5).成長因子(growth factor:GF)
上皮成長因子(EGF:epidermal growth factor)
線維芽細胞成長因子(FGF:fibroblast growth factor)
インスリン様成長因子(IGF:insulin like growth factor)
神経成長因子(NGF:nerve growth factor)
血小板由来成長因子(PDGF:platelet derived growth factor)
トランスフォーミング成長因子(TGF:transforming growth actor)
Interleukin
 インターロイキン(Interleukin)と
は一群のサイトカイン
 白血球によって分泌され、細胞間
(inter-)コミュニケーションの機能
を果たす
主なInterleukin
 IL-6:マクロファージを刺激して急性
反応を誘導する。
 IL-8:好中球の走化性を誘導する。
 IL-10:Th1サイトカイン産生を阻害
する。
Interleukin
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
約30種ほどある
IL-1:マクロファージによって分泌され急性期反応を誘導する。
IL-2:T細胞によって分泌されT細胞の増殖と分化を促進する。がんの免疫療法に用いられる。
IL-3:T細胞によって分泌され骨髄幹細胞を刺激する。
IL-4:B細胞の増殖とT細胞および肥満細胞の分化に関与する。アレルギー反応で重要。
IL-5:B細胞を刺激してIgAを産生させ、 また好酸球を刺激する。
IL-6:マクロファージを刺激して急性反応を誘導する。
IL-7:B細胞、T細胞、NK細胞の生存、分化、ホメオスタシスに関与する。
IL-8:好中球の走化性を誘導する。
IL-9:肥満細胞を刺激する。
IL-10:Th1サイトカイン産生を阻害する。
IL-11:急性期タンパク質を産生させる。
IL-12:NK細胞を刺激し、Th1細胞を誘導する。
IL-13:B細胞の増殖と分化を刺激し、Th1細胞を阻害し、マクロファージの炎症性
サイトカイン産生を促進する。
IL-17:炎症性サイトカインの産生を誘導する。
IL-18:インターフェロン-γの産生を誘導する。
TNF

腫瘍壊死因子(TNF:Tumor Necrosis
Factor)は、腫瘍細胞を壊死させる作用の
ある物質として発見されたサイトカイン。
TNFには、主として活性化マクロファージ
(単球)により産生されるTNF-α(157個の
アミノ酸からなる)と、活性化Tリンパ球によ
り産生されるTNF-β(171個のアミノ酸から
なる)とがある。
TNF-α

敗血症やショック状態では、TNF-αが過
剰に産生される。微小血栓を形成する。
TNF-αは、 血液凝固の促進や微小循環
障害を引き起こし、DIC(播種性血管内
凝固症候群)の原因となる。TNF-αは、
SIRS(全身性炎症反応症候群)の原因
ともなる
Cytokine治療におけるCHDFの効果
HFの割合を多くすることでCytokine
の除去は出来る
 PMMA膜は TNF、IL6、IL8 すべ
てにおいて吸着を認められる

組織酸素代謝対策

酸素供給量を増加させる治療
心拍出量の維持 肺酸素化能の維持 ヘモグロビン濃度の維持
臓器間、臓器内血流分布の正常化 組織浮腫の軽減
→血管拡張薬、持続血液濾過透析 酸素解離曲線の適正化

酸素消費量を減少させる治療
鎮静
解熱剤
非動化、人工呼吸
低体温療法

組織酸素代謝
実際に組織での酸素代謝状態を測定すると、より正確な患者重症度の把握が行える。
ミオグロビン(分子量約17500)
ヘモグロビン+酸素
心筋や骨格筋内に存在して酸素を筋組織
に取り込み貯蔵してエネルギー産生系に
供給
筋細胞の崩壊
細胞外へ逸脱して血中に流入し さらに尿中へ排泄される
血中 尿中のミオグロビンを測定することで心筋梗塞な
どの筋障害や筋ジストロフィー等のマーカーになる
HF-CHDF



HV-CHDF
(HV-HF)
HF(HighFlow)-CHDF 溶質小分子の除
去にすぐれている
HV(HighVolume)-CHDF 溶質中分子の
除去に優れています
サイトカインを中心とする物質の除去には
欧米の報告ではHV-CHF 又はHV-HFが
中心になる
High Performance HDF(High flowVolume large sizePMMA-HDF)
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実施例
HP-HDF BK2.1P QB150 QD400
QF1500ml/hr(10時間)
PMMA膜を使用したHDFである 海南病
院で多くの症例発表がなされています。
拡散 濾過 吸着 の3原理を最大限に効
率化しコストパフォーマンスに優れたHDF
CHDF
お疲れ様