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因果関係3原則
2008年月曜日・3時限
社会理論と調査法
岡さんのアイデンティティ調査(2005)
• 本学の学生
• サンプル数145名(×無作為抽出法
~卒論では仕方がない。)
• 学年 1年生 11名 2年生 104名
3年生19名 4年生9名(学年無回答
2名)
• 男性 109 女性 34名 (性別無回
答 2名)
彼氏・彼女の事情とアイデンティティ?!
• いま付き合っている彼・彼女がいる人45名
いない人 98名 (無回答2名)
• この2グループ間のアイデンティティ得点の差
彼氏彼女 アイデンティティ
有無
平均値
度数
標準偏差
いる
40.3
44
7.59
いない
37.5
98
6.50
F値 4.9 5%水準で有意(0.028%)
カレ・カノいる人の
アイデンティティ得点分布
いない人の
アイデンティティ得点分布
5
12
40
10
4
8
3
度
数
度
数
6
2
4
1
2
0
22 27 28 30 33 34 35 36 37 38 39 40 42 43 44 45 46 47 48 50 51 52 53
53
0
53
52
51
50
49
48
47
46
45
44
43
42
41
40
39
38
37
36
35
34
33
32
31
30
29
27
26
25
24
20
22
アイデンティティ得点
20
アイデンティティ得点
53
カレ・カノジョがいるとアイデンティティ
高くなる?(仮説)
友達以上に
相手のこと
を考える
新しい人間関係
付き合う 因 原
いままでと
は違う自分
が生じる
アイデンティティ
果結
確立
先のデータから、因果関係
であるといえるのか?
3つの条件を確認する!
• 時間的先行性
• 共変関係
• 他の条件の同一性
彼氏・彼女の事情とアイデンティティ?!
• いま付き合っている彼・彼女がいる人45名
いない人 98名 (無回答2名)
• この2グループ間のアイデンティティ得点の差
彼氏彼女 アイデンティティ
有無
平均値
度数
標準偏差
いる
40.3
44
7.59
いない
37.5
98
6.50
F値 4.9 5%水準で有意(0.028%)
第一条件:原因の時間的先行性
原因がまずあって、それが結果を引き起こして
いるのであって、その逆ではない。
カレ・カノ
アイデンティティ
逆はあるか?
あり得る。 プロセスも考えられそうだ。
アイデンティティが確立することが原因で、カレ・カ
ノができるプロセスを考えて見よう!(なぜ!)
グループワーク!
時間的先行性
• 観察結果:カレカノいる人々:アイデンティ
ティ得点高い。
• はたしてアイデンティティが高まるのが先
か?
• それともカレ・カノができるのが先か
• どのように調査・実験・観察したらいいの
か?
• グループワークで考えてみてください。
みなさんのアイディア1
• アイデンティティ確立
• →相性判明→彼女・彼氏できる
• →自己主張できる→告れる・アピールできる→
彼女・彼氏できる
• →自信がみなぎる(余裕ができる)→彼女・彼氏
できる
• 就職できる→経済力→彼女・彼氏できる
• 自分の限界見極める→彼女・彼氏できる(カナ
シイ)
みなさんのアイディア2
グループ
(部活とか)
に入る
アイデンティティ
バンドマン
スポーツ
彼女
時間的先行性チェック
• 要因A→結果B と 思ったら、B→Aもありうるのでは
ないかと、考えてみよう。
• 世の中、いろいろなことが起きる。だからこそ自分の
経験・考えだけで一方方向だけだと考えないように。
• 人生いろいろ~経験則:調査を企画する前に30人程
度お話をお伺いすると良い。10人ぐらいまでは毎回
新しいパターン。だんだん重なることが増えて20人程
度からほとんど重なる。
• ただし、この方法でわかるのはパターンだけ。
• 割合はわからないし、因果関係もわからない。
• 本人に原因を聞いてわかるとは限らないし、本人に聞
いてわかることは、研究する必要なし。
仮説がでつくした!
• 自分で考えた。
• いろいろな人にお話も聞いた。
• いままでの研究でどんな仮説が提案されてき
たかも調べた。
• →原因候補が確定
• とっても重要
科学の考え方1
• 実験・調査:仮説が間違っていることしか証明
できない。
• ある仮説:現実に合わない。→棄却
• ある仮説:現実にあっている≠正しいと証明
• 理由は第三原則で明らかに!
• ここで考えてほしい!
• 間違っているとしか、調査・実験でわからず、
どうやって仮説を検証するのか?
科学の考え方2
×
×
×
仮説B
仮説A
仮説D
仮説C
犯人はこの
中にいる!
犯人候補を
すべて挙げるこ
とが重要!
B・C・Dは
犯人じゃない
犯人はA
科学の考え方3
•
•
•
•
•
•
いままでの研究での仮説
新潟では違うかも?
いまの若者では違うかも
物理学=法則普遍
情報学=時代とともに最適モデルが変わる!
私たちの私たちによる私たちのための
最適モデル(私たちの現実にもっともフィットす
る仮説)
アイデンティティ→カレ・カノ
•
•
•
•
•
•
•
仮説候補にあげるなら…
調査する必要。基本はパネル調査。
しかし…すっごく大変!
同じ人に時間を置いて調査!
2回調査するよりずっと大変。
統計的に明らかにする方法もないことはない。
岡君は…アイデンティティ→カレ・カノは仮説候補
にあげてない(というより、あきらめた。
• だって3年生のうちから調査しないと間に合わ
ん! システム学科のカリキュラムだと難しい。)
さて犯人候補が確定して
•
•
•
•
大人数に対する調査を行った!
物理学=普遍的
情報学≠普遍的→確率導入
ある程度の数を調査する必要があ
る(サンプリングの必要数・方法は後
日紹介)。
• で、調査を行った結果...
調査の結果:一番初めにお見せした
調査の結果:こんな風に(彼氏・彼女の事
表…今回の問いとなった観察結果
情以外の他の要因についても同様に)、ア
• いま付き合っている彼・彼女がいる人45名
イデンティとアイデンティティと関係がある
いない人 98名 (無回答2名)
と思われる要因との二変数の関係があき
• この2グループ間のアイデンティティ得点の差
らかに!
彼氏彼女 アイデンティティ
平均の差の検定の他にも、クロス集計
度数
標準偏差
有無
平均値
(カテゴリー変数にも使える)だったり、相
いる
関係数(スケール変数同士)といった分
40.3
44
7.59
析方法をご存知ですね?
社会調査や
いない
37.5
98
6.50
統計の授業参照
F値 4.9 5%水準で有意(0.028%)
第二条件:共変関係
• 原因と見なされている現象も、結果と見なさ
れている現象も、ともに変化している。
相関関係が確認
これは調査で確認しやすい。
平均値の差の検定・相関係数・クロス
表・グラフ等より、明らか。
第三条件:他の条件の同一性
• 原因以外に重要と思われるほかの要因が影
響していない。
カレ・カノ
学年
×
アイデン
ティティ
学年があがれば、カレ・カノい
る人が増え、また就職の時期
が近づくためにID確立
調査・実験・観察計画
• 条件の同一
• 学年が同じ人だけで、カレ・カノがいる方が、
いない方に比べて、アイデンティティ得点が高
いか、調べる。
• もし、カレ・カノ有無がアイデンティティ確立の
原因ならば、同じ学年の人だけでも、「いる」
人の方が、「確立」
• もし学年がカレカノの有無、アイデンティティ
の両方に影響を与えているために、カレカノ
の有無がアイデンティティ得点と相関している
のであれば、同じ学年だけで分析すれば、
「いる」人も「いない」人も「確立」度は同じ
仮説があって、疑似相関を疑って
• そして、どのサンプルを調査すればいい
のかが始めて分る。
• 考えては、疑って、調査して、また疑って
…
• みんなで繰り返し疑って、それでも“現
実”と矛盾しない
• それを暫定的に“真理”とする(道具的科
学観)
グループワーク
• 基本観察(カレカノがいる方がいない方よりも
アイデンティティ得点が高い)を説明する仮説
を考える。
• 「上記の仮説が擬似相関」であるという仮説
を考える。
• 「いやいや疑似相関じゃないよ」というため調
査・実験・観察計画を考える。(先ほどの説明
と同様に)
12月6日補講について1
• 9月29日(月)の補講
• この日は本学の代表として新潟市西区自治
協議会に出席していた。
• 西区の農業活性化・交通問題を話し合う会議。
• この会議で
• 本学吉田先生を紹介:農業のワークショップ
• 本学佐々木桐子先生を紹介:交通シュミレー
ション
• 本学で学んでいること、とっても世の中に役
立つ
12月6日補講について2
• 次のグループワークを行う。
• 質問があったら、今日の質問意見表へ
• 書いてあった質問にだけ答えて、いきなりグ
ループワーク
• できたグループから解散(グループのメン
バーで最後に確認して)
• 12月8日はみなさんの回答紹介編
• 擬似相関を最後に確認
グループワーク
• 基本観察(カレカノがいる方がいない方よりも
アイデンティティ得点が高い)を説明する仮説
を考える。
• 「上記の仮説が擬似相関」であるという仮説
を考える。
• 「いやいや疑似相関じゃないよ」というため調
査・実験・観察計画を考える。(先ほどの説明
と同様に)
みなさんのレポートから
基本観察
彼氏彼女 アイデンティティ
有無
平均値
度数
標準偏差
いる
40.3
44
7.59
いない
37.5
98
6.50
いわば、事件の現場!
事件現場と矛盾する推理
前回お話しした例。
• 擬似相関の説⇒基本観察を説明している。
カレ・カノ
学年
×
アイデン
ティティ
学年があがれば、カレ・カノい
る人が増え、また就職の時期
が近づくためにID確立
• 学年説が正しい時、カレ・カノいる人は、アイ
デンティティ高い!(因果関係はないけど)
擬似相関:いろいろな登場人物
(少なくても、3人以上)
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
ノートの取り方→ノートとらなければ、理解できない。
子供の使い=この作業して→終わった
→はい、次はこの作業
大人の仕事
状況に応じて自分で判断。
判断基準たくさん。
複数の条件が絡んで、ひとつの判断
ノートに書いて、条件間の関係を確かめないと判断できない。
ノートにとらなければ、何度聞いたって、わからない。
聞いたり、読んだりすれば「わかった気」にはなれるけど、実際に自
分で使えない。世の中では通用しない(減点式のテストはできても)。
• 自分で整理してみて、さらにグループワークで考えてみて、またノー
ト整理して,,,初めて使えるものになる。
みなさんのレポート1_1
カノジョできた!
(^^)v
お互いのこと
伝え合う!!
テア
ィイ
テデ
ィン
• (^^):やっぱカノジョできるとお互いのこと伝え
合って自分たちについてのコミュニケーション
増えるよな。それで自分見直して、アイデン
ティティ高まるんじゃね?
みなさんのレポート1_1
カノジョできた!
(^^)v
お互いのこと
伝え合う!!
テア
ィイ
テデ
ィン
趣味
• (;;):オマエのアイデンティティは、オレと共通の
“趣味”でお互いを高めあってきた結果だろ!
• 彼女は“趣味”を通しての出会いだ。擬似相関だ
よ。趣味こそが真の原因だよ。
みなさんのレポート1_3
• (^^):オマエの“趣味”説が正しいなら、なんで
オマエには、カノジョできないんだ?!
• (;;):情報学なんだから「一部の例」で否定
できないよ(=たまたまだよ、カノジョできない
のは。オレだってカノジョできるのは時間の
問題だ)
• (^^):じゃあ、条件の同一性だね!
みなさんのレポート1_4
カノジョとのコミュニ
ケーション説が
正しい場合
趣味の研鑽の
レベル高い
彼氏彼女
有無
アイデンティティ
平均値
いる
高い
いない
低い
趣味の研鑽の
彼氏彼女 アイデンティティ
レベル低い
有無
平均値
では趣味説が正し
いる
高い
い時には、どんな
低い
いない
結果
レッツグループワーク:(2/3)ぐらい使ってお
書きください
今日の新しいポイント
• で「趣味の研鑽の高い人々」「趣味の研鑽の低
い人々」ごと分けて(趣味の研鑽のレベルを同
一にして)カレ・カノの有無に分けて、アイデン
ティティ平均値を出すと...。
• カノジョ(カレシ)説が正しい場合!
• コミュニケーション説が正しい場合!
• で予想される結果が違う!
• この調査すれば、どちらかが「間違い」なのがわ
かる!
科学の考え方
この二つしか犯人
であることがないと
いえるなら!
カレ・
カノ説
趣味説
「趣味の研鑽の高い人々」「趣味
の研鑽の低い人々」ごと分けて
(趣味の研鑽のレベルを同一にし
て)カレ・カノの有無に分けて、ア
どちらが正しいか確定 イデンティティ平均値を出す
決定的実験(調査でもい
いんだけど)
どっちか否
定される
今日の例で、さらに決定的実験を
考えよう!
• 仮にこの2つの仮説以外、国情生のアイデン
ティティが上昇する仮説はありえないとします。
(もちろんそんなことはない!)
• 他にも決定的実験(調査)を考えてみよう。
• パァ~と、一つ、思いつきますよねェ?!。
• レッツグループワーク!!
次回のポイント
• カノジョ(カレシ)いる、いないはスケール?
(いるといないとの間に無数の状態がある)
• カテゴリー変数(1・0)?
• 趣味の段階はスケール?
• スケール:どこから、趣味の研鑽高い?
• せっかく、スケールの情報を持っているのに!
(参照:ウサギとカメとトラの競争の話)
→高い・低いの切り方で、表の結果変わる!
なんか、インチキぽい!! ではどうする?
ヒント:漢字で○○○分析!
本日の段階での予想をグループワーク!