Transcript 物理2013-3
中間試験
1.日時: 12月19日(木) 4,5限
2.場所: 1331番教室
3.試験範囲:講義・演習・宿題・教科書の8章までに学
んだ範囲
4.試験時間:90分程度
5.注意:
・集合時刻厳守のこと
・途中退出は認めない
・全員受験必須
・資料持込不可
8.非慣性系
・北極に立っているm君は重力を感じる。
地表が束縛条件になっているからである。
・m君はシャトルBに乗ったらどうなるだろう
か?重力を感じるだろうか?
・m君がシャトルAに乗ったらどうなるだろう
か?重力を感じるだろうか?
・自転している地球に赤道を貫くトンネルが
掘られたとした
北極点
Y
らシャトルAは
どうなるか?
m
地球
北極点
Y
(0,R,0)
A
A
O
B(x,y,0)
θ
X
O
X
中間テスト問題 2009年12月17日(木)
6.イギリスの天文学者エドモンド・ハレーが研究したハレー彗星
は、公転周期75.3年、太陽への最近接距離8.8x1010 m、最遠
方距離5.2x1012 mの長楕円軌道運動をする。ハレー彗星の感
じる太陽重力は⑦であるから角運動量は⑧である。しかし回転
Q
半径は変化するから、ハレー彗星はコリオリ力を感じて軌道の
rR
E
線速度を変化させる。最近接距離にあるときの線速度は最遠方
4 r2
距離にあるときの線速度の⑨倍の5.5x104 m/sである。これは
第二宇宙速度より大きいが、ハレー彗星は太陽系の外に飛び
Q
r
R
E
r
去る事はない。それは太陽がハレー彗星に及ぼす重力ポテン
3
4 R
シャルエネルギーUの絶対値が大きくU+Kが⑩であるからであ
る。
8-2回転座標系
角運動量保存則
中心力の場合、常に角運動量は一定であり保存する。
d
L mr
C
dt
2
dL
dr d
d
2
m 2r
r
0
2
dt
dt dt
dt
2
d 2
dr d
r 2 2
dt
dt dt
d 2
dr d
mr 2 2m
2mv
dt
dt dt
角度方向の速度を変化させる見かけ上の力が働く
非慣性系:8-2回転座標系
右図のように紐に質量mの物体をつけて回転運動をさ
せる。始め紐の長さは2bである。角速度はω0である。
1.物体mに働く力の大きさと向きを書け。 Nさん
F mr2 2mb02
2.物体mの速度の大きさと向きを書け。Nさん
v r 2b0
3.物体mの運動量の大きさと向きを書け。Nさん
p mv 2mb0
4.物体mの運動エネルギーの大きさを書け。 N君
p2
2 2
K
2
mb
0
5.物体mの角運動量の大きさと向きを書け。N君
2m
6.紐を引っ張る力Tの大きさと向きを書け。 N君
L rp 4mb20
2b
T
ω0
m
非慣性系:8-2回転座標系
次に中心方向に紐を引っ張って半径を半分のbにしたと
ころ、角速度はωになった。
2b
ω0
7. ωを求めよ。
8.物体mの速度の大きさは何倍になったか?
9.物体mの運動エネルギーは何倍になったか?
10.紐を引っ張る力Tの大きさは何倍になったか?
11.運動エネルギーの変化を議論せよ。
T
ω
b m
m
非慣性系:8-2回転座標系
7. 中心力は角運動量を変えないから、
L m 2b 0 mb2
2
40
8.速度は 2b0 から 4b0 に2倍になった。
9.運動エネルギーは4倍になった。
10.紐を引っ張る力Tの大きさは
T 2mb02 から 16mb02 へ8倍になった。
11.運動エネルギーの変化:
半径をrとすると、 L mr2 4mb20
4
2
16b
2
0
T
mr
m
張力は
3
r
4
2
b
b
16b 0
8mb 0
W Tdr m
dr
3
2b
2b
r
r2
2 2b
b
m
T
ω
b m
N
4
2b
ω0
6mb202
運動エネルギーはW仕事分だけ増加した。
非慣性系:8-2回転座標系
右図のように紐に質量mの物体をつけて角速度
ω0の回転運動をさせる。始め紐の長さは2bで
ある。そして中心方向に紐を引っ張って半径
を半分のbにしたところ、角速度ωは4倍の、
4ω0になった。そして、線速度vは2倍の4bω0に
なった。
あなたが、物体mの中に居るとしよう。
紐で引っ張られて中心方向に移動すると、上述の
ように物体の移動速度が大きくなる。あなたは物理
を良く勉強しているので、物体mが進行方向に押さ
れて速度が速くなったと思うだろう。しかし、実際は
物体mは中心方向にしか引っ張られていない。
不思議ではないか!
2b
ω0
m
T
ω
b m
非慣性系:8-2回転座標系
時刻tにおいて物体は中心から位置rのところ
にいるとする。そして一定速度-vで中心方向に
引っ張られているとしよう。
r
ω0
m
物体の角運動量が時間にたいして一定である特徴を
つかって解析してみよう。
L mr である。Lは時間に対して一定だから
2
dL dmr 2
dr
2 d
2mr mr
0
dt
dt
dt
dt
d
dr
mr
2m 2mv
dt
dt
T
ω
b m
非慣性系:8-2回転座標系
d
mr
は物体の回転方向の運動量の時間微分なので
dt
回転方向に働く力である。
d
F mr
2mv
dt
とは、回転方向に 2mv
の力が働くことを意味している。
これを
コリオリ 力
という。
コリオリ力によって回転方向の速度がどのように変化するかを
調べよう。
非慣性系:8-2回転座標系
角運動量保存とは、
dL dmr2
dr
dr
d
2 d
2mr mr
mr 2 r
0
dt
dt
dt
dt
dt
dt
だから、 2 dr r d 0
dt
dt
d r
dr
d
回転線速度の変化率は、
である。
r
dt
dt
dt
dr
上の関係式を用いると、 d r
dt
dt
となる。よって、紐が2bからbまでの線速度の変化分△(rω)は、
b
v
0
r
b
b
d r
dr
v
dt dt dr
0
2b
dt
dt
非慣性系:8-2回転座標系
L m4b20 mr2
4b20
だから、
であり、線速度の変化分△(rω)は、
2
r
4b20
r
dr 2b0
2
2b
r
b
紐が2bのとき、線速度は 2b0 だったから、
紐がbになったときの線速度は 4b0 である。
非慣性系:8-2回転座標系
問 台風は地球規模の気象現象である。
低気圧に向かって風が猛烈に吹き込む。
台風の雲の渦巻きは左巻きである。
これはコリオリ力の効果だろうか考察
せよ。
フジイ
非慣性系:8-2回転座標系
自転している地球の北極に棒を立てて
振り子を振らせる。じっと観察する。
重力は働く。摩擦はない。
振り子はどうなる?
シゲノ
Y
X
O
θ
l
mg
地球
非慣性系:8-1並進運動座標系
2
dL
d
2
ml
N
2
dt
dt
だから、
Y
X
O
θ
l
2
d
2
ml
ml a cos gsin
2
dt
よって運動の式は、
d 2
l 2 a cos gsin
dt
教科書の解説の式とずいぶん違う。
mg
非慣性系:8-1並進運動座標系
平衡条件は
a cos0 g sin0 0
Y
a
tan0
g
振り子はθ0を中心に振動運動をする。
X
O
θ
l
0
a cos g sin a cos 0 g sin 0
a cos cos0 sin sin0
mg
g cos sin0 sin cos0
a cos0 cos sin tan0 g cos0 cos tan0 sin
a
a
a cos0 cos sin g cos0 cos sin
g
g
非慣性系:8-1並進運動座標系
a cos g sin
Y
a
a cos0 cos sin
g
a
g cos0 cos sin
g
O
g 2 a2
cos0 sin
g
X
θ
l
g 2 a2 sin
ついにこうなるので、目出度く教科書と一致
する。
d 2
l 2 g 2 a2 sin
dt
mg
電気電子工学科E2 物理学基礎・物理学基礎
演習 中間テスト問題
問1 太陽の周りを真円軌道で回っている惑星Aがある。面
倒くさい神様がトナカイにのって現れ、惑星Aを動径方向外
側に惑星Aを押して太陽から遠ざけてしまった。そして神様
は次のお客さんの所に去っていった。哀れ惑星Aは辛うじ
て太陽の周りを回ってはいるが軌道はどうなったのだろう
か。
① 以下の選択からあなたの候補一つを選んで丸を付けよ。
イ)真円 ロ)楕円 ハ)双曲線
② そして選んだ理由を100字以内で書け。
真円を保って半径が大きくなると角運動量は大きくなる。力
のモーメントが働かない場合角運動量は変化しない。太陽
周りを回る条件と合わせると軌道は楕円になる。
電気電子工学科E2 物理学基礎・物理学基礎
演習 中間テスト問題
問2 F y, x,0 F x, x,0 と の二つの力がある。
あなたの好きな力を選んで解答欄に記入せよ。
③ あなたが選んだ力が保存力か否かを答えよ。否
あなたの力を受け質量1の質点がx-y平面内の原点周り半
径1の円周上を運動する場合を考えよう。時刻0で質点を
に静かに置いた。
④ 質点が円周上 にあるとき原点から見た質点に働く力の
モーメント を求めよ。 N 0,0,1
N 0,0,1 y2
y 1 y2
⑤ 質点が再び元の場所に戻ってきたときの角運動量 を求
めよ。 L 0,0,2 L 0,0, 2
電気電子工学科E2 物理学基礎・物理学基礎
演習 中間テスト問題
問3 Nさん:赤道上から真上に10トンのロケットS号をドカン
と打ち上げましょう。打ち上げ後すぐに速さが1 km/sになっ
たときS号が感じるコリオリ力はどのくらいでどちら向きかし
ら? F君:それは簡単、約 ⑥(750, 1500, 3000, 5000 [N] )
で ⑦(東 西 南 北 )向きです。Nさん:その後燃料は尽
きたけれどS号は無事高度3万5786kmの静止軌道に達し
たわ。もしこのときの速さがどれくらい以上なら、ロケットは
地球重力から永遠におさらばできるのかしら?F君:それは
簡単だけど、地球の半径を教えて。Nさん:そんなことも知
らないの。赤道半径は6378km、極半径は6357kmよ。F君:
さすが、Nさん。それなら、約 ⑧(11000, 7500, 4500, 3500
[m/s] )以上です。
電気電子工学科E2 物理学基礎・物理学基礎
演習 中間テスト問題
問4 y軸下方に働く重力 によって長さlの紐につながれた
質量mがx-y面内で振り子運動するとき、支点からみた角
d 2
度θについての運動の式は ml 2 mg sin である。振り子
dt
に働く力は中心力ではないから角運動量は時間変化する。
最初 から静かに手を離したとき、
⑨ 質点が 0に達したときの角運動量の大きさを書け。
L m 2gl 3
⑩ 粘性抵抗係数Cがあるとき、運動の式はどうなるか、上
記微分式形式で書け。
d 2
d
ml 2 mg sin Cl
dt
dt
電気電子工学科E2 物理学基礎・物理学基礎
演習 中間テスト問題
問4 ⑪ Cが臨界制動条件の値だとする。振り子の運動は
どうなるか100字以内で説明せよ。尚、初期は、中期は、終
期は、の言葉を必ず用いよ。
初期は振り子の速さが小さいのであたかも粘性抵抗力が
ないかのように振れ、
中期は振り子を振る力と粘性抵抗力がつりあうところで速
さが最大になり、
終期は振り子の速さが時間単調減衰しながら振り子はθ=0
の最下点に向かう。
期末テスト
1.日時:
1月30日(木) 4,5限
試験時間:90分程度
2.場所:
1331番教室
3.試験範囲:講義・演習・宿題・教科書の10章までに
学んだ範囲
4.注意:
・集合時刻厳守のこと ・途中退出は認めない
・全員受験必須 ・資料持込不可
・既に60点以上を獲得している者も受験必須。
9 質点系の運動
9.1
質量中心
9.2
質点系の運動方程式
9.3
2体問題
9.1
質量中心
やじろべえが落っこちないように支える
位置が重心である。
重心はどこか?
やじろべえはじっとしているのだから、
力のモーメントは働かない。
NG 0
小さな質量parts m1, m2 ,
に分けて考えよう。
q1, q2 ,
重心からの位置
, qN
N
NG qi F mi qi g 0
i 1
i 1
N
力のモーメント
, mN
9.1
質量中心
重心を原点としてみたとき、やじろべえ
の質量partsの関係は
N
m q 0
i i
i 1
となる。原点をずらして重心位置を
rG
とする。
質量partsの位置は ri rG qi となる。
N
m q m r r 0
N
i 1
N
i i
i 1
i
i
G
rG
m r
i 1
N
i i
m
i 1
i
9.1
質量中心
形状が変化しない大きさを持つ物体を剛体という。
N
重心位置は、
rG
N
m r m r
i 1
N
i i
m
i 1
連続体なら積分形式
i i
i 1
M
i
rG
r dV
dV
もし均質物体なら、
rG
r dV
V
9.1
質量中心
そうは言っても重心位置をパッと見つけるのは難しい
均質な場合、
r dV
rG
重心原点の場合、
V
rG r dV 0
対称性が使える場合は、
中間線を引けばよい。
rG
9.1
じゃあこれは?
mmmmmm・・・演習!
質量中心
9.2
質点系の運動方程式
動かしてみよう。
全運動量=質量partsの運動量の和
drG N
dri N
PG M
mi
pi
dt i 1 dt i 1
全運動量の変化=外力の和
2
N
2
d PG
d rG
d ri N
M 2 mi 2 Fi
dt
dt
dt
i 1
i 1
9.2
質点系の運動方程式
動かしてみよう。
全運動量=質量partsの運動量の和
drG N
dri N
PG M
mi
pi
dt i 1 dt i 1
全運動量の変化=外力の和
2
N
2
d PG
d rG
d ri N
M 2 mi 2 Fi
dt
dt
dt
i 1
i 1
9.2
質点系の運動方程式
角運動量は?
dri
1N
N
LG rG PG mi ri mi
??????
M i 1
i 1 dt
10章で勉強しよう。
9.3
2体問題
複数の物体の運動は重心の運動と相対運動に分けら
れる。質量mA、位置 rAとmB、rBとの2つの物体の運動を
考えよう。
簡単のために2次元平面運動とする。
物体の位置は r A xA, yA,0 r B xB , yB ,0
mA r A mB r B
重心の位置は rG xG , yG ,0
mA mB
mA xA mB xB mA y A mB yB
,
,0
mA mB
mA mB
9.3
2体問題
rAとrBを重心を使って表すと、
r A xA, yA,0
mA xA mB xB mB xA mB xB mA y A mB yB mB y A mB yB
,
,0
mA mB
mA mB
mA mB
mA mB
mB xA mB xB
mB y A mB yB
xG
, yG
,0
mA mB
mA mB
r B xB , yB ,0
mA xA mA xB
mA y A mA yB
xG
, yG
,0
mA mB
mA mB
9.3
2体問題
従って2つの物体の運動量を重心の速度を用いて表すと
それぞれ、
x
x
y
y
m
v
m
v
m
v
m
v
B A
B B
B A
B B
x
y
P A mAvG mA
, mAvG mA
,0
mA mB
mA mB
x
x
y
y
m
v
m
v
m
v
m
v
A A
A B
A A
A B
x
y
PB mBvG mB
, mBvG mB
,0
mA mB
mA mB
全体の運動量は当然以下のようになる。
P P A PB mA mB vGx , mA mB vGy ,0
9.3
2体問題
それでは2つの物体の運動エネルギーを重心の速度を用
いて表すとどうなるのか?
KA
1
PA PA
2mA
1
mA vGx 2 vGy 2
2
1
1
2
mAvG mA
2
2
1
1
2
KB mBvG mB
2
2
x
x 2
y
y 2
1 mBv A mBv B mBv A mBv B
mA
2 mA mB mA mB
m2B v2A v2B 2v A v B
mA mB
2
m2A v2B v2A 2v B v A
mA mB
2
9.3
2体問題
従って全体の運動エネルギーは
1
1 mBmA
2
K KA KB mA mB vG
v2B v2A 2v B v A
2
2 mA mB
1
1 mB mA
2
mA mB vG
vA vB vA vB
2
2 mA mB
第1項は重心の運動エネルギー
第2項はAとBの相対運動の運動エネルギー
mB mA
mA mB
を換算質量という。
9.3
2体問題
物体A,Bの運動のまとめ
mA r A mB r B mA xA mB xB mA y A mB yB
,
,0
1:重心 rG xG , yG ,0
mA mB
mA mB
mA mB
2:全運動量:重心の速度に総質量をかけたもの。
P P A PB mA mB vGx , mA mB vGy ,0
3:運動エネルギー:総質量*重心の速度の2乗*0.5
+換算質量*AとBの相対速度の2乗*0.5
1
1 mBmA
2
K mA mB vG
vA vB vA vB
2
2 mA mB
9.3
2体問題
例1 一体並進運動& m mA mB
mAvG mB vG
r A rB
1:重心 rG xG , yG ,0
2
2:全運動量: P P A PB 2mv x ,2mv y ,0
G
2
K
mv
3:全運動エネルギー:
G
G
2体問題
9.3
例2 原点回りに半径rで相対して、角速度ωの回転円運動
rG xG , yG ,0 0,0,0
1:重心
2:全運動量: P PA PB 0,0,0
Y
3:全運動エネルギー:
mA
1m
K
v A v B v A v B mr22
22
X
mB
9.3
2体問題
例3 衝突問題に取組もう
固い小さな物体m1、m2の衝突を考える。最初、m1は速度v0でm2
に向かって進み、m2は原点に静止している。空気等の抵抗は無
い。重力等の力は働かない。時刻ゼロで衝突後、物体m1、m2は
速度v1、v2で進むとする。
衝突後
衝突前
m1
m2
m1
m2
v0
v1
v2
A 衝突前:
m1
m1 r 1 m2 r 2
m1
r1
v0t,0,0
1:重心 rG
m1 m2
m1 m2
m1 m2
2:全運動量:
P m1 v0
m1 2
3:全運動エネルギー: K 2 v0
9.3
2体問題
B 衝突後、運動量と運動エネルギーが保存されるとき
全運動量保存:
m1v0 m1v1 m2v2
m1 2 m1 2 m2 2
全運動エネルギー保存: 2 v0 2 v1 2 v2
m1 m2
2m1
v
v
v2
v0
上2式を解いて、 1 m1 m2 0
m1 m2
衝突後:
1:重心
2:全運動量:
rG
m1 r 1 m2 r 2 m1
v0t,0,0
m1 m2
m1 m2
P m1 v0
m1 2
3:全運動エネルギー:K 2 v0
9.3
2体問題
問 物体m1は衝突によりm2に運動エネルギーを与える。
衝突前のm 1 の運動エネルギーをE0 、衝突後のm 2 の運
動エネルギーをE2とする。エネルギー伝達率E2/E0が最も
大きくなる条件と、その時のE2/E0の値を求めよ。
ナカムラ
エネルギー伝達率E2/E0が最も大きくなる条件:m1=m2
その時のE2/E0 = 1
問 v2の最大値は何v0か?またその時のエネルギー伝
達率はいくらか?
v2が最も大きくなる条件は:m2/m1 =0
Max
v2= 2v0
シゲノ
そのときのエネルギー伝達率 = 0
9.3
2体問題
C 運動量はあらゆる場合に保存される、宇宙不変の大原
則である。これに対し、運動エネルギーは保存されるとは
限らない。・例えばポテンシャルエネルギーに変化したりす
る。 熱エネルギーにも変わる、光エネルギーになる場合
もある。・もし、初め、全エネルギーが運動エネルギーだと
する。 運動エネルギーが保存されないイベントがおこっ
た場合、当然運 動エネルギーは小さくなる。
よって、 m1v0 m1v1 m2v2 m1 v2 m1 v2 m2 v2
2
0
2
1
2
2
である。典型的なのは、衝突後一緒に運動する場合であ
る。
m1
衝突前
v0
m2
衝突後
m1 m2
v1
9.3
2体問題
このとき運動量の式は、
m1v0 m1 m2 v1
m1v0
v1
m1 m2
衝突後の運動エネルギーは
m1
衝突前
v0
衝突後
m1 m2
m2
v1
m1 2 m2 2 1 m1
v1 v1
m1 v02
2
2
2 m1 m2
m1 2 1 m1
v0
m1 v02
これは当然、
2
2 m1 m2
である。衝突後、運動エネルギーが減少する衝突を非弾性
衝突という。
9.3
2体問題
教科書p161に床との衝突の解説がある。
v2 ev0
e は反発係数
衝突後
m2
Y
衝突前
m2
X
ここで、右図のように衝突前のm2に
座標をつけた場合を考えよう。
v2
v0
・m2の中にいるあなたは静止している
と感じている。
・そして非常に重い床がv0の速度で近づいてくると感じる。
・床にぶつかられた後、衝突前の座標で見るとm2にのった
あなたはv0+v2の速さで吹っ飛ばされる。
9.3
2体問題
もし反発係数が1ならば、
あなたがのったm2は2v0速さで吹っ飛ばされる。
これ以上の速さで吹っ飛ばされることは
衝突後 Y 衝突前
ない。最大2v0である。
m2
m2
これは、既に勉強した、
2m1
v2
v0
m1 m2
v2
X
v0
の最大値が v2 2v0
であることと同じ意味である。弾性衝突という。
e 1 のときは v2 2v0 であり、エネルギー保存則が成り立
たない。非弾性衝突という。
10章 剛体の運動
10.1
10.2
10.3
10.4
10.5
10.6
剛体の運動方程式
剛体のつり合い
固定軸のまわりの剛体の回転運動
慣性モーメントに関する二つの定理
慣性モーメントの計算例
簡単な剛体の運動
10.1
剛体の運動方程式
原点B回りの剛体の角運動量はおのおのの
質量partsの角運動量の和である。
rG q
i
Y
ri
N
dri
LB mi ri
dt
i 1
重心の位置ベクトルを導入して
B
ri rG qi
d rG qi
dri N
LB mi ri
mi rG qi
dt i1
dt
i 1
N
X
10.1
剛体の運動方程式
d rG qi
dri N
LB mi ri
mi rG qi
dt i1
dt
i 1
N
N
drG N
dqi
mi rG
mi rG
dt i 1
dt
i 1
N
drG N
dqi
mi qi
mi qi
dt i 1
dt
i 1
N
drG
dqi
M rG
0 0 mi qi
dt
dt
i 1
N
m q 0
i 1
i i
!!!!
10.1
剛体の運動方程式
drG N
dqi
LB M rG
mi qi
dt i 1
dt
重心に全質量が
集中した質点の
角運動量
重心回りの剛体
の角運動量
公転回転という
自転回転という
10.1
剛体の運動方程式
原点C回りの剛体の角運動量はおのおのの
質量partsの角運動量の和である。
N
dti
LC mi ti
dt
i 1
Y
tG
C
ti
重心の位置ベクトルを導入して ti tG qi
座標軸を変えても不変
dtG N
dqi
LC MtG
mi qi
dt i 1
dt
X
10.4
慣性モーメントに関する二つの定理
剛体の角運動量は重心に全質量が集中した質点の角
運動量と重心回りの剛体の角運動量の和である。
座標の取り方によって重心に全質量が集中した質点の
角運動量は変化する。
drG N
dqi
LB M rG
mi qi
dt i 1
dt
2
N
2
d rG
d qi
d LB
M rG 2 mi qi 2
力のモーメント
dt
dt
dt
i 1
10.2 剛体のつり合い
剛体のつりあいの条件
d PG N
Fi 0
dt
i 1
d LG N
ri Fi 0
dt
i 1
d 2 rG N
d 2 qi
d LB
M rG 2 mi qi 2
dt
dt
dt
i 1
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
硬い、大きな物体があり、回転中心軸Bのまわりにそ
の物体を角速度ωで回転させた。このとき、物体の
角運動量大きさを
LB I B
と書く。
回転運動エネルギーは
2
B
L
1
2
K I B
2
2I B
と表せる。
このとき、IBを物体のBまわりの慣性モーメントという。
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
Nさん:N君マスゲーム知ってる?
N君:ああ、運動会で集団でやるお遊戯のことだろう。
Nさん:その通り、意外だわ・・・
N君:僕を見くびるんじゃない。君よりもよっぽど常識をわきまえて
いるつもりだよ。
Nさん: ?????
N君:マスゲームがなんなんだい?
Nさん:右図のように10人が手を繋いで横一線に並び
左端の人を中心に横一線を崩さず回転することを考えましょう。
N君:中学校でやったことがある。
10
Nさん:ゲームの後、左から2番目、5番目、
10番目の人に感想を聞いてみましょう。
5
N君:オーケー
2
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
2番目の人:楽ちんでしたが意外に難しいですね。ゆっくり歩かない
と前に飛び出して列を乱してしまうんです。
5番目の人:まあ普通に歩けばいいので楽なゲームです。左右の人
を見ながら仲良く歩けばいいんです。
10番目の人:いやー、見た目より実際は大変な運動ですよ。必死に
歩かなければ追いつかない。私は足が遅い方ではないですが、20
秒で一回転ですからね。どうしても列に遅れがちになりますよ。疲れ
た、疲れた。
N君:まあ予想通りの感想だな。 これと物理と何が関係ある?
Nさん: 2番目の人の運動は?
N君:それはゆっくり歩くのがコツさ。5番目は普通に歩く。一番端の
10番目は必死に歩く。そうしないと列が乱れるからね。
Nさん:横一列でも場所によって仕事量が違うということなの?
N君:もちろんそうだね。中心の人はほとんど仕事しない。一番端の
人は目一杯の仕事をしなければならない。
Nさん:運動エネルギーで説明して下さい。
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
N君:任せとけ。横一列で列を乱さないで動くから、一回転の周期は同
じなんだ。しかし、場所によって一周の長さは違うだろう。中心からの距
離に比例して一周の長さが長くなるんだ。だから一定周期で回ろうとす
ると、端の人ほど速く動かなければならない。中心からの距離に比例し
て速度が速くなる。だから歩く人の運動エネルギーは中心からの距離
の2乗に比例して大きくなるんだ。どうだ、いい説明だろう。
Nさん:じゃあ、運動エネルギーの平均の人は何番目なの?
N君:それは丁度真ん中の人、・・じゃないな、何処だろう?
中心からの距離をLとすると、回転の線速度は距離Lに比例するから運
動エネルギーはL2に比例する。
それを中心から全て足すと、L3/3に比例する。
平均の運動エネルギーを人数分足すと上の値になるから、
平均の運動エネルギーはL3/3をLで割ればいいね。
だからL2/3だ。
これの平方根をとると位置がでるよ。(L2/3)0.5です。どうだ、完璧だろう。
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
Nさん:具体的には何処なの?
N君:わからないかい?中心よりちょっと外側さ。30.5は2より少し小
さいからね。外側の人の運動エネルギーは非常に大きくなるから、
平均位置が中心より外側にずれるんだよ。10人の場合は6番目さ。
ようし、もっと数学的に説明してやろう。
マスがmの人がN人横一列長さLに並んで角速度ωで回転したとす
る。平均運動エネルギーを持つ人は、前の議論から(N/3)0.5番目の
人で中心からの距離はLx3-0.5だ。この人の運動エネルギーは
2
1 L 11 2 2
m 0.5
mL
2 3
23
となる。全員の運動エネルギーはこれにNを掛ければ良い。
全質量をM=m*Nとすると。
11 2 2
E
ML
全体の運動エネルギーEは
となる。
23
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
確か回転半径L,角速度ωの質量Mの小さな玉の回転運動の運動エ
ネルギーは 1 ML22 だったな。棒の場合は違うのか、棒の方が
小さいぞ。 2
Nさん:この論理を進めた場合の全体の運動量と平均値を持つ人
の位置はどうなるの?
N君:速度は L な形をしているから、平均値は真ん中だよ。そ
して全体の運動量の大きさは NmL ML
です。
2
2
2
1 ML
Nさん:それじゃあ、全体の運動エネルギーは
2M 2
でいいの?
N君:いや、それは違うよ。場所によって速度と運動量が違うじゃな
いか。例えば全く逆向きに同じ速度で進む同じマスの2つの物体の
合計運動量はゼロだろう。でも2つの物体の合計運動エネルギー
はゼロではない。こういう場合は全体の運動量の大きさを単純に2
乗してはいけません。
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
Nさん:そこで回転の場合の運動量をあたかも並進と同じように扱う
量として角運動量が登場するのですね。 mLL
N君:なるほど、この場合L2があるから、僕の得意技が使えるな。
なんだか、分かったような、騙されたような・・・・・・
-N君の悩みは尽きません-
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
問 右図のように質量mの非常に小さい物体
が間隔aで0番からN+1個並んでいる。
m
これらの物体が、0番の物体を中心として
その配列を乱すことなく、角速度ωで回転
O1 2
する。
a
ω
N
1)1番目の物体の回転運動の慣性モーメントI1を求めよ。
2)N番目の物体の回転運動の慣性モーメントINを求めよ。
3) 1~N番の物体の回転運動の合計の慣性モーメントIを求めよ。
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
問 右図のように質量mの非常に小さい物体
が間隔aで0番からN+1個並んでいる。
m
これらの物体が、0番の物体を中心として
その配列を乱すことなく、角速度ωで回転
O1 2
する。
a
ω
N
1)1番目の物体の回転運動の慣性モーメントI1を求めよ。
I1 ma2
2)N番目の物体の回転運動の慣性モーメントINを求めよ。
I N mN 2a2
3) 1~N番の物体の回転運動の合計の慣性モーメントIを求めよ。
1
I N N 1 2N 1 ma2
6
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
問 右図のように質量mの非常に小さい物体
が間隔aで0番からN+1個並んでいる。
m
これらの物体が、0番の物体を中心として
その配列を乱すことなく、角速度ωで回転
O1 2
する。
a
N
4)Nが非常に大きい数のとき、Iを近似的に表せ。
5)4)のとき、M=Nm, R=Naとするとき、IをMとRを用いて表せ。
問 長さL、質量Mの細い棒を棒の端を中心
として角速度ωで回転するときの慣性モーメン
トを求めよ。
ω
ω
L, M
10.3
固定軸のまわりの剛体の回転運動
問 右図のように質量mの非常に小さい物体
が間隔aで0番からN+1個並んでいる。
m
これらの物体が、0番の物体を中心として
その配列を乱すことなく、角速度ωで回転
O1 2
する。
a
N
1 3 2
4)Nが非常に大きい数のとき、Iを近似的に表せ。 I ~ N ma
3
5)4)のとき、M=Nm, R=Naとするとき、IをMとRを I ~ 1 MR2
用いて表せ。
3
ω
問 長さL、質量Mの細い棒を棒の端を中心
として角速度ωで回転するときの慣性モーメン
1 2
トを求めよ。
I ~ ML
3
ω
L, M
10.5
慣性モーメントの計算例
長さL、質量Mの細い棒を、棒の中心を中心として角速
度ωで回転するときの慣性モーメントを求めよ。
ω
半径r質量Mの細い赤いリングを図の
ように角速度ωで回転するとき、角運
動量の大きさを書け。慣性モーメント
を求めよ
Y
r
O
M
X
10.5
慣性モーメントの計算例
長さL、質量Mの細い棒を、棒の中心を中心として角速
度ωで回転するときの慣性モーメントを求めよ。
ω
1 M L2 1
2
I 2
ML
12
3
2
4
半径r質量Mの細い赤いリングを図の
ように角速度ωで回転するとき、角運
動量の大きさを書け。慣性モーメント
を求めよ
L Mr
2
I Mr 2
Y
r
O
M
X
10.5
慣性モーメントの計算例
半径aで質量Mの薄い一様な円板の中心を通り、円板
に垂直な軸周りの慣性モーメントを求めよう。
(1)まず円板を右下のように細いリングの
集まりと考えよう。重さ面密度をρとする。
(2) 半径r厚さdrのリングの角運動量は
dL 2 rdr r 2
(3)全体の角運動量は、
4
2
a
2
a
Ma
2
dL 0 2rdr r 4 2 I
Ma2
よって慣性モーメントは I
2
10.5
慣性モーメントの計算例
ω
(4)右図のように円板を縦に回転する場合を
考えよう。
右図のように円板を細い赤い棒に分けて
考えよう。棒の中心を回すときの慣性モー
メントは
1
I
mr 2
12
a
θ
と知っている。棒の長さが場所によって違うことを
考慮しておのおのの棒の慣性モーメントを足し合わ
せれば目的の値が得られるだろう。
O
10.5
慣性モーメントの計算例
右図のように円板を細い棒に分けて考えよう。
円板の重さ面密度をρとする。図の座標Y軸
Y
の点(y,0)を横切る幅dyの細い棒の慣性モーメントは
1 2 1
2 x dy
2
mr dy2x 2x
3
12
12
3
2
2 2
2 a y dy
2
2
2
だから、 I
x y a
3
ω
3
I
a
全体の慣性モーメントは
3
I4
a
2 a 2 y 2 2
a
y a cos
3
dy
4
4
2
a
sin
2
I4 2
d
0
3
と置けば、
4
2
a
4
Ma
4
θ
(y,0)
O
X
3-2 剛体の運動
(5)質量Mの長方体X軸回り
Y軸に平行な細い棒の集まりと考える。
1 2 1
2a3dx
2
I mr dx2a 2a
12
12
3
2a3
4ba3 Ma2
Ix
dx
b
3
3
3
Y
(b,a)
O
b
これはどこかで見たことがある。
2
Mb
(6)もちろんY軸回りの慣性モーメントは I y
3
X
10.5
慣性モーメントの計算例
剛体の角運動量は重心に全質量が集中した質点の角
運動量と重心回りの剛体の角運動量の和である。
drG N
dqi
LB M rG
mi qi
dt i 1
dt
と勉強した。この性質を使ってみよう。
第一項と第二項が同じ回転軸まわりの運動なら
N
LB MrG 2 eG mi qi 2 ei
i 1
となる。
10.5
慣性モーメントの計算例
ω
の角運動量の大きさは
L, M
ω
L, M
1
ML2 と
の角運動量
12
ω
L/2
2
M
L
の角運動量 M との和である
2
10.5
慣性モーメントの計算例
ω
L, M
の角運動量の大きさは
2
1
1 2
L
2
L ML M ML
12
3
2
よって慣性モーメントは
1 2
I ML
3
10.5
慣性モーメントの計算例
問 長さa、質量mの細い棒を、棒の中心を中心として角
速度ωで回転するときの慣性モーメント、角運動量、回
転運動エネルギーをa、m、ωを適宜用いて表せ。
ω
1
1
1
2
2
I ma L シゲノ
ma K ma22
12
12
24
問 長さa、質量mの細い棒を、棒の中心
からb離れた所を中心として角速度ωで
回転するときの慣性モーメント、角運動量、
回転運動エネルギーをもとめよ。
a2 2
a2 2
I m b L m b
12
フジイ
12
m a 2 2 2
K b
2 12
m
a
ω
b
m
a
10.5
慣性モーメントの計算例
問 質量M半径Rの円板が図のように向きを変えずに半
径S、角速度ωで回転しているときこれを公転回転と
いう。
AR
慣性モーメント、角運動量、
運動エネルギーをもとめよ。
I mR
2
L mR2
ノムラ
1 2 2
K mR
2
S
A
A
A
10.5
慣性モーメントの計算例
問 質量M半径Rの円板が図のように同じ面を中心に向
けて半径S、角速度ωで回転しているときしていると
きの慣性モーメント、角運動量、
AR
運動エネルギーをもとめよ。
A
S
A
A
1 2
2
I m R S
2
1 2
2
L mナカムラ
2 R S
m1 2
2 2
K R S
2 2
10.4
慣性モーメントに関する二つの定理
半径aで質量Mの薄い一様な円板の中心を通り、
円板に垂直な軸周りの慣性モーメントは
Ma2
I
2
円板をY軸周りに回したとき、慣性モーメントは ω
Ma2
I
4
a
O
10.4
慣性モーメントに関する二つの定理
もう一つ別の考え方にトライしよう。
下図のようにX-Y平面上に質量miの小さな
物体が位置ri(xi,yi)にある。物体をY軸周りに
回したとき、慣性モーメントは
Y軸周り:
a
I Yi mi xi2
X軸周りに回したときの慣性モーメントは、
X軸周り:
xi
2
i
2
i
mi
ri(xi,yi)
yi
I mi ri mi x y I I
2
O
Y
I Xi mi yi2
それではZ軸周りに回したときの
慣性モーメントはどうなるか?
Z軸周り:
i
Z
ω
i
X
i
Y
O
Z
X
10.4
慣性モーメントに関する二つの定理
即ち、ある平面(ここではX-Y)上に小さな物体があるとき、
その平面に垂直な軸周りの物体の慣性モーメントは、
平面内の直交する軸周りの慣性モーメントの和に等しい。
Y
IZi I Xi IYi
任意の平たい剛体物体を微小物体の集合と
考えれば、任意の平らな剛体の慣性モーメントは
I Y m x
xi
2
i i
yi
i
I X mi yi2
O
i
I Z mi ri2 mi xi2 yi2
i
やっぱり
mi
ri(xi,yi)
i
IZ I X IY
Z
X
10.4
慣性モーメントに関する二つの定理
それでは I Z I X IY
を利用しよう。
円板の中心を通り、円板に垂直な軸周りの慣性モーメントは
Ma2
I
2
これはZ軸周りの慣性モーメントに相当する。
Ma2
IZ
2
それではX軸、Y軸周りの慣性モーメントは??
分からないが、少なくとも円板である限り対称性
から
I X IY は確実である。だから、
I Z I X IY 2IY
よって、
Ma2
IY
4
Y
a
O
Z
X
10.5
慣性モーメントの計算例
右図のようなひどい場合の慣性モーメント
ω
を求めよ。
5Ma2
I
4
シゲノ
a
O
10.5
慣性モーメントの計算例
質量Mの長方体の原点O軸紙面垂直
回りの慣性モーメントを求めよ
Y
(b,a)
O
M a 2 b2
フジイ
Iz
3
X
期末テスト
1.日時:
1月30日(木) 4,5限
試験時間:90分程度
2.場所:
1331番教室
3.試験範囲:講義・演習・宿題・教科書の10章までに
学んだ範囲
4.注意:
・集合時刻厳守のこと ・途中退出は認めない
・全員受験必須 ・資料持込不可
・既に60点以上を獲得している者も受験必須。
10.6
簡単な剛体の運動
(1)半径R、質量Mの円板が転がり
重心が速さvで進んでいるとき
A
ω
v
A点の速度は 左向き vA v R 2v
B
B点の速度は 左向きにvと下向き vB R v
C点の速度は vC v R 0
D点の速度は 左向きにvと上向き vD R v
となる。接点Cの速さは常にゼロ。
D
C
10.6
簡単な剛体の運動
A点→B点→C点→D点は
重心よりも遠回りして運動する。
よって滑る場合よりも
運動エネルギーを要する。
転がりの場合の運動エネルギー
A
ω
v
B
1 2 1 2 1 2 11
3 2
2 2
K Mv I Mv
MR Mv
2
2
2
22
4
滑りの場合の運動エネルギー K 1 Mv2
2
D
C
10.6
簡単な剛体の運動
A
(2)もし剛体が半径R質量Mの球体ならば
ω
転がりの場合の運動エネルギーは
v
B
D
C
1 2 1 2 1 2 12
7
2 2
K Mv I Mv
MR Mv2
2
2
2
25
10
剛体の形状によって運動エネルギーは異なる。
1 2
滑りの場合の運動エネルギーは同じ K Mv
2
10.6
簡単な剛体の運動
(3)剛体が半径R質量Mの球体が
静止状態から斜面を転がり、
鉛直方向hだけ下った場合の
球体の速さは、
7
K Mv2 Mgh
10
10
から、 v
gh 2gh
7
(4)剛体が半径R質量Mの円板なら
3 2
K Mv Mgh
4
4
v
gh 2gh
3
10.6
簡単な剛体の運動
(5)円板ヨーヨーは転がりながら落ちている。
3 2
K Mv Mgh
4
v
1 2
2
Mv M g h
2
3
ω
3 2
Mv Mgh
4
重力加速度3分の2の自由落下と同じ運動になる。
10.6
簡単な剛体の運動
(6)円板突き
b
F
もし上端からbだけ下を突いたら
どうなるか;
M
dv
1)重心の運動の式は M F f
R
dt
M 2 d
f
2)回転の運動の式は 2 R dt R b F Rf
3)転がる条件
まさつ
M d R b
R
F f
2 dt
R
dv
d
F f R b
R
F f
だから
dt
dt
2
R
3R
力の条件は F 2b R f
10.6
簡単な剛体の運動
円板突き
もし上端からbだけ下を突いたら
どうなるか;
b
F
M
b 0 点を F 3 f で突くと前方に転がる。
b 2R 点を
F 3 f で突くと後方に転がる。
まさつが無い場合f=0の回転条件は?
R
3R
F
f から、 b
2
2b R
R
点を突く場合。
f
まさつ
10.6
簡単な剛体の運動
(7)玉突きの場合
b
F
1)重心の運動の式は M dv F f
dt
2)回転の運動の式は 2M
5
R2
R
M
d
R b F Rf
dt
2 F f R b
dv
d
F f
3)転がる条件 R
から
5
R
dt
dt
力の条件は F 7R f
5b 3R
3
4)摩擦が無いときは b R 点を突くと転がる。
5
10.6
簡単な剛体の運動
(8)半径R、質量Mの円板滑車に質量m1、m2
の物体が糸でつるされている。糸の張力を図
のように定める。重力加速度をgとする。時刻
ゼロで物体を固定していた手を離した。糸は
滑車に巻きつき、滑ることなく移動すると考え
よう。m1>m2 のとき、滑車は反時計方向に回 T1
転してm1 は落下する。もしM>>m1,m2 ならば、
m1は非常にゆっくり落ちることを経験的に知っ
ている。これを考察しよう。
下向きを正にとれば、m1についての運動の式
は、
m1a T1 m1g
である。 m2については、
である。
m2 a T2 m2 g
M
R
T2
m2
m1
g
10.6
簡単な剛体の運動
M
よって、
m1 m2 a T2 T1 m1 m2 g
である。T2-T1はMを回す力である。
ちからのモーメントの大きさは、
N R T1 T2
である。(T1>T2)
dL
d MR2 d I
N
I
a
dt
dt
2 dt R
だから、 m m I a m m g
2
1
2
1
2
R
R
T2
T1
m2
m1
g
10.6
簡単な剛体の運動
M
結局、m1が落下する加速度は、
a
m1 m2 g
I
m1 m2 2
R
m1 m2 g
M
m1 m2
2
となる。
1.m1=m2の場合、a=0 自明
R
T2
T1
2.Mがm1,m2に比べて重ければ、aは小さい。
3.Mがm1,m2に比べて軽ければ、自由落下。
m2
m1
g
10.6
簡単な剛体の運動
(9)剛体振り子:
右図のように重心からaだけ離れたO点を
軸とした長さ2l 質量Mの棒の振動を考える。
1.O点回りの慣性モーメントは半径aの公転と
中心回りの自転の慣性モーメントの和である。
1 2
I Ml Ma2
3
2.力のモーメントは
θが小さいとき
N aMg sin
~ aMg
a
O
2l
θ
M
g
dL
d
d 2
I
I 2 N Mga 回転角に関する運動の式
dt
dt
dt
Mga
ga
~
θの振動の角速度は
1 2 2
I
l a
3
10.6
ga
1 2 2
l a
3
簡単な剛体の運動
から
2l
θ
1 2 2
l a
2
3
T
2
3.周期
ga
M
4.振動数ゼロ、周期無限大の条件はもちろん、
a=0(つりあい)
5.振動数最大、周期最小の条件は?
a
O
l2
a
3a
g
a
1
l
3
6.5.の理由を考えよ。 ナカムラ
7.どんな形の振り子が振動数が大きいだろうか。 シゲノ
10.6
簡単な剛体の運動
1.長さ2lの棒状剛体振り子の角振動数は以下のようになる。
Mga
ga
1 2 2
I
l a
3
0al
MAX
3
4
2.直径2lの球状剛体振り子の場合は?
Mga
ga
2 2 2
I
l a
5
3.質点振り子の場合は
Mga
g
I
l
1
4
g
l
θ
O
球
0a l
MAX
8
5
al
O
1
4
a
g
g
l
θ
l
M
l ( a)
Mg
10.6
簡単な剛体の運動
4.I Ml 2 の剛体振り子の角振動数は以下のようになる。
Mga
ga
I
l 2 a2
1
4
MAX
g
l
これは、直径2lの円板振り子
MAX
1
4
O
円板
1
4
g
l
O
θ
a
g
l
M
10.6
簡単な剛体の運動
5.メトロノームは剛体振り子の一種である。
錘の位置によって振動周期が変化する。
これまでの勉強を用いてメトロノームの
動作を解析しよう。
錘の位置がどこにあるとき、周期が最小に
なるだろうか?
①棒の長さを2l重さをmとする。
②錘は一辺2dの正方形で重さMとする。
重心が支点から距離rにあるとする。
③棒と錘の慣性モーメントは
1
2
1
2
I ml 2 ml 2 Mr 2 Md 2 ml 2 ml 2 Md 2 Mr 2
3
3
3
3
常数
変数
10.6
簡単な剛体の運動
力のモーメントは
N lm rM g sin
大胆に
N ~ lm rM g
と仮定すれば、
lm rM g
I
lm rM g
2 1 2 2
2
2
ml
ml
Md
Mr
3
3
m
l
r
M
g
m 2 1 m 2 2 2 2
M l 3 M l 3d r
m
m 2 1m 2 2 2
Al
B l
l d
M
M
3M
3
と置く。
10.6
簡単な剛体の運動
A r
g
B r2
r A A2 B
2
m
m m 2 1m 2 2 2
l l l
l d
M
3M
3
M M
のときにωは最大となる。
M m ならば
2
r d のときにωは最大となる。
3
構造上 rはd以下にはできないから、
錘が最下点のときにω最大で周期最小となる。
ま
10.6
簡単な剛体の運動
(10)ベクトルとその時間微分が直交する場合のベクトルの運動は
どのようなものか?
dA
A
0
dt
d
A A 0
dt
A A A
2
At x A t y A2
ベクトルの回転運動。
A r なら、rベクトルの回転運動。
dr
v
v r
dt
v
1 dr
v
r dt
v
2
2
こま
10.6
簡単な剛体の運動
もし角運動量ベクトルならどうなる?
A L
L t x L t y L2
2
2
それは角運動量ベクトルの回転運動である。
dL
N
dt
だから、角運動量と力のモーメントが直交する場合
があるだろうか?
支点O回りに横倒しに回転しているコマが
ある。重心の距離R,質量M,慣性モーメントI、 O
角速度ω。
角運動量は大きさ L I
で紙面右向き。
M
g
力のモーメントは大きさ N MgR で紙面垂直奥向き。
こま
10.6
簡単な剛体の運動
角運動量と、力のモーメントは直交している。
d(t )
I
MgR(t )
dt
角運動量と、力のモーメントとの単位ベクトルを i とj としよう。
di(t )
I
MgR j(t )
dt
di(t ) MgR
j(t )
dt
I
O
M
g
MgR
角運動量の単位ベクトルiは角振動数
I で回転する。
10.6
簡単な剛体の運動
コマは支点垂直軸回りに回転する。
歳差運動という。 大変不思議。
O
M
g
こまが傾いているときの
歳差運動の角振動数はいくらになるか。
TA
θ
g