若年雇用の 安定を目指して
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Transcript 若年雇用の 安定を目指して
南山大学 寶多康弘研究会 雇用・労働分科会
加藤綾乃・深見琴子・近藤優美・安福ゆき奈
はじめに
若年者雇用問題⇒早期離職、失業率の増加
↑
重要視されてなかった
⇒自発的な離職や失業だと考えられた
実際は??
• 若者の仕事に対する価値観や考え方が変化し、働き続
けることへのこだわりが希薄化
• 雇用調整として新規採用が抑制によって希望する職業
に就くことができない
政策の方向性⇒仕事に興味を持たせること
学校でのキャリア教育
中学校⇒職場体験
高校⇒キャリア教育はやられているが、内容が曖昧で上
手くできていない
大学⇒就職活動に向けてのキャリア教育
高校のキャリア教育の改善をするべきだ!!
高校⇒普通科高校、総合科高校など
• 普通科高校・・・大学進学のための勉強が中心となって
しまうため、キャリア教育より進路指導に時間がかかる
→キャリア教育が有効に行われていない
• 総合科高校・・・目標進路にあった教育がされている
第1節 現状
(1)就職内定率
高校生・大学生等の就職内定率の推移
平成23年大学卒業者の就
職内定率は平成9年以来最
低
高卒者の就職内定率も平
成2年から平成13年にかけ
て年々減少
高卒者の就職内定率減少の要因
背景
企業における経営環境の悪化
IT化の進展などによる補助的業務の減少
業務の高度化・複雑化に伴う
大卒者等の高学歴人材への需要のシフト
高卒者の就職内定率減少の要因
求人企業が大企業から中小企業にシフト
事務職・販売食での求人が減少 → 技術工に偏る
(1)就職率
高卒者・大卒者の就職率の推移
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
高等学校
大学
高校・大学・短期大学進学率
100.0
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
高校進学率
大学進学率
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
短期大学進学率
高校進学率はほぼ100%に近い水準で推移
高校生の就職率は低迷
大学進学率は高くなってきている
高卒者の求人の減少から、
就職せず大学へ進学する人が増加
(3)失業率
完全失業率の推移
15歳から24歳の若者の失業率が他の年代
と比べて高い
15歳~34歳の求職理由別
完全失業者数
必ずしも若者は自発的に失業していない
若者の離職理由と
職場定着に関する調査
背景
若者の仕事に対する価値観や考え方の変化
→勤め続けることへのこだわりが希薄
少子化
→親の保護の下での生活が容易に
=「パラサイトシングル」の増加
自分がどんな仕事をしたいのかわからない
→就職しても興味が持てず早期離職の原因に
パラサイトシングル
学卒後も親と同居し、
基礎的生活条件を親に依存している未婚者のこと
晩婚化・少子化の根本的原因
国際的に比べても日本ほど高い国は無い
(4)雇用形態
非正規雇用
アルバイト
フリーター:「フリーアルバイト労働者」の略語
「モラトリアム型」
「やむをえず型」
「夢追求型」
派遣
ニート
学校に通学せず、独身、収入を伴う仕事をしていない15~34歳
(総務省が行っている平成21年労働調査による)
働く意思がないのがフリーターとの大きな違い
年齢別の非正規労働者の推移
%
15歳~24歳の非正規労働者は2010年に
減少したものの高い割合を維持
教育・年齢別正規職員・従業員数
(男性)
教育・年齢別正規職員・従業員数
(女性)
フリーター数の推移
ニートの数の推移
第2節 問題意識
若年者雇用の衰退が及ぼす影響
若者への技
能・スキル
の継承がで
きない
日本の治安
に悪影響
若年者
の雇用
の衰退
所得・社会
保障に悪影
響
日本経済の
発展を阻害
第1節 先行研究
自分自身の適性を見いだす力を育成するキャリ
ア教育―ホームルーム活動における単元構成と
授業展開-(2006)
ホームルーム活動を通した単元構成と授業展開に着目
この研究におけるキャリア教育⇒文部科学省のキャリア
教育の概念に基づいて生徒の進路選択や進路実現を
教師が支援することにより、生徒が卒業後も自分の人生
設計と主体的に関わり、問題に直面した際に解決策を
導き、自己実現を図る力を培っていくための教育
コミュニケーション能力と他者の理解能力の関連性、情
報収集探索能力の重要性がわかった
高校生のキャリア形成支援に資する国語教育のあり方
に関する研究:キャリア教育に求められるコミュニケー
ション能力の国語科での育成方法の検討(2008)
キャリア教育に対する国語科教育の立場からの具体的
な支援方法を提案
⇒生徒に就業体験をさせ、実社会に対する理解を深める
そのために非言語スキルを授業に組み込む必要性
キャリア教育を推進するための教員の資質・能力の向
上に関する研究―教員研修プログラム「キャリア教育指
導者養成講座」の発言・実施を通して―(2010)
キャリア教育を推進するための教員の資質・能力の向
上を図る研究のあり方について追求
この研究において、キャリア教育の指導者として必要な
能力をインストラクション能力、コンサルテーション能力、
プログラム開発・運営・評価能力、コミュニケーション能
力の5つ。この能力を伸ばすために
⇒キャリア教育の指導者の養成を目的とした教員研修プ
ログラム「キャリア教育指導者養成講座」
企業側が求める能力
出典:職業能力開発局能力評価課 「『若年者の就職能力にかんする実態調査』結果」
コミュニケーション能力、基礎学力、責任感をより重視
重視される能力とその習熟実感
出典:職業能力開発局能力評価課 「『若年者の就職能力にかんする実態調査』結果」
コミュニケーション能力、基礎学力、責任感ほど満足されていない
入職初期のキャリア形成における問題
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構
「入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査」
4領域・8能力
人間関係 情報活用 将来設計 意思決定
形成能力
能力
能力
能力
自他の理解
情報収集・探
索能力、
能力
職業理解能力
コミュニケー
ション能力
職業理解能力
役割把握・認
識能力
選択能力
計画実行能力
課題解決能力
キャリア教育の重要性
形成される能力
人間関係形成能力
情報活用能力
将来設計能力
意思決定能力
→これらは社会人になるときに備える必要がある
=キャリア教育(職場見学・職場体験)の重要性
キャリア教育の現状
高等教育ではキャリア教育が義務化されず
→学校間で勤労に対する意識の違いを生む
総合学科の登場
選択科目の中から生徒が自分で選択することが可能
生徒の個性を生かした主体的な学習を重視
自己の進路への自覚を深めさせる学習を重視
埼玉県
普通科の高校でもインターンシップを取り入れる
キャリア教育担当部署の設置有無
高校教育のなかで、キャリア教育が設置され
ていてもはっきりと確立されていない
キャリア教育を単体として設置している学校
は少ない傾向にある
生徒へのキャリア教育実施方法
多くのキャリア教育は、ホームルームや総合
の授業で行われている
⇒ホームルームとは文部科学省によって、「学
校における生徒の基礎的な生活集団として編
成したホームルームを単位として、ホーム
ルームや学校の生活への適応を図るととも
に、その充実と向上、生徒が当面する諸課題
への対応及び健全な生活態度の育成に資す
る活動を行うこと」
①キャリア教育の義務化
目的
高校生に将来出て行く社会に興味をもってもらう
雇用のミスマッチを減らし、離職率を減少させる
学校間の格差を無くす
はじめの一歩プロジェクト
高校のホームルームの時間を活用しキャリア教育を行
う。
→キャリア教育の内容を明確化させる必要がある。
キャリア教育=インターンシップというイメージ
→しかし、本稿ではキャリア教育=コミュニケーション能力
などの基礎能力を身に着けるもの。
⇒はじめの一歩プロジェクト
プロジェクトの内容・目的
1~3学年までそれぞれカリキュラムを作る
1学年:自分の意見や考えを人前で発表する
2学年:様々な問題について調べ考えたことをグループ
ディスカッション⇒自分の意見を持ち、それを他者と共有
する力を身につける目的
3学年:1・2学年の復習。自習や面接練習にあてる。
他学年交流:縦割りでグループに分け、授業やスポーツ
を行う
カリキュラムの明確化⇒キャリア教育の
確立・高校生のうちに基礎を身につける
若者のコミュニケーション能力を向上さ
せるため
PFIプログラム
はじめの一歩プログラムを行うためには…
教員がキャリア教育、道徳教育の知識、十分なコミュニ
ケーション能力を持つ必要がある。
教員が道徳教育やキャリア教育の両方を関連させた指
導ができるような教員研修のプログラム
⇒PFIプログラム
② 教員に対する政策
キャリア教育の義務化による問題点
教員のキャリア教育に
教員一人ひとり
の負担が増加
対する知識・理解不足
一般企業の就職
活動をした経験
が少ない
教員志望の大学生に大学在学中で
のインターンシップ参加を義務化
今後の課題
キャリア教育が若年者の雇用に与える影響
私たちの政策の有効性