Transcript その3

3 安全と規制
生物災害Biohazard
• 生命科学や医学の研究に伴う危険、研究
室内の安全も遺伝子組み換えなどバイオ
技術に伴う危険も含まれる
• 研究者の感染は病原菌の発見とほぼ同時
• 例:1883 コッホ コレラ菌の発見
1894
年 ピペットによる感染
• マーブルグ事件1967がきっかけ
• 危険回避には環境破壊も含まれる
安全と科学研究
• 安全の問題例:透析アミロイドーシス 人工透析が原
因の病気 β2ミクログロビンが血中に沈着
• 安全の問題例:プリオン病は200年以上も前から
知られているが、牛からの感染例は知られてい
なかった
• 科学の暫定性:パラダイムが崩れると安全でなく
なる→100%の安全はありえない
• 不断の努力が必要
先端医療・先端技術と生命倫理
• 安全か:患者だけでなく、医療従事者の安
全、さらに他の生物にも安全か
• 他の生物を犠牲にしていないか
• 個人情報
• 生命観に影響を与えないか
事故に対処するには
• 未然に防ぐ:公益目的の内部告発は法律
により保護されている(奨励?)
• 1 第3者による厳格な調査
• 2 速やかな公表
• 3 効果的な再発防止策の策定
DNA組み換え実験
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1974 Berg実験の一時停止を提案
1976 NIHが指針(ガイドライン)を制定
1979 日本のガイドライン
2004 現在はカルタヘナ法
異種間の組み換えで増殖能がある場合が
規制の対象、同種間は対象でない
• 物理的な封じ込めP1-4 生物学的封じ込
めB1-2
• 届け出るので実験のアイディアが盗まれる
おそれがある
カルタヘナ法
• 正式には「遺伝子組換え生物等の使用等の規制
による生物の多様性の確保に関する法律」
• [1]生物多様性の保全、[2]生物多様性の構成要
素の持続可能な利用及び、[3]遺伝資源の利用
から生ずる利益の公正な配分、を目的とする
• 2000年、「生物の多様性に関するバイオセーフ
ティに関する条約のカルタヘナ議定書」が採択、こ
れに基づき6月にカルタヘナ法が公布、翌年(平成
16年)2月から施行
カルタヘナ法ー概要ー
• 執るべき拡散防止措置が定まっている場
合、それにしたがって実験
• 執るべき拡散防止措置が決まっていない
場合には、大臣の確認を受ける(大臣承認
実験)
• 遺伝子組み換え生物の輸出入の規制、実
験等の違反者への罰則
• 実験計画の提出と承認手続き
• 教育、健康診断、安全委員会(出来れば文系と
医系委員の参加)、記録の保管
遺伝子組換え実験の分類
1.機関届出実験
同定済み核酸
P1レベルの拡散防止措置 (物理的封じ込め)
2.機関承認実験
同定済み核酸 P2レベル
未同定核酸
P1レベル
3.大臣確認実験
同定済み核酸 P3レベル
同定済み核酸 病原性を高める遺伝子
未同定核酸
病原性不明
物理的封じ込め(P1レベル)
P1レベルに必要とされる設備
①実験中は、実験室の窓及び扉は閉じておくこと。(閉鎖系)
②実験台は、毎日、実験終了後消毒すること。また、実験中汚染が生じた場合には、
直ちに消毒すること。(なるべく、他の実験台と区別)
③実験に係る生物に由来するすべての廃棄物は、廃棄の前に滅菌すること。その他
の汚染された機器等は、洗浄、再使用又は廃棄の前に消毒又は滅菌すること。
(実験室内にオートクレーブを設置)
④口を使うピペット操作は行わないこと。(なるべく機械式ピペットの使用)
⑤実験室内での飲食、喫煙又は食品の保存はしないこと。(表示をする)
⑥組換え体を取扱い後又は実験室を出るときは、手を洗うこと。
物理的封じ込め(P2レベル)
P1レベルの設備に以下のものを加える
①安全キャビネット(クラスⅠ、Ⅱ)
②機械式ピペット
③実験が進行中の場合には、実験室の入り口にP2 レベル実験中の旨を表示す
る
④組換え体を保管する冷凍庫、冷蔵庫等にもその旨(P2レベル)を表示すること。
⑤安全キャビネットのHEPAフィルターについては、その交換直前及び検査時に、
安全キャビネットを密閉し、10 g/m3 のホルムアルデヒド燻蒸により汚染を除去す
ること。
⑥封じ込めレベルがP 1 でよいとされる他の実験を同じ実験室で同時に実施す
る場合は、明確に区域を設定して注意深く行うこと。
物理的封じ込め(P3レベル)
• 独立隔離した実験室で安全キャビネット
(定期点検)を備える
• 機械ピペットの使用が必要
• 前が開かない専用の実験着、手袋を着用
• 更衣室を備えた前室をおく
罰則
○ 以下の例のとおり、違反時には罰則が科せられる。最も重い
もので、1年以内の懲役若しくは100万円以内の罰金、又はこ
れの併科
ⅰ)措置命令に違反した者
→ 1年以内の懲役、100万円以内の罰金
ⅱ)第一種使用規程の承認を受けないで第一種使用等をした者
→ 6月以内の懲役、50万円以内の罰金
ⅲ)拡散防止措置の確認を受けないで第二種使用等をした者
→ 50万円以内の罰金
ⅳ)必要な情報提供をせずに譲渡等をした者
→ 50万円以内の罰金
ⅴ)必要な通告や表示をせずに輸出をした者
→ 50万円以内の罰金
微生物取り扱いに関する規制
「感染症の予防及び感染症の患者に対する
医療に関する法律」
1999年4月 施行
バイオセーフティの基本
• 感染源と感染微生物を理解する。
病原性、治療法(有効な薬剤)
滅菌・消毒法
• 感染源の除去と感染経路を遮断
滅菌・消毒法、
手袋、防眼鏡やマスクの使用
滅菌と消毒
• 無菌とは、すべての微生物が存在しないこと。
• 滅菌とは、無菌性を達成するためのプロセス
1兆分の1(1012分の1)に菌数を減少させる
• 消毒は生存する微生物の数を減らすために用いる
処置法.
必ずしも微生物をすべて殺滅したり除去するも
のではない
細菌に対して、作用5分間で1万分の1以下に菌
数を減らすと規定→ 99.99%の細菌を除去
もし、1万個の細菌がいたら、1個にする
実験動物に関する規制
動物実験
苦痛を与えない 数を減らす 代替を考え
る 魚、微生物、培養細胞に代える
法律「動物愛護に関する法律」、「大学等
における動物実験について」文部省通達
委員会を設置し、実験計画の承認を得る。
ヒトを対象とする実験の規制
5原則
自発的同意
説明と同意
無償の提供(交通費などは別)
個人情報の保護、 DNA提供者の人権保
護
倫理委員会の設置