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戸田市政策研究所シンポジウム
2010年2月27日(土)
@戸田市文化会館301会議室
効率的な行財政運営と政策開発
金子 林太郎
(敬愛大学経済学部)
講師自己紹介
 1977年福岡県柳川市生まれ
 2002年3月 九州大学院経済学府修士課程修了
 2002年4月
〃
博士後期課程進学
・・・産業廃棄物税の研究→2006年3月学位取得
 2002年4月 (財)福岡県市町村研究所 特別研究員
・・・地方行財政に関する研究・研究補助(2005年3月まで)
 2005年4月 九州大学大学院経済学研究院 助手
 2006年4月
〃
専門研究員
 2007年4月 敬愛大学経済学部 専任講師(現在にいたる)
・・・財政学,地方財政論,環境問題(と政策)を担当
本日お話しする内容
0.
•
•
•
•
•
講師自己紹介等
現状(2010年)の確認
地方分権の意義
地方行財政運営における「効率性」
効率性と政策研究の関係
自治体シンクタンクへの期待と課題
1.現状(2010年)の確認
現状(2010年)の確認
 「地方分権一括法」施行から10年
 この10年間の主な動き
機関委任事務の廃止
市町村合併の進展(平成の大合併)
三位一体の改革(2004~2006年度)
財政健全化法の施行
地方分権改革推進法
 「地方分権」の意識が浸透し,自治体の行動にも変
化が出てきた。
現状(2010年)の確認
 国が作った政策の実行主体としての「地方公共団
体」から脱皮して,
 自律的に政策を開発し実行する「地方自治体」に進
化しつつある。
外部環境の変化
(分権改革)
刺激
自治体職員・自治体
の意識変化
対応策の模索・実践
自治体の活動(政策)
の変化
今後
政策の結果の変化
(地域活性化・地域再生)
2.地方分権の意義
地方分権の意義の確認
地方分権の背景
工業化社会に対応した社会資本整備,最低限の
生活水準(ナショナル・ミニマム)の確保の実現。
社会の成熟化,一定の豊かさが実現。人々の価値
観が多様化。
必需的・基礎的サービスの提供を超え,高次・選択的
サービスをも供給している。
集権的システムでは非効率になった。
地方分権によって,効率性が改善される。
→「オーツの分権化定理」が説明。
(出典)岡本全勝『新地方自治入門』p.6
地方分権の意義の確認
地方分権の背景
工業化社会に対応した社会資本整備,最低限の
生活水準(ナショナル・ミニマム)の確保の実現。
社会の成熟化,一定の豊かさが実現。人々の価値
観が多様化。
必需的・基礎的サービスの提供を超え,高次・選択的
サービスをも供給している。
集権的システムでは非効率になった。
地方分権によって,効率性が改善される。
→「オーツの分権化定理」が説明。
オーツの分権化定理
 仮定:
価格
DB
B市民の公共サービス
に対する限界便益
A市民の公共サービス
に対する限界便益
DA
サービス生産の
限界費用
P
O
QN
国が決めた
供給量
(集権的)
サービス
供給量
 A市とB市の2市があり,
地域ごとに公共サービス
に対する住民の選好が
異なる(所得水準の差な
どの影響による) 。
⇒ある公共サービスに対し
て,A市民よりB市民が大
きな(より高い)便益を感
じている。
 この公共サービスを生産
する限界費用は一定。
 国がこの公共サービスの
供給量をQNにしていると
き,効率性はどうか?
※経済学における「限界」とは,「追加的な」という意味。
オーツの分権化定理
価格
A市民,B市民の
公共サービスに対する限界便益
DB
B市民の
厚生ロス
DA
A
P
C
B
A市民の
厚生ロス
O
QA
A市の
最適供給量
QN
国が決めた
供給量
(集権的)
QB
 最適な供給量は,
A市・・・QA,B市・・・QB
 公共サービスを集権的
にQNだけ供給すると,
サービス生産の
限界費用
 A市にとっては過剰供給,
 B市にとっては過少供給。
※どちらにとっても非効率。
 分権により各市に供給
量の決定を任せること
サービス
で,厚生ロスが解消す
供給量
る。(効率性の確保)
B市の
最適供給量
※経済学における「限界」とは,「追加的な」という意味。
オーツの分権化定理
価格
(最適供給量の解説1)
 QAより少ないとき,
A市民の
公共サービスに対する限界便益
限界便益>限界費用
DA
→公共サービスによって,純
便益が増える。
→もっと供給量を増やすべき。
純粋にプラスの部分
(純便益)
P
O
サービス生産の
限界費用
A
QA
A市の
最適供給量
 QAより多いとき,
QN
国が決めた
供給量
(集権的)
限界便益<限界費用
→公共サービスによって,純
便益が減ってしまう。
→供給量を減らすべき。
⇒限界便益と限界費用が等
サービス しくなるQAが最適な(最も
供給量
純便益が大きくなる)供給
量である。
※経済学における「限界」とは,「追加的な」という意味。
オーツの分権化定理
価格
(最適供給量の解説2)
 QAより少ないとき,
A市民の
公共サービスに対する限界便益
限界便益>限界費用
DA
→公共サービスによって,純
便益が増える。
→もっと供給量を増やす。
純粋にマイナスの部分
(純損失)
P
O
A
QA
A市の
最適供給量
C
QN
国が決めた
供給量
(集権的)
 QAより多いとき,
サービス生産の
限界費用
限界便益<限界費用
→公共サービスによって,純
損失が生じてしまう。
→供給量を減らすべき。
⇒限界便益と限界費用が等
サービス しくなるQAが最適な(最も
供給量
純便益が大きくなる)供給
量である。
※経済学における「限界」とは,「追加的な」という意味。
オーツの分権化定理
価格
(最適供給量の解説3)
 QAより少ないとき,
A市民の
公共サービスに対する限界便益
限界便益>限界費用
DA
P
O
→公共サービスによって,純
便益が増える。
→もっと供給量を増やす。
これより少なくても損,
これより多くても損。
A
QA
A市の
最適供給量
C
QN
国が決めた
供給量
(集権的)
 QAより多いとき,
サービス生産の
限界費用
限界便益<限界費用
→公共サービスによって,純
便益が減ってしまう。
→供給量を減らす。
⇒限界便益と限界費用が等
サービス しくなるQAが最適な(最も
供給量
純便益が大きくなる)供給
量である。
※経済学における「限界」とは,「追加的な」という意味。
オーツの分権化定理
価格
(結論1)
 最適な供給量は,
A市・・・QA,B市・・・QB
 公共サービスを集権的
にQNだけ供給すると,
A市民,B市民の
公共サービスに対する限界便益
DB
B市民の
厚生ロス
DA
 A市にとっては過剰供給,
(費用に対して,得られる便益
が小さいのに供給される。)
A
P
C
B
サービス生産の
限界費用
(費用よりも得られる便益が大き
いのに供給されない。)
※どちらにとっても非効率。
A市民の
厚生ロス
O
 B市にとっては過少供給。
サービス
供給量
QA
A市の
最適供給量
QN
国が決めた
供給量
(集権的)
QB
B市の
最適供給量
 分権して各市に供給量
の決定を任せることで,
厚生ロスが解消する。
(効率性の確保)
※経済学における「限界」とは,「追加的な」という意味。
オーツの分権化定理
価格
(結論2)
A市民,B市民の
公共サービスに対する限界便益
DB
 仮定:地域ごとに公共
サービスに対する住民
の選好は異なる。(所
得水準の差などの影
響)
 公共サービスを集権的
に供給すると,
B市民の
厚生ロス解消
DA
A
P
C
B
サービス生産の
限界費用
 A市にとっては過剰供給,
 B市にとっては過少供給。
A市民の
厚生ロス解消
O
サービス
供給量
QA
A市の
最適供給量
(分権的)
QN
国が決めた
供給量
QB
B市の
最適供給量
(分権的)
 分権して各市に供給量
の決定を任せることで,
厚生ロスが解消する。
(効率性の確保)
※経済学における「限界」とは,「追加的な」という意味。
3.行財政運営における効率性
民間部門,財政の運営原則と効率性
 民間(家計,企業)の運営原則は「量入制出」
・・・収入の範囲内で,支出をコントロールする。
 財政(政府)の運営原則は「量出制入」
・・・必要な支出を量って,収入をコントロールする。
本来は必要な支出を,税で強制的に徴収することができる
はず(議会での承認を経て)。
実際は(特に地方自治体の)税のコントロール権限が小さい。
※小さい「歳入の自治」は「責任ある自治体運営」にとって障害。
・・・分権改革の(超)長期的な課題。
⇒量入制出的な行財政運営には,効率性の意識が必
要。
欲望と資源の関係~効率性の意義
 「限りないもの それが欲望~♪」
(井上陽水「限りない欲望」の一節)
 「限りあるもの それが資源」
⇒限られた資源で,最大の満足を達成するにはどう
したらいいか。 (経済学の課題,「効率性」)
 地方自治法第2条第14項・・・「地方公共団体は,そ
の事務を処理するに当つては,住民の福祉の増進
に努めるとともに,最少の経費で最大の効果を挙げ
るようにしなければならない」
行財政運営における効率性とは
 2つの効率性基準
1. 生産の効率性・・・手持ちの資源を無駄なく使っ
て公共サービスを生産しているか。
2. 配分の効率性・・・住民ニーズに対応した公共
サービス内容になっているか。
 公共サービスの内容が多様化している現在では,
配分の効率性に注意することが重要。
⇒地域住民の選好をよく把握することが肝要。
公共サービス提供における2つの効率性
(生産可能性フロンティアの説明1)
ハード事業(道路)
F1
A
E
 ソフト事業に投入すれば,OF2
だけ生産できる。
 ハード事業に投入すればOF1
だけ生産できる。
D
H*
B
C
O
S*
 自治体は,自らが持っている
資源(カネ,ヒト)を使って公共
サービスを生産している。
 公共サービスは2種類(ソフト
事業,ハード事業)しかないと
する。
 全ての資源を・・・
F2
 色付きの領域は,自治体の
現有資源で生産可能な2種類
の公共サービスの量の組み
合わせの集合。
ソフト事業(福祉)
公共サービス提供における2つの効率性
(生産可能性フロンティアの説明2)
ハード事業(道路)
F1
A
E
D
H*
B
C
O
S*
F2
 全資源をハード事業につぎ
こんでいる状態(F1)では,
ハード事業を減らせば,ソ
フト事業を行うことができる。
(ハード事業を減らさないとソ
フト事業を増やせない)
 F1F2線は,自治体の現有
資源で最大限生産可能な2
種類の公共サービスの組
み合わせである。
→F1F2は生産可能性フロン
ティアと呼ばれる。
ソフト事業(福祉)
公共サービス提供における2つの効率性
(生産可能性フロンティアの説明3)
ハード事業(道路)
F1
A
D
H*
B
C
O
S*
F2
 F1F2線上では,一方の公共
サービスを増やすためには,
他方を減らさなければなら
ない。・・・資源がフル活用
されているから。
 F1F2線より内側では,両方
を同時に増やすこともでき
る。・・・資源がフル活用さ
れていないから。
⇒ F1F2線上で生産していれば,
「生産の効率性」は満たさ
れている。
ソフト事業(福祉)
公共サービス提供における2つの効率性
ハード事業(道路)
F1F2上であればどの点でも
「生産の効率性」は
達成されている。
問: F1F2上のどの
点で生産するか?
F1
A
E
D
H*
B
答:住民が最も高い
満足度(効用)を
得られる点Dで。
C
(配分の効率性)
O
ソフト事業(福祉)
S*
F2
公共サービス提供における2つの効率性
(公共サービスに対する住民の効用の説明1)
ハード事業(道路)
公共サービスに対する無差別曲線
・この線の上ではどの点(2種類の公共サービスの
消費量の組み合わせ)でも 住民の効用(満足度)は等しい。
W1
※無差別=「等しい」という意味。
W0
HA
•A点ではハード事業をHA,ソフト事業をSA
消費して,W1という効用(満足)を得ている。
A
•この状況からハード事業を青線の分だけ
減らすと,効用は下がる。
B
C
O
•そこでソフト事業を赤線の分だけ増やすと,
効用は元の水準(W1)に戻る。
•W0はW1よりも低い効用の無差別曲
線。⇒右上方の線ほど効用が高い。
ソフト事業(福祉)
SA
公共サービス提供における2つの効率性
(配分の効率性の説明1)
ハード事業(道路)
W3
W2
W1
F1
A
E
D
公共サービスに対する
無差別曲線
 住民は2種類の公共サービ
スから効用を得る。
 W3のような高い効用が得ら
れるような公共サービスは資
源が足りないため提供できな
い。
 自治体がA点のような組合わ
せで公共サービスを生産して
いるとき,生産の効率性は満
たすが・・・
B
C
・住民の満足度は
上の線ほど高い。
O
F2
ソフト事業(福祉)
公共サービス提供における2つの効率性
(配分の効率性の説明2)
ハード事業(道路)
W2
W1
F1
A
D
B
公共サービスに対する
無差別曲線
 A点での公共サービス生産は,
生産の効率性を満たしていて
問題ないようだが,
 住民の効用はW1で,B点のと
きと同じ効用になる。⇒B点は
生産の効率性を満たさない。
⇒A点も実質的に生産の効率
性を満たさない=配分の効率
性に反する。
C
・住民の満足度は
上の線ほど高い。
O
F2
ソフト事業(福祉)
公共サービス提供における2つの効率性
(配分の効率性の説明3)
ハード事業(道路)
公共サービスに対する
無差別曲線
W2
 A点ではなく,D点で生産す
れば,
 住民はW1より高いW2の効
用が得られる。
 これ以上高い効用は得ら
れない。(一方のサービスを
W1
F1
A
D
増やすには他方を減らさない
といけないから。)⇒効率的。
B
(配分の効率性)
C
・住民の満足度は
上の線ほど高い。
O
F2
ソフト事業(福祉)
※D点では,生産可能性フロンティアと無差別曲線が接している。
公共サービス提供における2つの効率性
ハード事業(道路)
F1F2上であればどの点でも
「生産の効率性」は
達成されている。
問: F1F2上のどの
点で生産するか?
F1
W3
公共サービスに対する無差別曲線
W2
・各線の上ではどの点でも
住民の効用(満足度)は等しい。
W1
A
E
D
H*
B
答:住民が最も高い
満足度(効用)を
得られる点Dで。
C
・住民の満足度は
上の線ほど高い。
(配分の効率性)
O
自治体は住民の選好を
知ることが肝要。
ソフト事業(福祉)
S*
F2
「配分の効率性」の重要性
ハード事業(道路) Wa
わが町の住民の選好は
どちら?
Wb
★公共サービスに対する無差別曲線のタイプは
地域ごとに異なっている(住民の属性の違いによる)。
F
 Wbのような選好(無差別曲
線)なのに,A点で生産を
行ったら・・・,
 住民はWbより低い効用し
か得られない。
A
B
O
自治体は住民の選好を
知ることが肝要。
ソフト事業(福祉)
F
・・・自治体における政策研究(特に調査)の意義。
4.効率性と政策研究の関係
効率性と自治体における政策研究
 2つの効率性と自治体における政策研究の対応関
係は,
住民ニーズ(地域課題)の把握・・・「調査研究機能」
⇒配分の効率性の確保
課題克服方策の開発・・・「調査研究機能」
職員の政策形成能力の向上・・・「政策支援機能」
⇒生産の効率性の確保
職員の政策形成能力の向上は,生産可能性フロンティア
(前掲図のF1F2)の拡大につながる。
⇒住民福祉の更なる向上が可能。
効率性と自治体における政策研究
(政策研究の効果の説明)
ハード事業(道路)
W3
 政策研究によって,職員の政
策形成能力が向上すれば,
W2
W1
生産可能性
フロンティア
の拡大
F1
 住民の選好をより的確に把握
することで,配分の効率性が
確保できる。
 生産可能性フロンティアが拡
大し,住民により高い効用を
提供できる。
A
E
 政策形成力の高い自治体は,
住民により高い効用を提供で
きる。
D
B
C
・住民の満足度は
上の線ほど高い。
O
F2
ソフト事業(福祉)
☆政策研究の重要性についてご理解いただけたでしょうか?
5.自治体シンクタンクへの
期待と課題
自治体シンクタンクへの期待と課題
 政策課題を見つけ出し,解決策を検討し立案する「攻め」の姿勢
の職員を増やすことが地域の魅力を高めるために大事。
 「現場の経験」+「学術的な知識」>「学術的な知識」+「現場の経験」
(講演者の経験に基づく感想)
 (物理的な空間に限らず)研究の「場」を用意することの意義は
大きい。⇒職員の意識に刺激を与える。
 分権時代に入庁した職員も増加。若手職員には,意識強化が
課題。
 ベテラン職員の豊富な経験を,どう政策に転化・反映させていく
かも課題。・・・世代と意識の差をどう埋めるか。
 住民のニーズ,地域課題の捕捉のために,研究において住民
の知識の活用も課題ではないか。
自治体シンクタンクへの期待と課題
 他の自治体との連携による研究の深化・・・
 自治体での政策研究の目的は第一義的には自地域の活性化だが,
 共通あるいは類似の問題を抱えた他の自治体との共同研究で,新し
い視点から解決策が見つかるかもしれない。
 小規模町村(財政的,人員的に政策研究の余裕がないと思われる)
との連携では,都市内の地域問題への対処方策のヒントが見つかる
かもしれない。
→自治体内に目を光らせるだけでなく,自治体外にも目を向けるシンク
タンクであって欲しい。
まとめ
 地方分権一括法施行から10年経って,まだ改革の
途上だが,自治体職員・自治体に「分権」が浸透し
てきた。
 分権は,公共サービス供給の効率性を高める効果
がある。
 量入制出的な行財政運営を強いられる中で,2つの
効率性(生産の効率性,配分の効率性)が重要。
 政策研究による自治体職員の政策形成能力向上で
公共サービスの生産可能性フロンティアが広がる。
 住民により高い満足を提供できる魅力ある都市へ。
 自治体シンクタンクで政策研究を刺激する。
おまけ
(財)福岡県市町村研究所での経験から
 2002年4月~2005年3月まで特別研究員(非常勤)として勤務。
 研究所の概要
 設立:2000年3月(福岡県都市研究センターと福岡県市町村ふる
さと交流センターを統合して設立) ※2005年3月に閉鎖。
 目的:市町村相互間の情報交換及び市町村問題の共同研究の
促進を図るために必要な諸事業を行い,もって住民福祉の増進
に資すること。
 事業:①研修会の開催,②研究所としての自主研究,③委託研究,
④情報収集・発信。
 研究体制:常勤研究員は市町村から派遣の3名。専門研究員とし
て大学教授1名,特別研究員として大学院生(博士課程)1名。こ
のほか,研究会員(共同研究を行う市町村職員)20~30名。
(財)福岡県市町村研究所での経験から
 市町村研究所の調査研究事業の内容
 特別研究・・・研究所としての研究事業。常勤研究員が専門研究
員,特別研究員の指導・助言を受けながら,共同で研究を実施。
 自主研究・・・常勤研究員が独自にテーマを設定して個別に行う研
究。専門研究員,特別研究員が随時指導・助言する。
 共同研究・・・テーマを提示し,市町村から研究会員を募り,集まっ
た研究会員が共同で研究を行うもの。テーマに沿って専門的助言
を受けられるよう大学教授にアドバイザー(研究顧問)を依頼。
~自治体が抱える政策課題は高度化・専門化している。
 成果の報告機会・・・特別研究・自主研究は研究所発行の『研究
年報』に論文として発表。共同研究はテーマ(研究会)ごとに報告
書を作成し,「研究発表会」で発表。
(財)福岡県市町村研究所の経験から
 平成12年度
~共同研究テーマ一覧
 都市財政の企業会計的財政分析~行政評価への展開に向けて
 事務事業評価システム~実施計画の進行管理と評価
 平成13年度
 市町村行政とIT(情報技術)の活用
 NPOと自治体~NPOと行政の協働の可能性と市町村行政に与える影響
 平成14年度








環境政策~環境教育,廃棄物処理
職員の資質向上~地方自治新時代における人材育成の方向性
人事評価制度について~自治体及び民間企業の動向
行政評価の導入と運用~確かな自治体経営のために
住民参加を重視したまちづくり~目指せパートナーシップ共汗・快汗のまちづくり
分権時代の地方財政~地方自治体の新たなステップのために
広域連携のありかた~市町村合併について考える
分権改革後の自治立法~政策実現のための法務
 平成15年度
 分権改革後のまちづくりと自治立法~市民参加の実効性を求めて
 GIS(地理情報システム)の広域的な導入に向けて
 扉の先をめざして~住民福祉サービス向上への二つの鍵~
 平成16年度
 公立文化施設の望ましい運営の在り方~指定管理者制度の導入を視座に
 分権改革後の自治立法~条例の行政分野別における動向と分析
 合併後のまちづくり~新しい自治の胎動を願って
(財)福岡県市町村研究所の経験から
研究員という意識への壁
研究会員の不安な顔と成長
共同研究の難しさ
研究会の日程調整,アドバイザーの選定(シンクタ
ンクという組織形態は,専門家との関係構築に有
利?)
1年という研究期間~実質的には10~11ヶ月→そ
れなりの成果を出すことの難しさ。結果より過程?
研究会としての研究成果とりまとめ~研究会員個
別の問題意識との乖離→政策反映性への影響も
講演は以上です.
ご清聴ありがとうございました.
The End