3年間のあゆみ~その評価(三朝温泉病院.坂根裕子)

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Transcript 3年間のあゆみ~その評価(三朝温泉病院.坂根裕子)

平成26年度 看護職のワークライフバランス推進フォーラム
3年間のあゆみ~その評価
鳥取県中部医師会立三朝温泉病院
H,27,2,28
坂根 裕子
病院概要
病床数: 178床
一般病棟 69床(2看護単位)
(地域包括病床14床)
療養病棟 35床
回復期リハビリ病棟 60床
入院基本料:一般病棟 7対1
回復期リハビリテーション入院基本料3
療養病棟入院基本料 2
平均在院日数: 一般病棟16.7日
病床稼働率: 85.4%(年度累計)
看護部概要
看護要員:
看護師職員
看護補助者
看護単位:
143名
110名(正規職員103名)
33名
6単位
勤務形態:一般病棟:看護師三交代、看護補助者二交代制
療養病棟・回復期リハビリ病棟:二交代制
平均年齢:
38.7歳
離 職 率: 平成24年度(6.4%) 平成25年度(3.1%)
有休取得率:23年度(37.7%)24年度(58.7%)
25年度(68.2%)
3年間の取り組み目標
ミッション
ビジョン
3年後のゴール
安全安心な医療を提供し、地域から信頼
される病院を目指す
・仕事と家庭を両立し、働き続けられる職場を
目指す
・一人ひとりを大切にした組織風土を定着させる
仕事と家庭が両立しやすい職場環境に向けた
改善を行い、働き方の満足度が上がる
⇒満足度50.6%が70%になる
・病棟間の業務の偏りを是正し、時間外勤務を軽減する
・制度休暇が導入され、有休が取得しやすくなる⇒ 37.7%が50%になる
・人事評価システムが定着し、やりがい感につなげることができる
1年目のインデックス調査から見えた課題
1.育児、介護支援にかかわる制度の認知、活用が十分とは
いえない
60%
2.「長期休暇が取得できる」 25%
「有休取得が必要に応じて取得出来る」
⇒ 32%と低く希望時に休みが取りにくいと感じている
3.「仕事量、内容が妥当な給与と思わない」
⇒ 60%と高く職員を適切に評価するシステムが無い
ことでやりがい感に繋っていない可能性
4.「健康に不安を抱えながら勤務している」
⇒ 32%と低く、そのうち40歳以上が50%を占めている
3年間のアクションプラン
1.WLB推進体制の拡大、継続
2.就業規則の周知、継続
3.時間外勤務削減の取り組み、継続
4.休暇取得促進(H.25~)
5.夜勤時間短縮、勤務体制改善(H.25~)
*人事評価システムの構築
病院として取り組みH.27.4から開始予定
アクションプラン1
推進体制の拡大・拡充
平成26年度
平成25年度
平成24年度
院長方針
看護部→病院全体へ拡大
インデックス調査の結果
から
・院長による将来ビジョン
説明会
・推進委員メンバーは他職種
看護協会WLB参加
・幹部会議で病院とし
て取り組みを決定
・WLB推進委員会発
足(12名)
・職員全体に説明会
も参加(23名)
・委員会開催 月1回→月2回
小集団グループ活動
推進統括グループ活動
・職員満足度調査実施
・WLBレター発行
・人事考課導入準備
(H.27.4導入)
職員説明会
管理者説明会
アクションプラン2
平成26年度
就業規則の周知・継続
平成25年度
平成24年度
休暇制度ハンドブック
規則の認識が低い」
・職員説明会実施3回
各職場に配布
院内ラン掲示
「休暇取得マニュアル」作成
職員配布
就業規則の学習会(師長会)
以前低い値
完成
インデックス調査結果
「育児と介護にかかわる就業
インデックス調査では
・職員の声を聞き、追加
修正
・職員は自ら該当しない
ことは関心度が低い
・必要時、いつでも確認
することができる、手続
き方法がわかるなど効
果的
休暇制度ハンドブックと
職員への説明会(H.25)
アクションプラン 3
平成26年度
時間外勤務削減の取り組み
平成25年度
平成24年度
時間外勤務が多い
(73%)
前年度より時間外勤務20%削減
を全部署の目標として活動
・各部署で超過勤務削減目標、対策
を挙げ取り組んだ →目標達成
・病棟別看護業務量実態調査
・時間外勤務実態調査
(前残業、後残業、
持ち帰り仕事)
・始業前残業対策
申し送りの短縮
・応援体制
・ノー残業デー
ポスター作成
(日勤業務)
・時間外勤務意識調査を残業時間の
多い2部門(医事課、リハ科)で実施
・ノー残業デーを全職場に拡大
ポスター掲示、朝の声かけで意識
づけ
・「労務管理について」 院内研修会
・超過勤務命令用紙を改訂
取り組み継続・啓蒙
・部署ごとでは限界
→病院全体で統一
ノー残業デー決定
(第2木)
・各職場超過勤務削減
目標・対策継続
・病棟間、他部署間
業務調整がスムーズ
・ノー残業デーポスター
公募→ 優秀賞
院内で表彰
各部署ノー残業デーと
超過勤務削減の目標と対策
(平成25年度)
超過勤務実績(平成25年)
※は達成した部署
目標:平成24年度の総超過勤務時間20%削減
3,000
※
2,500
遅出勤務帯実施
他部署の応援体制
タイムリーな記録
2,168
※
578
436
1,164
0
総
務
課
※
1,206
1,054
1,022
1,004
※
※
86
時間
H25年
※
1,500
500
H24年
2,435
2,000
1,000
※
整形病棟削減
7
115
1
198 294
139
264
1,077
940
796
526
157155 184 137
1,326
※
918
※
631
220
79
725
※
501
※
137 91
保 経 医 栄 リ 薬 放 検 連 1 2 2 3 外 中 看
育 理 事 養 ハ 剤 射 査 携 病 病 ー 病 来 材 護
所 課 課 管 科 科 線 科 室 棟 棟 2 棟 ※ ※ 部
病 ※
※
※ 理
科
※
長
棟
室
室
※
年度別 月一人当たり平均超過勤務時間数
(平成24年度~平成26年1月)
12.0
時間
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
平成24年度
0.0
平成25年度
平成26年度
24年11月と26年1月を比較
整形外科一般病棟 7.0時間⇒3.6時間⇒4.2時間
看護部全体
4.0時間⇒2.8時間⇒2.4時間
看護部以外の部門 6.5時間⇒4.6時間⇒3.0時間
<結果>
全体的に超過勤務時間
は減少しており、残業時
間削減の取り組み成果
がみられる
平成26年度
院内統一ノー残業デー ポスター公募
(第2木曜日)
毎月第二木曜日はノー残業デー! !
定時に帰ってリフレッシュ
ワークライフバランス推進委員会
院長賞
ワークライフバランス推進委員会
最優秀賞
アクションプラン4
休暇取得促進の取り組み
平成26年度
平成25年度
目標:取得目標40% が達成
25年度有休最低取得ライン40%を目標
・連続休暇・長期休暇推進
リフレッシュ休暇3日(名称変更)
アニバーサリー休暇1日(新設)
・有休取得促進ポスターを各職場に
掲示し意識付け
・各職場管理者に休暇取得計画書と運用
マニュアルを配布
できるよう働きかける
・有給取得啓蒙活動
「川柳」募集→院内で表彰式
「WLBレター」に掲載
・職場長は休暇取得管理表を
活用し取得状況を把握
・推進委員が達成状況を評価
休暇取得管理表マニュアルと
ポスター
有給休暇の40%以上を利用しよう表 運用マニュアル
ワーク・ライフ・バランス推進委員会
目標
休暇取得率40%目標
有給休暇の40%以上を利用しよ
う
有給休暇の利用促進に向け、下記のような用紙を用意致しました。
これは各スタッフの有給休暇利用状況の把握を目的としております。
記入例も記載致しますので、ぜひご活用下さい。
記入例
三朝 太郎
20
8
三朝 二郎
16
6.5
○
○
○
○○
○
○○ ○
新規付与日数
今年度、新たに付与された有給休暇日数です。前年度の繰り越し分は記入致しません。
目標値
新規付与日数の40%とし、小数点以下は半日単位で繰り上げます。
リフレッシュ・アニバーサリー
1日単位での取得とし、取得された場合、欄にチェックします。尚、1枠1日とします。
有給休暇
1日or半日単位での取得とし、取得された場合、欄にチェックします。尚、1枠半日とします。
目標達成
目標達成の有無を記載します。
⇒ 目標達成
出
来
る
奴
仕
事
も
休
み
も
妥
協
せ
ず
優
秀
賞
リ
フ
レ
ッ
シ
ュ
心
と
か
ら
だ
笑
み
あ
ふ
れ
最
優
秀
賞
疲
れ
て
る
?
言
わ
れ
は
じ
め
り
ゃ
リ
フ
レ
ッ
シ
ュ
院
長
賞
アクションプラン5
夜勤時間短縮の取り組み
平成26年度
平成25年度
療養病棟拘束13時間夜勤短縮勤務
導入 (H.26 .5月)
2交代夜勤短縮試行
療養病棟で拘束17時間夜勤から拘束13時間
夜勤に短縮勤務の試行の検討
・勤務形態の検討、業務調整
・看護部長が職員へ説明
・職員の意識調査
→ 試行
・一般病棟3交替逆循環勤務検討
正循環3交替
変則2交替勤務(13時間夜勤)
・一般病棟勤務体制変更説明会
・職員意識調査
・1ヶ月毎に病棟職員で評価し、検討
試行後、職員の継続していきたいという声
整形病棟 13時間夜勤2交代)試行
(2月)
インデックス調査の結果の推移①
労働環境について
24年
25年
26年
残業時間が減少している(月平均) 14.2時間
9.7時間
4.5時間
持ち帰り仕事がある(月平均)
9.2時間
5.2時間
5.2時間
看護ケアに費やす時間が十分にと
ることができる
53.8%
56.6%
67.8%
業務が終われば周囲に気兼ねなく
帰ることができる
51.6%
53.0%
57.4%
有休は必要に応じて取得できる
38.7%
37.4%
44.8%
労働環境については好転してきた
インデックス調査の結果の推移②
インデックス調査の結果の推移②
経営・組織・上司との関係・
働き方の満足度について
24年
25年
26年
看護職員を大切にする組織である
66.6%
68.7%
59.7%
今の勤務先の将来に不安はない
49.8%
50.6%
29.8%
上司との関係で、主張すべきことを自 61.3%
由に話し合える
43.3%
42.5%
上司はあなたの考え方をよく聞き理
解している
73.2%
72.3%
62.1%
上司は仕事の成果について公平に
評価している
71.0%
66.4%
55.2%
現在の働き方に満足している
64.5%
47%
36.8%
働き方の満足度アンケート(全職員)
(H.25.11月実施)
看護
満足
8%
満足
18%
12%
やや満足
37%
53%
やや満足
N=5
やや不満足
不満足
やや不満足
66%
満足度⇒看護部64% 他職種80%以上
他職種と比べ低い
医局
0%
満足
20%
やや満足
25%
0%
不満足
事務
25%
満足
やや満足
N=
やや不満
足
不満足
80%
コメディカル
4%
2%
50%
やや不満足
不満足
働き方の満足度アンケート
あなたが満足できる働き方はどんなことですか?
・休暇が取りたい時に気持ちよくとれる環境
・経済的・精神的に余裕があること
・働きに応じた能力給がアップすること
・同じ目的を持って仕事ができる仲間たちがいること
支えあえる人間関係
・ WLBの取り組みは、プライベートを充実させ、仕事
の効率を上げていくという面でとても重要だと思う
WLB推進委員の声
(H.27.1月実施)
<休暇取得G>
・委員会で取り組んでことで他部署の休暇取得状況が把握でき
取り組みは良かった
<超過勤務削減G)>
・3年目になり看護部から病院全体へと意識が変わり、他部署と
の調整など横断的な活動できるようになった
・自分の部署ばかりという意識から他部署との兼ね合いを考え
るようになり、協力体制が取れるようになった
<勤務体制見直しG>
・療養病棟から変則2交代夜勤導入に変更してみて、夜勤をす
る人の体調負担が減ったことが効果的だった。
・夜勤免除、時短などを取り入れて良くなっているがシニア世代
も体力・家族の介護など時間の優遇があってほしい
WLB活動の職員の声①<休暇取得促進>
・病院全体で目標を決めて取り組んだことは、どこの職
場も平等で休みやすい環境が作られた
・アニバーサリー休暇の位置づけとポスター表示は、病
院全体の取り組みであり取得しやすくなった
・夏季休暇から、リフレッシュ休暇と名称が変わり、1年を
通して休暇が取りやすくなり身体の休養ができ嬉しい
・休暇取得に向けて意識が高くなった
・「有給取得管理表」で取得状況が一目でわかるのはよ
い
・「有給取得管理表」があることを知らなかった
WLB活動の職員の声②<超過勤務削減>
・時間内で業務を終える意識が高まった
・ノー残業デーは意識的に帰れていると思う
・前残業への取り組みも必要だと思う
・実際に時間外になっても申請がしにくい
・忙しいもっと業務が楽にならないか(整形病棟)
WLB活動の職員の声③<勤務体制見直し>
・ 拘束13時間夜勤実施前は、不安が大きく休みが減る
のでに反対だったが、実際やってみて夜勤前の時間も
とれるし拘束時間が減ったので体が楽。16時間に戻
ることは考えられない
・ 家族と過ごす時間が増えた
・ 勤務体制が変わり、日勤でも定時に帰れることが多く
なった
WLB活動の職員の声④ <その他>
・このような取り組みをしてもらえるのはありがたい
・以前より改善できていると思う
・川柳・標語の募集は良かった
・WLBで何を取り組んだか深く印象に残っていない
・WLBの取り組みの実感まではない。続けてやること
に意味がある
まとめと課題
1.病院長の率先した協力があり、組織横断的な活動が改善活動
につながった。
2.WLBの活動は、職員WLBの意識向上につながった。
3.WLBの取り組みは、すべての職員に認知、理解されていると
は言えない。一方的でなく職員の声を聞きながら活動を周知
していくことが必要
4.働き方の満足度は、看護部以外の職員は高くなったが看護職
の低くなっており、今後の課題である
5.夜勤免除、時短など多様な勤務体制で労働環境がよくなった反
面、シニア世代、30歳~44歳(リーダークラス)に負担があり満
足度が低くなっており、今後の課題である
6.療養病棟・一般病棟(整形病棟)で拘束13時間夜勤に取り組ん
でおり、今後も職員一人ひとりの意思を尊重しながら勤務体制改
善に向けた取り組みを継続していく
ご清聴ありがとうございました