Transcript 地方債の安全性と格付
地方債協議制移行と償還能力 関西学院大学 小西砂千夫 [email protected] 地方債の安全性と格付 地方債の安全性は、地方財政計画におけ る財源保障(マクロの財源保障)、起債制限、 財政再建団体制度で維持されている 地方債の格付は、発行ロットにも影響され るが、それだけでは決まらない ただし、格付の幅は小さく、R&I社でも、 AA+からAA-の間 公債費にどの償還財源があたっているか 公債費と償還財源の関係 地方財政計画内の起債 基準財政需要額に算 元利償還金(特定財源にかかる部分は除く) 入される元利償還金 償還財源 基準財政需要額 に算入されない 元利償還金 不同意債等 に係る元利 償還金 留保財源 超過課税、 法定外税な ど 地方交付税+基準財政収入額 一般財源 備考) 主たる償還財源 計画外の起債 従たる償還財源 留保財源と公債費の関係 財政力指数 と起債制限比率 (平成13年度、全市町村 ) 24.0 21.0 交付税措置のない元利 償還金よりも留保財源の 方が大きい 18.0 15.0 起 債 制 限 12.0 比 率 9.0 6.0 3.0 0.0 0.00 交付税措置のない元利 償還金の方が留保背淫 よりも大きい 0.20 0.40 0.60 財政力指数 0.80 1.00 1.20 バランスシートの見方 本来は、経常会計と資本会計 経常会計から償還財源が算定できる そのときに減価償却は無視してよい 負債額は重要であるが、資産はインフラ関 係はほとんど考慮する必要がない バランスシートは財政活動の開示手段で あって、財務分析には結びつかない 償還財源の算定に減価償却は関係がない 表1 普通会計(現金収支の動き) 経 常 会 計 建 設 会 計 経常収入a 元本償還を除く経常支出( 経常収入充当) b 経常補助金 経常支出( 経常補助金充当) 投資充当一般財源 投資充当一般財源 元本償還c 地方債収入 普通建設事業費 建設補助金 出資金 基金からの繰入金 貸付金 回収金 積立金 表2 損益計算書(フローにおける財政活動を総覧する資料) 元本償還を除く経常支出( 経常 経常収入 収入充当) 経常補助金 経常支出( 経常補助金充当) 償 還 財 源 減価償却d 当期利益 償 還 財 源 住民持ち分の意味 表3 貸借対照表(ストックにおける財政活動を総覧する資料) 社会資本 差額gの内訳 地方債残高f ( -減価償却累計額) 出資金( 残高) 資産・ 負債差額g 貸付金( 残高) 資本剰余金 基金e 利益剰余金 住民持ち分 その他 ( -減価償却累計額) 地 方 債 地 方 債 残 高 住 民 持 ち 分 建 設 補 助 金 資本剰余金 一 般 財 源 等 利益剰余金 その他 減 価 償 却 累 計 額 協議制移行とは 地方債の協議制は分権改革の既定路線 地方債の本質は、財源保障の世界の中に あるので、協議制はそれと分権改革の融合 協議制による変化 協議制移行とは 許可制から協議制への移行 0 10 20 2005年度までの 起債制限 比率 起債制度 10 18 起債制限比率による起債制限 20 起債制限 比率 2006年度以降の 起債制度 実質公債 費比率 30 許可制 実質公債費比率による規制 0 25 協議制 許可制 25 30 財政分析にあたってどんな指標を使うのか 財政再建団体(実質収支比率の赤字幅が一定以上:都道府県5%、市町村20%以上) 起債発行の制限を受ける団体(起債制限比率20%以上) 許可制度にある団体(実質収支比率が一定 以上、または実質公債費比率が18%以上) 協議制にある団体(実質収支比率一定未 満、または実質公債費比率が18%未満な ど) *実質収支比率の赤字幅は、都道府県・政令指定都市・標準財政規模500億円以上の市は2.5% 標準財政規模が200億円以上500億円未満は5% 標準財政規模が50億円以上の市町村は10% 破たん法制のショック 破たん法制とは何か、それで何をめざすか (清算をするのか再生をするのか、貸し手 責任を問うのか、健全化に向けて是正措置 をとるのか) 再建団体法の強化をめぐって 償還期間を延長すればよくなる財政指標で は問題が多い どのように財政分析をすべきか 財政状況で異なる再建の処方箋 財政分析にあたってどんな指標を使うのか 実質単年度収支比率 経常収支比率の公債 費分 持続可能性指数 償還財源指数 平均償還年数/債務 償還可能年限 資金繰 り指標 → 総合 指標 ← 償還能 力指標 公債費を除く経常収支 比率 ※注1 債務償還可能年限(除く 公営企業) ※注2 地方交付税を考慮した 債務償還可能年限(除く 公営企業) ※注2 財政力指数(単年度) ※注3 資金繰りと償還能力でみると 財政状況( 平成元年度) 100 80 60 40 20 0 0 20 40 60 償 還 能 力 80 100 資金繰り 償 還 能 力 指 標 100 100 80 80 償 還 能 力 指 標 60 40 60 40 20 20 0 0 0 20 40 60 80 0 100 20 償 還 能 力 指 標 60 80 100 資金繰り指標 資金繰り指標 ○:平成元年度 40 ○:平成元年度 □:平成15年度 □:平成15年度 100 100 80 80 償 還 能 力 指 標 60 40 20 60 40 20 0 0 0 20 40 60 資金繰り指標 80 100 0 20 40 60 資金繰り指標 80 100