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データセンターにおける
電力供給システムと省電力化
平成20年6月12日
NTTファシリティーズ総合研究所
杉 浦 利 之
SACSIS 2008 チュートリアル
話の流れ
• データセンターの消費電力削減に向けた動き
• データセンターにおける電力消費実態の分析
• データセンターで使用される電力変換装置の
基本構成と電力供給系
• 直流(DC)供給システム
• DCデータセンターデモンストレーションプロ
ジェクト
2
データセンターの消費電力
削減に向けた動き
3
データセンター(iDC)とは
• 顧客のサーバを預かり、インターネットへの接続回線や保
守・運用サービスなどを提供する施設。
災害や停電など異常時にもサービス継続が可能な設備が
要求される
• 建物は、耐震性・水害耐性などの自然災害に対する対策が施される。
• 停電に対応する自家発電の設備や高信頼電力供給システムの設置。
• 火災に対しハロンガスや二酸化炭素などの水を用いないで消火する設
備の設置。
• 警備員の常時配置やセキュリティーゲートを備えるなどした物理的セキュ
リティの完備。
多数のIT機器が設置されることから消費電力が大きい
4
データセンタの消費電力
• ㎡あたりの消費電力の比較
一般家庭
10W/㎡
商用ビル
50W/㎡
製材所
300~500W/㎡
データセンター 750~1,000W/㎡
4,000㎡のデータセンターでは消費電力は3MW~4MWに達する。
さらに、データセンターは24時間、365日稼動する。
消費エネルギー削減が大きな課題として浮上
5
データセンターの設備構成
・高信頼電源設備
●配線シャフト
●スペース
・耐震・免振対策
ワークプレイス
●回線ルート
●管路
●耐震/荷重
●二重床
・高信頼空調
●高信頼空調システム
・防犯
・防火
●マルチメディア配線
●サーバ・ルータ
●ラック
●UPS
●セキュリティー
●24時間監視
●受電装置
●バッテリー
●雷害EMC
●アース
●非常用発電装置
●バックアップ移動電源
●DC電源システム
商用電源
6
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
米国におけるデータセンターの
消費電力削減に向けた動き
• 2006年4月、AMD, HP, Sun Microsystems, IBMの4社が、
データセンターの消費電力削減を目指す非営利組織
「Green Grid」を結成
• 2006年6月、米エネルギー省の国立研究機関Lawrence
Berkeley National Laboratory(LBNL)がデータセンター内
のサーバーに直流給電する実証試験を開始
• 2006年12月、環境保護庁(EPA)に対して「連邦政府及び民
間企業によるコンピュータデータセンター利用の急速な拡大
とエネルギー消費を分析する」研究を行うことを求める法案
H.R.5646(現在は公法109-431)が議会で可決
全てEPAのEnergy Starプログラムの
一環として実施
7
「Green Grid」の概要
• データセンターにおけるエネルギー利用削減を目指したデー
タセンター運用及び建設、設計のベストプラクティス定義と普
及に当たる。
• データセンターのエネルギー管理に関する情報を会員間で
共有し、ほかの組織と連携してエネルギー関連の新しい業
界標準と評価指標を特定する。
• データセンター管理者やIT担当幹部など、エネルギー消費
問題に関心のあるIT業界の専門家なら誰でも参加可能。
Contributor Membership 年会費 $25,000
General Membership
年会費 $5,000
8
「Green Grid」当面の活動
• データセンターのリアルタイムデータの収集
• データセンターの運用管理者がそのパフォーマンス
を評価し、同様のデータセンターと比較するための
ツールを開発
• データセンターの効率とパフォーマンスに関連した
最も有望な既存技術、将来技術に向けた「第一次
ロードマップ」を策定。
まずは、エネルギー効率測定基準の明確化と
実測による現状把握
9
「Green Grid」の活動(2007年度)
• 2007年2月に正式に発足
• 現在150社がメンバー
Board Members(11社)
Contributor Members (35社)
• 4回のTechnical Summitsを開催
• 6篇のWhite Paperをリリース
• 2008年2月にSan Franciscoで第一回
Technical Forumを開催
10
公法109-431の概要
• データセンターの消費電力に関する調査の実施
-
-
政府機関及び民間のデータセンターの拡大傾向の調査、及びサーバ利
用状況の評価
エネルギー効率に優れたマイクロチップ、サーバ及びデータセンターの
構築と稼動のコストを削減するために開発された技術の分析
エネルギー効率に優れたサーバとチップ技術を採用することにより、デー
タセンター運営者、連邦政府、消費者がどの程度節約できるかの分析
エネルギー効率に優れた製品やサービスの開発に対する、現在の政府
の奨励策の概要
エネルギー効率に優れたデータセンター技術の採用を促進するために
今後実施可能な政府の奨励策と自発的なプログラムの概要
11
データセンターにおける電力消費実態の分析
12
全米におけるデータセンター使用電力量の内訳と推移
70
10億kWh/年
60
Volume servers
Mid-range servers
High-end-servers
Storage
Network equipment
Site infrastructures
50
40
30
20
10
0
2000
2006
●2000年から2006年で 使用電力
量は約2倍(600億kWh)に増加
●2006年の使用電力量は全米使用
電力量の1.5%
●サーバーラックあたりの最大消費
電力は2kW→20kWに増加
Volume servers
比較的安価で1~2個の物理プロセッサ
を搭載するx86サーバー
参照:Report to congress on server
and Data Center Energy Efficiency
Public Law 109-431
13
IT機器の日本国内消費電力量
I機器の国内消費電力量
6000
5500
5000
億kWh
4000
3000
2400
2000
1000
削減目標
600
0
2006年
2025年
2050年
経済産業省調べ
14
米国におけるデータセンター使用電力量の推移推定
現状のままでは2011年には1,2000億kWhを超える(新規に10基の発電所建設が必要)
10億kWh/年
140
120
政府の削減目標
100
10.7billionkWh/yr
by 2011(成り行きに
対し10%削減)
80
60
40
従来トレンド
現状の高効率化
トレンド
運用方法改善
も行ったトレンド
最善性能を実現し
た場合のトレンド
最先端技術適用時
のトレンド
20
0
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
参照:Report to congress on server
and Data Center Energy Efficiency
Public Law 109-431
15
各シナリオの仮定条件
シナリオ
Improved
operatiom
Best
practice
State-ofthe-art
IT装置
インフラシステム
・サーバー集約は現在のトレンドが継続
・レガシー用途の不要なサーバーの除去
・やや高効率なサーバーの使用
・企業ユースのストレージ装置の消費電力
がやや減少
空調マネージメントの改善によりイン
フラ設備のエネルギー効率を30%改
善
上記改善プラス
・サーバー集約化の進展
・高効率サーバーの積極的採用
・ストレージ装置集約化の進展
・空調マネージメントの改善によりイ
ンフラ設備のエネルギー効率を70%
改善
・トランスとUPSの改善
・チラー、ファン、ポンプの効率改善
・free cooling
上記改善プラス
・サーバー集約化の積極的進展
・ストレージ装置集約化の積極的進展
・データセンター全体レベル(サーバー、スト
レージ、ネットワーク機器)でのパワーマ
ネージメントの実施
・空調マネージメントの改善によりイ
ンフラ設備のエネルギー効率を70%
改善
上記改善プラス
・直接液冷
・熱と電力の統合システム
16
データセンターにおけるIT機器
エネルギー使用効率指標(1)
PUE (Power Usage Effectiveness ):
IT機器が必要とする電力とIT機器を運転するために必
要な電力の比 ・・・1に近いほど良い
PUE=
データセンター全消費電力
IT装置の消費電力
2003年における米国15データセンターの平均PUE=1.95
2005年における米国 9データセンターの平均PUE=1.63
17
データセンターにおけるIT機器
エネルギー使用効率指標(2)
DCE (Data Center Efficiency):
データセンター全電力に対するIT機器使用電力の割
合 ・・・ 100%に近いほど良い
DCE=1/PUE
・22箇所の平均値は49%
全IT 装置使用電力
= データセンター総使用電力 ・すなわち全電力の約50%が本来の
・0.8~0.9が理想
IT機器動作以外に使用されている
18
データセンター内のエネルギー使用状況
照明 4%
冷却水プラント
25%
コンピュータ 47%
エアコン動力
12%
UPS 損失12%
参照:Data center energy Benchmarking Case Study, LBNA
19
データセンター収容ビル全体の
エネルギー使用状況
Total=5MW
データセンター空調
20%
その他
オフィス、建物空調
2%
9%
UPS損失
7%
オフィススペース(照明、コン
セント負荷、雑電源)
32%
データセンター
コンピュータ 30%
データセンターでのエネルギー使用はビル全体の62%
参照:Data center energy Benchmarking Case Study, LBNA
20
データセンターの省電力化
●プロセッサの低消費電力化(消費電力制御技術、省電力プロセッサの採用)
●IT機器運転効率向上(仮想ストレージ技術等)
●冷却効率の向上(ラックごとの冷却、液冷方式、機器配置の最適化、冷房機器
の高効率化)
●電力供給システム、装置の低損失化
・電力変換装置の高効率化
・電力供給システムの低損失化(DC給電、高電圧給電、
給電系構成の最適化)
21
データセンターで使用される
電力変換装置の基本構成と電力供給系
22
整流装置
• 交流電力を安定な直流電力に変換する装置
• 代表的な出力電力:数10kW~数百kW
• 代表的な出力電圧:DC48V
AC/DC
交流入力
又は
直流出力
C1電圧波形
直流出力
交流入力
高周波スイッ
チング回路
整流平滑回路
直流出力
交流
入力
電圧検出
整流回路 平滑回路
整流装置の基本機能
パルス幅
制御
制御回路
高周波スイッチング整流装置の回路ブロック例
23
DC-DCコンバータ
• 直流電力を異なったレベル(電圧)の高品質な直流電力に変
換する装置
• 代表的な出力電力:数W~数百W
DC/DC
• 代表的な出力電圧:数V~数十V
直流入力
直流出力
高周波
スイッチング回路
整流回路
出力フィルタ
+
直流出力
直流
入力
-
入力フィルタ
パルス幅制御
DC-DCコンバータの回路ブロック例
電圧検出
制御回路
24
AC-DCコンバータ
(PSU:power supply unitもしくはスイッチング電源とも呼ばれる)
• 交流電力を異なったレベル(電圧)の高品質な低電圧直流電
力に変換する装置(主としてラック内電源として使用される)
• 代表的な出力電力:数W~数百W
• 代表的な出力電圧:数V~数十V
AC/DC
入力整流平滑回路
交流入力
高周波
スイッチング回路 出力整流回路 出力フィルタ
直流出力
+
直流出力
交流入力
C
-
パルス幅制御
電圧検出
制御回路
AC-DCコンバータの回路ブロック例
25
インバータ
• 直流電力を負荷が必要とする周波数、電圧の交流電力に変
換する装置
DC/AC
• 代表的な出力電力:数kW~数百kW 直流入力
交流出力
• 代表的な出力電圧:200VACまたは100VAC
交流出力
直流入力
インバータの基本回路例
(実際には入力フィルタ回路、出力トランス、
出力フィルタ回路、制御回路等が必要)
インバータの動作波形
26
UPS
(Uninterruptible Power Supply :無停電電源装置)
• 停電や電源変動などの 電源トラブルが発生した場合、 内部バッテリー
を電源として、コンピュータや周辺機器等の負荷に電源を供給する装置
• モジュールの代表的出力電力:数10kVA~数百kVA
非常用発電機
バイパス回路
整流装置
インバータ
(長時間停電時)
AC/DC
商用電力
(交流)
UPS故障時もしくは
保守時に電力を供給
直流
交流
DC/AC
IT装置へ
充電電流
(常時満充電)
蓄電池
商用停電時負荷
へ電力を供給
無瞬断切替スイッチ
UPSモジュール1
UPSモジュール2
データセンターにおけるUPSシステムの基本構成例
UPSモジュールは高
信頼化のためN+冗
長構成とする
27
データセンターにおける代表的電力供給系の構成
480Vac/208Vac
商用
交流
入力1
208Vac/120Vac
208/120V
AC/DC
DC/AC
AC/DC
DC/DC
DC/DC
PDU
(Power
Distribution
Unit)
UPS1 PDU1
CPU,
12Vdc
Power Supply Unit
DC/DC
5Vdc
Memory
等
3.3Vdc
DC/DC
商用
交流
入力2
AC/DC
DC/AC
AC/DC
DC/DC
1.2Vdc
DC/DC
DC/DC
UPS2 PDU2
Power Supply Unit
Server
CPU,
Memory
等
VR
Rack
VR: Voltage regulator
(基板上に搭載される小容量DC/DCコンバータ)
(入力端子部)
●北米では、電力はUPSからPDU(480V/208V→208V/120V変圧器)を経由し
てIT機器に供給される。
●電源系は通常2系統給電される。
→定常時は全負荷時でも電源は1/2負荷運転
28
データセンターにおける負荷率
(%)
• 運転期間の50%はコンピュータの使用率が25%以下、75%
以上の使用率は5%。
• 軽負荷時の効率向上がトータルエネルギー消費量に大きなイ
ンパクトを与える・・・モジュール化による台数制御等。
• データセンター全体の日負荷変動は±5%以下
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
一日の全エネルギーに
対する割合
発生確率
0-25
25-50
50-75
負荷率(%)
75-100
29
参照:Energy Efficient Data Centers:HVDC distribution. Murli Tirumala, Intel
サーバー電源の効率測定事例
サーバー電源の効率測定例
・多くの電源は50%負荷に
おける効率は70-75%
80
効率(%)
75
70
65
効率
・負荷率が低いと効率は低
下する
60
55
50
0
20
40
60
負荷率(%)
80
100
出来るだけ高い負荷率で
運用することが望ましい
効率=出力電力/入力電力
=出力電力/(出力電力+電源回路内損失電力)
30
40
35
30
25
20
15
10
5
0
冷却系 27%
ポ
ンプ
循
環
却
水
36%37%
負荷
36%
37%
電力供給系
冷
サ
ー
バ
ー
PD
U
ファ
ン
S
UP
s
VR
PS
U
ラー
27%
チ
負
荷
(%)
データセンターのエネルギー消費分析例
全体の27%~30%が冷却エネルギーに使用される
31
参照:Energy Efficient Data Centers:HVDC distribution. Murli Tirumala, Intel
IT負荷100Wに電力供給する際の各部損失
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(W)
商用
交流
入力
100
70
50
20
空調 UPS+PDU
20
15
冷却ファン
PSU
VRs
VRs
208/120V
AC/DC
DC/AC
AC/DC
UPS
(Power
PSU
Unit)
電力供給系ブロック図
参照:DC Power for Improved Data Center Efficiency,LBNL
DC/DC
DC/DC
DC/DC
負荷
CPU,
12Vdc
DC/DC
PDU
Distribution
PDU
負荷
5Vdc
Memory
等
3.3Vdc
32
直流供給システム
33
直流の見直し機運
• 携帯機器におけるDC使用の普及。
• エンドユース機器におけるDC使用の増加(多くの装置がACDCまたはDC-DC電力変換装置を使用)。
• DC出力の分散型電源使用の拡大。
• マイクロプロセッサ消費電力増大に伴い、エネルギー使用効
率改善の要求。
• 停電及び電力品質悪化がビジネスに与える影響の増大→米
国全体で年間15兆円~20兆円の損失。
• 給電系高信頼化に不可欠なエネルギー蓄積装置はDC。
• DC-DCコンバータの進歩により電圧変換が容易となった。
DC利用への期待
34
IT機器への電力供給(構成比較)
AC給電(従来のほとんどの情報処理システム)
UPS
バイパス回路
AC200V
DC/AC
AC/DC
エンジン
発電機
整流装置
ACスイッチ
AC200V
AC/DC
スイッチング電源
インバータ
DC240V
蓄電池
120セル
DC5V等
DC/DC
CPU
IT装置
制御回路
・CPUはすべて直流動作
・AC給電は変換段数が多い
・AC給電は構成が複雑
DC給電(従来の全ての通信システム)
整流装置1
AC/DC
エンジン
発電機
N+1ユニット
DC48V
DC48V
蓄電池
23セル
DC5V等
DC/DC
CPU
コンバータ
IT装置
AC
DC
35
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
従来のiDCにおけるAC電源システムの構成例
(10,000m2規模)
予備発電装置
受電装置
UPS
蓄電池
空調
UPS 100kVA(4+1)
400kVA
予備発電装置(1+1)
1500kVA×2
商用電源
分電盤
サーバ
ルータ
ストレージ
受電装置
2000kVA
1200kVA
36
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
IT機器への直流供給(直流給電の特徴)
メリット
ディメリット
・構成が簡単で信頼性が高い
・電力変換段数が少なく高効率
・電源の並列接続、負荷分担が容易(冗長構成が容易)
・電源モジュールの活線挿抜が可能
・負荷装置は常に商用系統から絶縁されており外乱の影響を受け難い
・一般に電池直列個数が少ない
・現時点では特殊仕様となり高価
・一般には電圧が低いため、大電力システムでは配線が困難
・大電流での遮断が困難
37
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
IT機器への直流供給(効率比較例)
直流給電システム
商用電源
~
AC200V
(3φ)
整流装置
AC
DC
サーバ・ルータ
DC
-48V
効率=91%
DC
負荷
DC
DC3.3V,5V etc
効率=85-90%
直流給電のほ
うが13%以上
高効率
給電効率 = 77-82%
交流給電システム
商用電源
~
AC200V
(3φ)
UPS
DC
AC
AC
DC
効率=85%
サーバ・ルータ
AC
AC100V
(1φ)
DC
DC
DC
負荷
DC3.3V,5V etc
効率=75-80%
給電効率 = 64-68%
38
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
IT機器への直流供給(信頼度比較例)
Block 1
CS
直流給電システ
ム不稼働率
RF
Bat
9×10-10(バッテリー
保持時間8時間)
Block 2
(1)直流給電方式
Block 3
CS
EG
CS
EG
SWin
交流給電システ
ム不稼働率
Block 4
SWin
RF
INV
Swe
Cot
7.4×10-6
Bat
(2)交流給電方式
CS/EG:交流電源
BAT:蓄電池
INV:インバータ RF:整流器
Swin:機械的スイッチ
Swe/Cont:切換器/制御回路
39
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
IT機器への直流供給(サーバ消費電力比較)
DC入力製品とAC入力製品の最大消費電力の比較
入力電圧
待機状態
動作状態
AC220V
430W(554VA)
AC100V
430W
(495VA)
440W(448VA)
DC-48V
336W
384W
450W(480VA)
(IBM社データ)
●約20%の省エネ効果
40
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
iDCにおける直流化効果の試算(システム構成)
予備
ACSW
現用
ACSW
整流装置
DC-48V
負
データコム
荷装置
蓄電池
データコム
装置
現用
ACSW
データコム
装置
※N+1台ユニット構成
*UPS共通予備方式
比較したDC供給方式とAC供給方式
41
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
iDCモデルシステムによる直流供給系と
交流供給系の損失の比較 (計算条件)
モデルの前提条件
・6階建て、延べ床面積 10,000m2 (サーバエリア 5000m2
事務 所エリア 5000m
2
)
・ サーバエリアに対する受電設備容量 750VA/m2
・ 一般オフィス部に対する受電設備容量 50VA/m2
・ サーバエリアの総ラック数(19インチラック)1500台
・ 各ラック当たりの最大消費電力 2.5kW
・ 2-6階をサーバエリア収容部とし、電気室は地下1階に置く。
直流48V,140V,270V,交流200Vで損失比較
42
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
iDCモデルシステムによる直流供給系と交流供給
系の損失の比較 (計算結果)
直流供給
損失
交流供給
UPS
48V
140V
275V
375W
-
-
-
変圧器
149W
-
-
-
整流器
-
308W
309W
308W
dc/dcコンバータ
462W
385W
388W
386W
ケーブル
38W
55.5W
18.65W
8.5W
総計
1024W
749W
716W
703W
(SWレギュレータ)
43
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
iDCにおける直流化のメリット
モデルパターンにおけるDC給電のメリット
DC給電のメリット
備考
電源システムのスペース
AC給電に比べ約50%の省
スペース
空調スペースも約10%削減
経済性
電気料金約4,000~5,000万
円/年削減
ACと比較して約20%省エ
ネ
拡張性
無停電にて創設が可能
ホットプラグインユニット構成
電源システムのイニシャル
コスト
AC給電と同等以下
バッテリーを含めた創設費(物
品費+施工費)
空調システムのイニシャル
コスト
AC給電に比べ約10%削減
ACと比較し発熱量約10%
減少
地球環境保護
CO2 排 出 量 約 920t-CO2 /
年の削減
石油ドラム缶換算で約
1,730本/年削減
項目
44
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
iDCにおける直流化のメリット(イメージ図)
予備発電装置
予備発電装置
高信頼空調システム
高信頼空調システム
受電装置
受電装置
DC給電システム
DC給電システム
AC給電に比較し
約1/2の省スペース
AC給電システム
AC給電システム
DC給電のメリット(スペース比較)
45
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
データセンターDC化の効果(DC48V)まとめ
• 電力変換損失がACシステムに比べ50%減。
• 信頼性の向上・・・回路構成がシンプル、低電圧、商用ライ
ンから完全に絶縁されている。
• 制御が簡易で障害抑制が容易。
• バッテリー量を負荷に合わせて最適化できる(架列給電)。
• UPSに比べ安価・・・設置コスト25%減、運用コスト 20%
減。
• 1MWサーバーシステムでの試算
・年間電力損失削減 2,025MWh
・電力料金削減 1600万円から6500万円
・空調電力削減 1.5~3MWh
・空調電力料金削減 1250万円~9800万円
・年間トータル電力料金削減 2900万円~1.6億円
46
出展:IT時代における電源システム直流化研究会報告書
DCデータセンターデモンストレーション
プロジェクト
47
DCデータセンターデモンストレーション
プロジェクト(米国)の目標
• エネルギーを節約できる革新的な技術を確
認し、その導入を促進。
• ハイテク業界の10年後を見通して先導する。
• マーケットが効率向上技術の重要性を認識し、
その採用に動くことを助ける。
直流化が容易に可能であること及び給電系損失
の低減に効果があることを実機により確認
48
DCデータセンターデモンストレーションの
主な協力者・参加者
・官公庁
EPA (Environmental protection Agency),
California
Energy Commission
・ITベンダー
Sun Microsystems, Intel, Cisco, HP
・情報通信事業者
Cingular Wireless, Verizon Wireless, SBC
Global
・データセンター事業者
AOL, Exxon-Mobil, VISA International
・電源メーカー等
TDI Power, Liebert
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DCデモンストレーションにおいて
比較した電力供給系の構成
1. AC供給方式
480Vac
AC/DC
208Vac
DC/AC
VRs
DC/DC
PDU
UPS
DC/DC
AC/DC
PSU
サーバー
PDU
CPU,
12Vdc
DC/DC
5Vdc
Memory
3.3Vdc
等
2. ファシリティレベルDC供給方式(380Vdc及び48Vdc)
480Vac
VRs
380Vdc/48Vdc
AC/DC
PSU
整流装置
AC/DC
DC/AC
DC/DC
380Vdc
AC/DC
PDU
UPS
208Vac
CPU,
DC/DC
サーバー
3. ラックレベルDC供給方式
480Vac
12Vdc
DC/DC
スイッチング電源
PDU
ラック(架)
DC/DC
5Vdc
Memory
3.3Vdc
等
VRs
CPU,
12Vdc
5Vdc
PSU整流装置
3.3Vdc
DC/DC
サーバー
DC/DC
サーバー
サーバー
Memory
等
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DCデータセンターデモンストレーションでの
検証内容
• サーバーやサーバーラックのDC化は、既存のコンポーネントの
わずかな変更で実現でき、既存製品と同一の形態で搭載や設
置できるとともに運用できる。
• DC入力のサーバーやサーバーラックは既存のAC入力電源を
持つ場合とほぼ同一の構成で、同じ機能と処理能力をデバイス
に提供することができる。
• 電力変換ステージ減少効果を明らかにするため、DC電源から
サーバー負荷までのあらゆる箇所の効率を実測し、改善状況を
記録する。
• まったく同一構成のAC電源を用いたシステムとの電力消費量の
オンタイム測定を行い、その結果を常時Webで公開する。
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ファシリティレベルDCシステム実測値(整流器入力電力)
(2006.7.7 9:40)
AC RECTIFIER IN - SATCON
モジュール
A
B
C
Voltage
282.4 V 283.4 V 283.4 V
Rms Current 6.51 A 7.44 A 7.10 A
Voltage THD
0.5 % 0.5 % 0.5 %
Current THD 38.3 % 30.2 % 33.3 %
Active Power 4.3939 kW
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ACシステム実測値(UPS入力電力)
(2006.7.7 9:40)
AC MITSUBISHI UPS INPUT
モジュール
A
B
C
Voltage
282.5 V 283.4 V 283.4 V
Rms Current 7.18 A
7.95 A
8.12 A
Voltage THD
0.5 %
0.6 %
0.5 %
Current THD
48.1 % 52.1 %
27.8 %
True Power Factor 0.82
Active Power 5.4128 kW
(DCに比べ+1kW、18.5%大)
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デモシステムにおける測定結果
AC システム
D C システム
UPS
効率
90%
94%
トランス サ ーバ電源 システム コンピュータ 入力電力
効率
効率
効率
負荷
98%
90%
79%
23.3kW 26.0kW
100%
92%
87%
22.7kW 24.1kW
高電圧D C 給電による効率向上
7.3%
一般的なデータセンターにおいて期待される効率向上レベル
AC システム
D C システム
UPS
効率
85%
92%
トランス サ ーバ電源 システム コンピュータ 入力電力
効率
効率
効率
負荷
98%
73%
61%
10,000W 16,445W
100%
92%
85%
10,000W 11,815W
高電圧D C 給電による効率向上
28.2%
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電力供給方式構成と総合効率
(各機器ごとの実測データに基づくシミュレーション)
208VAC
供給方式
総合効率
AC供給方式(208Vac)
50%~63%
ファシリティレベルDC供給方式
(380Vdc)
ファシリティレベルDC供給方式
(48Vdc)
ラックレベルDC供給方式
(380Vdc)
72%
70%
63.6%
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参照:Energy Efficient Data Centers:HVDC distribution. Murli Tirumala, Intel
各給電方式の適用領域
• 従来のAC供給システムの平均的効率は50%であるが、
現時入手できる最良の電源を使用すれば63%まで向上
する。
• ラックレベルDCシステムは効率63.6%であり、HVDCシ
ステム採用までの過渡期に使用。
• 48VDCシステムは通信用電力供給システムと互換性あ
り。配線銅量、損失が課題。床面積5,000ft2(450㎡)程
度のデータセンター適用が限界。
• ファシリティレベル高電圧DC供給システムが最も優れて
いる。
• IntelはHVDCデータセンターに適用可能なラックシステ
ムを開発(デモ用)。
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当面のDCの適用領域
• 多大なる資本がすでに既存のAC技術に投入されてい
ることから、直ちにACに置き換わることは困難。
• DC-DCコンバータは従来のトランスに比べ効率や堅牢
さの点で劣り、コストも高い。
• すべての負荷がDCコンパチブルではない。
• DCスイッチギヤの課題。
• DC電圧レベルの標準化、各種規格の制定が必要
• 当面のDC適用箇所はニッチ製品、建物内の給電及び
小規模DCマイクログリッド(デモンストレーションレベル)。
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DC化に対する ITベンダーのスタンス
•
•
•
•
IT機器への直流化はメニューのひとつと考えている。
DC化にあたっての技術的課題はない。
DC化IT機器の供給は、市場さえあれば対応する。
大電力サーバー(10~20kW/ラック)への電力供給は
ファシリティーレベルの高電圧(380V程度)DC給電が良
いと考えている。
• DC48V供給は3~5kW/ラック程度が限度。
• 効率の観点からの評価が主で、信頼性に関しては十分
に比較していない(ほとんど同一であるとの意識)。
• IT機器への電力供給は完全2系統給電が基本(顧客が
望む)。
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最適な電力供給システム構築に向けて
●データセンターの電力効率評価方法の確立が必要
・ 負荷率に応じた機器の効率の変化を考慮したモデル化
・ 機器のタイプごとの負荷変化を考慮したモデル化
・ 冗長構成を考慮したモデル化
・ 任意のシステム負荷についての効率データの提供
●システムの最適化が重要
・ 最適システム容量、構成とは・・・信頼性、装置効率、拡張性
・ 最適な装置配置、建物の構造とは
・ 最適な冷却システムとは
●ACとDCの比較
上記2項目を明らかにした上での比較が必要・・・規模別、用
途別、コスト、信頼性、スペース
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