呼吸と嚥下の調節

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Transcript 呼吸と嚥下の調節

呼吸と嚥下の調節
~食塊の体積、与え方、物性が与える影響~
Coordination of breathing and swallowing :effect of
bolus consistency and presentation in normal adults
目次
1.
2.
3.
4.
背景・目的
方法
結果
まとめ
1.
2.
3.
4.
背景・目的
方法
結果
まとめ
1.背景
1. 大部分の嚥下は呼吸の呼気に入り呼気に
終わる
2. 嚥下時に嚥下性無呼吸(SA)が存在する
理由:気管に食塊が入ること(誤嚥)を防ぐため
吸気
呼気
4
1.背景
嚥下は解剖的、機能的にも複雑である。
この複雑な機構を調節しているのは中枢や
末梢の神経機構である。
ところが、今まではそれぞれ独立して研究され
てきた。
食塊の大きさ、与え方、物性によって呼吸の
リズムは変化するのでしょうか?
5
1.背景
目的
嚥下と呼吸の協調は誤嚥しないための重要な機構である
したがって、嚥下の条件が変わってもこの
機構は保たれると予想される。
嚥下と呼吸の協調を調べる
1.いつ嚥下が入り込むのか?
注目: 2.どの位の時間(嚥下性無呼吸:SA)入り込むのか?
3.入り込まれた呼吸の時間(BCSW)は?
SA
吸気
BCsw
呼気
6
1.
2.
3.
4.
背景・目的
方法
結果
まとめ
2.方法
対象者
健全な成人(19~25歳)
男:4名、女:6名
測定項目
嚥下が呼吸のどのタイミングで入るか?
SA:嚥下性無呼吸の時間
BCsw:嚥下が入ったときの呼吸時間
BCpre-sw:嚥下前の呼吸時間
BCpost-sw:嚥下後の呼吸時間
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2.方法
(1) 1回で嚥下する
粘稠度
食塊の体積
さらさらな液体(水)
5 ml、10 ml、20 ml
とろみのある液体
シロップ
与え方
シリンジ →与えられて嚥下
カップ→自分で嚥下
半固形性
クッキー
(2) 数回で嚥下する
① 飲水(200 ml)
カップ or ストロー
② サンドイッチを食べる
9
1.
2.
3.
4.
背景・目的
方法
結果
まとめ
3.結果
○ 水を1回で嚥下する
SA:嚥下性無呼吸
BCsw:1回の呼吸時間
① 食塊の体積と与え方の影響
注目1:いつ嚥下が入り込むのか?
体積
5 ml、10 ml、20 ml
→ 呼気ー嚥下ー呼気
与え方
シリンジ →与えられて嚥下
カップ→自分で嚥下
ともに呼気ー嚥下ー呼気
ただし、カップ20 mlは嚥下前に呼気である割合が低くなる
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3.結果
○ 水を1回で嚥下する
SA:嚥下性無呼吸
BCsw:1回の呼吸時間
① 食塊の体積と与え方の影響
注目2:嚥下性無呼吸(SA)の時間
注目3:嚥下が入る時の呼吸時間(BCs
w)
体積
嚥下性無呼吸の時間(SA)、
嚥下が入るときの呼吸時間(BCsw)
ともに体積に依存しない
与え方
嚥下性無呼吸の時間(SA)
→ 与え方に依存しない(シリンジ=カップ)
嚥下が入るときの呼吸時間(BCsw)
→ カップの方が長い(カップ>シリンジ)
6
4
2
12
3.結果
○ 水を1回で嚥下する
SA:嚥下性無呼吸
BCsw:1回の呼吸時間
① 食塊の体積と与え方の影響
注目3:嚥下が入る時の呼吸時間(BCs
w)
通常の1回の呼吸時間:3.2 秒
シリンジで嚥下した時の呼吸時間:4.2 秒
カップで嚥下した時の呼吸時間:5.4 秒
嚥下が入る呼吸(BCsw)は
通常の1回の呼吸時間より長くなる
さらに、その呼吸時間は
カップ(自分で嚥下)>シリンジ(与えられて嚥下)となる
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3.結果
○ 物性の異なる食塊を1回で嚥下する
② 食塊の物性の影響
注目1:いつ嚥下が入り込むのか?
物性に依存せず呼吸のリズムは
呼気ー嚥下ー呼気
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3.結果
○ 物性の異なる食塊を1回で嚥下する
SA:嚥下性無呼吸
BCsw:1回の呼吸時間
② 食塊の物性の影響
注目2:嚥下性無呼吸(SA)の時間
注目3:嚥下が入る時の呼吸時間(BCs
w)
クッキーだけSA、 BCswが長くなった
水5 mlの嚥下と比較すると
SA → 17%、BCsw→ 55%増加した
15
3.結果
SA:嚥下性無呼吸
BCsw:1回の呼吸時間
○ 数回で嚥下する
注目1:いつ嚥下が入り込むのか?
1回嚥下と比較すると
嚥下前:吸気
嚥下後:吸気
の割合が高くなる
吸気
呼気
ストロー
で嚥下
カップで嚥下
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3.結果
○ 数回で嚥下する
注目1:いつ嚥下が入り込むのか?
1回嚥下では呼気ー嚥下ー呼気
水200 mlを嚥下するとき
嚥下の始まり吸気
嚥下後吸気となる割合が高くなる
サンドイッチを食べるとき
嚥下後吸気の割合が
1回で嚥下するときよりも高い
すなわち呼気ー嚥下ー吸気の割合が多くなる
1回で嚥下するより誤嚥しやすい
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3.結果
○ 数回で嚥下する
注目2:嚥下性無呼吸(SA)の時間
① 水200 ml の飲水
② サンドイッチを食べる
水200 mlの飲水、サンドイッチ、
1回の嚥下ともSAの時間
違いは無い
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1.
2.
3.
4.
背景・目的
方法
結果
まとめ
4.まとめ
SA:嚥下性無呼吸
BCsw:1回の呼吸時間
目的
嚥下と呼吸の協調は誤嚥しないための重要な機構である
したがって、嚥下の条件が変わってもこの
機構は保たれると予想される。
嚥下と呼吸の協調を調べる
1.いつ嚥下が入り込むのか?
注目: 2.どの位の時間(嚥下性無呼吸:SA)入り込むのか?
3.入り込まれた呼吸の時間(BCSW)は?
SA
BCsw
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4.まとめ
SA:嚥下性無呼吸
BCsw:1回の呼吸時間
(1) 1回で嚥下する
食塊の体積、与え方
シリンジ
5ml
タイミング
SA
BCsw
10ml
粘稠度
カップ
20ml
5ml
10ml
20ml
クッ
キー以
外
クッキー
嚥下前:呼気、嚥下後:呼気
ただしカップ20 mlでは嚥下前:吸気の割合が↑
シリンジ5 mlの水の嚥下と同じ
シリンジ<カップ
増加
(17%)
増加
(55%)
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5.まとめ
SA:嚥下性無呼吸
BCsw:1回の呼吸時間
(2) 数回で嚥下する
飲水(200 ml)
カップ
ストロー
サンドイッチ
通常は呼気ー嚥下ー呼気
タイミング この機構を変化させる割合が高いのは
1回嚥下≪カップ <
=ストロー < サンドイッチ
SA
シリンジ5 mlの水の嚥下とほぼ同じ
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5.まとめ
SA:嚥下性無呼吸
BCsw:1回の呼吸時間
言いたい事:誤嚥を防ぐのに適した嚥下方法は
① 1回嚥下
② カップを使って
③ 量を加減する
理由:① 1回嚥下では呼気ー嚥下ー呼気の
呼吸パターンになりやすい
理由:② カップを使うことでBCswが長くなる
眼や手の感覚からの情報を使うことが可能
理由:③ 量が多いと(20 ml)では嚥下前が吸気
になる割合が高くなる
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5.まとめ
SA:嚥下性無呼吸
BCsw:1回の呼吸時間
吸気
呼気
呼吸のサイクルが短い
呼吸のサイクルが長い
嚥下が入ることで次の
BCswが長い方が
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