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介護予防デイサービスの実態調査
(平成19年10月頃)
調査の目的
柔道整復師・鍼灸師が開業するデイサービスの
実態を把握し、その課題を明らかにして、新たな
ビジネスモデルとしての可能性を検証する。
調査対象者

デイサービスを経営している
柔道整復師・鍼灸師の方
調査方法(留置法)

インターネットの検索を基に、調査対象者と推定
される方を抽出し、調査票を郵送配布した。
調査の内容
(1) 開設年月
(2) 事業所設置主体
(3) 併設事業
(4) 営業曜日
(5) サービス提供時間及び単位数
(6) 利用定員
(7) 登録利用者数
(8) 男女の割合
(9) 要支援者と要介護者の割合
(10)選択的加算
(11)個別機能訓練の内容
(12)疾患の割合
(13)採算状況
(14)苦労している点
回収状況


配布数:150事業所
回収数:53事業所(回収率36%)
調査項目









いつぐらいから事業開始したのか?
開業した人は、何の資格を持っていたのか?
デイの営業曜日や営業時間はどうしているのか?
サービス提供時間は、どうなっているのか?
デイサービスの規模はどのくらいか?
どんな機能訓練サービスを行っているのか?
要支援者と要介護者の割合は?
採算状況はいかがか?
苦労していることは何か? ・・・・・・・・・・・・・etc
Q.開設の年度は、いつですか?
(n=51)
14
12
10
8
6
4
2
0
開業数
12年
13年
14年
15年
16年
17年
18年
19年
平成18年度以降のデイサービス開設が増えている(43%)。特にサービス提供時
間3時間以上4時間未満の、いわゆる短時間型デイサービスが全体の6割となり、
高い割合を占めている。
サービス提供時間と開設年の割合
(n=49)
12 13 14 15 16 17 18
年 年
年
年
年
年
年
5
19
年
計
3
20
6~8
時間
2
1
0
2
3
4
3~4
時間
0
2
2
4
7
1 10
3
29
事業数
2
3
4
6 10 5 15
6
49
19年度については、9月ごろの調査のため実際は、この統計数より多いことが
推測される。
Q.事業所の設置主体は何です
か?
(n=53)
有限会社
株式会社
NPO法人
共同くみあい
有限会社
36
株式会社
10
NPO
5
協同組合
2
計
53
46事業所(87%)が有限会社、株式会社の営利法人であった。株式会社、有限会社
などの営利法人が9割を占めた。地域の社団柔整師会の有志が集まって共同組合と
して事業所を設立したケースが2事業所あった。また、特定非営利活動法人(NPO法
人)を設立して介護事業所を運営しているケースが5事業所あった。
Q.併設する事業は、何ですか?
n=53
居宅支援
複数回答可
鍼灸院
併設事業
接骨院
0
10
20
30
40
併設事業として、接骨院が38事業所(72%)、鍼灸院が30事業所(57%)である。
その内、鍼灸接骨院は18事業所を占める。・居宅介護支援事業所の併設は25事業
所(48%)と、高い割合となった。デイサービスのみが2事業所あった。他に、コンディ
ショニングルーム、PT業務、福祉用具貸与、訪問マッサージ、訪問介護、介護タク
シー、歩行支援サポーター、介護支援相談室などがあった。
Q.営業している曜日は、いつです?
月~金
n=51
月~金・祝
月~土
提供曜日
月~土・祝
他
0
5
10
15
月~金
月~金・祝
月~土
月~土・祝
他
13
6
14
10
8
土曜日の営業は、24事業所(47%)、祝日の営業は、16事業所(31%)であった。
その他として、水曜日休み、無休、平日週2回営業、土日営業などがあった。
1日のサービス提供時間と単位数は?
n=53、複数回答可
3~4h 1単位
3~4h 2単位
6~8h
曜日によって単位数を変えている事業所があり、複数回答になった。
サービス提供時間3時間以上4時間未満が半数(49%)を占める。
3時間以上4時間未満、1日2単位は3割(30%)である。
単位別サービス提供時間の割合
(n=53、複数回答可)
6時間以上8時間未満
3時間以上4時間未満(2単位)
3時間以上4時間未満(1単位)
29事業所
17事業所
11事業所
3時間以上4時間未満、1単位事業所のサービス提供時間の割合(n=8)
サービス提供時間
午前9時~12時15分頃
午後1時~4時15分頃
事業者数
3事業所
5事業所
Q.デイサービスの定員は?
n=52、複数回答可
10人以下
11~15人
16~20人
21~25人
26~30人
定員
10人以下
11~15人
16~20人
21~25人
26~30人
事業所数
32
13
3
2
5
定員10人以下が58%、定員11~15人が24%である。
定員15人未満の小規模型が全体の82%を占める
Q.現在、登録している利用者の数は?
n=51
70人以上
61~70人
51~60人
41~50人
登録利用者数
31~40人
21~30人
10~20人
0
5
10
15
20
利用者数
10~20
21~30
31~40
41~50
51~60
61~70
70~
事業所数
15
9
3
6
4
7
7
登録利用者30人未満が半数(47%)を占める。
Q.利用者の男性と女性の割合は?
n=38
女性
男性
男性は32%、女性は68%で、7割が女性であった。
Q、3~4時間の要介護度は?
n=17
要介護
要支援
3~4時間型では、半数(49%)が要支援者で占める。
Q、6~8時間の要介護度は?
n=12
要介護
要支援
6~8時間では、7割近く(68%)が要介護者である。
Q.選択的加算は、何ですか?
アクテビテイ
n=53 複数回答可
入浴サービス
サービス
口腔機能向上
個別機能訓練 0
10
20
30
40
50
個別機能訓練
入浴サービス
口腔機能向上
アクテビティ
事業者数
50
21
9
5
パーセント
95%
40%
17%
10%
個別機能訓練加算を、ほぼ全事業者(95%)が選択している。
入浴サービスを実施している事業者は4割である。
口腔機能向上加算を2割近く(17%)の事業者が実施している。
Q.個別機能訓練は何をしています?
40
35
30
25
20
15
10
5
0
n=52 複数回答
機能訓練
鍼灸
マッサージ
マシン
マシントレーニングは、34事業所(66%)が実施している。マッサージは、23事業
所(45%)、鍼灸サービスは、6事業所(11%)であった。
その他:セラバンド、電療、柔整手技、マット体操、ストレッチ、重りによる上下肢運
動、阿波踊りなどのDVD体操、エアロバイク、外出歩行訓練、輪転機、手指運動、
エアロビクス、バランスデスクマッサージチェアー、鉄アレー、ヘルストロン、など
Q.3~4時間の疾患割合 は?
n=17
虚弱高齢者
脳卒中
その他
脳卒中の利用者が3割(27%)を占めていた。
虚弱高齢者は59%、認知症その他は、14%となった。
Q.6~8時間の疾患割合 は?
n=12
虚弱高齢者
脳卒中
その他
サービス提供時間6時間以上8時間未満では、認知症その他が3割以上(34%)を
占めた。
虚弱高齢者46%、脳卒中21%の割合となった。
Q.デイサービスの採算状況は?
n=49
内容項目
人
%
7
14
収入が支出を若干上回っている
20
41
収入と支出がほぼ同じになっている
11
23
支出が収入を若干上回っている
7
14
支出が収入を大幅に上回っている
2
4
採算は度外視している
2
4
収入が支出を大幅に上回っている
収入が支出を上回り黒字になっている事業所は27事業所(55%)であった。収入
と支出がほぼ同じを含めると38事業所(78%)となる。一方、赤字の事業所は、9
事業、(18%)であった。
Q.苦労している点は何ですか?
n=50 複数回答
内容項目
人
%
看護師や生活相談員の人材の確保が難しい
31
62
経営経費・活動資金に苦労している
10
20
保険請求実務が難しい
利用者の継続的な確保が難しい
0
10
0
20
8
16
通所介護計画書や個別機能訓練計画書の記入
苦労している点として、6割以上の事業所が人材確保を挙げている。また、2割
の事業者が経営経費・活動資金について及び利用者の確保が難しいとしている。
送迎のこと

送迎体制の確保が難しい。

送迎中の事故に対するリスクマネジメントが問題である。

開始時間に利用者を揃えることがむずかしい
人材のこと

スタッフの介護予防に対する意識が低く、スタッフの質を上
げることが難しい。

柔道整復師・マッサージ師などの機能訓練指導員の確保が
難しい。
地域への認知のこと

居宅支援事業所を持っていないために利用者の紹介が少ない
と思う。

柔整師・鍼灸師が専門性をアピールして、良い結果を出しても地
域でなかなか認知をしてくれないように感じる。

福祉業界や行政窓口担当者は機能訓練に特化したデイサービ
スを、お風呂や食事のサービスがないということでマイナスに評
価する傾向がある。
経費のこと

予想以上に必要経費が多く、デイサービス経営は多難であ
る。

接骨院経営の方が利益率は高く、保険取り扱いの苦労も少
なく思う。
情報が少ないこと

周囲でデイサービスを併設して整骨院を営業し
ている所が少なく、相談できる相手がいないので
寂しいことがある。試行錯誤をしながら何とか
やっている。
経営方針について





施術、介護予防デイサービス、アスレチックトレーナー
は、これからの柔整師・鍼灸師の3本柱となる.
介護予防に参入するには、柔道整復師・鍼灸師の特徴
を生かし、且つ福祉の考え方を取り入れる必要がある。
うちは、要支援者の方にフィットネスクラブのようなシス
テムで運動を行うようにしている。
デイサービスの午後6時から9時までの時間及び土曜日
は、地域の方たちを対象に生活習慣病予防のトレーニ
ング教室を行っている。
介護事業者情報の公表制度は役に立っているとは思え
ない。介護保険制度には様々な問題がある。
これから開業する方へメッセージ①





理論ばかりのPTやOTより手技のある柔整、鍼灸、マッ
サージ師の方がデイサービスの現場に係わるには理想的
である。ただし、利益ばかり追求するのでなく、志を持って
参入する方が増えていけばよいとのだが・・
デイサービスの評価はスタッフの質がカギとなる。よいス
タッフを揃えること!
柔整師・鍼灸師が常にデイサービスにいることは疾患のあ
る利用者にとって大きな安心感が生まれる。デイサービス
での柔整師、鍼灸師の役割は重大である。
デイサービスを開設するなら専門性を生かし資格に恥じな
いサービス内容を実施してほしい。
できる方は、どんどん参入してほしいと思うが、制度をよく
理解し、他事業所と協力しながら、地域に貢献してほしい。
これから開業する方へメッセージ②




柔整師、鍼灸師は体や機能訓練の知識は高いものが
あり、利用者のコミュニケーションをとる技術も優れてい
る。自信を持って、参入してほしい。
利用者は、筋・関節の痛み、骨折、脳卒中後遺症、パー
キンソン病・リウマチなどの難病の方も多いです。しかし、
施術家としての経験を生かし、利用者の生活環境を考
えながら機能訓練をすることで効果が上がっていきます。
利用者の痛み、愁訴の管理は重視してほしい。
筋力トレーニングの効果の有無が問われているが、お
そらく高齢者に運動をしてもらうための技術の問題であ
り、我々柔整師、鍼灸師にとって最も力が発揮できる場
であると考える。
業界のリーダーに望むこと

鍼灸の施術が介護予防のサービスメニューになるように運
動してほしい。

介護予防デイサービスは、私たち専門職の立場として技術
や知識を生かすことができる仕事である。新しい職域の確立
として全力で取り組んでほしい。

介護予防機能訓練における柔整鍼灸の特徴あるマニュアル
を作成してほしい。
調査結果









小規模型デイサービス 85%
運動器機能向上加算・個別機能訓練加算95%
マシントレーニング 66%
マッサージ 45%
短時間型 49%
3~4時間型 脳卒中 27%
入浴サービス 40%
鍼灸サービス 11%。
収支同じか黒字 78%。
結論

小規模デイサービスは、小資本で開業することができ、地域
性も高く、施術との共通点も多く、柔道整復師・鍼灸師の新
しい治療院スタイルとして非常に魅力的である。

要支援者150万人の膝痛、腰痛の高齢者に機能訓練を行
い、身体機能を向上させる職種は、骨関節の専門職である
柔道整復師・鍼灸師の役割である。

ただし、安易な気持ちで開業しないことが肝要である。