Transcript 偶然的現象
放送大学大阪学習センター 勉強会 2010年5月 自然現象・社会現象の2つのタイプ 決定論的現象 天体の運動のように未来が現在により決 まっている現象 偶然的現象 偶然的な要素が加わり、未来の予測が不可 能な現象 偶然的現象を分析の対象とした歴史 賭け、 保険・年金、 天文・測地 関連する数学の発展 天体の運動 多くの古代文明で天体の運動の規則性が 知られており、それにより暦が作られた。 1687年:ニュートンは 「プリンキピア」 により力学の法則を提唱した。 微分・積分の発見、微分方程式 多くの自然現象は決定論的であり、物理・ 化学の理論として現在の自然科学の基礎に なっている。 1654年: パスカルとフェルマーの賭けに関する往復書簡 A,Bがそれぞれ100円の元手を基に硬貨投げをし、 表が出ればAが1点、裏が出ればBが1点獲得する ゲームを繰り返し、最初に10点を取った方が賭け 金の200円を受け取るとする。Aが5点、Bが3点を 取った段階でゲームを中止した場合、賭け金200 円のうちAはいくらもらえるか。 Aが勝つ確率 = 0.73 ⇒ ¥200ⅹ0.73=¥146 5 6 7 8 9 10 11 1 1 1 1 1 1 1 5 15 35 70 126 210 2 2 2 2 2 2 2 損害保険: ギリシャ時代に海上保険が始まる。 14世紀にはイタリアを中心にした地中海 交易 1666年のロンドンの大火より火災保険 生命保険・年金: 17世紀にイギリスの牧師が葬式代を生前 にお金を出して工面しあった。若い牧師に 不満 ハレーが生命表を作成し、年齢による死亡 率をだし、保険料を合理的に計算する方法 を発案 ⇒ 生命保険の始まり18世紀 生命保険において年齢別の死亡率が保険料決 定に有効な背景 人口が大きなグループでは年齢により年間に 死亡する人数はほぼ一定であるという経験則 = 大数の法則 ヤコブ・ベルヌーイ(1654-1705) 1714年出版の「推測の技法」の中でこの大 数の法則を証明 4 0.78540 円の内部の点の個数 8 0.8 全体の点の個数 10 円の内部の点の個数 15 0.75 全体の点の個数 20 円の内部の点の個数 23 0.767 全体の点の個数 30 気体運動論(マックスウェル) 天文学的な個数の分子の運動と 大きなグループの平均余命は原理的には 同じ大数の法則に従っている。 温度、圧力、体積、全質量 統計物理学の発展 天体観測などで惑星の軌道を計算する場合の 測定には誤差が付きまとうので何が正確な値 かを知る必要がある。 ボーデの法則 n1 3 2 4 (n 1,2,) 1801年に小惑星のセレス(n=4)が発見されるが、 太陽に隠されて見失う。正確な軌道を知る必 要が生じた。ガウスの登場 ド・モアブル(1667-1754) 1733年「偶然の教義」(第3版) 大数の法則での誤差について厳密な考察 ラプラス(1749-1827) 正規分布の発見、ド・モアブルの結果を完全 にする ガウス(1777-1855) 観測誤差の理論、最小2乗法の提案 正規分布の別の視点からの導出=ガウス分布 1922年: ブラウン運動の構成 ウィーナーはすべての点で微分不可能なブラ ウン運動を数学的に構成した。 1933年: 公理論的確率論の成立 1902年のルベーグによる新しい積分論を基礎 にコルモゴロフにより近代的な確率論が確立 され、これにより確率論は数学の1部門にな る。 1942年: 確率微分方程式の理論成立 伊藤清博士により偶然現象におけるニュート ンの理論が構築された。ブラウン運動に基礎