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第2章 教育課程とカリキュラム
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前回ポイント
(1)カリキュラム(curriculum)とは何か
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①語源
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・古代の競争または競馬の走るコース(走路)を意味するラテン語
②「学校用語」への転用
・カルヴィニズムの「規律と秩序」を大学に反映。教育の中身を、
順序、期間、修了などについて明確にすることによって、「教育と
学習の双方に、重大な意味を持つ統制を持ち込んだ」
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※文化遺産の伝達を目的に、教育内容を系統的、体系的に準備した
ものというカリキュラム観の源流
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③20世紀における転用
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J.デューイらによる新教育運動、児童中心主義教育運動
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・「カリキュラム」は、学ぶ側に対してその前にあら
かじめ立ちはだかっている壁、乗り越えるべき壁のよ
うなものではなく、学ぶ側の経験、生活の中から学ぶ
べき物を抽出し、それを再編していくものであり、学
ぶ側の主体的条件の違いによって、個別的であり、多
様である
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 ※児童生徒の側から学習内容を考え、児童生徒の興味
関心や日常生活における経験を組織してカリキュラム
を構成する経験カリキュラムの登場
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【補足】20世紀初頭のアメリカにおける教育改革
1.デューイ:「学習者が、自らの生活経験の中から問題を発見し、
それを実践的に解決していく過程を通して、科学的知識や自主的な
問題解決の方法・能力を習得させる学習方法」(問題解決学習)
・デューイの後継者たち─進歩主義運動(progressivism)
2.キルパトリック【プロジェクトメソッド】
「学習者が、実践的な作業を通して、自主的に問題解決を目指す学
習方法」:1.目的設定、2.計画、3.実行、4.評価の4段階からな
る方法の開発
3.パーカースト【ドルトンプラン】
学級を廃止して、国語・数学・歴史などの主要教科を、生徒個人が
自分の興味関心に基づいて自主的に設定した学習プランに基づき学
習し、必要に応じて教師に相談するという、自由と協同の原理で学
習するプラン
 時間割のない学校として、大正時代の日本にも大きな影響を与
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えた。(沢柳政太郎・成城小学校、赤井米吉:明星学園など)
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4.ウオッシュバーン【ウィネトカプラン】:共通必修教科(3
R’s)と集団的、創造的教科(音楽、美術、体育など)にわけ、前者
について、自習教材、自己修正教材などを用いて自学自習し、診断
テストで評価して不十分なところを教師の補助的指導を受けると
いった、学習の個別化をはかった
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③カリキュラムの用法の多様性
・「入学から卒業まで、児童・生徒がたどるべき道筋」
・「児童・生徒の学びにかかわる(あらかじめ用意され
た)計画の総体」
・「学校における児童・生徒の学び(経験)の総体」
・「そこで行われる教育活動あるいは学校において、生
徒の学習・発達・進路に大きな影響を与える経験の総体
」
・「隠れたカリキュラム」(hidden curriculum) (教師
の予測を超えた、教師の意図しない学びを生み出す経験
の総体)
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・「計画としては緩やかな未完のシナリオのような手段
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(2)教育課程とは何か
①「課程」の非日常性
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②広辞苑の定義
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「(学校などで)ある期間に割り当てさせる学
習・作業の順序や内容、大学などでの専門別コー
ス」
③一般的用法
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「学校などの教育・訓練機関があらかじめ準備、
設定している教育プログラム(計画)のまとまり、
その全体をさす。」
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④文科省の見解
「学校において編成する教育課程は、教育基
本法や学校教育法をはじめとする教育課程に
関する法令に従い、各教科(科目)、道徳、
総合的な学習の時間及び特別活動について、
それらの目標やねらいを達成するよう教育の
内容(や課程)を学年(学科の特色等)に応
じ、授業時数(や単位数)との関連において
総合的に組織した各学校の教育計画である」
(文部省中学校学習指導要領解説)
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⑤教育過程
・教育の場面における活動の流れ
・この流れの中では、(あらかじめ準備された)教育課
程ももちろん関わるが、それだけではなく、家族の影響、
マスコミ、文化の影響、人間関係の影響、空間的な影響、
さまざまな事柄が関わる
・教育課程より、はるかに広い概念であり、現実には、
こちらのほうが重要
・実際の教育は、あらかじめ準備されたものに従って取
り組んでいけばよいのではなく、実際にはより広い文脈
の中に位置づけられて取り組まれなければならない
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(4)教育課程と教科課程
・教科課程=「どの学年でどういう教科を課するかを決め、またそ
の課する教科と教科内容との学年的な配当を系統づけたもの」(昭
和22年版学習指導要領一般編(試案))
・教育課程=「児童や生徒がどの学年でどのような教科の学習や教
科以外の活動に従事するのが適当であるかを定め、その教科や教科
以外の活動の内容や種類を学年別に配当づけたものを教育課程とい
う」(昭和26年版学習指導要領)
・「教科」中心の学校から、教科外活動も含んだより広い活動に取
り組む「学校」へ
・教科外活動は、英語ではextra-curricular activities
・この用法からすれば、curricular activitiesは、「教科課程」である
と言う解釈になる
・カリキュラム≠(≧)教育課程
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