第2章:日本の社会保障

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財務省サイト:「日本の財政を考える」
第2章 日本の社会保障
(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014.htm)
「高齢化の進展に伴い社会保障関係費が
年々増大し、今後も急速に増加することが
見込まれ、財政事情はますます厳しくなる
ことが予想されます。 」 と書かれている。
「平成17年度一般会計予算における歳出は
約82兆円です。社会保障関係費は一般歳出の
4割以上を占めています。 」と書かれている。
財政法(1947年4月施行)第13条
「国の会計は一般会計と特別会計に分かれる」
正しい国家予算規模は、
両会計の歳出純計合計 239.7兆円。
財務省のサイトには、
「連結社会保障費(67兆円)は
国の予算の3割弱に相当します。」
と書くべき。
特別会計歳出は
一般会計歳出の約5倍。
因みに国の本当の予算で論じれば、国
民医療費(32兆円)もその1割を
やや越える、に過ぎない。
公共事業 と 社会保障
*** 日本の特殊性 ***
日本では、他の先進4ヵ国平均に比べ、
公共事業費は3倍、社会保障費は半分、
前者が後者を上廻った国は日本だけ。
サミット7ヵ国の中で、
日本の公共事業費は、残リ6ヵ国の
公共事業費の合計額よりも多い。
社会保障費の負担
この四半世紀で国庫負担を7.6%削減、
これは金額にして約6兆円に相当。
先進5カ国で、
社会保障への国庫負担を
減らしたのは日本だけ。
一体、どれだけ国民に還元されている?
租税(国と地方)負担と社会保険料負担の合計額から、
国民に社会保障給付としてどれだけ還元されているか、を見ると、
6割前後のヨーロッパ諸国に比べ、日本は4割程度と低率。
仮に、日本の還元率をドイツ並みに引き上げれば、
社会保障予算は 31兆円の増額。
抑制すべきは本当に社会保障国庫負担?
政府の自己消費、即ち、公務員の
人件費などは増加の一途。
“痛みを伴う構造改革”により、目に見える公共事業費は減り、
社会保障国庫負担も強く抑制されたまま。
氷山のような日本の国家予算
国の一般会計は火の車で、82.2兆円予算の約半分を借金(国債)で賄い、
国と地方を合わせた借金は約1,000兆円。その一方で・・・、
特別会計を勘案した国の
予算規模は遥かに大きい。
しかも歳入が歳出を大きく
上回って金余り状態。
特別会計から、
公益法人、特殊法人、
独立行政法人など
官業向けに支出。
「母屋(一般会計)でおかゆをすすっているのに、
離れ(特別会計)でスキヤキを食っている。」
― 塩川正十郎財務相(当時)
特別会計とは、
特定の事業と財源を持つ各省庁が
財務省主計局の査定を受けずに
自らの判断で運用。
殆ど国会審議の対象にもならなかった
「官」の「ポケット会計」。
独立行政法人評価年報(平成16年度版)
平成16年12月6日 政策評価・独立行政法人評価委員会
独立行政法人の役職員の状況
役員の報酬等の支給状況
(平成15年度)
法人の長
1,824万円
理事
1,596万円
監事
1,401万円
給与、報酬等の支給総額 (平成15年度)
給与、報酬等支給総額
1兆0412億円
最広義人件費総額
1兆3052億円
「最広義人件費」には、給与、報酬等支給額の他、退職手当引当金繰入額、法定
福利厚生費、共済組合等負担金、非常勤職員や臨時職員等支給給与が含まれる。
1945年3月 東京大空襲
1945年3月9日深夜0時8分、B-29爆撃機344機による
爆撃は、東京市の隅田川沿岸地区を中心に1万発を
越える焼夷弾を投下、8万人とも10万人ともいわれる
人々が犠牲になり、焼失家屋は約28千戸に及び、
東京の3分の1以上の面積が焼失した。
60年後(2005年) 東京の夜景
医療の現場で私たちは、
戦後の復興を支えた方々が今、高齢者と呼ばれる世代となり、
核家族化が進む中、今度は様々な疾患と黙々と戦っている、
ことを身近に診てきた。
豊かな日本の高齢者
財務省サイト:「日本の財政を考える」には、
(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014.htm
)
「高齢者世帯は貯蓄面において
平均的には勤労者世帯の約2倍の
貯蓄を保有し、資産全体でも大きな
較差があります。」と書いてある。
「高齢者世帯は所得面において
平均的には他の年齢層と遜色ない
所得を得ています。」と書いてある。
出典)厚生労働省「平成16年国民生活基礎調査の概況」にある
所得金額及び貯蓄額の相対度数分布をグラフ化してみると、
日本の高齢者、本当に豊か?
多きな較差?
遜色ない?
年金生活、豊かな高齢者?
アメリカに次いで
高齢者の貧困率が高い日本
貧困率=全国民の平均所得の50%以下の
所得しかない「貧困者」の全人口比
「高齢化の進行で老人が増え、日本の経済が支えきれなくなる」
と言われている。
(財務省HPより)
就労年数の上昇と女性の就労機会の増大により、「1人の働き手が自分を含めて
約2人を扶養する」には、 この100年間、大きな変化はみられない。
老人は子供より医療費などにお金がかかる、
という意見もあり、老人1人あたり医療費は、
74万円かかっている。
しかし、子供にも1人あたり学校教育費が、
小学生89万円、中学生96万円、高校生
109万円かかっている。
老人でも子供でも、1人の労働者が扶養するのに掛かる
社会的な費用には、それほど差が無い。
老人だけでない日本の高い自己負担率
乳幼児医療の国際比較(保団連2003年)によれば、
1)外来医療費、入院医療費、薬剤負担はすべて3割負担の日本に対し、
a) ドイツ、イギリス、イタリア、スウェーデン、カナダではいずれも無料、
b) フランスは全額支払うがほぼ同額が払い戻される、
2)国民医療費に対する全患者負担率が 14.8%の日本に対し、
ドイツは 6.0%、イギリスは 2.4%、スウェーデンは約3%、フランスは11.7%。
因みに、EUの付加価値税の仕組みを採用した
日本の消費税は5%と一見、低率だが一律課税。
消費税率と全税収に占める消費課税比率
日本
アメリカ
イギリス ドイツ
フランス
5%
9%
18%
16%
19%
32%
24%
40%
49%
40%
一方、欧州各国の付加価値税は、
1) 医療・教育から住宅取得・不動産・金融など幅広い非課税項目がある、
2) 食料品や医薬品など、生活必需品は軽減税率をとっている。
国税収入の主要税目割合の推移は?
日本の消費税は低所得層に
高負担の逆累進課税。
企業減税や高所得者減税、長引く不況に
より、消費課税(=消費税+個別間接税)
分の上昇のみが顕著。
我が国の貧困度
全国民の平均所得の50%以下の所得しかない「貧困者」の全人口比
OECD諸国の貧困率
1位
メキシコ
20.3
10位
イギリス
11.4
2位
アメリカ
17.1
13位
カナダ
10.3
ドイツ
8.9
3位
トルコ
15.9
16位
4位
アイルランド 15.4
19位
フランス
7.0
5位
日本
25位
スウェーデン
4.3
15.3
OECD平均
上記各国の自殺率(対10万人)
10位
日本
24.1人
19位
フランス
17.5
28位
ドイツ
13.5
29位
スウェーデン
13.4
34位
アイルランド
12.2
40位
カナダ
11.7
46位
アメリカ
10.4
57位
イギリス
7.5
10.4
「構造改革」で一気に
進んだ所得格差の拡大
2001年小泉内閣誕生 →
「第2章:日本の社会保障」のまとめ
医療が関わる社会保障は実需と成長性の高さから,
最大の戦略産業でもあり,雇用の場である.
しかも,国民を守る国の安全保障の根幹でもある。
しかし日本では、特殊法人や銀行などへの投融資は異常に高いが、
国際的に見ても、社会保障についての国庫負担は最低水準である。
やや過激か、と思える本も、
妙に納得しながら
読めてしまうこの国、日本
真面目で勤勉な一般国民
よらしむべし、知らしむべからず。
政治家、官僚、業者による公益・公共事業と称する利権ビジネス
政治家は2世3世を育て、いまや特権階級が支配する国家に
借金、公的債務約800兆円。年金や公団・公社の
準政府部門の隠れ債務を加えると総額2,000兆円。
個人資産は1385兆円なので、もはや返済不能。
国債格付けは急落、アフリカの小国ボツワナ並みに。
しかし、天然資源豊かなボツワナには返せない借金は無し。
海外投資家は、「日本の最大のリスクは政治・行政にあり、
これを解消しない限り、日本に投資できない。」
日本の国際的地位はますます低下し、
いまやアジアも日本抜きで動くようになってしまった。
参照サイト:
1)日本の財政を考える
2)総務省報道資料
3)最近公表の報道資料
4)国立社会保障・人口問題研究所
5)社会保険庁
6)OECD東京センター
6)わが国税制・財政の現状全般に関する資料
7)e-Graph(経済統計グラフ)
8)さらば日本官僚社会
9)つながるモリタクBLOG
10)萬晩報
11)ひと味違う論説