Transcript Document

確率・統計Ⅱ
第5回
検定(1)
1. 検定とは
2. 母平均の検定
3. 母分散の検定
検定とは
母集団分布や母数を具体的にひと
つ仮定する。その仮定のもとで統計
量の確率分布を計算し、実現値が確
率分布のどの位置にあるかを見る。
それが、あらかじめ設定した確率α
以下の末尾事象になるようであれば、
最初の仮定は不自然であると考えて
捨てる(仮定を否定する)。
検定とは
要するに検定とは
確率的背理法
αを有意水準(危険率)、
最初の仮定を帰無仮説という。
検定の手順
1. 有意水準αを定める。( 0.10, 0.05, 0.01 等)
2. (否定したい)帰無仮説 H0 をたてる。
3. H0のもとで定まる確率分布を用いて、
P(c1≦検定したい母数θを含む統計量≦c2)=1-α と
なる c1, c2 を求める。
4. c1≦θを含む統計量の実現値≦c2 ?
5. そうでないなら H0 を棄却する。
「棄却域」の定義
0.4
(a)右片側検定
0.3
有意水準αの
0.2
棄却域
0.1
α%
-3
-2
-1
1
2
右側α%点
3
x
「棄却域」の定義
0.4
(b)左片側検定
0.3
有意水準αの
0.2
棄却域
0.1
α%
-3
-2
-1
左側α%点
1
2
3
x
「棄却域」の定義
0.4
(c)両側検定
有意水準αの
棄却域
0.3
0.2
0.1
α/ 2%
-3
-2
-1
左側α/ 2%点
α/ 2%
1
2
3
右側α/ 2%点
x
「対立仮説」の設定
対立仮説 H1 … 帰無仮説 H0 が棄却された
場合に採用される仮説
H0 : θ=θ0 とするとき
a. 右片側検定 … H1 : θ>θ0
b. 左片側検定 … H1 : θ<θ0
c. 両側検定
… H1 : θ≠θ0
検定(1)
1. 検定とは
2. 母平均の検定
3. 母分散の検定
母平均の検定(母分散既知)
母分散σ2 とする。
母平均μ=μ0 と仮定 (帰無仮説 H0)
標本の大きさ n が大きい場合、
または(nが小さくても)
母集団が正規分布に従う場合
X  0
Z
は 標準正規分布に従う
 n
母平均の検定(母分散既知)
標準正規分布の 2.5パーセント点
P(z0.025 Z  z0.025)  0.95
つまり
(有意水準5% ,
両側検定の場合)


X  0
P  z0.025
 z0.025  0.95
/ n


X  0
 z0.025
 z0.025
 n
か否か?
これに X の実現値
x を代入
母平均の検定(母分散既知)
(有意水準5% , 両側検定の場合)
x  0
 n
と ±z0.025 の大小をチェック
つまり
x  0
 n
と ±1.96 の大小をチェック
(再確認)
標準正規分布のパーセント点
有意水準5%
片側検定
有意水準5%
両側検定
右側5%点
z0.05 = 1.65
右側2.5%点
z0.025 = 1.96
[例題]母平均の検定(母分散既知)
[1] ある都市で約8000世帯の収入の平
均を調べたところ、703万円であった。
母分散σ2は判っていて、σ=410万円
とする。
全国平均は695万円とする。この都
市の平均収入は全国平均より高いと
いえるか、有意水準5%で検定せよ。
[例題]母平均の検定(母分散既知)
この都市の平均収入μ, 全国平均
μ0=693(万円)として、帰無仮説
H0 : μ=μ0 をたてる。
対立仮説は H1 : μ>μ0 (右片側検定)
n  8000, x  703,   410
であるから、統計量 Z の実現値は、
[例題]母平均の検定(母分散既知)
x  0
703 695
8
Z


 1.75
 n
410 8000 4.58
これは標準正規分布の右側5%点
z0.05 =1.65 より大きいので、帰無仮説
H0 は棄却できる。
(すなわち、この都市の平均収入μは
全国平均μ0より高いと考えられる。)
母平均の検定(母分散未知)
① 標本の大きさ n が大きい場合 (n≧30)
σ2 のかわりに s2 を用いる以外は同様。
② 母集団が正規分布に従う場合
σ2 の代わりに s2 を用い、正規分布の代
わりに 自由度 n-1 の t 分布を用いる。
[演習]母平均の検定(母分散未知、小標本)
[3] ある都市で10世帯の収入の平均と標準
偏差を調べたところ、それぞれ703万円、
15万円であった。
この都市の収入は正規分布しているとし、
全国平均を695万円とするとき、この都市
の平均収入が全国平均と異なるといえる
か、危険率5%で検定せよ。
t 分布のパーセント点
0.025
t
0.005
1
2
3
4
5
6
7
8
9
6.314
2.920
2.353
2.132
2.015
1.943
1.895
1.860
1.833
12.706
4.303
3.182
2.776
2.571
2.447
2.365
2.306
2.262
63.657
9.925
5.841
4.604
4.032
3.707
3.499
3.355
3.250
…
t
…
0.05
…
t
…
自由度 n
[演習] t 分布を用いた検定
[1] 正規分布に従う母集団から、次のデータ
が得られた。
12, 14, 14, 9, 10, 12, 11, 13, 10, 15
仮説μ=10を有意水準5%で両側検定せよ。
検定(1)
1. 検定とは
2. 母平均の検定
3. 母分散の検定
母分散の検定
◎ 母集団が正規分布に従う場合(の
み)
2
(n 1)s
2
 
2

を計算し、
自由度 n-1 のカイ二乗分布
のパーセント点と比較する。
[例題]母分散の検定
[3] ある都市で10世帯の収入の平均と
標準偏差を調べたところ、それぞれ
703万円、15万円であった。
この都市の収入は正規分布している
として、母分散σ2 =250であるといえる
か。有意水準5%で検定せよ。
[例題]母分散の検定
この都市の収入の母分散をσ2として、
帰無仮説 H0 : σ2=250 をたてる。
対立仮説は H1 : σ2≠250 (両側検定)
 
2
(n 1)s

2
2
9  225

 8.1
250
カイ二乗分布のパーセント点
2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
0.00
0.05
0.22
0.48
0.83
1.24
1.69
2.18
2.70
0.00
0.10
0.35
0.71
1.15
1.64
2.17
2.73
3.33
5.02
7.38
9.35
11.14
12.83
14.45
16.01
17.53
19.02
7.88
10.60
12.84
14.86
16.75
18.55
20.28
21.96
23.59
…
0.005
…
χ
…
0.025
…
χ
2
…
自由度 n χ20.975 χ2 0.950
[例題]母分散の検定
これは自由度9のカイ二乗分布の
右側5%点 χ20.025 =19.02 より小さく、左
側5%点 χ20.975 =2.70 より大きい
ので、帰無仮説 H0 は棄却できない。
(すなわち、この都市の収入の分散σ2
は250でないとはいえない。)
[演習] カイ二乗分布を用いた検定
[1] 正規分布に従う母集団から、次のデータ
が得られた。
12, 14, 14, 9, 10, 12, 11, 13, 10, 15
母分散σ2は2より大と考えたいが、そういっ
てよいか有意水準5%で検定せよ。
メニューに戻る
メニューへ