欧州の風力発電から学ぶ ~日本は10年以上遅れをとっている~ 2014.

Download Report

Transcript 欧州の風力発電から学ぶ ~日本は10年以上遅れをとっている~ 2014.

CASA東京支部定例会
欧州の風力発電から学ぶ
~日本は10年以上遅れをとっている~
2014.2.16
1
日本は風力資源が豊か
~2011年環境省~
日本の年間電力消費:10000億kWh
陸上風力の導入ポテンシャル:2.8億kW
(稼働率20%で、年間4900億kWh)
洋上風力の導入ポテンシャル: 16億kW
(稼働率30%で、年間42000億kWh)
導入ポテンシャル:エネルギーの採取・利用に関する種々の制
約要因による設置の可否を考慮したエネルギー資源量
2
風力発電の電力量割合
~2012年~
デンマーク 33.7%
ポルトガル 22.0%
スペイン
16.5%
アイルランド 14.5%
ドイツ
7.4%
→欧州では、風力発電は立派な基幹電源
日本
0.4%
→日本では、大量導入は無理だと思われている
3
欧州と日本の差は?
チャレンジして、ノウハウを積み重ねて来た欧州
できない理由を挙げて努力しなかった日本
(10年以上の差がついている)
今、日本で言われている風力発電のデメリ
ットは、欧州では既に解決済
欧州の風力発電から学ぼう!
4
風力発電は高くない
出所:コスト等検証委員会最終報告書
5
「集合化」で細かな変動はなくなる
風車200基
「集合化」すれば、蓄電池は不要
風車15基
出所:「風力発電のための電力系統工学」オーム社
6
個々には、スイッチは突然オンオフ
され、需要は変動している。
1日の電力需要の変化と従来の対応
従来、個々の需要変動は気にせず、全体
をまとめて傾向をつかんで対応している。
需要
7
従来の需要の予測と発電
1日前に電力の需要を予測し、発電計画を
立て、発電所の準備をする。
予測に従い、発電所を動かし、実績との微
妙な差を、即時調整可能な発電機で対応
8
等価需要
等価需要=需要-変動電源(風力など)
変動電源の予測ができれば、対応可能
等価需要
9
欧州の等価需要の予測と発電
天気予報を活用
1日前に等価需要(需要-変動電源)を予
測し、計画を立て、発電所の準備をする。
さらに、3時間前により正確な予測を立て、
発電所準備の精度を上げる。
予測に従い、発電所を動かし、実績との微
妙な差を、即時調整可能な発電機で対応
10
年々高まる予測精度
欧州は予測のノウハウを積み重ねている
出所:「風力発電のための電力系統工学」オーム社
11
風力発電予測がビジネスに
風力発電予測の精度が上がると、発電調整
の無駄が少なくなり、コストダウンになる。
欧州では、風力発電予測がビジネスになっ
ている。
12
柔軟性(frexibility)
電力の等価需要を正確に予測し、
柔軟性(frexibility)で、発電の調整をする
柔軟性:水力、ガスタービン火力、コジェネ、
揚水、連系線、デマンドレスポンス、等
(調整には、多様な選択肢)
13
アイルランドの柔軟性
風力電力量:14.5%(設備容量で34.4%)
ガスタービン(コンバインドサイクル発電CCGT)
風力発電の増加によって必要となる調整
電源(CCGT)の容量は、風力発電の設備
容量の5%に満たない。
(アイルランド系統運用者の分析:ノウハウ)
14
ポルトガルの柔軟性
風力電力量:22.0%
水力発電:柔軟性の供給に最適な電源
(日本では、原発同様の一定量発電)
変動電源の瞬間的比率が90%以上を記
録したことがあるが、系統の安定度を損ね
ることなく、対応できた。
→ ノウハウをつかんだ
15
デンマークの柔軟性
風力電力量:33.7%
コジェネ(系統運用者が遠隔制御できる)
スウェーデン、ノルウェーとの連系線(市場取引)
・・・連系線の先には、水力発電
スウェーデン、ノルウェーは、余った安い風力の
電気を買い、高い時に水力の電気を売れる
・・・北電、東北電、東電の連系のようなもの
16
欧州の柔軟性
連系線に頼らない国も多い。
火力発電だけでなく、水力発電、コジェネ
など、多様な柔軟性で対応をしている。
17
日本の会社間連系線
18
出所:エネルギー白書2011(資源エネルギー庁)
日本の会社間連系線の設備容量比率
~2011年ピーク需要に対する容量比~
北海道電力: 12.4%
東北電力 : 55.4%
東京電力 : 14.8%
中部電力 : 27.4%
北陸電力 :110.6%
関西電力 :105.2%
中国電力 :228.1%
四国電力 : 69.8%
九州電力 : 36.5%
意
外
に
多
い
!
19
総発電電力量に対する会社間取引電力量の比率
2010、2011、2012年度
北海道電力: 0.8%、 9.5%、 0.1%
東北電力 :23.1%、13.3%、10.2%
東京電力 : 6.9%、 3.4%、 3.0%
中部電力 : 4.1%、 2.2%、 4.5%
北陸電力 :20.8%、 3.5%、 3.3%
関西電力 : 4.1%、 4.5%、 4.7%
中国電力 : 1.5%、 4.1%、 3.2%
四国電力 :15.3%、13.1%、 2.9%
九州電力 : 0.1%、 1.5%、 2.7%
連
系
線
は
余
っ
て
い
る
!
20
連系線が余っているのは制度的問題
変動電源を広域運用するルールがない
・変動成分をそのまま流してはいけない
・当日、トラブル以外で、連系線利用計画
を変えてはいけない
ルールを変えて、電力会社間の変動電力
の市場取引を可能にするとともに、風力適
地の北海道電力等の電力を、大量消費地
の東電に送るための連系線の強化も必要
21
欧州の言説
電力系統に連系できる風力発電の量を決めるの
は、技術的・実務的制約よりも、むしろ、経済的・
法制的枠組みである。
風力発電は今日すでに、大規模電力系統では深
刻な技術的・実務的問題が発生することなく電力
需要の20%までを占めることができると、一般
にみなされている。
20%以上というさらに高い導入率のためには、
電力系統および風力発電を受け入れるための運
用方法における変革が必要である。
22
日本は
日本は、欧州より10年以上遅れている。
まずは、風力などの変動電源を、最低20
%程度は導入する方針を定め、ノウハウを獲
得しながら、欧州に追いつき、追い越す努
力をすべきである。
それができたら、さらにその上をめざす。
日本の技術力で、できないはずがない。
23
終
情報は「日本の知らない風力発電の実力」安田陽著、オーム社
より得ました
24