詳解「学校環境衛生の基準」 (日本学校薬剤師会編)

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Transcript 詳解「学校環境衛生の基準」 (日本学校薬剤師会編)

学校保健安全法の施行について
ー 学校薬剤師に関係する法規等 ー
学校薬剤師研修会
学校薬剤師に関する主な法令等
○ 教育基本法
○ 学校教育法
○ 学校保健安全法(学校環境衛生基準)
○ 学校保健安全法施行規則(省令)
○ 学校給食法(学校給食衛生管理基準)
○ 水道法
○ 浄化槽法
○ 麻薬及び向精神薬取締法
○ 大麻取締法
○ 覚せい剤取締法
etc
学校教育法等の一部を改正する法律案の概要
○ 教育基本法の改正及び中央教育審議会の答申等を踏まえ、
学校教育の充実を図るため、義務教育の目標を定め、各学校
種の目的・目標を見直すとともに、学校の組織運営体制の確立
のため、副校長等の新しい職を設置する等の改正を行う。
○ 学校教育法 第12条
学校においては、別に法律で定め
るところにより、幼児、児童、生徒及
び学生並びに職員の健康の保持増
進を図るため、健康診断を行い、そ
の他その保健に必要な措置を講じ
なければならない。
1.学校薬剤師の社会的位置づけ(P508)
第21条 義務教育として行われる普通教育は、教育基本法(平成18年法律第120号)第5条
第2項に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
1.学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正
な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与す
る態度を養うこと。
2.学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の
保全に寄与する態度を養うこと。
3.我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それら
をはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を
通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
4.家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的
な理解と技能を養うこと。
5.読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
6.生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
7.生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する
基礎的な能力を養うこと。
8.健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、
心身の調和的発達を図ること。
9.生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を
養うこと。
10.職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進
路を選択する能力を養うこと。
第3章 幼稚園
第22条 幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を
保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を
助長することを目的とする。
第23条 幼稚園における教育は、前条に規定する目的を実現するため、次に掲げ
る目標を達成するよう行われるものとする。
1 健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い、身体諸機能の
調和的発達を図ること。
2 集団生活を通じて、喜んでこれに参加する態度を養うとともに家族や身近な人
への信頼感を深め、自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養
うこと。
3 身近な社会生活、生命及び自然に対する興味を養い、それらに対する正しい
理解と態度及び思考力の芽生えを養うこと。
4 日常の会話や、絵本、童話等に親しむことを通じて、言葉の使い方を正しく導く
とともに、相手の話を理解しようとする態度を養うこと。
5 音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と表現力の
芽生えを養うこと。
第4章 小学校
第29条 小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のう
ち基礎的なものを施すことを目的とする。
第30条 小学校における教育は、前条に規定する目的を実現するために必要な
程度において第二十一条各号に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
2 前項の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的
な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために
必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り
組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。
第5章 中学校
第45五条 中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、
義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする。
第6章 高等学校
第50条 高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路
に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。
第51条 高等学校における教育は、前条に規定する目的を実現するため、次に掲
げる目標を達成するよう行われるものとする。
1 義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展拡充させて、豊かな人間
性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質
を養うこと。
2 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来
の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得さ
せること。
3 個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養
い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。
中央教育審議会について
平成二十一年二月一日
生涯学習政策局政策課
1 設置の経緯
中央省庁等改革の一環として,従来の中央教育審議会を母体としつつ,生涯学習 審議会,
理科教育及び産業教育審議会,教育課程審議会,教育職員養成審議会,大学審議会,
保健体育審議会の機能を整理・統合して,平成13年1月6日付けで文部科学省に設置。
2 審議会の主な所掌事務
(1) 文部科学大臣の諮問に応じて, 教育の振興及び生涯学習の推進を中核とした豊かな
人間性を備えた創造的な人材の育成に関する重要事項, スポーツの振興に関する重要
事項を調査審議し,文部科学大臣に意見を述べること。
(2) 文部科学大臣の諮問に応じて生涯学習に係る機会の整備に関する重要事項を調査審
議し,文部科学大臣又は関係行政機関の長に意見を述べること。
(3) 法令の規定に基づき審議会の権限に属させられた事項を処理すること。
3 構成
(1) 委員30人以内,任期2年(再任可)(臨時委員及び専門委員を置くことができる)
(2) 5分科会を設置する。(審議会及び分科会には,必要に応じて,部会を設置)
中央教育審議会の構成(平成19年4月現在)
教育振興基本計画特別部会
中央教育審議会
教育制度分科会
生涯学習分科会
初等中等教育分科会
大学分科会
スポーツ・青少年分科会
教育課程部会
教員養成部会
学校健康・安全部会
「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保する
ために学校全体としての取組を進めるための方策
について」(諮問)
18文科ス第492号
中央教育審議会
次に掲げる事項について,別紙理由を添えて諮問します。
子どもの心身の健康を守り,安全・安心を確保するために
学校全体としての取組を進めるための方策について
平成19年3月29日
文部科学大臣 伊吹 文明
諮 問 (理由)
(前略)
•
近年,通学路を含めた学校の内外における子どもが犠牲となる事件・事故が生
じており,地域ぐるみで子どもの安全を守り,安心して育つことのできる生活環境
を作っていくことが求められている。また,メンタルヘルスに係る課題やアレル
ギー疾患など子どもの心と体にわたる様々な健康問題が生じており,学校におけ
る取組を充実させていくことが求められている。さらに,子どもたちの食生活にお
いて朝食欠食,偏食,孤食といった課題が生じており,子どもたちが健やかに育
つ上で大切な生活リズムを身につけさせる上でも,また,将来にわたって,今や国
民病とも呼ばれているメタボリックシンドローム等の生活習慣病を予防するために
も,正しい食に関する知識と望ましい食習慣を育むことを目的とする食育に学校
が積極的に取り組むことが求められている。
(中略)
•
また,それぞれの課題は学校のみでは十分な対応ができないものも少なくない
ことから,地域の専門家や関係機関の知見や能力を最大限に活用し,かつ,子ど
もの健やかな発達について大きな責任を有する保護者との連携を強化する取組
や体制を一層整備・充実していくことが必要である。
•
以上の観点から,子どもの心身の健康を守り,安全・安心を確保するための学
校全体としての取組を進めるための方策について検討する必要がある。
「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を
確保するために学校全体としての取組を
進めるための方策について」
(答 申)
平成20年1月17日
中央教育審議会
「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体と
しての取組を進めるための方策について」(答申)
目 次
はじめに
Ⅰ 子どもの健康・安全を守るための基本的な考え方について
Ⅱ 学校保健の充実を図るための方策について
1.子どもの健康を取り巻く状況とその対応
2.学校保健に関する学校内の体制の充実
3.学校、家庭、地域社会の連携の推進
Ⅲ 学校における食育の推進を図るための方策について
1.子どもの食を取り巻く状況とその対応
2.食育・学校給食に関する学校内の体制の充実
3.学校、家庭、地域社会の連携の推進
Ⅳ 学校安全の充実を図るための方策について
1.子どもの安全を取り巻く状況とその対応
2.学校安全に関する学校内の体制の充実
3.学校、家庭、地域社会の連携の推進
はじめに(抜粋)
(前略)
• しかしながら、現在、社会状況等の変化に伴い学校保健、食育・学校給食、学校
安全に様々な課題が生じている。学校保健については、ストレスによる心身の不調
などメンタルヘルスに関する課題や、アレルギー疾患を抱える子どもへの対応に当
たって、学校において子どもの状況を目々把握し、的確な対応を図ることが求めら
れている。また、食育・学校給食については、子どもの食生活において朝食欠食、
偏食、孤食といった課題が生じており、学校において食育を推進することが求めら
れている。さらに、学校安全については学校の内外において子どもが犠牲となる、
あってはならない事件・事故、交通事故や自然災害などに対して、学校が適切な対
応を行うことが求められている。
• 今回の諮問理由においては、このような課題に対応するために、教職員のそれぞ
れの役割を明確にし、かつ、相互の効果的な連携の在り方を探求した上で、学校全
体の取組体制を整備すること、地域の専門家や関係機関の知見や能力を最大限
に活用し、かつ、子どもの健やかな発達について大きな責任を有する保護者との連
携を強化する取組や体制を整備・充実することの、二つの観点から検討を行うこと
が示された。
• これを受け、中央教育審議会では、学校保健、食育・学校給食、学校安全につい
て、スポーツ・青少年分科会に学校健康・安全部会を設置し、精力的に審議を行っ
てきた。
学校保健に関する学校内の体制の充実
○ 多様化・深刻化している子どもの現代的な健康課
題を解決するためには、学校内の組織体制が充実
していることが基本となることから、すべての教職員
が共通の認識(基本的な知識と理解)を持ち、校長
のリーダーシップの下、学校保健計画に基づき、教
職員の保健部(係)などの学校内の関係組織が十
分に機能し、すべての教職員で学校保健を推進す
ることができるように組織体制の整備を図り、保健
教育と保健管理に取り組むことが必要である。
(1)養護教諭 [ 学校保健に関する学校内の体制の充実 ]
① 養護教諭は、学校保健活動の推進に当たって中
核的な役割を果たしており、現代的な健康課題の解
決に向けて重要な責務を担っている。(中略)
また、メンタルヘルスやアレルギー疾患などの子ど
もの現代的な健康課題の多様化により、医療機関な
どとの連携や特別な配慮を必要とする子どもが多く
なっているとともに、特別支援教育において期待され
る役割も増してきている。
そのため、養護教諭がその役割を十分果たせるよ
うにするための環境整備が必要である。
② 養護教諭の職務は、学校教育法で「児童生徒の養護
をつかさどる」と定められており、昭和47年及び平成9
年の保健体育審議会答申において主要な役割が示さ
れている。
それらを踏まえて、現在、救急処置、健康診断、疾病
予防などの保健管理、保健教育、健康相談活動、保健
室経営、保健組織活動などを行っている。また、子ども
の現代的な健康課題の対応に当たり、学級担任等、学
校医、学校歯科医、学校薬剤師、スクールカウンセラー
など学校内における連携、また医療関係者や福祉関係
者など地域の関係機関との連携を推進することが必要
となっている中、養護教諭はコーディネーターの役割を
担う必要がある。
このような養護教諭に求められる役割を十分に果たせるよう、
学校教育法における養護教諭に関する規定を踏まえつつ、養護
教諭を中核として、担任教諭等及び医療機関など学校内外の関
係者と連携・協力しつつ、学校保健も重視した学校経営がなされ
ることを担保するような法制度の整備について検討する必要が
ある。(中略)
⑤ 深刻化する子どもの現代的な健康課題の解決に向けて、学
級担任や教科担任等と連携し、養護教諭の有する知識や技能
などの専門性を保健教育に活用することがより求められている
ことから、学級活動などにおける保健指導はもとより専門性を
生かし、ティーム・ティーチングや兼職発令を受け保健の領域
にかかわる授業を行うなど保健学習への参画が増えており、養
護教諭の保健教育に果たす役割が増している。そのため、保
健教育の充実や子どもの現代的な健康課題に対応した看護学
の履修内容の検討を行うなど、教員養成段階における教育を
充実する必要がある。
(2)保健主事
[ 学校保健に関する学校内の体制の充実 ]
① 保健主事は、学校保健と学校全体の活動に関する調整や
学校保健計画の作成、学校保健に関する組織活動の推進
(学校保健委員会の運営)など学校保健に関する事項の管理
に当たる職員であり、その果たすべき役割はますます大きく
なっている。
このことから、保健主事は充て職であるが、学校における
保健に関する活動の調整にあたる教員として、すべての教職
員が学校保健活動に関心を持ち、それぞれの役割を円滑に
遂行できるように指導・助言することが期待できる教員の配置
を行うことやその職務に必要な資質の向上が求められている。
(3)学級担任や教科担任等
[ 学校保健に関する学校内の体制の充実 ]
① 学級担任等は、子どもと常に身近に接していることから、メンタルヘルスやアレル
ギー疾患などの子どもの現代的な健康課題に対応すべく、子どもたちと向き合う時間の
確保や、日々の健康観察、保健指導、学校環境衛生の日常的な点検などを適切に行
うことが求められている。保健学習については、とりわけ、学級担任、保健体育教諭、
養護教諭などが連携して実施していくことが求められる。また、学校保健の組織的活動
を活性化する上で、養護教諭や保健主事などとともに、学級担任などの一般教諭が一
丸となって積極的に取組んでいくことが必要である。
しかしながら、一般教諭の学校保健活動に対する理解や学校保健活動に主体的に取
り組む上での意識の不足が見られ、その担うべき役割が必ずしも十分果たされていな
いこともあるため、各大学や教育委員会の取組により、教員養成の段階や初任者研修
をはじめとする各種現職研修の段階において、学校保健についての知識や指導方法
に ついて修得する機会を確保・充実することが望まれる。
(4)校長・教頭等
[学校保健における]
① 学校経営を円滑にかつ効果的に実施していくためには、子どもの健康づくりが重要である
ことから、学校保健を重視した学校経営を行うことが求められる。特に、インフルエンザ、麻し
んのような伝染病の校内まん延防止など、健康に関する危機管理は重要な課題である。
② 学校保健活動を推進し、子どもの現代的な健康課題の解決などを図るためには、校長自
らが学校保健の重要性を再認識し、学校経営に関してリーダーシップを発揮することにより、
学校内(学校保健委員会を含む)や地域社会における組織体制づくりを進めていくことが求め
られる。
③ しかしながら、管理職研修には、学校保健に関する内容の研修がほとんど組み込まれて
い ないのが現状である。学校保健について、校長・教頭等の意識の向上を図り、学校経営
に関 してリーダーシップを発揮できるようにするためには、各都道府県等で実施している管
理職研修に子どもの現代的な健康課題の解決に向けた内容を設定するなど、学校保健に関
する管理職研修の充実を図る必要がある。
(5)学校医、学校歯科医、学校薬剤師
[ 学校保健に関する学校内の体制の充実 ]
② これまでの学校保健において、学校医、学校歯科医、学校薬剤師が専門的見地から果たし
た役割は大きいものであった。今後は、子どもの従来からの健康課題への対応に加え、メンタ
ルヘルスやアレルギー疾患などの子どもの現代的な健康課題についても、学校と地域の専
門
的医療機関とのつなぎ役になるなど、引き続き積極的な貢献が期待される。
④ 学校薬剤師は、健康的な学習環境の確保や感染症予防のために学校環境衛生の維持管
理に携わっており、また、保健指導においても、専門的知見を生かし薬物乱用防止や環境衛
生に係る教育に貢献している。また、子どもに、生涯にわたり自己の健康管理を適切に行う
能力を身に付けさせることが求められる中、医薬品は、医師や薬剤師の指導の下、自ら服用
するものであることから、医薬品に関する適切な知識を持つことは重要な課題であり、学校薬
剤師がこのような点について更なる貢献をすることが期待されている。
⑤ また、学校医、学校歯科医、学校薬剤師は、学校保健委員会などの活動に関し、専門家の
立場から指導・助言を行うなど、より一層、積極的な役割を果たすことが望まれる。
⑥ 近年、子どもの抱える健康課題が多様化、専門化する中で、子どもが自らの健康
課題を理解し、進んで管理できるようにするためには、学校医、学校歯科医、学校薬
剤師による専門知識に基づいた効果的な保健指導が重要である。
その中でも、学校医、学校歯科医、学校薬剤師が、急病時の対応、救急処置、生活
習慣病の予防、歯・口の健康、喫煙、飲酒や薬物乱用の防止などについて特別活
動等における保健指導を行うことは、学校生活のみならず、生涯にわたり子どもに
とって有意義なものになると考えられる。
学校医、学校歯科医、学校薬剤師が保健指導を行うに当たっては、子どもの発達段
階に配慮し、教科等の教育内容との関連を図る必要があることから、学級担任や養
護教諭のサポートが不可欠であり、学校全体の共通理解の上で、より充実を図るこ
とが求められる。
(6)スクールカウンセラー
[ 学校保健に関する学校内の体制の充実 ]
① スクールカウンセラー一については、平成7年度から調査研究を実施しており、平成18年度には
全国の公立中学校を中心に約1万校に配置・派遣されるに至っている。その成果とし て、スクール
カウンセラー派遣校において、いじめ、不登校、暴力行為などの問題行動の発生率の減少が見ら
れており、また、校長や都道府県・指定都市教育委員会を対象としたアンケートの結果からも、配
置の効果を評価する意見や、小学校への配置、スクールカウンセラーの配置時間数の拡大などを
希望する意見などが多く見られる。
② 「心の専門家」であるスクールカウンセラーは、子どもに対する相談、保護者や教職員に対する
相談、教職員などへの研修のほか、事件・事故や自然災害などの緊急事態において被害を受けた
子どもの心のケアなど、近年ではその活動は多岐にわたっており、学校の教育相談体制において、
その果たす役割はますます大きくなっている。つまり、子どもの状態や子どもをめぐる緊急事態へ
の見立て、個別面接、教職員へのコンサルテーション、関係機関との連携に関するつなぎ役など、
臨床心理の専門性に基づく助言・援助は学校における組織的な相談体制の中で重要な役割を占
めている。
③ 多様化、深刻化している子どもの現代的な健康課題を解決するためには、メンタルヘルスに関
する課題にも対応できるよう、校内組織にスクールカウンセラーの参画を得るなど、スクールカウン
セラーを効果的に活用して、心身両面から子どもにかかわる養護教諭をはじめとした教職員との情
報の共通理解や地域の専門機関との連携を推進していくことが求められる。
(7)教育委員会における体制の充実
① 教育委員会においては、現在、各都道府県で学校保健を担当する指導主事
として、養護教諭のほか一般教諭などが充てられている状況にある。今後、学
校が学校保健活動を充実させるためには、指導主事による適切な指導・助言
が不可欠であり、養護教諭出身の指導主事はもとより、養護教諭出身以外の
指導主事などの学校保健に係る資質向上が求められる。
また、学校保健を担当する指導主事には、各学校の状況の適切な把握や、
それを踏まえた改善のための指導・助言などの取組はもとより、地域学校保健
委員会、学校保健委員会などの組織づくりや設置された組織が活性化するた
めの働きかけが求められる。
さらに、各学校への指導助言を充実する観点から、学校保健を担当する指
導主事の複数配置や退職養護教諭の活用などが望まれる。なお、学校医等
が教育委員に就任し、その専門的知見を踏まえて、児童生徒の健康の確保に
関する教育委員会としての明確なビジョンが打ち出されたことにより、学校保
健に対する意識が向上し、体制の充実が図られた事例も指摘されている。
各教育委員会においては、これらの取組を通じて教育委員会としての学校保
健に関する体制の充実が望まれる。
(8)学校環境衛生の維持・管理及び改善等
① 学校環境衛生の維持・管理は、健康的な学習環境を確保する観点から重要であ
ることから、学校薬剤師による検査、指導助言等により改善が図られてきたところで
あり、その際の基準として「学校環境衛生の基準」(平成4年文部省体育局長裁定)
が定められている。しかしながら、学校において「学校環境衛生の基準」に基づい
た定期検査は、必ずしも完全に実施されていない状況があり、子どもの適切な学
習環境の確保を図るためには、定期検査の実施と検査結果に基づいた維持管理
や改善が求められている。そのため、完全に実施されていない要因やその対策に
ついて十分検討した上で、現在ガイドラインとして示されている「学校環境衛生の
基準」の位置付けをより一層明確にするために法制度の整備を検討する必要があ
る。
また、域内の学校における目々の環境衛生を含む学校保健管理に関する諸課題
に対応するために、都道府県の教育委員会には専門性を有する学校保健技師を
置くことができるとされているものの、約半数の都道府県(26府県)では配置されて
おらず、また、その多くが非常勤となっている。
環境衛生などの諸課題に対しては、専門的な見地から可能な限り早期の助言指
導を行う必要があること、維持管理や改善について市町村の教育委員会や関係機
関との連携を図る必要があることから、学校保健技師の活用が望まれる。
学校、家庭、地域社会の連携の推進
○ メンタルヘルスに関する課題やアレルギー疾患な
どの子どもの現代的な健康課題に適切に対応して
いくためには、学校が、学校内でできること、なすべ
きことを明確化し、すべての教職員間で共通理解を
図るとともに、家庭、関係行政機関、医療機関などに
もその内容を伝え、理解を求めることによって、適切
な役割分担に基づく活動を行っていくことが求められ
る。
(1)学校保健委員会 [連携の推進]
① 学校保健委員会は、学校における健康に関する課題を研究
協議し、健康づくりを推進するための組織である。学校保健委員
会は、校長、養護教諭・栄養教諭・学校栄養職員などの教職員、
学校医、学校歯科医、学校薬剤師、保護者代表、児童生徒、地
域の保健関係機関の代表などを主な委員とし、保健主事が中心
となって、運営することとされている。
② 学校保健委員会については、昭和33年の学校保健法等の施
行に伴う文部省の通知において、学校保健計画に規定すべき事
項として位置付けられている。また、昭和47年の保健体育審議
会答申においても、「学校保健委員会の設置を促進し、その運営
の強化を図ることが必要である」と提言されているが、平成17年
度の学校保健委員会の設置率は、小学校81.9%、中学校
78.6%、高等学校76.7%にとどまっている。また、設置されてい
ても開催されていない学校や、年1回のみの開催が多く、充実し
た議論が行われていないなど質的な課題がある。
③ 学校保健委員会を通じて、学校内の保健活動の中心として機能するだけ
ではなく、学校、家庭、地域の関係機関などの連携による効果的な学校保健
活動を展開することが可能となることから、その活性化を図っていくことが必
要である。
このため、学校において、学校保健委員会の位置付けを明確化し、先進的
な取組を進めている地域の実践事例を参考にするなどして、質の向上や地
域間格差の是正を図ることが必要である。
さらに、国、地方公共団体において、様々な資料を収集したデータベースを
作成し、ホームページから一括してダウンロードできる環境整備を図るととも
に、学校においては適切な管理の下に活用することや、普及のために啓発資
料を活用した研修会を実施するなどして、学校保健委員会の設置の推進や
質の向上を図っていく必要がある。
(2)学校と家庭との連携の強化(抜粋)
③ 子どもの中には、心臓疾患や腎臓疾患、アレルギー疾患のように、その子どもの健
康状態が適切に把握されていないと生命にかかわる事態が生じかねない子どもが少な
からず見られる。心臓疾患や腎臓疾患などにおいては、「学校生活管理指導表」を用い
て、個々の子どもの疾患の状況に応じた学校生活上の指示が主治医からなされている。
また、アレルギー疾患についても同様の指導表の作成に向けた検討が進められてい
る。学校は、健康診断の事後措置の結果や指導表などにより、家庭や主治医から報告
された健康情報を適切に把握し、個々の子どもに対する保健管理に生かしていくことが
求められる。
また、そのような情報をもとに、学校は適切な配慮を行うことが求められるが、学校の
実情に応じて実施可能なものとそうでないものとがあることが考えられる。どのような配
慮を行うかの基本的な考え方について、教育委員会、学校、家庭、学校医、主治医が
共通理解を図った上で、具体的な実施内容について学校と家庭が直接意見交換できる
機会を設け、対応を決定することが重要である。
(3)学校と地域の関係機関と連携の強化(抜粋)
④ このことから、市町村レベルにおいて、教育委員会と保健部局などの行政
機関や地域の学校医・学校歯科医・学校薬剤師の関連する団体などが連携し
、子どもの現代的な健康課題を検討し対応する場の設置が求められる。この
ため、例えば市町村教育委員会に「学校地域保健連携推進協議会(仮称)」を
設置し、域内の学校の代表者(校長・教頭等や保健主事・養護教諭等)、小児
医療などの専門家、母子保健や保健福祉などの行政関係者などの参画を得
て、メンタルヘルスに関する課題、アレルギー疾患の増加、性の問題行動や
薬物乱用、感染症や過度のスポーツや運動による運動器疾患などの子ども
の現代的な健康課題に関して、地域の実情を踏まえた課題解決に向けた計
画を策定し、それに基づき具体的な取組を進めるなど、地域ぐるみで計画的
に取り組むことが必要である。
この計画においては、都道府県との連携を図りつつ計画を実行するに当
たっての専門的サポートを誰が、どのように行うのかなど、子どもの健康課題
に関して、学校や関係機関の果たすべき役割を明確にし、とるべき行動につ
いて具体的な年次目標を立て、それに向けた方策を策定することが望まれる。
○学校保健委員会(構成例)
地域の
人々
商店
企業
町会
関係者
など
関係
機関
代表
教育委員会
保健所
市町村
保健衛生係
児童相談所
警察署
民生(児童)
委員
指導
・
助言者
学校医
学校歯科医
学校
薬剤師
スクール
カウンセラー
学校
保健
委員会
保護者
代表
児童
生徒
代表
PTA役員
各学年
委員長
各学年
保健委員
各部
委員長
児童生徒会
役員
児童生徒会
保健委員
他生活委員会
や体育委員会
などの議題に
関係のある
委員会
教職員
代表
保健主事
養護教諭
保健部教諭
栄養教諭
教務主任
学年主任
生徒指導主事
保健体育科主任
校長・
教頭等
第169回国会における文部科学省成立法律
学校保健法等の一部を改正する法律
国会提出日:平成20年 2月29日
成 立 日 :平成20年 6月11日
公 布 日 :平成20年 6月18日
施 行 日 :平成21年 4月 1日
学校保健法の一部を改正する法律
趣旨
学校保健及び学校安全の充実を図るとともに学校給食を活用した
食に関する指導の充実及び学校給食の衛生管理の適切な実施を
図るため、国が学校の環境衛生及び学校給食の衛生管理等に関
する基準を策定するとともに、養護教諭、栄養教諭その他の職員
の役割について定める等所要の措置を講ずる。
概要
○法律の題名を「学校保健安全法」に改称
○国・地方公共団体の責務(財政上の措置その他の必要な施策
の実施、国による学校 安全の推進に関する計画の策定等)を
明記
○学校の設置者の責務(学校の施設設備・管理運営体制の整備
充実等)を明記。
学校保健法の一部を改正する法律
【学校保健】
○養護教諭を中心として関係教職員等と連携した組織的な保健指導の充実
○地域の医療関係機関等との連携による児童生徒等の保健管理の充実
○全国的な学校の環境衛生水準を確保するための全国的な基準の法制化
【学校安全】
○子どもの安全を脅かす事件、事故及び自然災害に対応した総合的な学校安全計画の
策定による学校安全の充実
○各学校における危険発生時の対処要領の策定による的確な対応の確保
○警察等関係機関、地域のボランティア等との連携による学校安全体制の強化
学校給食法の一部改正(食育・学校給食)
○学校給食を活用した食に関する指導の充実
・食育の観点から学校給食の目標を改定(食に関する適切な判断力の涵養、伝統的な
食文化の理解、食を通じた生命、自然を尊重する態度の涵養 等)
・栄養教諭による学校給食を活用した食に関する指導の推進(食に関する指導の全体
計画の策定、地場産物の活用)
○学校における学校給食の水準及び衛生管理を確保するための全国基準の法制化。
20文科ス第522号
平成20年7月9日
各都道府県教育委員会 殿
(以下省略)
スポーツ・青少年局長 樋 口 修 資
学校保健法等の一部を改正する法律の公布について(通知)
このたび、別添1のとおり、「学校保健法等の一部を改正する法律(平成20年法律第73号)」
(以下「改正法」という。)が平成20年6月18日に公布され、平成21年4月1日から施行されること
となりました。
今回の改正は、メンタルヘルスに関する問題やアレルギー疾患を抱える児童生徒等の増加、
児童生徒等が被害者となる事件・事故・災害等の発生、さらには、学校における食育の推進の
観点から「生きた教材」としての学校給食の重要性の高まりなど、近年の児童生徒等の健康・
安全を取り巻く状況の変化にかんがみ、学校保健及び学校安全に関して、地域の実情や児童
生徒等の実態を踏まえつつ、各学校において共通して取り組まれるべき事項について規定の
整備を図るとともに、学校の誤置者並びに国及び地方公共団体の責務を定め、また、学校給
食を活用した食に関する指導の充実を図る等の措置を,講ずるものです。
改正の概要及び留意事項については下記のとおりですので、関係各位におかれましては、
その趣旨を十分御理解の上、適切な対応をお願いするとともに、各都道府県教育委員会にお
かれては、所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対して、各都道府県知事におかれて
は、所轄の学校(専修学校を含む。)及び学校法人等に対する周知を図るようお願いします。
「学校保健法等の一部を改正する法律」要旨
(平成20年6月11日参議院本会議にて可決・成立)
本法律案の主な内容は次のとおり。
一、学校保健法の一部改正
1 法律の題名を「学校保健安全法」に改め、学校保健及び学校安全に係る国等の
責務を規定すること。
2 文部科学大臣は、学校環境衛生基準を定めるものとし、学校においては、当該基
準に照らして適切な環境の維持に努めなければならないものとすること。
3 養護教諭その他の職員は、連携して児童生徒等の心身の状況を把握し、必要な
指導等を行うものとし、学校で健康相談、保健指導等を行う際 には、地域の医療機
関等との連携に努めるものとすること。
4 学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、施設設備の安全点検、
児童生徒等への通学を含めた学校生活等の安全に関する指導等について、学校
安全計画を策定し、実施しなければならないこととするとともに、危険等発生時の対
処要領を作成し、事故等により児童生徒等に危害が生じた場合、当該児童生徒等
及び関係者の心身の健康の回復のため、必要な支援を行うものとすること。
また、保護者、地域の警察署、安全確保活動を行う団体、住民等との連携に努め
るものとすること。
二、学校給食法の一部改正
1 学校給食の目標について、食育の推進の観点を踏まえたものに改
めること。
2 文部科学大臣は、学校給食実施基準及び学校給食衛生管理基準
を定めるものとし、義務教育諸学校の設置者は、当該基準に照らし
て適切な学校給食の実施及び衛生管理に努めるものとすること。
3 栄養教諭は、児童生徒が健全な食生活を自ら営むことができる知
識及び態度を養うため、学校給食を活用した食に関する実践的な指
導を行うものとし、この場合において、校長は、学校給食と関連付け
つつ食に関する指導の全体的な計画の作成等の措置を講ずるもの
とすること。
三、この法律は、平成二十一年四月一日から施行すること。
なお、本法律案については、衆議院において、学校保健及び学校安全に係る国及
び地方公共団体の責務に財政上の措置及び学校安全の推進に関する計画の策定
等を追加すること、学校の適切な環境の維持を学校設置者の責務とすること、学校
における地域の医療機関等との連携に努める場面に救急処置を加えること、学校安
全に関する学校設置者の責務の範囲を学校施設内に限定しないこと等の修正がな
された。
学校保健安全法
第六条(新設)
(学校環境衛生基準)
第六条 文部科学大臣は、学校における換気、採光、
照明、保温、清潔保持その他環境衛生に係る事項
(学校給食法(昭和二十九年法律第百六十号)第
九条第一項(夜間課程を置く高等学校における学
校給食に関する法律(昭和三十一年法律第百五十
七号)第七条及び特別支援学校の幼稚部及び高等
部における学校給食に関する法律(昭和三十二年
法律第百十八号)第六条において準用する場合を
含む。)に規定する事項を除く。)について、児
童生徒等及び職員の健康を保護する上で維持され
ることが望ましい基準(以下この条において「学
校環境衛生基準」という。)を定めるものとする。
学校保健安全法
第六条(新設)
(学校の設置者の責務)
第六条 2 学校の設置者は、学校環境衛生基準に
照らしてその設置する学校の適切な環境の維持に
努めなければならない。
(「事後措置」に関する規定)
第六条 3 校長は、学校環境衛生基準に照らし、
学校の環境衛生に関し適正を欠く事項があると認
めた場合には、遅滞なく、その改善のために必要
な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができ
ないときは、当該学校の設置者に対し、その旨を
申し出るものとする。
学校保健安全法
第八条、第九条(新設)
第八条(健康相談)
学校においては、児童生徒等の心身の健康に関し、
健康相談を行うものとする。
第九条(保健指導)
養護教諭その他の職員は、相互に連携して、健康
相談又は児童生徒等の健康状態の日常的な観察に
より、児童生徒等の心身の状況を把握し、健康上
の問題があると認めるときは、遅滞なく、当該児
童生徒等に対して必要な指導を行うとともに、必
要に応じ、その保護者(学校教育法第十六条に規
定する保護者をいう。第二十四条及び第三十条に
おいて同じ。)に対して必要な助言を行うものとする。
学校保健安全法
第十条(新設)
第十条(地域の医療機関等との連携)
学校においては、救急処置、健康相談
又は保健指導を行うに当たっては、必
要に応じ、当該学校の所在する地域の
医療機関その他の関係機関との連携を
図るよう努めるものとする。
○(旧)学校保健法第16条 →(新)学校保健安全法第23条
(学校医、学校歯科医及び学校薬剤師)
学校には、学校医を置くものとする。
2 大学以外の学校には、学校歯科医及び学校薬剤
師を置くものとする。
3 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師は、それぞ
れ医師、歯科医師又は薬剤師のうちから、任命し、
又は委嘱する。
4 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師は、学校に
おける保健管理に関する専門的事項に関し、技術
及び指導に従事する。
5 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の職務執
行の準則は、文部科学省令で定める。
学校薬剤師の身分
○公立学校の場合は、地方公務員法の規定による地方公務
員特別職であり任命権者(教育委員会)の委嘱によって、学
校薬剤師となります。
○国立学校の場合は、非常勤の国家公務員の一般職であり任
命によって、学校薬剤師に就任します。
○私立学校では、私立学校法第3条に規定する学校法人に
よって委嘱されるが、私立の特殊教育及び幼稚園について
は学校法人以外の法人又は個人によって設置されているも
のがあるので、その場合は設置者が委嘱することになります。
学校保健法等の一部を改正する法律の施行に伴う
文部科学省関係省令の整備等に関する省令案について(抜粋)
1.改正の趣旨
学校保健法等の一部を改正する法律(平成20年6月18日公布、平成21年4月1日施行)及び
同法の施行に伴う関係政令の整備に関する政令の施行に伴い、文部科学省関係省令につい
て、省令名並びに引用する法律名及び政令名の変更や文言の整理等所要の改正を行うもの
である。
2.改正内容
(1)学校保健法施行規則(昭和33年文部省令第18号)の一部改正
①省令名並びに法律名及び政令名を引用している規定の改正学校保健法の改正により、法
律の題名が「学校保健法」から「学校保健安全法」に、これを受け、政令の題名が「学校保
健法施行令」から「学校保健安全法施行令」に改められることを踏まえ、省令の題名を「学
校保健法施行規則」から「学校保健安全法施行規則」に改めるとともに、法律名及び政令
名を引用している規定を改正する。
②環境衛生検査に関する規定の改正
学校保健法の改正でほ、学校の環境衛生の維持改善を図るため、国(文部科学 大臣)に
学校環境衛生に関して望ましい基準(学校環境衛生基準)の策定義務を課すとともに、学校
の設置者に同基準に照らして適切な環境の維持について努力義務を課すこととされた。また、
同基準に照らし、適正を欠く事項があると認めた場合の校長の改善措置について、法律上、
新たに規定が設けられた。
これらを踏まえ、学校保健安全法第5条に基づき、学校保健計画に盛り込み、実施すべき
環境衛生検査について、学校環境衛生基準に基づき行うこととするとともに、環境衛生検査
の事後措置に係る規定を削除する等所要の改正を行う。
③学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の職務執行の準則に関する規定の改正
学校保健法の改正により、養護教諭その他の職員の行う日常的な健康観察等に
よる児童生徒等の健康状態の把握、必要な指導等が「保健指導」として位置付け
られた。また、従来、学校医又は学校歯科医のみが行うものとされてきた「健康相
談」は、学校医又は学校歯科医に限らず、学校薬剤師も含め関係教職員が積極
的に参画するものと再整理された。
これらを踏まえ、学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の職務執行の準則に「保
健指導に従事すること」を追加するとともに、学校薬剤師の職務執行の準則に「健
康相談に従事すること」を追加する等所要の改正を行う。
④安全点検に関する規定の改正
学校保健法の改正では、児童生徒等の安全の確保を図る上で支障となる事項
があると認めた場合の校長の改善措置について、法律上、新たに規定が設けら
れた。これを踏まえ、安全点検の事後措置に係る規定を削除する等所要の改正
を行う。
⑤その他
文言の整理や条ずれの修正等所要の改正を行う。
日薬業発第430号
平成21年2月19目
都道府県薬剤師会長殿
同学校薬剤師担当役員殿
日本薬剤師会 会長 児玉 孝
学校保健法等の一部を改正する法律の施行等に伴うパブリックコメントについて
平素より、本会会務に格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、文部科学省では、学校保健法等の一部を改正する法律(平成20年6月18日公布、平成21年4月1
日施行)の施行等に伴い、①関係省令の整備等に関する省令案、②学校環境衛生基準(案)、並びに③学
校給食衛生管理基準(案)等について、それぞれ別添のとおりパブリックコメント(意見公募手続)を実施し
ておりますので、ご案内申し上げます。
今回の各パブリックコメントの詳細は別添のとおりでございますが、特に関係省令の整備等に関する省
令案におきましては、学校保健法の改正により、①養護教諭その他の職員の行う日常的な健康観察等に
よる児童生徒等の健康状態の把握、必要な指導等が「保健指導」として位置付けられたこと、②従来、学
校医又は学校歯科医のみが行うものとされてきた「健康相談」は、学校医又は学校歯科医に限らず、学校
薬剤師も含め関係教職員が積極的に参画するものと再整理されたことを踏まえ、『学校保健安全法施行
規則第二十四条学校薬剤師の職務執行の準則』中に、「四法第八条の健康相談に従事すること。」並びに
「五法第九条の保健指導に従事すること。」がそれぞれ新設される等、今後の学校薬剤師の活動において
非常に重要な改正がなされる予定となっております。
つきましては、今回のパブリックコメントに対し、本会といたしまして「ぜひこの方針で進めていただき、学
校薬剤師の積極的な活用を図っていただきたい。」等の意見提出を行う所存でございますが、貴会におか
れましても各パブリックコメントヘの意見提出についてご検討賜りますとともに、貴会関係者へのご周知を
賜りますよう、ご高配の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
新 学校保健法施行規則第1条、第2条
第一条 学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十
六号。以下「法」という。)第五条の環境衛生検
査は、他の法令に基づくもののほか、毎学年定
期に、法第六条に規定する学校環境衛生基準
に基づき行わなければならない。
2 学校においては、必要があるときは、臨時に、環境
衛生検査を行うものとする。
(日常における環境衛生)
第二条 学校においては、前条の環境衛生検査のほ
か、日常的な点検を行い、環境衛生の維持又
は改善を図らなければならない。
学校保健法施行規則第25条 → 新学校保健法施行規則第24条
学校薬剤師の職務執行の準則は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 学校保健計画及び学校安全計画の立案に参与すること。
二 第1条の環境衛生検査に従事すること。
三 学校の環境衛生の維持及び改善に関し、必要な指導と助言を行うこと。
四 法第8条の健康相談に従事すること。(新設)
五 法第9条の保健指導に従事すること。(新設)
2.学校薬剤師の主な職能(P508)
六 学校において使用する医薬品、毒物、劇物並び
に保健管理に必要な用具及び材料の管理に関し
必要な指導及び助言を行い、及びこれらのものに
ついて必要に応じ試験、検査又は鑑定を行うこと。
七 前各号に掲げるもののほか、必要に応じ、学校
における保健管理に関する専門的事項に関する
技術及び指導に従事すること。
2 学校薬剤師は、前項の職務に従事したときは、そ
の状況の概要を学校薬剤師執務記録簿に記入して
校長に提出するものとする。
学校薬剤師の職務執行の準則
新
第二十四条学校薬剤師の職務執行の
準則は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 学校保健計画及び学校安全計画の立
案に参与すること。
旧
第二十五条学校薬剤師の職務執行の
準則は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 学校保健安全計画の立案に参与す
ること。
二 第一条の環境衛生検査に従事すること。
三 学校の環境衛生の維持及び改善に
関し、必要な指導及び助言を行うこと。
四 法第八条の健康相談に従事すること。
(新設)
五 法第九条の保健指導に従事すること。
(新設)
六 学校において使用する医薬品、毒物、
劇物並びに保健管理に必要な用具及
び材料の管理に関し必要な指導及び助
言を行い、及びこれらのものについて必
要に応じ試験、検査又は鑑定を行うこと。
二 第二十二条の二の環境衛生検査に
従事すること。
三学校環境衛生の維持及び改善に関し、
必要な指導と助言を行うこと。
四 学校において使用する医薬品、毒
物、劇物並びに保健管理に必要な
用具及び材料の管理に関し必要な
指導と助言を行い、及びこれらのも
のについて必要に応じ試験、検査又
は鑑定を行うこと。
学校保健に関する留意事項
事務連絡 平成20年7月28日 学校健康教育関係団体宛て
文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課(通知)
学校保健法等の一部を改正する法律の公布について
(5)学校保健計画について(第5条)
1 学校保健計画は、学校において必要とされる保健に関する具体的な実施計画で
あり、毎年度、学校の状況や前年度の学校保健の取組状況等を踏まえ、作成さ
れるべきものであること。
2 学校保健計画には、法律で規定された①児童生徒等及び職員の健康診断、②
環境衛生検査、③児童生徒等に対する指導に関する事項を必ず盛り込むことと
すること。
3 学校保健に関する取組を進めるに当たっては、学校のみならず、保護者や関係
機関、関係団体等と連携協力を図っていくことが重要であることから、学校教育
法等において学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとされてい
ることも踏まえ、学校保健計画の内容については原則として保護者等の関係者に
周知を図ることとすること。このことは、学校安全計画についても同様であること。
(7)保健指導について(第9条)
1 近年、メンタルヘルスに関する課題やアレルギー疾患等の現代的な健康課題が
生ずるなど児童生徒等の心身の健康問題が多様化、深刻化している中、これら
の問題に学校が適切に対応することが求められていることから、第9条において
は、健康相談や担任教諭等の行う日常的な健康観察による児童生徒等の健康状
態の把握、健康上の問題があると認められる児童生徒等に対する指導や保護者
に対する助言を保健指導として位置付け、養護教諭を中心として、関係教職員の
協力の下で実施されるべきことを明確に規定したものであること。
したがって、このような保健指導の前提として行われる第8条の健康相談につい
ても、児童生徒等の多様な健康課題に組織的に対応する観点から、特定の教職
員に限らず、養護教諭、学校医・学校歯科医・学校薬剤師、担任教諭など関係教
職員による積極的な参画が求められるものであること。
(7)保健指導について(第9条)
2 学校医及び学校歯科医は、健康診断及びそれに基づく疾病の予
防処置、改正法において明確化された保健指導の実施をはじめ、
感染症対策、食育、生活習慣病の予防や歯・口の健康つくり等に
ついて、また、学校薬剤師は、学校環境衛生の維持管理をはじめ、
薬物乱用防止教育等について、それぞれ重要な役割を担っており、
さらには、学校と地域の医療機関等との連携の要としての役割も
期待されることから、各学校において、児童生徒等の多様な健康
課題に的確に対応するため、これらの者の有する専門的知見の
積極的な活用に努められたいこと。
〔参 考〕
文体保第55号昭和33年6月16日付 各都道府県教育委員会・各都道府県知事あて
文部省体育局長通達 学校保健法および同法施行令等の施行にともなう実施基準
について(抜粋)
(一) 法第11条の健康相談は、次に掲げるような者を対象として、実施するもので
あること。
(1) 健康診断の結果、継続的な観察および指導を必要とする者
(2) 日常の健康観察の結果、継続的な観察および指導を必要とする者
(3) 病気欠席勝ちである者
(4) 児童、生徒等で自らが心身の異常に気付いて健康相談の必要を認めた者
(5) 保護者が当該児童、生徒等の状態から健康相談の必要を認めた者
(6) 修学旅行、遠足、運動会、対外運動競技等の学校行事への参加の場合に
おいて必要と認める者
(二) 健康相談は校長が学校医または学校歯科医に行わせ、健康相談には、担
任の教員が立ち合うものとし、必要に応じ保護者も立ち合うことが適当である
こと。
(三) 健康相談は、毎月定期的に、および必要があるときは臨時に、時刻を定めて
行うこととし、保健室において行うものとすること。
日本薬剤師会 学校薬剤師活動方針(抜粋)
平成19年9月
日本薬剤師会 学校薬剤師活動方針
(はじめに)
我が国の社会環境は、経済状況とも連動して大きく変化してきている。戦後の経済復興という国
家を挙げての努力の結果、今日では格差があるとはいえ生活に困窮するという状況ではなくなって
いる。こうした国民生活の変化は、家庭環境や地域環境の変化として現れ、恵まれた環境の下で青
少年の多くは健全に成長している。しかしその反面、一部には喫煙、シンナー、覚せい剤といった薬
物乱用等の非行に走る若者の存在があることも事実であり、医薬品を扱う薬剤師としてその防止へ
向けた積極的な取り組みが求められている。
その一方で、青少年に留まらず医薬品の適正使用の確保や健全なスポーツ育成のためのアン
チ・ドーピングの推進への参画といった、社会的な要請も大きくなってきている。
こうした社会的な要請に的確に応えるためには、小・中・高校教育を通じて青少年に対する粘り強
い教育・啓発活動が重要であることは誰もが認めるところであり、その任を果たすのは学校薬剤師
であるといえる。
これまでの学校薬剤師の活動の中心は、もっぱら学校保健法に示された「学校環境衛生」の分野
に置かれてきた。しかしながら、薬剤師養成のための薬学教育6年制がスタートした今、日本薬剤
師会(学校薬剤師部会)としては、多様化している社会的要請に応えられる学校薬剤師活動の重要
性を認識し、取り組むべき具体的な活動内容を明確にするとともに、都道府県薬剤師会(学校薬剤
師部会)及び支部薬剤師会(学校薬剤師部会)の活動を支援していくこととする。
日本薬剤師会 学校薬剤師活動方針(抜粋)
(活動方針の考え方)
活動方針策定に当たり、本会では学校薬剤師活動を基本的
に下記の二つに分類した。
1.学校保健法施行規則第25条及び22条の二 → 第24条
及び第1条に基づく学校薬剤師としての職務の充実と徹底
2.社会的要請に基づく学校薬剤師活動の拡大と充実
A.学校保健安全法の定める学校薬剤師活動の充実と徹底
・学校保健法施行規則第25条 → 24条
・学校保健法施行規則第22条の二 → 1条
B.社会的要請に基づく学校薬剤師活動の拡大と充実
日本薬剤師会 学校薬剤師活動方針(抜粋)
1.医薬品の適正使用啓発活動
医療関連事故の多発などを背
景として、近年医療関係者を中
心として“医療安全”に対する取
り組みが行われている。医療の
担い手である薬剤師の果たすべ
き役割の中心は、患者の安全と
医薬品の適正使用の確保であり、
そのための国民への啓発活動も
重要な役割である。
一般用医薬品の供給体制の見
直しを骨子とした薬事法一部改
正において、参議院により附帯
決議がなされ、第6項に次のよう
な内容が明記された。
薬事法の一部を改正する法律案に対する
付帯決議(抜粋)
平成18年4月18日
参議院厚生労働委員会
政府は、本法の施行に当たり、次の事項に
ついて適切な措置を講ずるべきである。
六.新たな一般用医薬品の販売制度につい
て、十分な周知を図るとともに、医薬品を使
用する消費者が医薬品の特性等を十分に理
解し、適正に使用することができるよう知識の
普及や啓発のための施策の充実を図ること。
また、学校教育においても医薬品の適正使
用に関する知識の普及や啓発に努めること。
日本薬剤師会 学校薬剤師活動方針(抜粋)
2.薬物乱用防止啓発活動
薬物乱用は世界的規模で広がりを見せ、日本においても例外ではなく社会 問
題となっている。学校教育の中で、薬物乱用防止に対し薬剤師の果たす役割が
期待される。
小・中・高等学校及び学校保健委員会と連携を図り、児童生徒及び教職員・PT
Aをはじめ学校関係者を対象とする薬物乱用防止啓発活動を積極的に実施する。
3.アンチ・ドーピングに関する啓発活動
近年、スポーツ競技において「アンチ・ドーピング」の意識が高まっている。ドー
ピングは、重大な規則違反であることはいうに及ばず、選手自身の身体にも悪影
響を及ぼす可能性がある。また、禁止対象薬物と知らずに使用し、不幸にしてそ
の後の選手生命を絶たれる等の事例も見受けられる。「医薬品の適正使用」とい
う観点から、薬の専門家である薬剤師がアンチ・ドーピング活動に積極的に関わ
ることは、児童生徒の健康や選手生命の保持という意味において、またスポーツ
の健全な発展という意味において、重要な活動である。
4.健やか親子21啓発活動
母子保健の国民運動計画として策定された「健やか親子21」について、薬剤
師(会)としての取り組み目標を設定し、思春期の保健対策の強化や保健教育の
推進に寄与する。
日本薬剤師会 学校薬剤師活動方針(抜粋)
5.学校環境に悪影響を及ぼす化学物質等への対応
化学物質が生活環境に悪影響を及ぼす実態が社会問題となっている。
化学物質が及ぼす悪影響は学校環境においても同様であり、児童・生徒
の健康や健全な成長を保持・増進するため、定期的に化学物質の検査・
点検を実施する等、学校環境の維持・改善に、積極的に対応する。
6.災害時の対応
地震等の大規模災害が発生した場合、学校は地域防災計画(災害対策
基本法第40条)に基づき「避難所」としての機能を発揮することから、学
校関係者や行政等と連携し、平時からの備えに対応する。
7.実務実習への対応
薬学教育6年制が実現し、長期実務実習が実施される。長期実務実習
は「実務実習モデル・コアカリキュラム」に従って行われ、学校薬剤師業務
についても学ぶことになっている。したがって、学校薬剤師として、薬学生
の教育にも積極的に参加する。
○学校保健法 → 学校保健安全法
(目的)
第1条 この法律は、学校における保健管理及び安全管理
に関し必要な事項を定め、幼児、児童、生徒及び学生並
びに職員の健康の保持増進を図り、もつて学校教育の円
滑な実施とその成果の確保に資することを目的とする。
第1条 この法律は、学校における児童生徒等及び職員の
健康の保持増進を図るため、学校における保健管理に関
し必要な事項を定めるとともに、学校における教育活動
が安全な環境において実施され、児童生徒等の安全の確
保が図られるよう、学校における安全管理に関し必要な
事項を定め、もつて学校教育の円滑な実施とその成果の
確保に資することを目的とする。
3.学校保健計画に基づいた定期環境衛生検査、臨時環境衛生
検査、日常点検の意義(P508)
○学校保健法 → 学校保健安全法
(学校保健安全計画)
第2条 学校においては、幼児、児童、生徒又は学生及び職員の
健康診断、環境衛生検査、安全点検その他の保健又は安全に
関する事項について計画を立て、これを実施しなければならな
い。
(学校保健計画の策定等)
第5条 学校においては、児童生徒等及び職員の心身の健康の保
持増進を図るため、児童生徒等及び職員の健康診断、環境衛
生検査、児童生徒等に対する指導その他保健に関する事項に
ついて計画を策定し、これを実施しなければならない。
3.学校保健計画に基づいた定期環境衛生検査、臨時環境衛生
検査、日常点検の意義(P508)
○学校保健法 → 学校保健安全法
第3条 (学校環境衛生)
学校においては、換気、採光、照明及び保温を適切に行い、清
潔を保つ等環境衛生の維持に努め、必要に応じてその改善を
図らなければならない。
第6条(学校環境衛生基準)
文部科学大臣は、学校における換気、採光、照明、保温、
清潔保持その他環境衛生に係る事項(学校給食法(昭和二
十九年法律第百六十号)第九条第一項(夜間課程を置く高
等学校における学校給食に関する法律(昭和三十一年法律
第百五十七号)第七条及び特別支援学校の幼稚部及び高等
部における学校給食に関する法律(昭和三十二年法律第百
十八号)第六条において準用する場合を含む。)に規定す
る事項を除く。)について、児童生徒等及び職員の健康を
保護する上で維持されることが望ましい基準(以下この条
において「学校環境衛生基準」という。)を定めるものと
する。
3.学校保健計画に基づいた定期環境衛生検査、臨時環境衛生検査、
日常点検の意義(P508)
◯文部科学省告示第六十号
学校保健安全法(昭和三十三年
法律第五十六号)第六条第一項の
規定に基づき、学校環境衛生基準
を次のように定め、平成二十一年
四月一日から施行する。
平成二十一年三月三十一日
文部科学大臣 塩谷
立
21文科ス第6013号
平成 21年 4月 1日
各都道府県教育委員会
( 省 略 )
殿
文部科学省スポーツ・青少年局長 山 中 伸 一
学校環境衛生基準の施行について(通知)
学校における環鏡衛生管理の徹底については、かねてから御配慮をお願いしてい
るところですが、このたび、学校保健法等の一部を改正する法律(平成20年法律第
73号)により改正された学校保健安全法(昭和33年法律第56号。以下「法」という。)
第6条第1項の規定に基づき、別添のとおり、「学校環境衛生基準」(平成21年文部
科学省告示第60号。以下「本基準」という。)が平成21年3月31目に公布され、平成
21年4月1日から施行されました。
本基準の概要及び留意事項については、下記のとおりですので、本基準に基づき
学校における環境衛生検査並びに法第6条の趣旨を踏まえた適切な環境の維持に
努めるとともに、学校の環境衛生に関し適正を欠く事項があると認めた場合の改善
のために必要な措置の実施につき遺漏のないよう願います。
なお、各都道府県教育委員会にかれては、域内の市町村教育委員会及び所管の
学校に対して、各都道府県知事におかれては、所轄の学校及び学校法等に対して、
国立大学長におかれては、その管下の学校に対して周知を図るとともに、適切な対
応が図られるよう配慮願います。
記
第一 本基準の概要
第1 教室等の環境に係る学校環境衛生基準
1 教室等の環境(換気、保温、採光、照明、騒音等の環境をいう。)に係る学校
環境衛生に関して、検査項目及びその基準を定めたこと。
2 1の学校環境衛生基準の達成状況を調査するため、検査項目ごとに測定方
法及び検査回数を定めたこと。
第2 飲料水等の水質及び施設・設備に係る学校環境衛生基準
1 飲料水等の水質及び施設・設備に係る学校環境衛生に関して、検査項目及び
その基準を定めたこと。
2 1の学校環境衛生基準の達成状況を調査するため、検査項目ごとに測定方法
及び検査回数を定めたこと。
第3 学校の清潔、ネズミ、衛生害虫等及び教室等の備品に係る学校環境衛生
基準
1 学校の清潔、ネズミ、衛生害虫等及び教室等の備品に係る学校環境衛生に
関して、検査項目及びその基準を定めたこと。
2 1の学校環境衛生基準の達成状況を調査するため、検査項目ごと・に測定方
法及び検査回数を定めたこと。
第4 水泳プールに係る学校環境衛生基準
1 水泳プールに係る学校環境衛生に関して、検査項目及びその基準を定めたこ
と。
2 1の学校環境衛生基準の達成状況を調査するため、検査項目ごとに測定方法
及び検査回数を定めたこと。
第5 日常における環境衛生に係る学校環境衛生基準
1 学校環境衛基準の維持を図るため、第1から第4に掲げる検査項目の定期的
な環境衛生検査等のほか、毎授業日に点検を行う検査項目及びその基準を定
めたこと。
2 点検は、官能法によるもののほか、第1から第4に掲げる検査方法に準じた方
法で行うものとすること。
第6 雑則
1 臨時に検査を行う場合について定めたこと。
2 臨時に行う検査は、定期に行う検査に準じた方法で行うものとすること。
3 定期及び臨時に行う検査の結果に関する記録は、検査の日から5年間保存す
るものとすること。また、毎授業日に行う点検の結果は記録するよう努めるととも
に、その記録を点検日から3年間保存するよう努めるものとすること。
4 検査に必要な施設、設備等の図面等の書類は、必要に応じて閲覧できるよう
に保存するものとすること。
第7 施行期日等
1 本基準は、平成21年4月1日から施行すること。
第二 留意事項
一 総則的事項
(1)法の趣旨の徹底について
1 学校においては、環境衛生検査について計画を策定し、これを
実施しなければならないこと(法第5条)。
2 学校の設置者は、本基準に照らして、その設置する学校の適切
な環境の維持に努めなければならないとともに、校長は、本基準
に照らし、学校環境衛生に関し適正を欠く事項があると認めた場
合には、遅滞なく、その改善のために必要な措置を講じ、又は当
該措置を講ずることができないときは、当該学校の設置者に対し、
その旨を申し出るものとすること(法第6条第2項及び第3項)。
3 法の規定により、学校の環境衛生の適切な維持、管理に努める
とともに、一層の充実を図られたいこと。
一 総則的事項
(2)本基準の策定について
1 本基準は、現行の「学校環境衛生の基準」(平成4年文部省体育局長裁定。
以下「旧基準」という。)の内容を踏まえつつ、各学校や地域の実情により柔軟
に対応しうるものとなるよう必要な検討を進め、告示にふさわしい事項に厳選
し策定されたこと。
2 本基準は、学校における環境衛生に係る事項について、児童生徒等及び
職員の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準であること
(法第6条第1項)から、それぞれの「検査項目」及び「基準」を明確にし、
それに対応する「検査項目」及び「方法」を記述するとともに、旧基準に
おける施設・設備の設置・構造に関するものは削除し、維持・管理に関する
基準であることを明確化したこと。
一 総則的事項
(2)本基準の策定について
3 定期に行われる衛生検査の基準について旧基準では、原則と
して「検査項目」、「検査回数」、「検査事項」、「検査方法」、「判定
基準」及び「事後措置」の6つの項に分けて記載されているが、法
第6条第3項において学校の環境衛生に関し適正を欠く事項があ
ると認めた場合に改善のために必要な措置を講ずることが規定さ
れたことを踏まえ、本基準では「事後措置」に関する項目を記載せ
ず、「検査項目」及び「基準」、それに対応する「検査項目」及び
「方法」として整理したこと。
4 旧基準における「学校給食の食品衛生(学校給食共同調理場を
含む)」については、法第6条第1項において学校給食法第9条第
1項等に規定する事項(「学校給食衛生管理基準」)を本基準から
除くとされたことから、本基準から除いたこと。
一 総則的事項
(3) 学校薬剤師等との連携について
学校保健安全法施行規則(昭和33年文部省令第18
号)第24条に定める学校薬剤師の職務執行の準則を
勘案し、本基準に照らして適切な環境を維持するために
学校薬剤師との十分な連携に努められたいこと。
(4) 学校環境衛生管理マニュアルについて
学校における衛生検査及び日常における環境衛生に
関する点検の円滑な実施の一助となるよう、検査方法の
詳細や留意事項等を示した「学校環境衛生管理マニュ
アル」(平成16年3月、文部科学省)が発行されている。
「学校環境衛生管理マニュアル」については、本基準の
内容を踏まえ、改訂することを予定していること。
学校給食衛生管理基準(抜粋)
第1総則
1 学校給食を実施する都道府県教育委員会及び市区町村教育委員会(以下
「教育委員会」という。)、附属学校を設置する国立大学法人及び私立学校の
設置者(以下「教育委員会等」という。)は、自らの責任において、必要に応じて、
保健所の協力、助言及び援助(食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三
号)に定める食品衛生監視員による監視指導を含む。)を受けつつ、
HACCP(コーデックス委員会(国連食糧農業機関/世界保健機関合同食品
規格委員会)総会において採択された「危害分析・重要管理点方式とその適用
に 関するガイドライン」に規定されたHACCP
(HazardAmlysisandCriticalControlPoint:危害分析・重要管理点)をいう。)の
考え方に基づき単独調理場、共同調理場(調理等の委託を行う場合を含む。
以下「学校給食調理場」という。)並びに共同調理場の受配校の施設及び設備、
食品の取扱い、調理作業、衛生管理体制等について実態把握に努め、
衛生管理上の問題がある場合には、学校医又は学校薬剤師の協力を得て
速やかに改善措置を図ること。
第2 学校給食施設及び設備の整備及び管理に係る
衛生管理基準
1 学校給食施設及び設備の整備及び管理に係る衛生管理基準
は、次の各号に掲げる項目ごとに、次のとおりとする。
(1)学校給食施設 ①共通事項
五 学校給食施設は、設計段階において保健所及び
学校薬剤師等の助言を受けるとともに、栄養教諭又は
学校栄養職員(以下「栄養教諭等」という。)その他の
関係者の意見を取り入れ整備すること。
2 学校薬剤師等の協力を得て(1)の各号に掲げる事項について、
毎学年1回定期に、(2)及び(3)の各号に掲げる事項については、
毎学年3回定期に、検査を行い、その実施記録を保管すること。
学校給食設備及び設備の整備及び管理に係る衛生管理基準
学校給食衛生管理基準における学校薬剤師等の協力を得て
定期に検査を行い、その実施記録を保管する事項
(1)学校給食施設 (毎学年1回定期検査行い、実務記録を保管)
①共通事項 一~五
②作業区域内の施設 一~六
③その他の区域の施設 一~二
(2)学校給食設備 (毎学年3回定期検査行い、実務記録を保管)
①共通事項 一~四
②調理用の機械、機器、器具及び容器 一~三
③シンク、④冷蔵及び冷凍設備、⑤温度計及び湿度計
⑥廃棄物容器等 一~二
⑦学校給食従事者専用手洗い設備等 一~三
(3)学校給食施設及び設備の衛生管理 一~十二
(毎学年3回定期検査行い、実務記録を保管)
【学校給食の方式】
調理場での区別
自校方式
学校内の敷地に調理場があります。調理から喫食までの時間・
距離が短い。児童・生徒が調理過程に接することが可能です。
センター方式
共同調理場方式とも言います。複数の学校の給食を一括して
調理し、給食時間までに配送します。2校規模から自治体全域
の小中学校20,000食を一括して調理する大規模調理場まで規
模は様々です。自校方式同様、自治体の運営です。また、広域
行政区で共同調理場をつくり運営することもあります。調理から
喫食までの時間は、自校方式より長くなります。自治体で必要と
なる調理員の数は自校方式よりも少ないことが多い。なお、セン
ター方式はそれ自体が民間委託ではありません。
【学校給食の方式】
調理場での区別
親子方式
調理場を持つ自校方式の学校が、調理場を持たない学校の給
食調理も行う場合です。自校方式とセンター方式の中間形態。
調理場を持つ方が「親」、調理場を持たない方が「子」となります。
一般に距離の近い学校同士で行われます。
業者弁当方式
民間業者が民間業者の施設で作って学校に届ける方式。自治
体によっては「給食」と位置づけているところと「昼食対策」等とし
て位置づけているところがあります。「給食」と位置づけていると
ころでも、「弁当併用」として、自宅からの弁当と「給食」としての
弁当を自由選択させているところなど、形態は様々です。
学校環境衛生の目的
学校環境衛生管理は、学校教育法等に
定められた学校教育の目標を達成するため、
学校保健安全法に基づいて行われている。
(主な目的)
1) 健康の保持増進を図る。
2) 学習能率の向上を図る。
3) 情操の陶冶を図る。
学校環境衛生検査
「学校環境衛生の基準」
文部省体育局長裁定
(平成4年6月23日)
「学校環境衛生基準」
文部科学大臣告示
第1
1)照度及び照明環境
2)騒音環境及び騒音
レベル
3)教室等の空気
→
教室等の環境に
係る
学校環境衛生基準
学校環境衛生検査
「学校環境衛生の基準」
文部省体育局長裁定
(平成4年6月23日)
「学校環境衛生基準」
文部科学大臣告示
第2
4)飲料水の管理
5)雨水等利用施設に
おける水の管理
→
飲料水等の施設に
係る
学校環境衛生基準
学校環境衛生検査
「学校環境衛生の基準」
文部省体育局長裁定
(平成4年6月23日)
8)排水の管理
9)学校の清潔
10)机、いすの整備
11)黒板の管理
12)水飲み・洗口・手洗い
場・足洗い場の管理
13)便所の管理
14)ごみの処理
15)ネズミ・衛生害虫等
「学校環境衛生基準」
文部科学大臣告示
第3
→
学校の清潔、教室等
の備品及びネズミ、
衛生害虫等に係る
学校環境衛生基準
学校環境衛生検査
「学校環境衛生の基準」
文部省体育局長裁定
(平成4年6月23日)
「学校環境衛生基準」
文部科学大臣告示
第4
7 )水泳プールの管理
→
水泳プールの水質
及び施設に係る
学校環境衛生基準
学校環境衛生検査
「学校環境衛生の基準」
文部省体育局長裁定
(平成4年6月23日)
「学校環境衛生基準」
文部科学大臣告示
第5
第3章
日常における環境衛生
→
日常における環境
衛生に係る
学校環境衛生基準
学校環境衛生検査
「学校環境衛生の基準」
文部省体育局長裁定
(平成4年6月23日)
第2章 臨時環境衛生
「学校環境衛生基準」
文部科学大臣告示
→
第6 雑則
第三 その他
学校環境衛生の基準(平成4年文部省体育局長
裁定)及び下記に掲げる通知は、廃止する。
1 平成10年12月1日付け文体学第187号
「学校環境衛生の基準」の一部改訂について(通知)
2 平成13年8月23日付け13文科ス第264号
「学校環境衛生の基準」の一部改訂について(通知)
3 平成14年2月5日付け13文科ス第411号
「学校環境衛生の基準」の一部改訂について(通知)
4 平成16年2月10日付け15文科ス第402号
「学校環境衛生の基準」の一部改訂について(通知)
5 平成19年7月10日付け19文科ス第155号
「学校環境衛生の基準」の一部改訂について(通知)
定期環境衛生検査の内容
定期検査は、それぞれの検査項目について実態
を客観的、科学的な方法で的確に把握し、その結
果に基づいて事後措置を講じるためのものである。
また、日常点検の重点事項の決定等に役立てる
ことが大切である。
実施すべき検査項目の内容については、学校薬剤師が直接その検
査に当たることが適切であるものと、学校薬剤師の指導のもとに公衆
衛生関係の検査機関に検査を依頼することが適切なものとがある。
また、学校薬剤師の指導・助言の下に教職員が直接その検査に当た
る場合もある。
この分担は学校によって異なるが、いずれにしても学校として校長の
責任の下に実施するものであることから、いつ、誰がこれを実施するか
を明確にする必要がある。
日常点検の内容
日常点検は、校務分掌等に基づいて点検すべき事
項について授業開始時や授業中、又は授業終了時等
など適切な時に、主として感覚的にその環境を点検し、
必要に応じて事後措置を講じるためのものである。
その際、教職員の役割を明確にして実施する必要が
ある。
日常点検は、それぞれの項目について毎授業日に教職員が
実施し、問題点があれば速やかに事後措置を講じると共に、そ
れらの結果に基づいて定期検査の回数や時期、方法等の決定
に役立てるようにする。その際、プールの管理結果や飲料水の
検査、学校給食の結果等は記録として残しておく必要がある。
臨時環境衛生検査の内容
学校環境衛生基準 第6 雑則
1 学校においては、次のような場合、必要があるときは、必要な検査項目
を行うものとする。
(1) 感染病又は食中毒の発生のおそれがあり、また、発生したとき。
(2) 風水害等により環境が不潔になり又は汚染され、感染症の発生の
おそれがあるとき。
(3) 新築、改築、改修等及び机、いす、コンピュータ等新たな学校用備品
の搬入等により揮発性有機化合物の発生のおそれがあるとき。
(4) その他必要なとき。
2 臨時に行う検査は、定期に行う検査に準じた方法で行うものとする。
3 定期及び 臨時に行う検査の結果に関する記録は、検査の日から5年間
保存するものとする。また、毎授業日に行う点検の結果は記録するよう
努めるとともに、その記録を点検日から3年間保存するよう努めるものと
する。
4 検査に必要な施設・設備等の図面等の書類は、必要に応じて閲覧でき
るように保存するものとする。
4.学校及び環境衛生検査で使用する薬品の管理(P508)
参 考 図 書 ①
5.実際の定期環境衛生検査(P508)
[採光及び照明]
○検査回数:検査は、毎学年2回定期に行う。
○検査事項:(1)照度 (2)まぶしさ
○検査方法:(1)照度の測定は、日本工業規
格C1609に規定する規格に適合する照度
計又は同等以上を用いて行う。
(2)教室の照度は、図に示す9か所に最も
近い児童生徒等の机上で測定し、それら
の最大照度、最小照度で示す。
黒板の照度は、図に示す9か所の垂直
面照度を測定し、それらの最大照度、最
小照度で示す。
教室以外の照度は、床上75cmの水平
照度を測定する。なお、体育施設及び幼
稚園等の照度は、それぞれの実態に即
して測定する。
(3)まぶしさの検査は、見え方を妨害する光
源、光沢の有無を調べる。
参照:学校環境衛生基準の施行について
(文部科学省スポーツ・青少年局長通知)
平成21年4月1日
[騒音環境及び騒音レベル]
○検査回数:検査は、毎学年2回定期に行う。
○検査事項: (1)騒音環境 (2)騒音レベル
○検査方法: (1)騒音環境:普通教室に対する
工作室、音楽室、廊下、給食施設及び運動
場等の校内騒音の影響並びに道路その他
の外部騒音の影響があるかどうかを調べ騒
音の影響の大きな教室を選び、児童生徒等
がいない状態で、教室の窓側と廊下側で、
窓を閉じたときと開けたときの等価騒音レベ
ルを測定する。
(2)騒音レベル:等価騒音レベルの測定は、日
本工業規格 C1509に規定する積分・平均
機能を備える普通騒音計を用い、A特性で5
分間、等価騒音レベル(LAeq)を測定する。
なお、従来の普通騒音計を用いる場合に
あっては、普通騒音から等価騒音を換算す
るための計算式により等価騒音レベルを算
出する。
特殊な騒音源があるときは、日本工業規
格 Z8731に規定する騒音レベル測定法に
準じて行う。
教室等の空気(定期環境測定)
[教室等の空気]
○検査回数:
検査は、(1)温熱及び空気清浄度、(3)換気については、毎学年2回定期に行い、
(2)ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物、(4)ダニ又はダニアレルゲンにつ
いては、毎学年1回定期に行う。ただし、(2)において著しく低濃度の場合は、次
回からの測定は省略することができる。
○検査事項:
(1)温熱及び空気清浄度:検査は、自然環境では次のア~ウの事項について行い、
特に必要と認める場合はエ~ケの事項についても行う。人工的環境では、ア~ケ
の事項について行う。
ア 温度 イ 相対湿度 ウ 二酸化炭素 エ 気流 オ 一酸化炭素 カ 二酸
化窒素
キ 浮遊粉じん ク 落下細菌 ケ 実効輻射温度
(2)ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物検査は、ア、イの事項について行い、
特に必要と認める場合は、ウ~カの事項についても行う。
ア ホルムアルデヒド(夏期に行うことが望ましい。) イ トルエン ウ キシレン
エ パラジクロロベンゼン オ エチルベンゼン カ スチレン
(3)換気:換気回数
(4)ダニ又はダニアレルゲン(夏期に行うことが望ましい。)
[教室等の空気]
○検査方法:
(1)温熱及び空気清浄度:
検査は、各階1以上の教室を選び、特別の場合のほかは授業中の教室において、
適当な場所1か所以上の机上の高さで、次の方法や測定器又はこれと同等以上
の測定器を用いて行う。なお、カについては、開放型燃焼器具を使用している教
室において行う。
ア 温度 アスマン通風乾湿計を用いて測定する。
イ 相対湿度 アスマン通風乾湿計を用いて測定する。
ウ 二酸化炭素 検知管を用いて測定する。
エ 気流 カタ温度計又は微風速計を用いて測定する。
オ 一酸化炭素 検知管を用いて測定する。
カ 二酸化窒素 ザルツマン法を用いて測定する。
キ 浮遊粉じん 相対沈降径10ミクロン以下の浮遊粉じんをろ紙に捕集し、その
質量による方法(Low-Volume Air Sampler法)、又は質量濃度変換係数(K)
を求めて質量濃度を算出する相対濃度計を用いて測定する。
ク 落下細菌 1教室3点以上において標準寒天培地を用い、5分間露出し、37℃
で48±3時間培養し、コロニー数を測定する。
ケ 実効輻射温度 黒球温度計と乾球温度計を用いて測定する。
[教室等の空気]
(2)ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物:
検査は、普通教室、音楽室、図工室、コンピュータ教室、体育館等必要と認める
教室において、原則として次の方法によって行う。
ア 採取は、授業を行う時間帯に行い、当該教室で授業が行われている場合は
通常の授業時と同様の状態で、当該教室に児童生徒等がいない場合は窓等
を閉めた状態で、机上の高さで行う。なお、測定する教室においては、採取前
に、30分以上換気の後、5時間以上密閉してから採取を行う。
イ 採取時間は、吸引方式では30分間で2回以上、拡散方式では8時間以上と
する。
ウ 測定は、厚生労働省が室内空気中化学物質の濃度を測定するための標準
的方法として示した、次の(ア)、(イ)によって行う。又は(ア)及び(イ)と相関
の高い方法によって行うこともできる。
(ア)ホルムアルデヒドは、ジニトロフェニルヒドラジン誘導体固相吸着/溶媒抽出法
によって採取し、高速液体クロマトグラフ法によって行う。
(イ)揮発性有機化合物は、固相吸着/溶媒抽出法、固相吸着/加熱脱着法、容器
採取法の3種の方法のいずれかを用いて採取し、ガスクロマトグラフ―質量分
析法によって行う。
[教室等の空気]
(3)換気回数:
検査は、間接測定法又は直接測定法によって行う。
ア 間接測定法
(ア)呼気の蓄積による方法で、授業の1単位時間内に約15分間隔で二酸
化炭素の蓄積を測定する。
(イ)蓄積呼気の減衰による方法で、授業が終了後在室者がすべて退室し
た後、45分間に15分間隔で二酸化炭素の減衰を測定する。
イ 直接測定法 微風速計を用いて教室等の吹き出し口からの風速を測
定する。
(4)ダニ又はダニアレルゲン:
検査は、保健室の寝具、カーペット敷の教室等、ダニの発生しやすい場
所において、1平方メートルを電気掃除機で1分間吸引し、ダニを捕集す
る。捕集したダニ数は顕微鏡で計数するか、アレルゲンを抽出し、酵素
免疫測定法にてアレルゲン量を測定する。なお、これらと相関の高い方
法によって行うこともできる。
屋内性ダニ類 用語の整理
アレルゲン:アレルギーの原因物質のこと。特にダニに由来するものをダニアレルゲンと
呼び、ヒョウヒダニ類の糞に由来するDer(デル)1、体に由来するDer2が
重要とされる。
イエダニ:トゲダニ亜目オオサシダニ科の中の一種。家住性ネズミ類に寄生しているが、
ネズミを離れた場合、人からも積極的に吸血する。「家の中にいるダニ」
=イエダニという誤解をしている場合も多いが、ネズミが生息していなけれ
ば本種も検出されることはない。
屋内塵:室内塵、ハウスダスト。屋内環境に蓄積する塵で有機物、無機物の種々
雑多な成分で構成される。掃除機で採取した屋内塵を篩いにかけて
サイズを調整したものを粗塵、細塵(ファインダスト)、微細塵(スーパーファイン
ダスト)などと称する.
季節消長:昆虫、ダニ類など、ある生物群の発生数、捕獲数などの季節的な
変動。季節単位だけでなく、月単位で示されることも多い。
刺咬・吸血性:主に人畜に対する害のうち、「刺す」、「咬む」、「吸血する」とい
う害をもたらす性質。一般の人がダニに対して持つイメージはこうした性質で
あるが、優占度の高いヒョウヒダニ類、コナダニ類には刺咬・吸血性の害はない。
ダニ相:ある環境で形成されるダニ群集の種類構成。屋内環境では、温度、湿度、
栄養条件などの環境条件を反映して、単純なダニ相から多様なダニ相まで
様々なものが見られる。
ヒョウヒダニ:チリダニ科ヒョウヒダニ属の総称。世界的に人の居住環境内でもっとも優占
度が高く、英語でhouse dust miteといえばヒョウヒダニ類を指す。寝具、
床面、乗り物の座席、衣服などからも検出される。
若虫(わかむし,じゃくちゅう):ダニ類の発育ステージのうちの一つ。若ダニと
同義。幼虫が脱皮した後、成虫になる前の段階。若虫期で複数回の脱
皮をして2若虫期や3若虫期などの種類がある。
[飲料水の管理]
○検査項目:水質 施設・設備
○検査回数:検査は、水道水を原水とする飲料水(専用水道
を除く)については毎学年1回定期に行う。専用水道及
び専用水道に該当しない井戸水等の検査回数について
は、検査事項の項に定める。
○検査事項:検査は、次の事項について行う。
(1)水道水を原水とする飲料水(専用水道を除く)の検査は、
次の事項を給水栓水について(高置水槽がある場合は
その系統ごとに)行う。
ア 遊離残留塩素 イ 色度・
濁度・臭気・味 ウ 水素イオン濃度 エ 一般細菌 オ
大腸菌 カ 塩化物イオン キ 有機物等(過マンガン酸
カリウム消費量又は全有機炭素(TOC))
(2)専用水道及び専用水道に該当しない井戸水等について
の検査は次の事項を行う。
(ア) 給水栓水について、(1)のアからキまでの項目につ
いて、毎月1回定期に検査を行う。併せて、水道法(昭和
32年法律第177号)第3条第6項に規定する専用水道が
実施すべき水質検査の項目について、毎学年1回定期
に行う。
(イ) 原水については、(1)のイからキまでの項目について、
毎学年1回定期に行う。
○検査方法:検査は、水道法第4条第2項の規定に基づく水
質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号、
以下「水質基準に関する省令」とする。)に規定する厚生
労働大臣が定める検査方法、水道法施行規則(昭和32
年厚生省令第45号)第17条第2項の規定に基づき厚生
労働大臣が定める遊離残留塩素及び結合残留塩素の
検査方法及び上水試験方法(社団法人日本水道協会)
に準じる。また、過マンガン酸カリウム消費量について
は、滴定法による。
比色法水質測定器
参 考 図 書 ②
参 考 図 書 ③
まえがき
児童生徒等の健康を保持増進し、学習能率の向上を
図るためには、健康的で快適な学習環境を作りあげる
ことが必要であり、そのための学校環境衛生活動は学
校経営における重要な役割を担っています。
「学校環境衛生の基準」は、平成4年に全面的に改訂され
て以降、10年余り経過しました。その間、児童生徒等を
めぐる社会環境の変化は著しく、健康に関する様々な
問題に対応する必要がでてきました。
こうした変化を踏まえ、財団法人日本学校保健会に学
校関係者や学校環境衛生に関する有識者からなる委
員会(学校環境衛生推進委員会)を設置し、昨今の学
校環境衛生にかかわる諸問題への対応の在り方や学
校環境衛生の基準の改訂が必要な内容の検討を行い
ました。この検討結果も踏まえ、文部科学省は、学校環
境衛生活動の基本的な内容等を示した「学校環境衛生
の基準」を改訂し、平成16年2月10日付で文部科学省
スポーツ・青少年局長名で通知しました。
このたび、文部科学省においては、改訂された基準に
基づく学校環境衛生活動の円滑な実施の一助となるよ
う、財団法人日本学校保健会に委嘱し「学校環境衛生
の基準」を詳しく解説した本書を作成・発刊しました。
各学校等においては、本書を活用し、健康的で快適な
学習環境を維持されるよう願ってやみません。
参 考 図 書 ④
P509 到達目標
◎地域住民に対する医薬品の
適正使用の啓発活動における
薬剤師の役割を説明できる。
1.薬と健康の週間における薬剤師の役割(P509)
「薬と健康の週間」の実施について
1
趣 旨
本週間は、医薬品及び薬剤師の役割に関する正しい認識を広く国民に浸透させることにより、国民の保健
衛生の維持向上 に寄与することを目的とし、医薬品及び薬剤師の役割についての正しい知識を消費者の
間に普及させるものです。
特に医薬分業が各地域で円滑に推進されるように、薬剤師が行う服薬指導や薬歴管理の大切さを一人で
も多くの国民が実感できるように、ポスター等啓発資材を用いて積極的な運動を展開するものです。
2
実施期間
平成20年10月17日(金)から10月23日(木)までの1週間
3 実施機関
主 催:厚生労働省、都道府県、日本薬剤師会及び都道府県薬剤師会
後 援:文部科学省、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、日本製薬団体連合会、全日本薬種商協会、
全国配置家庭薬協会、全国医薬品小売商業組合連合会、麻薬・覚せい剤乱用防止センター
4 主な実施事項
(1)厚生労働省及び日本薬剤師会における実施事項
ア 広報機関等による啓発宣伝
イ ポスター、パンフレットの作成・配布
ウ 薬事功労者の表彰
(2)都道府県及び都道府県薬剤師会における催し物
薬と健康の週間における全国統一事業の結果について
2.薬健康教育における薬剤師の役割(P509)
• 薬の保管
• 適正な服用方法等に関する留意事項
• 薬の作用・副作用の発現に関する知識の教育
医薬品の適正使用とは
日本薬学会(薬学用語解説)
医薬品はその使い方によって、期待する効果(有効性)だけではなくマイ
ナス効果(副作用)が現れる。したがって、適正使用の確実な実施が非常
に重要となる。そのため、製薬企業は信頼性の高い医薬品情報を提供す
ることが義務づけられる。
また,医療機関において,これらの医薬品情報が効果的に活用されるこ
とによって適正使用が推進されることが期待される。更に、適正使用の徹
底には、患者側、医療関係者(医師・歯科医師・薬剤師)の良好な協力も
必要である。“21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会”は1993年5月の
最終報告で、次のように述べている。
“医薬品の適正使用とは、的確な診断に基づき、患者の症候にかなった
最適の薬剤、剤形と適切な用法・用量が決定され、これに基づき調剤さ
れること。次いで患者に薬剤についての説明が十分理解され、正確に使
用された後、その効果や副作用が評価され、処方にフィードバックされる
という一連のサイクルの実現である。
「薬との上手な付き合い方」 薬健康教育指導指針
作成:
日本薬剤師会
入手方法:
日本薬剤師会
ホームページの
会員向けページ
よりダウンロード
3.医薬品の適正使用の様々な啓発活動
における薬剤師の役割(P509)
新・薬剤師行動計画 (日本薬剤師会策定)
III 医薬品の適正使用への貢献
1 地域住民への啓発活動
今回の薬事法改正においては、一般用医薬品のみならず医薬品及び医療機器の適正
な使用に関する普及啓発についての規定が新たに設けられた。
具体的には薬事法第77条の3の2として、国、都道府県、保健所を設置する市及び特
別区は、関係機関及び関係団体の協力の下に、医薬品及び医療機器の適正な使用に
関する啓発及び知識の普及に努めるものとする、と規定された。
これにより“薬と健康の週間”における活動の法律上の根拠ができたことになり、本年
度
の活動は法律に基づくものとなり、これまでの活動を更に発展させ、地域に密着した啓発
活動の拡充が求められる。
ついては、薬局・薬剤師は地域住民に対して、次に示す取り組みを行うこととする。
「くすりの正しい使い方」啓発資材
「くすりの正しい使い方」啓発資材作成について
新・薬剤師行動計画 (日本薬剤師会策定)
会員薬局・薬剤師:
医薬品の適正使用に関する啓発活動として、次の取り組みを実施する。
①都道府県薬剤師会、支部薬剤師会の実施する「薬と健康の週間」における
行事等に積極的に参加する。
②健康等に関する情報を発信すると共に、医薬品副作用救済制度を周知する。
支部薬剤師会:
都道府県薬剤師会とともに地方公共団体、関係団体等と連携し、「薬と健康の週間」
における行事、啓発活動等を実施する。
都道府県薬剤師会:
支部薬剤師会とともに地方公共団体、関係団体等と連携し、「薬と健康の週間」に
おける行事、啓発活動等を拡充する。
日本薬剤師会:
①各種媒体を通じて啓発活動を実施する。
②医薬品の適正使用に関する啓発活動を支援するため、地域住民への健康情報
提供に役立つ資料の作成と提供を行う。
③効果的な啓発活動を企画立案し、都道府県薬剤師会等に提供する。
新・薬剤師行動計画 (日本薬剤師会策定)
2 医薬品の安全性の確保
薬事法の規定に基づき、薬剤師には医薬品の副作用情報の報告義務が課されて
いる。一方、薬剤師会においては“日薬DEM事業”を実施してきており、会員薬局・
薬剤師から対象医薬品に関する副作用情報を収集する調査・研究を行っている。
このような事業は医薬品の安全対策の観点からも重要な取り組みといえる。
また、今後は一般用医薬品を販売する立場として使用実態調査(AUT)について
も、薬剤師が重要な役割を担うことになる。
ついては、薬局・薬剤師は医薬品の安全性の確保という機能を更に発揮すること
とし、次に示す取り組みを行うこととする。
会員薬局・薬剤師:
医薬品の安全性確保に貢献するため、医薬品の副作用情報等を厚生労働大臣に
報告するとともに、薬剤師会等が行う医薬品に関する各種調査・研究(DEM事業
等)に参加・協力する。
支部薬剤師会:
会員薬局・薬剤師による医薬品情報の収集・評価活動を支援する。
都道府県薬剤師会:
会員薬局・薬剤師による医薬品情報の収集・評価活動を支援する。
日本薬剤師会:
会員薬局等の協力のもとDEM事業を継続して実施すると共に、都道府県薬剤師会
と協力し、会員薬局・薬剤師による医薬品情報の収集・評価活動を支援する。
4.「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック」(P509)
参考図書⑤
作成:日本薬剤師会
秋田県薬剤師会
(財)日本体育協会
入手方法:
日本薬剤師会ホームページの
会員向けページよりダウンロード
P510 到達目標
◎麻薬・覚せい剤等薬物乱用
防止運動における薬剤師の
役割について説明できる。
第三次薬物乱用防止五か年戦略
平成20年8月 薬物乱用対策推進本部
戦略目標
本戦略については、以下の目標を設定し、薬物乱用対策推進
本部の下に関係省庁が緊密に連携し、各目標の達成に向けた
取組を推進する。
目標1・・青少年による薬物乱用の根絶及び薬物乱用を拒絶する
規範意識の向上
目標2・・薬物依存・中毒者の治療・社会復帰の支援及びその家族
への支援の充実強化による再乱用防止の推進
目標3・・薬物密売組織の壊滅及び末端乱用者に対する取締りの
徹底
目標4・・薬物密輸阻止に向けた水際対策の徹底、国際的な連携・
協力の推進
目標1
青少年による薬物乱用の根絶及び薬物乱用を拒絶する
規範意識の向上(抜粋)
対策
(1)学校等における薬物乱用防止のための指導・教育の
充実強化
小学校、中学校及び高等学校における児童生徒に対する
指導・教育を徹底するとともに、引き続き、児童生徒等の
薬物の根絶に向けた規範意識の向上を図っていく必要があ
るため、以下のような取組を行う。
・
学校における児童生徒への薬物乱用防止教育の充実のた
め、「体育」、「保健体育」、「道徳」、「特別活動」に
おける指導、「総合的な学習の時間」の例示として示され
ている「健康」に関する横断的・総合的な課題についての
学習活動等も活用しながら、学校の教育活動全体を通じて
指導を行う。(文部科学省)
・
すべての中学校・高等学校において、少なくとも年1回の
薬物乱用防止教室を開催するよう指導すること。その際、
警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師等の協力を得つつ、
その指導の一層の充実を図る。
(警察庁、財務省、文部科学省、厚生労働省)
・
配付した教材等の活用促進を図るための周知に努めると
ともに、教材等の使用について、関係機関との連携の充実
を図る。(警察庁、文部科学省、厚生労働省)
・
指導方法の充実を図り、効果的な指導を行うため、国、都道
府県等が開催する研修会を充実し、教員や薬物乱用防止教室
の指導者に対する研修の機会の拡充を図る。
(警察庁、文部科学省、厚生労働省)
(2) 有職・無職少年に対する啓発の強化
少年の覚せい剤事犯の検挙人員のうち、大きな割合を占めている有職・無職少
年に対し、薬物乱用の有害性・危険性について正しい知識を与え、薬物乱用を絶対
にしないという意識を植え付けて行くため、以下のような取組を行う。
(3) 地域における薬物根絶意識の醸成と未然防止対策の強化
地域ボランティア団体等との連携により、地域社会全体で薬物乱用を許さない社
会環境づくりを推進するため、以下のような取組を行う。
・ 研修会の開催、各種啓発資材の活用による薬物乱用防止指導員の資質の向上
を図る。(厚生労働省)
・ 低年齢層やその保護者世代を対象とした、地域における薬物乱用防止に関する
対話集会を開催する。(厚生労働省)
・ 地域ボランティア等との連携強化及び啓発資材の提供等の支援を行う。
(厚生労働省)
(4) 広報啓発活動の強化
薬物乱用防止等について国民に更に深く理解を促すため、以下のような取組を
行う。
・ 乱用薬物に関する相談窓口等の情報の提供等を含めた薬物乱用防止に関する
広報啓発活動を一層推進する。
(内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省)
・ 「薬物乱用防止のための指導指針に関する宣言」(国連薬物乱用防止根絶宣
言)支援事業として行われる「「ダメ。ゼッタイ」普及運動」(6月20目~7月19目)を始
め、「不正大麻・けし 撲滅運動」(5月~6月)、「薬物乱用防止広報強化期間」(6月
~7月)、「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」(7月)、「社会を明るくする
運動」(7月)、「麻薬・覚せい剤乱用防止運動」(10月~11月)及び「全国青少年健
全育成強調月間」(11月)等において、青少年及び青少年育成関係者に対し、薬物
乱用の有害性・危険性や薬物乱用防止のための指導方法等についての広報啓発
活動を一層積極的に展開する。
(内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省)
・ 「薬物乱用防止広報車」、「薬物乱用防止キャラバンカー」やインターネットの有
効的な活用により、薬物乱用の有害性・危険性についての正しい知識の普及を図
る。(内閣府、警察庁、文部科学省、厚生労働省)
目標2
薬物依存・中毒者の治療・社会復帰の支援及びその家族
への支援の充実強化による再乱用防止の推進(抜粋)
薬物を乱用してしまった場合には、早期発見・早期対応が重要となる。その
際、薬物依存の有無、精神症状(特に幻覚・妄想等)の有無等乱用者の状態及
び状況に応じた対応が必要である。
幻覚・妄想等の精神病状態に対しては、既存の精神医療体制内での対応が
可能であるが、薬物依存症については未だ決定的な治療法は確立されていな
い。したがって、国立精神・神経センター等を中心にして、各種開発研究を進め
ながら、その成果を関係領域に還元しつつ、現状で動員可能な対応法・社会資
源の有効活用を追求して行く必要がある。その際、薬物依存症の治療と社会復
帰とは、連続した一連の流れの上にあること、多くの薬物事犯者は薬物依存症
者でもあり、その社会復帰は薬物依存症の治療と不可分であること等を踏まえ
る必要がある。
また、薬物依存症に対する治療を含めた対応・社会復帰には、関係各省庁
間での連携のみならず、民間団体等との連携、薬物問題に悩む家族への支援
も必要である。
目標3 (抜粋)
薬物密売組織の壊滅及び末端乱用者に対する取締りの徹底
(7) 関係機関の連携強化
薬物乱用防止のためには、関係省庁の緊密な連携の下
に総合的な対策講じる必要があることから、以下のとおり関
係機関の連携を強化する。
・ 関係機関による「薬物取締強化期間」を実施する。
(警察庁、財務省、厚生労働省、海上保安庁)
・ 関係機関の定期的な情報交換会議を開催する。
(警察庁、法務省、財務省、厚生労働省、海上保安庁)
・ 関係機関による共同摘発を推進する。
(警察庁、財務省、厚生労働省、海上保安庁)
・ 関係機関間の人事交流、研修への相互派遣及び合同訓練
を実施する。(警察庁、財務省、厚生労働省、海上保安庁)
18ス学健第3号
平成18年4月25日
附属学校を置く各国立大学法人事務局長
各 都 道 府 県 私 立 学 校 主 管 課 長 殿
各都道府県・指定都市教育委員会学校保健主管課長
文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課長
山 口
敏
薬物乱用防止に関する指導の徹底について(依頼)
児童生徒の薬物乱用防止に関する取組については、「薬物乱用防止教育の充実について(通知)」(平
成15年9月2日付け15文科ス第213号)において、薬物乱用防止新五か年戦略(平成15年7月29日薬物乱
用対策推進本部決定)を踏まえ、薬物乱用防止に関する指導の徹底を図るようお願いしているところです。
しかしながら、近年、少年の薬物事犯の検挙人員は依然として高い水準にあり、極めて深刻で憂慮すべ
き状態が続いています。特に、少年の覚せい剤事犯の検挙者数が平成17年は増加に転じると共に、
MDMA等合成麻薬事犯の検挙者数も高水準で推移しています。
貴機関におかれては、上記平成15年9月2日付け通知でもお願いしておりますが、すべての中学生及び
高等学校において、年に1回は薬物乱用防止教室を開催するよう努めるとともに、地域の実情に応じて小
学校においても薬物乱用防止教室の開催に努め、警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師等の協力を得
つつ、その指導の一層の充実を図るよう改めてお願いします。
また、このような状況を踏まえ、平成18年度予算においては、地域において中高生を対象とした薬物乱
用防止地域フォーラムを開催する経費等を計上しておりますので、このような事業を活用した薬物乱用防
止教育にも努めていただくようお願いします。
なお、これらのことについて、都道府県教育委員会にあっては域内の市区町村教育委員会に対し、それ
ぞれ周知するとともに、適切な対応がなされるよう指導願います。
医療安全管理指針のモデルについて(抜粋)
平成19 年3月
日本薬剤師会
はじめに
平成17年5月、厚生労働省の医療安全対策ワーキンググループによりまとめら
れた報告書「今後の医療安全対策について」において、薬局においても病院、診
療所等と同様に、安全管理体制を整備することが当面取り組むべき課題として提
言されました。
また、平成18年6月には、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医
療法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第84号)が成立し、薬局は医療
提供施設として位置づけられました。
このような背景から、平成19年3月、薬事法第9条の規定に基づき薬事法施行
規則の一部が改正され、平成19年4月より薬局における安全管理体制の整備が
薬局開設者に義務付けられることとなりました。具体的には、薬局における医薬
品の業務に係る医療の安全を確保するため、指針の策定、従業者に対する研修
の実施、その他医薬品に係る安全確保のための措置が、薬局開設者の遵守事
項として規定されます。
以上の経過を踏まえ、日本薬剤師会ではこの程、薬局における医療安全管理
の「指針」のモデルを作成しました。各薬局におかれては本モデルを参考に、自ら
の薬局に合った指針を作成下さい。医療の安全確保について薬局の従業者が皆
で協議し、医療の安全確保を積極的に展開していただきたいと思います。
1.医薬品の安全管理は薬剤師の責務(P510)
(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター
薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ(抜粋)
● 薬物乱用とは、医薬品を医療目的以外に使用したり、医療目的のない薬物を不正に使
用したりすることです。
どのような薬物でも乱用されるわけではありません。中枢神経に影響を及ぼす物質の中
で、依存性があり乱用され、又は乱用される恐れのある薬物として、覚せい剤、マリファナ、
コカイン、ヘロイン、MDMA、LSD、マジックマッシュルーム、向精神薬、シンナー等の取扱い
が法令により禁止又は制限されています。
● これらの薬物は、乱用したときの快感を得るためや薬物の効果が切れたときの苦痛な
どから逃れるため、薬物による効果を強く求めるようになり何度でも繰り返して使用したくな
る「依存症」が形成されます。また、薬物を繰り返し使用しているうちに同じ量では効かなく
なる「耐性」が生じます。
「一度だけ」という好奇心や遊びのつもりでも、薬物の依存性と耐性によって、乱用する量
や回数がどんどん増えていくという悪循環に陥り、自分の意志では止めることができなくな
ります。
また、乱用を止めても、睡眠不足や過労、ストレス、飲酒等をきっかけに、突然、幻覚や
妄想などの精神障害が現れるフラッシュバック(再燃現象)が起こることがあります。
● 覚せい剤や麻薬等は、それを乱用する人間の精神や身体をボロボロにし、人間が人
間としての生活を営むことをできなくするだけでなく、場合によっては死亡することもありま
す。
また、薬物の乱用による幻覚・妄想が、殺人、放火等の凶悪な犯罪や、交通事故を引き
起こすことがあるなど、乱用者本人のみならず、周囲の人、さらには社会全体に対しても、
取り返しのつかない被害を及ぼしかねないものです。このことから、覚せい剤、麻薬等の使
用、所持などは法律により厳しく禁止されています。
2.薬物乱用とは、(P510)
• 麻薬及び向精神薬取締法
(目的)
第1条 この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必
要な取締りを行うと共に、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等
により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉
の増進を図ることを目的とする。
• 大麻取締法
• あへん法
(目的)
第1条 この法律は、医療及び学術研究の用に供するあへんの供給の適正を図るため、国
があへんの輸入、輸出、収納及び売渡を行い、あわせて、けしの栽培並びにあへん及びけ
しがらの譲渡、譲受、所持等について必要な取締を行うことを目的とする。
• 覚せい剤取締法
(この法律の目的)
第1条 この法律は、覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤
及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締を
行うことを目的とする。
3.麻薬、覚せい剤等に関する法律
麻薬管理マニュアル
参考図書⑥
作成:
厚生労働省
入手方法:
厚生労働省ホームページ
よりダウンロード
(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター
薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ(抜粋)
「薬物乱用防止指導員」制度(当初は「覚せい剤乱用防止推進員」)は、啓発運動の一環
として昭和54年度から国と都道府県が一体となって推進しているもので、覚せい剤等の薬
物の乱用が全国的に蔓延し、しかも一般家庭にまでも深く浸透しつつある状況に鑑み、各
地域社会に根ざした啓発活動を展開するため、各地域社会の有識者に「薬物乱用防止指
導員」を各都道府県知事から委嘱し、これら指導員の日常活動を通じて各地域社会の末
端にまで覚せい剤等の薬物に関する知識の普及の徹底を図ることを目的としている。
平成2年度からは、47都道府県に対して本制度の運営に必要な国の予算措置が講じら
れている。本制度では全国を通じて約19,000人(1県当たり400人)の「薬物乱用防止指導
員」が委嘱され、これらの指導員は講習会等を通じて覚せい剤の作用、乱用による弊害及
び乱用の実態等についての知識を習得したうえ、乱用防止のための積極的な地域活動を
行っている。
平成4年度からは、「薬物乱用防止指導員」に地域に根ざしたいわゆる啓発活動におけ
る草の根運動の中心的な役割を果たしてもらうために組織的に効果的な啓発活動を強力
に行うこととし、主として保健所単位で地域に密着したきめ細かな啓発活動事業を実施す
るため、薬物乱用防止指導員協議会運営経費の予算措置を行っている。
平成11年度には、従来の「覚せい剤乱用防止推進員」が「薬物乱用防止指導員」に改
められ、対象とする薬物は、麻薬・向精神薬、覚せい剤のほか、大麻、あへん、有機溶剤
等を含むこととされて、活動の一層の拡充が図られている。
4.薬物乱用防止指導員制度及び組織化(P510)
趣旨: 今日、麻薬等の薬物乱用問題は、全世界的な広がりを見せ、
人間の生命はもとより、社会や国の安定を脅かすなど、人類が抱える
最も深刻な社会問題の一つとなっています。国内においては、中学生
や高校生など青少年の間で薬物乱用に対する警戒心や抵抗感が薄
れるなど「第三次覚せい剤乱用期」の深刻な情勢が続いています。
このような厳しい乱用状況を早期に終息させるため、政府では「薬
物乱用防止5か年戦略」に基づき各種対策を講じています。
厚生労働省では、関係省庁の協賛や関係団体の後援を得て、平成
5年度より「6・26国際麻薬乱用撲滅デー」(注)を広く普及し、薬物乱用
防止をいっそう推進するための「ダメ。ゼッタイ。」普及運動を実施して
おり、平成14年度は、以下により行われました。 (注)昭和62年(1987
年)に開催された「国際麻薬会議」の終了日の6月26日を「国際麻薬乱
用撲滅デー」とし、各国がこの宣言の趣旨を普及する日とされた。
また、平成10年(1998年)の国連麻薬特別総会においては、「薬物
乱用防止のための指導指針に関する宣言」(国連薬物乱用根絶宣言)
が決議された。
5.ダメ。ゼッタイ。普及運動(P510)
ダメ。ゼッタイ。普及運動
運動の概要:
(1)主 催:厚生労働省、都道府県、
(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター
(2)実施期間:6月20日から7月19日までの1か月間
(3)主な実施事項:
(ア)6.26ヤング街頭キャンペーン
覚せい剤乱用防止推進員やボランティア団体の方々と小
学生、中学生、高校生のヤングが一緒になって「ダメ。ゼッタ
イ。」を合言葉に街頭キャンペーンを行います。
(イ)地域団体キャンペーン
薬局、診療所、理・美容業、旅館業等地域団体のご参加を
頂いて、募金箱の設置やポスターを掲示して頂くほか、子供
たちにシンナー等の危害について一声かけて頂く「一声運
動」を行います。
麻薬・向精神薬・覚せい剤原料の取扱いに
関する関係資料、法令 等
参考図書⑦
• 麻薬及び向精神薬取
締法 (厚生労働省)
• 覚せい剤等薬物乱用
防止対策の推進につい
て (文部科学省)
• 麻薬・向精神薬・覚せ
い剤原料を取り扱いの
手引き(厚生労働省)
これからの学校薬剤師のあり方
◎ 学校環境衛生の維持管理に努める上で、関係法規
等を十分理解し遵守する。
◎ くすりの正しい使い方や薬物乱用防止教育などの
保健指導について、社会的な要請に基づく重要な任務
であることを自覚し、学校保健委員会や学校地域保健
連携推進協議会等に参画し、児童・生徒の現代的な
健康課題についても、関係各方面と協力し、計画的に
取り組むことが必要である。
◎ くすりの専門家として、校長・教頭をはじめ、保健主事
や養護教諭・教務主任などの教職員の代表に、適時、
適切な指導・助言を行えるよう自己研鑽に励むことが
必要である。
参考資料