著しい環境側面

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Transcript 著しい環境側面

UT561:マネジメントシステム論
<ISO14001規格要求事項の解説>
株式会社UL ASG Japan
目次
第1章 環境問題とISO14001の基礎知識
第2章 ISO14001規格の要求事項
2
第2章 ISO14001規格の要求事項
1)JIS Q 14001の構成、序文、定義
2)ISO14001規格の要求事項(抜粋)
3
組織で取り組む環境マネジメント
◆ISO14001は組織が環境対
応を進める上で基本となる事
項を定めています。
取引先からの要請、社会的な状況から当社でも環
境対応が必要になってきている。
では、どのように対応を進めていくのがよいか?
◆ISO14001の要求に沿って会
社のルールを組み立てれば
環境対応の仕組みを効率的
につくることが出来ます。
◆ISO14001に基づき組み立て
た仕組みは外部の第三者認
証の制度によりチェックされる
ことになります
4
JIS Q 14001の構成
規格番号
タイトル
規格番号
タイトル
0
序文
4.4.3
コミュニケーション
1.
適用範囲
4.4.4
文書類
2.
引用規格
4.4.5
文書管理
3.
定義
4.4.6
運用管理
4.
環境マネジメントシステム要求事項
4.4.7
緊急事態への準備及び対応
4.1
一般要求事項
4.2
環境方針
4.5.1
監視及び測定
4.3
計画
4.5.2
順守評価
4.3.1
環境側面
4.5.3
不適合並びに是正処置及び予防処置
4.3.2
法的及びその他の要求事項
4.5.4
記録の管理
4.3.3
目的、目標及び実施計画
4.5.5
内部監査
4.4
4.5
実施及び運用
4.4.1
資源、役割、責務及び権限
4.4.2
力量、教育訓練及び自覚
4.6
5
点検
マネジメントレビュー
序文(抜粋)

あらゆる種類の組織は、自らの環境方針及び環境目的に整
合して、自らの活動、製品及びサービスが環境に及ぼす影
響を管理することによって、健全な環境パフォーマンスを達
成し、実証することへの関心を高めてきている。

組織のこのような対応は、厳しさを増す法規制、環境保全を
促進する経済的政策及びその他の対策の開発、並びに環
境問題並びに持続可能な開発に対する利害関係者の関心
の高まりを背景としている。
6
序文(抜粋)

環境マネジメントに関する国際規格には、他の経営上の要
求事項と統合でき、組織の環境上及び経済上の目標達成を
助けることができる効果的な環境マネジメントシステム
(EMS)の諸要素を組織に提供する意図がある。

この規格は、組織が、法的要求事項及び著しい環境側面に
ついての情報を考慮に入れた方針及び目的を設定し、実施
することができるように、環境マネジメントシステムのための
要求事項を規定している。
7
環境マネジメントシステムモデル
継続的改善
環境方針
マネジメント
レビュー
計画
点検
実施及び運用
8
継続的改善のフロ-
4.5.3
不適合・是正
・予防処置
4.3.1
4.2
著
し環
い境
側
面
環
他
境
方 法
的
及
針 び
そ
の
運
目
用
的
・
目
事
4.3.2
項
の
要
求
4.4.6 4.4.7
画4.3.3
技術上の選択肢
財政上の要求事項
運用上の要求事項
事業上の要求事項
利害関係者の見解
管
理
標
/
計
緊
急
事
態
準
備
・
対
応
4.5.1 4.5.2 4.5.5
監
視
・
測
順
守
評
価
定
内
部
監
査
4.6
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
レ
ビ
ュ
ー
(考慮事項)
4.4.1
資源、役割
4.4.2
4.4.3
力量・教育訓練自覚 コミュニケーション
9
4.4.4
文書類
4.4.5
文書管理
4.5.4
記録の管理
1.適用範囲
この規格は、組織が、法的要求事項及び組織が同意す
るその他の要求事項並びに著しい環境側面についての
情報を考慮に入れた方針及び目的を策定し、実施する
ことができるように、環境マネジメントシステムの要求事
項を規定する。
10
3.定義(ISO14001:2004)
#
用語
#
用語
3.1
監査員
3.11
環境方針
3.2
継続的改善
3.12
環境目標
3.3
是正処置
3.13
利害関係者
3.4
文書
3.14
内部監査
3.5
環境
3.15
不適合
3.6
環境側面
3.16
組織
3.7
環境影響
3.17
予防処置
3.8
環境マネジメントシステム
3.18
汚染の予防
3.9
環境目的
3.19
手順
3.10
環境パフォーマンス
3.20
記録
11
3.定義(抜粋)
3.6 環境側面
環境と相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製
品又はサービスの要素
参考
著しい環境側面は、著しい環境影響を与えるか又は与える
可能性がある
3.7 環境影響
有害か有益かを問わず、全体的に又は部分的に組織の環
境側面から生じる、環境に対するあらゆる変化
12
3.定義(抜粋)
3.9 環境目的
組織が達成を目指して自ら設定する、環境方針と整合する全
般的な環境の到達点
3.10 環境パフォーマンス
組織の環境側面についてのその組織のマネジメントの測定可
能な結果
参考
環境マネジメントシステムでは、結果は、組織の環境方針、環
境目的、環境目標及びその他の環境パフォーマンス要求事項
に対応して測定可能である 13
4.2 環境方針(規格)

トップマネジメントは、組織の環境方針を定め、環境マネジメント
システムの定められた適用範囲の中で、環境方針が次の事項
を満たすことを確実にすること。
a.
b.
c.
d.
e.
f.
g.
組織の活動、製品及びサービスの、性質、規模及び環境影響
に対して適切である。
継続的改善及び汚染の予防に関するコミットメントを含む。
組織の環境側面に関係して適用可能な法的要求事項及び組
織が同意するその他の要求事項を順守するコミットメントを含
む。
環境目的及び目標の設定及びレビューのための枠組みを与え
る。
文書化され、実行され、維持される。
組織で働く又は組織のために働くすべての人に周知される。
一般の人々が入手可能である。
14
4.2 環境方針
15
4.3.1 環境側面(規格)

組織は次の事項にかかわる手順を確立し、実施し、維
持すること。
a. 環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で、
活動、製品及びサービスについて組織が管理できる環
境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面
を特定する。その際には、計画された若しくは新規の開
発、又は新規の若しくは変更された活動、製品及びサー
ビスも考慮に入れる。
b. 環境に著しい影響を与える又は与える可能性のある側
面(すなわち著しい環境側面)を決定する。
16
4.3.1 環境側面(規格)

組織は、この情報を文書化し、常に最新のものにして
おくこと。

組織は、その環境マネジメントシステムを確立し、実施
し、維持するうえで、著しい環境側面を確実に考慮に
入れること。
17
企業活動と環境側面
企業活動
アウトプット:お客様
製品、サービス
インプット:環境から
アウトプット:環境へ
原料、資源、エネルギ
ー 等
不要となって排出さ
れる廃棄物等
◆電気の使用量
◆産業廃棄物
◆水の使用量
◆一般廃棄物
◆ガスの使用量
◆騒音、振動
◆原材料の使用量
◆排水、排ガス
環境と相互に影響しあっている
=仕事と環境影響の接点
18
環境側面の捉え方
インプット
エネルギー(電気、水、石油、等)
アウトプット
インプット
活動
原材料、副原
料、副資材
製品(有形なもの)
サービス(無形な
もの)
アウトプット
不要物(廃棄物、騒音、振動、臭気 等)
19
影響を及ぼせる環境側面の例(1)
部 門
他部門、顧客等へ影響を及ぼせる環境側面の例
生産技術
金型改善によるバリ削減、省エネ設備の導入検討、
工程改良による歩留まり向上、生産の効率化
生産管理
効率的な生産計画の立案、効率的品種切り替え計画
の立案
品質保証
物流
不良品、クレーム発生原因究明と生産現場指導
簡易梱包材の採用、通い箱の採用、積載効率の向上
20
影響を及ぼせる環境側面の例(2)
部 門
購買・ 資材
他部門、顧客等へ影響を及ぼせる環境側面の例
適正在庫管理、長期滞留在庫の削減
総 務
地域クリーン活動の推進、社内環境啓発
経 理
電子化による経理伝票の削減
企 画
環境関連投資計画の立案
営 業
環境配慮製品の販促・ニーズ収集、顧客ニーズの積
極的収集
材料調達
有害物質の代替化、リサイクル可能な
材料の選択
流 通
小型化、軽量化、簡易包装の使用、リ
サイクル可能な梱包材使用
開発・設計
21
影響を及ぼせる環境側面の例(3)
部 門
他部門、顧客等へ影響を及ぼせる環境側面の例
使 用
省電力化、低騒音化、長寿命化、メンテ
ナンスフリー化
廃 棄
解体の容易性、材料表示、素材の統一
開発・設計
メンテナンス
サービス
情 報
サービス
サービス要員の技能向上、顧客メンテナンスDB化
交換部品在庫の適正化及び再活用化
製品使用セミナー・講習会開催の環境情報提供
22
4.3.3 目的、目標及び実施計画(規格)

組織は、組織内の関連する部門及び階層で、文書化さ
れた環境目的及び目標を設定し、実施し、維持すること。

目的及び目標は、実施できる場合には、測定可能であ
ること。そして、汚染の予防、適用可能な法的要求事項
及び組織が同意するその他の要求事項の順守並びに
継続的改善に関するコミットメントを含めて、環境方針に
整合していること。
23
4.3.3 目的、目標及び実施計画(規格)

その目的及び目標を設定しレビューするにあたって、組
織は、法的要求事項及び組織が同意するその他の要
求事項並びに著しい環境側面を考慮に入れること。ま
た、技術上の選択肢、財務上、運用上及び事業上の要
求事項、並びに利害関係者の見解も考慮すること。
24
目標値の設定

目的・目標値の決定には以下の5つの点を配慮する
 改善すべき課題が明確である

事業・業務上の目標を作成する


定量的または管理可能であること



目指すべき数値とのギャップは明確か
ギャップは努力が必要な程度が望ましい
⇒大きな改善につながる
具体的な経営上の指標と関連していること


組織として達成すべき内容の明確化
経営上の指標は金額でも良い
実施のための役割が明確になっていること
25
改善項目と維持管理項目
改善項目
環境目的・目標へ展開
著しい環境側面
管理対象
維持管理項目
手順の確立による
運用管理
法的及び
その他の要求事項
26
環境目的設定時の考慮
著しい環境側
面/法規制
等
電気の使用
考慮する事項
(技術上の選択肢、財政上、運用上及び事業上の要
求事項、利害関係者の見解)
製造コスト中に占める電力コストは大きく、
省エネルギーによるコストダウンは事業上必
要である(競争力強化)。改善のための財政
措置は費用対効果を勘案して実施する。
改
善
●
火災発生時
完全不燃化は技術上不可能なので、現行の防
の有毒ガス、 災管理を維持する。
消火汚水
原料ロスの
発生
原料ロス削減によるコストダウンは事業上必
要である。改善のための財政措置は費用対効
果を勘案して実施する。
27
維
持
環境目的
関連
部門
電力原単位で◎◎年
度末までに3%の削
減を行う。(**年
対比)
全部門
維持管理項目
全部門
原料歩留まりを◎◎
年度末までに**年
度実績90%を93.5%
へ改善する。
生産技
術課
●
●
(定義) 目的、目標
28
環境目的・目標の例
著しい環境側面を改善するための到達点として、目的・目標を定めます。
また、環境方針との整合をとります。
環境方針
著しい環境側面
環境目的
環境目標
(△△年)
省資源・省エネの 電気の使用
推進
電気使用量を5% 電気使用量を3%
削減する
削減する
(○○年比)
(○○年比)
廃棄物の削減、リ 廃棄物の発生
サイクルの実施
廃棄物発生量を
20%削減する
(○○年比)
包材の軽量化、 包装材の使用
リサイクル材の使用
A系商品の包材を △△材料の特性
△△にする。
調査
廃棄物発生量を
10%削減する
(○○年比)
一般的に、目的は中期(3年)、目標は短期(単年度)に設定
29
4.3.3 目的、目標及び実施計画(規格)

組織は、その目的及び目標を達成するための実施計
画を策定し、実施し、維持すること。実施計画は次の事
項を含むこと。
a.
b.
組織の関連する部門及び階層における、目的及び目標を達
成するための責任の明示
目的及び目標達成のための手段及び日程
30
4.3.3 目的・目標及び実施計画
実施計画書(例)
31
4.4.2 力量、教育訓練及び自覚(ポイント)

著しい環境側面に関連する作業のうち、力量が必要となる作業を
明確にし、その基準を決めること

力量が十分でないと判断された場合には、教育訓練を実施し、そ
の結果を記録しておくこと

適用範囲における対象者が、環境マネジメントシステムに取り組
むことの重要性や自分の役割、取り組みの利点、定めたルールを
守らなかった際の影響などについて理解し、活動に参加すること
の自覚を持てるようにすること

自覚が十分でないと判断された場合には、教育訓練を実施し、そ
の結果を記録しておくこと
32
4.4.2 力量、教育訓練及び自覚
33
4.4.2 力量、教育訓練及び自覚
34
4.4.6 運用管理(ポイント)

環境方針、環境目的・目標の達成に必要な手順を文書化し、その内
容に基づき実施すること(必要な手順書を作成すること)

手順書には運用基準を明確に示すこと

著しい環境側面の管理について、関連する供給者、請負者に対して
要求事項を伝達すること
35
4.4.6 運用管理
36
4.5.1 監視及び測定(ポイント)

環境マネジメントシステムの取り組み(活動)について、その結果を把
握するための監視、測定の手順を定めること(それに基づき実施する
こと)

監視、測定する項目には、実施した結果(数値実績や活動の実施記
録)及び目的・目標の達成状況が確認できる情報を含めること(達成
状況が把握されていること)
37
4.5.1 監視及び測定
38
著しい環境側面の扱い
4.3.3
目的、目標及び実
施計画
・目的・目標・設定
見直し時に配慮
4.4.3 コミュニケーション
・外部コミュニケーション
・プロセスの検討
4.4.6 運用管理
・運用用及び活動の特定
・文書化した手順
・供給者、請受者への手順伝達
著しい環境側面
4.4.2 力量、教育訓練及び自覚
・適切な訓練(影響作業)
・力量の保持(原因作業)
4.4.7 緊急事態への準備及び
対応
・事故及び緊急事態の可能性
の特定
4.5.1 監視及び測定
・かぎとなる特性の監視及
び測定
39
4.5.5 内部監査(規格)

組織は、次の事項を行うために、あらかじめ定められ
た間隔で環境マネジメントシステムの内部監査を確実
に実施すること。
a.
組織の環境マネジメントシステムについて次の事項を決定
する。
①
②
b.
この規格の要求事項を含めて、組織の環境マネジメントの
ために計画された取決め事項に適合しているかどうか。
適切に実施されており、維持されているかどうか。
監査の結果に関する情報を経営層に提供する。
40
4.5.5 内部監査(規格)

監査プログラムは、当該運用の環境上の重要性及び前回までの
監査の結果を考慮に入れて、組織によって計画され、策定され、
実施され、維持されること。

次の事項に対処する監査手順を確立し、実施し、維持すること。
-

監査の計画及び実施、結果の報告、並びにこれに伴う記録の保持
に関する責任及び要求事項
監査基準、適用範囲、頻度及び方法の決定
監査員の選定及び監査の実施においては、監査プロセスの客観
性及び公平性を確保すること。
41
内部監査とは?

内部監査とは自己チェック


自分たちのルールを自分たちでチェックすることです。
仕組み(手順)の機能をチェックすること


ISO14001では、環境方針を決めること、環境目標を決めること、
環境影響のプロセスを整備することや、文書を管理することな
ど、様々な仕組みを作ることが求められています。
この仕組みが機能しているかどうかを内部監査でチェックするこ
とが大切になります。
42
4.6 マネジメントレビュー(規格)

マネジメントレビューへのインプットは、次の事
項を含むこと。
a.
b.
c.
d.
e.
f.
g.
h.
内部監査の結果、法的要求事項及び組織が同意するその
他の要求事項の順守評価の結果
苦情を含む外部の利害関係者からのコミュニケーション
組織の環境パフォーマンス
目的及び目標が達成されている程度
是正処置及び予防処置の状況
前回までのマネジメントレビューの結果に対するフォローアッ
プ
環境側面に関係した法的及びその他の要求事項の進展を
含む、変化している周囲の状況
改善のための提案
43
マネジメントレビュー結果への対応

レビューの結果





マネジメントレビューの結果は大切な記録となります。
「マネジメントレビュー議事録」に記録しましょう。
「マネジメントレビュー議事録」には、トップマネジメン
トからの指示事項が記載されています。必ず皆さんで
確認するようにしましょう。
この結果へのフォローはシステムの中心メンバー(ス
タッフ)がその対応を検討します。
次年度の課題として推進し、その結果を次回のマネ
ジメントレビューのインプット情報とします。
44
著作権について
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