の要求 事項は

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Transcript の要求 事項は

JISQ9001:2008解説
(2000年 ⇒ 2008年への改正ポイント)
1
改正ポイントの前に ①
1.様々な考え方への活用
「ISO9001の規格要求事項はどのような会社でも使えるようにしてあ
る」。これは、規格要求事項の言葉であるが、更に「ISO9001の規格
要求事項はどのような“考え”の会社でも使えるようにしてある」と発展
させて考えるべきである。
2.規格要求事項の幅の理解
第三者の認証を得ているのであれば、規格要求事項を無視したり、明
らかな逸脱は認められない。但し、会社の考え、状況も考慮したいの
も事実である。
重要になってくるのは、その「幅」を見極めることである。「幅」は意外
と広い。
2
改正ポイントの前に ②
3.ISO9001の道具としての活用
ISO9001を改善の道具(参考文献)として活用する。
・そういうことが大事なのか。
・そういう考え方もあるのか。
更に参考になるのが「ISO9004」である。これらは、解説本であると
同時に具体的な事例集でもある。
【 幅 の 活 用 イメ ージ】
限界ライン
規
格
要
求
事
項
C社
限
界
ラ
イ
ン
A社
限
界
ラ
イ
ン
B社
限界ライン
規格要求事項
3
改正の背景 ①
1.2015年~16年に予定されているISO14001との整合性への第1
ステップとしての改正。
1)ISO9001とISO14001の統合規格化は従来からの社会のニー
ズ。
2)両方のマネジメントシステムを構築する組織の増加による「弊害」
「有効性の阻害」などの解消。
2.ISO9001規格要求事項に対する「あいまいさ」「非現実性」「コスト」
などの改善の声に対する措置。
1)2004年1月~10月に実施された「オンラインユーザー調査」の結
果。
2)63カ国、941ユーザー、1477件の個別コメント。
3)「理解が難しい」「明確でない」が主要なコメント。
4
改正の背景 ②
ユーザー調査において修正要望の多かった要求事項
4.1 一般要求事項
・ アウトソースしたプロセスの管理
4.2 文書管理
・ 外部からの文書の管理
6.2 人的資源
・ 力量を測定する方法
7.3 設計・開発
・ 設計・開発のレビュー、検証、妥当性確認
・ サービスとは何か
7.5 製造及びサービス提供
・
製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確
認
・ 顧客満足の関する情報
8.2 監視及び測定
8.5 改善
・
プロセスの監視及び測定と製品の監視及び測定の相
違
・ 是正処置と予防処置の相違
・ 予防処置と改善の相違
5
改正の背景 ③
ユーザー調査で 寄せられたコメント の数
規格項番
不明確
矛盾
理解不
能
意味不
明
抜け
くどい
重複
経費増
加
実行不
可
1
1.1
1.2
4.1
4.2
5.1
5.2
5.3
5.4
5.5
5.6
6.2
6.3
6.4
7.1
7.2
7.3
7.5
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改正の趣旨
1.2000年版に対し、要求事項の意図は変わらない。
2.要求事項の「真の意図」を明確にした。
1)表現の変更。
2)注釈文の追加。
3)事例の追加。
3.2000年版に対する「誤認」があれば改める。
1)間違った解釈。
2)狭い解釈。
3)組織にとって有効ではない解釈。
7
改正の全体像
1.適用範囲
2.引用規格
3.用語及び定義
4.品質マネジメント
システム
1.1 一般
1.2 適用
4.1 一般要求事項
4.2 文書化に関する要求事項
5.1 経営者のコミットメント
5.2 顧客重視
5.3 品質方針
5.4 計画
5.経営者の責任
5.5 責任、権限及びコミュニケーション
5.6 マネジメントレビュー
6.資源の運用管理
6.1 資源の提供
6.2 人的資源
6.3 インフラストラクチャー
6.4 作業環境
7.1 製品実現の計画
7.2 顧客関連のプロセス
7.3 設計・開発
7.製品実現
7.4 購買
7.5 製造及びサービス提供
7.6 監視機器及び測定機器の管理
8.1 一般
8.2 監視及び測定
8.測定、分析及び
改善
8.3 不適合製品の管理
8.4 データの分析
8.5 改善
4.2.1 一般
4.2.2 品質マニュアル
4.2.3 文書管理
4.2.4 記録の管理
5.4.1 品質目標
5.4.2 品質マネジメントシステムの計画
5.5.1 責任及び権限
5.5.2 管理責任者
5.5.3 内部コミュニケーション
5.6.1 一般
5.6.2 マネジメントレビューへのインプット
5.6.3 マネジメントレビューからの
アウトプット
6.2.1 一般
6.2.2 力量、教育・訓練及び認識
7.2.1 製品に関する要求事項の明確化
7.2.2 製品に関する要求事項のレビュー
7.2.3 顧客とのコミュニケーション
7.3.1 設計・開発の計画
7.3.2 設計・開発へのインプット
7.3.3 設計・開発からのアウトプット
7.3.4 設計・開発のレビュー
7.3.5 設計・開発の検証
7.3.6 設計・開発の妥当性確認
7.3.7 設計・開発の変更管理
7.4.1 購買プロセス
7.4.2 購買情報
7.4.3 購買製品の検証
7.5.1 製造及びサービス提供の管理
7.5.2 製造及びサービス提供に関する
プロセスの妥当性確認
7.5.3 識別及びトレーサビリティー
7.5.4 顧客の所有物
7.5.5 製品の保存
8.2.1 顧客満足
8.2.2 内部監査
8.2.3 プロセスの監視及び測定
8.2.4 製品の監視及び測定
8.5.1 継続的改善
8.5.2 是正処置
8.5.3 予防処置
8
4.1 一般要求事項(規格要求事項)
~前文省略~
要求事項に対する製品の適合性に影響を与えるプロセスをアウトソース
することを組織が決めた場合には、組織はアウトソースしたプロセスに関
して管理を確実にしなければならない。これらのアウトソースしたプロセス
に適用される管理の方式及び程度は、組織の品質マネジメントシステム
の中で定めなければならない。
~途中省略~
a)要求事項に適合する製品を提供するために必要な組織の能力に対す
る、アウトソースしたプロセスの影響の可能性
b)そのプロセスの管理への関与の度合い
9
4.1 一般要求事項(改正ポイント)
●アウトソースしたプロセスの管理の方式(深さ)と程度(範囲)は、自社
のQMSにとって、「有効性」「効率性」などの観点から適切に決定され
ることが重要である。
●形骸化につながるような「過剰管理」、要求事項を満足できないような
「貧弱な管理」を防止する上でも、明文化された。
アウトソースしているプロセスの重要度、
アウトソース先のレベルなどを考慮し、
管理のルールを決めているか。
過去に問題が多発していれば、「強化」すべきであり、
問題が全く発生していなければ、「緩和」(効率化)が可能かもしれない。
10
4.2.1 一般(規格要求事項)
~前文省略~
注記1 この規格で“文書化された手順”という用語を使う場合には、その
手順が確立され、文書化され、実施され、かつ、維持されている
ことを意味する。一つの文書で、一つ又はそれ以上の手順に対
する要求事項を取り扱ってもよい。”文書化された手順”の要求
事項は、複数の文書で対応してもよい。
~後文省略~
11
4.2.1 一般(改正ポイント)
●「文書化」のスタイルは、有効性の観点からより柔軟(自社に合致した)
に考えられるべきである。決して、1手順=1文書である必要はない。
自社の文書化のスタイルが、自社のQMS環境に対し有効かどうか。
自社の意に反して、
「細分化」しすぎていないか。
「集約化」しすぎていないか。
「使いやすさ」「管理のしやすさ」が最重要
12
4.2.3 文書管理(規格要求事項)
~前文省略~
f)品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定
した外部からの文書を明確にし、その配布が管理されていることを確
実にする。
~後文省略~
13
4.2.3 文書管理(改正ポイント)
●何が外部文書に該当するのかの定義付けが明確になった。
●従来の安易な「外部(顧客など)が作成した文書」だけではなく、「その
文書で規定されている内容が、外部の意思で決められたもの」となる。
●例えば、顧客の指示(意思)で自社が作成した文書なども含まれる。
該当する外部文書の認識(登録など)に漏れは無いか。
※事前に取り交わした「契約」「仕様」などが記載された文書
※外部の指示(中身が)で作成した手順書類
14
5.4.1 品質目標(規格要求事項)
トップマネジメントは、組織内のしかるべき部門及び階層で、製品要求事
項を満たすために必要なものを含む品質目標(7.1a)参照)が設定されて
いることを確実にしなければならない。品質目標は、その達成度が判定
可能で、品質方針との整合がとれていなければならない。
15
5.4.1 品質目標(改正ポイント)
●原文に変更はなく、JISの訳が変わっただけであるが、「すべての」から
「しかるべき」を注視する必要がある。従来は、「すべての」に意識が向
き、品質目標の形骸化へつながる場合が見られた。
●「品質目標」とは、会社として品質レベルを向上させるためのものであ
り、その活動に「ある単位(部門など)」が関ってくるという考え方が重要。
品質目標を「どの単位(部門など)」で設定しているかではなく、
その品質目標とそれに関する改善活動が有効に機能しているかどうか。
もし、有効に機能していなければ、品質目標そのもの、
或いは「設定単位(部門など)」も含め再検討すべき。
16
6.2.1 一般(規格要求事項)
製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員は、適切な教
育、訓練、技能及び経験を判断の根拠として力量がなければならない。
注記 製品要求事項への適合は、品質マネジメントシステム内の作業に
従事する要員によって、直接的に又は間接的に影響を受ける可能
性がある。
17
6.2.1 一般(改正ポイント)
●製品要求事項への適合に影響がある仕事に間接部門などをどのように
含めるべきかの考え方を定義づけした。
●解釈の結論としては、「直接部門」「間接部門」の”線引き”ではなく、
個々の仕事とQMSとの因果関係のつよさにより、自社が判断すべきと
いうことである。
QMSに影響を及ぼす「力量」を的確に把握しているかどうか。
特に
「その仕事を失敗すると間接的に製品要求事項に支障を来たす」
ような力量に漏れは無いか。
この力量が「教育訓練の対象」となる。
「この部門ではどういう教育を行うか」ではなく、
「どの力量に対し教育を行うか」が重要。
18
6.2.2 力量、教育・訓練及び認識(規格要求事項)
組織は、次の事項を実施しなければならない。
a)製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員に必要な力
量を明確にする。
b)該当する場合には(必要な力量が不足している場合には)、その必要
な力量に到達することができるように教育・訓練を行うか、又は他の処
置をとる。
~後文省略~
19
6.2.2 力量、教育・訓練及び認識(改正ポイント)
●2000年版から本質が変更されたわけではない。
●ただし、「必要な力量が不足している場合に教育などを行う」という基本
的な考え方の順序は改めて再認識すべき。
●例えば、「不足しているかどうかは別にして、とにかく教育をすることが
大事」などという考え方は誤りである。
必要な力量
の決定
力量不足
の発生
教育・訓練
などの処置
決定した力量
の適切性
曖昧でない
力量評価の基準
計画した力量に
達したかどうかの判断
20
6.3 インフラストラクチャー(規格要求事項)
組織は、製品要求事項への適合を達成するうえで必要とされるインフラス
トラクチャーを明確にし、提供し、かつ、維持しなければならない。インフラ
ストラクチャーとしては、次のようなものが該当する場合がある。
a)建物、作業場所及び関連するユーティリティー(例えば、電気、ガス又は
水)
b)設備(ハードウェア及びソフトウェア)
c)支援体制(例えば、輸送、通信又は情報システム)
21
6.3 インフラストラクチャー (改正ポイント)
●QMSに必要な情報関係のハード、ソフトを含めた「しくみ」のことである。
●例えば、情報システム室などが管理する生産情報システム、顧客情報
の管理システムなどが考えられる。
受注~出荷までの業務の中に存在する
「コンピューターシステムによる情報管理」
などが漏れていないか。
※「情報システム」は、コンピューターに限ったことではないが、
現実的には、コンピューターシステムを想定すべき。
管理の事例としてしては、
※定期的なデータのバックアップ
※異常時の専門業者による復旧依頼
22
6.4 作業環境 (規格要求事項)
組織は、製品要求事項への適合を達成するために必要な作業環境を明
確にし、運営管理しなければならない。
注記 ”作業環境”という用語は、物理的、環境的及びその他の要因を含
む(例えば、騒音、気温、湿度、照明又は天候)、作業が行なわれ
る状態と関連している。
23
6.4 作業環境 (改正ポイント)
●2000年版から本質が変更されたわけではない。作業環境の例が示さ
れただけ。
●規格改正とは直接関連はないが、ここでの作業環境は、「製品品質を
維持(保護)するために必要なもの」であり、「作業者を保護(安全衛生)
するためのもの」ではない。但し、この二つは状況により一体にならざる
を得ない場合もある。
規格で追記された「注記」の視点から、
※対象とすべき作業環境の不足はないか。
※規格の意図しない作業環境が「形骸化された形」で運用されていないか。
24
7.3.1 設計・開発の計画 (規格要求事項)
組織は、製品の設計・開発の計画を策定し、管理しなければならない。
設計・開発の計画において、組織は、次の事項を明確にしなければならな
い。
a)設計・開発の段階
b)設計・開発の各段階に適したレビュー、検証及び妥当性確認
c)設計・開発に関する責任及び権限
組織は、効果的なコミュニケーション及び責任の明確な割当とを確実にす
るために、設計・開発に関与するグループ間のインターフェースを運営管
理しなければならない。
設計・開発の進行に応じて、策定した計画を適切に更新しなければならな
い。
注記 設計・開発のレビュー、検証及び妥当性確認は、異なった目的を
もっている。それらは、製品及び組織に適するように、個々に又は
どのような組合せでも、実施し、記録することができる。
25
7.3.1 設計・開発の計画 (改正ポイント①)
●2000年版の運用において、組織によっては「レビュー」「検証」「妥当性
確認」を個別に実施することが必ずしも有効ではないという状況があっ
たため、各々の性質を認識した上で、組合せなどを柔軟に考えるように
改訂された。
●例えば、「金型図面が完成した時点で「レビュー」「検証」を同一行為に
よって行うなど。
●ただし、安易な組合せではなく組織の実状に則して考えることが重要で
ある。
26
7.3.1 設計・開発の計画 (改正ポイント②)
「レビュー」
このままの設計で意図したアウトプットが得られるかどうか
「検証」
完了した設計結果は、インプットを満足しているかどうか
「妥当性確認」
その設計から作られる製品・サービスに用途上問題がないか
これらの行為をどのような形で行うかは、
「組織の実状」に則した形で決定することが重要。
27
7.3.3 設計・開発からのアウトプット (規格要求事項)
設計・開発からのアウトプットは、設計・開発へのインプットと対比した検証
を行うのに適した形式でなければならない。また、リリースの前に、承認を
受けなければならない。
設計・開発からのアウトプットは、次の状態でなければならない。
a)設計・開発へのインプットで与えられた要求事項を満たす。
b)購買、製造及びサービス提供に対して適切な情報を提供する。
c)製品の合否判定基準を含むか、又はそれを参照している。
d)安全な使用及び適正な使用に不可欠な製品の特性を明確にする。
注記 製造及びサービス提供に対する情報には、製品の保存に関する詳
細を含めることができる。
28
7.3.3 設計・開発からのアウトプット (改正ポイント)
●設計の範囲に「製品保存」「製品保護」などの要素が含まれるのかどう
かが曖昧であったため、明確にした。
●製品の保存をする条件などが品質に影響を及ぼす場合、それらについ
て設計段階で明確にする必要がある場合は、アウトプットの一つとなる。
●ただし、あくまでも「その保存仕様が製品品質に影響する」と組織が判
断した場合についてである。
29
7.5.4 顧客の所有物 (規格要求事項)
組織は、顧客の所有物について、それが組織の管理下にある間、又は組
織がそれを使用している間は、注意を払わなければならない。組織は、使
用するため又は製品に組み込むために提供された顧客の所有物の識別、
検証及び保護・防護を実施しなければならない。顧客の所有物を紛失若し
くは損傷した場合又は使用には適さないとわかった場合には、組織は、顧
客に報告し、記録を維持しなければならない(4.2.4参照)。
注記 顧客の所有物には、知的財産及び個人情報を含めることができる。
30
7.5.4 顧客の所有物 (改正ポイント)
●現在の時流を考慮し、顧客に関連する個人情報の管理も含まれた。
●顧客そのものの個人情報だけではなく、顧客との取引にて知り得た関
連個人情報も考慮すべき。
●ただし、過敏に対応するのではなく、顧客要求、情報漏洩時の影響など
を総合的に判断し、対象個人情報を特定すべき。
想定される事例
「顧客の取引先情報」
「顧客の従業員情報(組織図などから)」
「日常のコミュニケーションでの情報」
顧客所有物として管理すべきかどうかは、
顧客の判断(指示を仰ぐ)に従うべき。
31
7.6 監視機器及び測定機器の管理 (規格要求事項)
~前文省略~
定められら間隔又は使用前に、国際又は国家計量標準にトレーサブルな
計量標準に照らして校正若しくは検証、又はその両方を行う。そのような
標準が存在しない場合には、校正又は検証に用いた基準を記録する
(4.2.4参照)。
~途中省略~
注記 意図した用途を満たすコンピューターソフトウェアの能力の確認に
は、通常、その使用の適切性を維持するために検証及び構成管理
も含まれる。
32
7.6 監視機器及び測定機器の管理 (改正ポイント)
●「校正」と「検証」は目的と行為が異なるため、どちらで管理するのか、
或いは両方を行うべきかなどの選択肢があることを明確にするために
追記された。
●校正 : 計量標準との照合行為
●検証 : 例えば、使用前の動作チェック、外観上の確認など
●コンピューターソフトウェアの管理に関する事例が追記された。
●検証 : プログラムの設計時の確認、入力時の確認、ソフトウェア購入
時の確認など
●構成管理 : ソフトウェアそのものの適切性。シーケンス回路の適切性
など。
「適切性」の観点で、「過剰管理」「管理の不足」などが生じていないか。
※過去の不適合発生などのリスク管理
※使用場面の重要度
※費用対効果
33
8.2.1 顧客満足 (規格要求事項)
組織は、品質マネジメントシステムの成果を含む実施状況の測定の一つ
として、顧客要求事項を満たしているかどうかに関して顧客がどのように
受けとめているかについての情報を監視しなければならない。この情報の
入手及び使用の方法をさだめなければならない。
注記 顧客がどのように受けとめているかの監視には、顧客満足度調査、
提供された製品の品質に関する顧客からのデータ、ユーザ意見調
査、失注分析、顧客からの賛辞、補償請求及びディーラ報告のよう
な情報源から得たインプットを含めることができる。
34
8.2.1 顧客満足 (改正ポイント)
●顧客満足に関する情報の事例について、追記された。
●この意図は、「顧客の真の声」を収集するための手段を柔軟かつ組織
にとって効果的に選択することが重要ということである。
●例えば、安易な「定期アンケート」が本当に最適なのかどうか。
現在の情報収集手段で、「顧客の真の声」が収集できているかどうか。
「顧客の真の声」は、
※「どんな場面で」発せられるのか
※「顧客の誰」が発するのか
※「なに」で発せられるのか
収集した情報から、アクション(予防処置)がとられているかどうかが、
効果的な情報であるか否かの判断材料の一つ。
35
8.2.3 プロセスの監視及び測定 (規格要求事項)
組織は、品質マネジメントシステムのプロセスの監視、及び適用可能な場
合に行う測定には、適切な方法を適用しなければならない。これらの方法
は、プロセスが計画どおりの結果を達成する能力があることを実証するも
のでなければならない。計画どおりの結果が達成できない場合には、適切
に、修正及び是正処置をとらなければならない。
注記 適切な方法を決定するとき、組織は、製品要求事項への適合及び
品質マネジメントシステムの有効性への影響に応じて、個々のプロ
セスに対する適切な監視又は測定の方式及び程度を考慮すること
を推奨する。
36
8.2.3 プロセスの監視及び測定 (改正ポイント)
●「適切な方法」とはどのようなものかを明確にした。
●4.1項、7.1項で決定したプロセスそのものの評価を行う方法は、プロ
セスに応じて最適な方法が決定されるべき。
●例えば、「すべてに対し、協議して評価する」、或いは「すべてに対し、指
標を設けている」などの偏りが本当に有効なのかどうか。
【測定】
【監視】
【改善】
そのプロセスの成果
が現れる指標があれ
ば特定する。
測定結果も含め、定期的に
「今のプロセス(やり方)が良い
のかどうか」を確認する。
プロセスの問題があ
れば、改善する。
・受入検査合格率
・製造工程不良率
・設備稼働率など
・コミュニケーションでの確認
・日常の業務上での確認
・内部監査での確認など
・やり方を変える
・責任権限を変える
・設備を変えるなど
37
8.5.2 是正処置 (規格要求事項)
組織は、再発防止のため、不適合の原因を除去する処置をとらなければ
ならない。是正処置は、検出された不適合の持つ影響に応じたものでなけ
ればならない。
次の事項に関する要求事項を規定するために、“文書化された手順”を確
立しなければならない。
a)不適合(顧客からの苦情を含む。)の内容確認
b)不適合の原因の特定
c)不適合の再発防止を確実にするための処置の必要性の評価
d)必要な処置の決定及び実施
e)とった処置の結果の記録(4.2.4参照)
f)とった是正処置の有効性のレビュー
注記 f)における“とった是正処置”とは、 a)~ e)のことである。
38
8.5.2 是正処置 (改正ポイント)
●従来から、ここでの「レビュー」には、
①不適合確認~処置までの活動のレビュー
②実施された処置の有効性のレビュー
の2つが意図されていた。
●より重要な「有効性のレビュー」が漏れることを防ぐため明確にされた。
●「有効性のレビュー」で重要なことは、「実施した是正処置により意図し
た成果が得られたかどうか」の運用効果である。
「QMSがそうなっているか」より、
「これまでの是正処置に対する有効性のレビューが行われているか」
が重要。
※再発不適合の発生
※原因究明の曖昧さ
39
8.5.3 予防処置 (規格要求事項)
組織は、起こり得る不適合が発生することを防止するために、その原因を
除去する処置を決めなければならない。予防処置は、起こり得る問題の
影響に応じたものでなければならない。
次の事項に関する要求事項を規定するために、“文書化された手順”を確
立しなければならない。
a)起こ得る不適合及びその原因の特定
b)不適合の発生を予防するための処置の必要性の評価
c)必要な処置の決定及び実施
d)とった処置の結果の記録(4.2.4参照)
e)とった予防処置の有効性のレビュー
注記 e)における“とった是正処置”とは、 a) ~d)のことである。
40
8.5.3 予防処置 (改正ポイント)
●従来から、ここでの「レビュー」には、
①予防処置の決定~処置までの活動のレビュー
②実施された処置の有効性のレビュー
の2つが意図されていた。
●より重要な「有効性のレビュー」が漏れることを防ぐため明確にされた。
●「有効性のレビュー」で重要なことは、「実施した予防処置により意図し
た成果が得られたかどうか」の運用効果である。
「QMSがそうなっているか」より、
「これまでの予防処置に対する有効性のレビューが行われているか」
が重要。
※関連する不適合の発生
※原因究明の曖昧さ
41