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JASMINE計画の現状
郷田直輝(国立天文台)
+JASMINEチーム
1
JASMINE計画の要旨
手段:近赤外線によるアストロメトリ観測を衛星を
用いて行う。
観測対象:銀河系内、特に銀河面、バルジなどの
サーベイ(ハロー方向も部分的に行う)
精度:星の位置、年周視差、1年当たりの固有運動を
数億個の星に対し、約10万分の1秒角以上の高精度
で測定
サイエンス:可視光だけでは伺い知れない銀河系構造
(特に、バルジ、遠くの銀河面)、
恒星物理、 星の形成と進化
銀河系形成史の解明
近傍宇宙論
系外銀河観測による宇宙論への直接的リンク
惑星系探査などのサイエンス
2
§1. アストロメトリ(位置天文)とは
星の(天球上の2次元的)位置
距離
年周視差
固有運動(天球上の横断角速度)
(+視線速度)
星の6次元位相空間の情報
天文学の基本情報
3
★星の6次元位相空間
★星までの距離
力学構造
星団
銀河系
恒星物理
遠方宇宙の距離
星形成
超新星
遠くの銀河を知るための基礎ともなっている
★星の運動
星の明るさ
エネルギー
連星系、惑星系
4
★§2.観測の現状
ヒッパルコス衛星(1989~1993: ESA)
V<12mag
年周視差の誤差~1mas
10% distance error at 100pc
固有運動の誤差 ~1mas/yr
velocity error at 1kpc ~5km/s
“天文学の革命”
5
しかし、小さな革命にすぎない!
◎必要な年周視差の精度 ~10%以内が望ましい
(それ以上の誤差
バイアス効果)
within 100pc(<<8kpc)
興味ある対象は少ない
e.g. Cepheid, RR Lyrae
20% uncertain distances to LMC, GCs
uncertainty of Hubble constant and the age
of the universe
6
7
§3.今後の高精度アストロメトリ観測計画の必要性
ヒッパルコス
“小さな革命”
大革命が必要
~10μasの精度
10% distance error at 10kpc!!
velocity error at 20kpc ~1km/s !!
Breakthrough in many fields of astronomy 8
9
Astrometryによる大革命の時代到来!
19C以前 Astrometry
Solar system
(ケプラーの法則---->ニュートン力学)
20C 量子物理 Photometry+Spectroscopy
21C Photometry, Spectroscopyに加えて、
Astrometryの再興
Astrometry
The Milky Way
○Near Field Cosmology!
銀河系の形成、進化の解明
○自己重力多体系での新しい法則!?
(長距離力系での統計物理学)
天体のKinematics, Distance
高精度なAstrometric eyeが必要10
§4. 将来の高精度スペースアストロメトリ計画(欧米)
計画
機関
装置 打ち上 星の観測 限界等級
精度
げ予定 数 (個)
Hipparcos
ESA
DIVA
Germany
FAME
USNO&
望遠鏡
120000
12
1mas@V=10
望遠鏡 ~ 2006
3500 万
15
250 μ as @ V=10
望遠鏡
4000 万
15
50 μ as@V=9
1989
???
NASA
SIM
GAIA
NASA
干渉計 ~ 2009
1万
20
4 μ as@V=20
ESA
望遠鏡 ~ 2012
10億
20
10 μ as@V=15
Remark: すべて可視光での観測
11
2002
2004
2006
2009
2012
2015
DIVA
可視光スペース
GAIA
サーベイ:
FAME
SIM
特定天体:
地上電波:
赤外線スペース:
VERA
?
JASMINE
12
GAIA
SIM
DIVA
13
§5. JASMINE計画について
(I)近赤外線による観測の重要性
近赤外線での観測
可視光だけでは伺いしれないバルジ、
ディスク面の探査
ダストによる吸収効果が大きい領域の探査が可能
○多くの星が観測可能
銀河系のkinematics,
Dynamicsの解析にとっては重要
○星の絶対等級、エネルギーの評価の際に入る、
吸収評価の誤差が少ない
14
★Optical/IR interstellar extinction
Photometoric
Wavelenghth
passband
B
V
R
I
J
H
K
Extinction(relative)
(magnitude)
0.44
0.55
0.64
0.79
1.25
1.65
2.2
1.33
1.00
0.78
0.59
0.28
0.17
0.11
15
16
★The number of stars expected in the Galaxy
Galaxy Model ------->Sky Model
(Wainscoat et al(‘92), Cohen(‘93, ‘95))
+
dust map by DIRBE
=====>The averaged number of stars expected
at K-band is a few hundreds times more
than that at V-band in the Galactic plane.17
(II)サイエンスの目標
○銀河系形成・進化の“化石”を探る
○バルジ、ディスク
銀河の形態
○太陽系をはるかに超える、大規模な自己重力
多体系の物理法則の解明
・Galactic bulge: morphology, kinematics,…
-------> formation history of the bulge
・Galactic disk: dynamics of spiral arms,
nature of stellar warp, …
・星形成領域のおける星自体の距離と運動
・ディスク星によるマイクロレンズ効果
・Local group of galaxies
18
(III)達成精度とサーベイ面積
K-band(2.2μm) の場合
年周視差の精度
10 as @ K 12 mag
サーベイ面積:
K=10mag以下
K=13mag
360 7
σ=4μas
σ=16μas(銀河中心の星の
距離精度が、13%)
K=14mag
σ=26μas (銀河中心の星の
距離精度が、20%)
19
(IV)JASMINE での観測方法と仕様概要
位置天文観測の精度
N:星の光子数
~/D N
大きな Nが必要
大きな視野
大口径の鏡
多くの検出器を並べる
20
Cf. TDI mode (drift scan mode)が重要
*検出器上での電子移動レートを衛星の
スキャンレートと同期化させるモード
○星像を歪めずに光子数を蓄える。
読み出しノイズの影響が小さくなる
○画素ごとの感度むらが平均化される
21
(V)望遠境の仕様(K-bandとz-bandの両方を平行して検討)
★K-bandの場合
望遠鏡仕様:リッチークレチアンをベース
○鏡のサイズ:D=2mの円形(中心に直径0.7mの穴)
2
------->面積 A 2.76m
○焦点距離:
f 65.4m
○視野直径: s 0.51
Astrometry用の有効な視野面積
1.29 10 1
22
光学系(矢野氏作成)
23
(VI)検出器
K-band(2.2μm)とz-band(~0.9μm)の両方を
平行して検討中
★検出器の開発
K-bandで感度がよく、CCD機能を備えて、TDI
モードが可能な検出器の開発が必要
裏面照射型薄化CCD+HgCdTe
インジウムバンプ
*科研費基盤研究A(2)(小林行泰代表)で開発予定
24
○検出器:HgCdTeを想定。TDIモードが使えると仮定。
*検出効率(光学系、その他すべての効果を含む):
0.5(50%)
*検出器当たりのpixel数 Npix: 4096×4096
*pixelサイズ: w 18m
*readout noise: e 10
*well depth of individual pixels :
*検出器の個数 アストロメトリ用4(Ns)×5(Nc)=20個
sky mapper用:16個(2K×2K)
J, Hーbandのphotometory用:各々、12個(2K×2K)
f
○回折限界とpixel数の関係:
Dw
4
25
★K-band以外として、z-band(0.9μm)で感度のピー
クがあるCCDも検出器の候補として、平行して検
討中(宮崎氏による開発)。
○TDIの問題、経費の問題は少ない
26
○見える星の総個数は銀河
系中心付近でも、K=12等
と比べて、z=16,17等なら
ば、同等以上。
27
(VII)サーベイ方法
○連続的にスキャン
○銀河面付近を主に観測
○太陽方向を見ないようにする
(春と秋は、銀河面方向。
夏と冬は、銀河面にほぼ直交する面方向を
観測)
28
29
★衛星の運動
○1つのtargetに対する1つの検出器の積分時間:約9.5秒
衛星のスピンレート:24.7秒角/秒
衛星のスピン回転の周期:約15時間
参考:
検出器1画素のangular size: 57.3ミリ秒角(mas)
検出器のangular size: 235秒角
○歳差運動の周期:約83日
(矢野氏作図)
30
★大角度離れたfieldの同時測定
○絶対的な年周視差を得るため
○衛星回転則のずれを観測データを用いて自己完
結的に測定
大角度離れたfiledを同時に観測する方法が得策
JASMINEも同じ鏡を2枚用いて、同時に大角度(約90度)離れた領域
の星を測定する。
*2枚の鏡に対して、
焦点面は共有する
解析により、どちらの
鏡から来たか分離可能
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Remarks: 精度に関して
○年周視差:σ=10μas@K=12mag どの方向でも
○銀経方向の位置、1年あたりの固有運動
σ=10μas@K=12mag
○銀緯方向の位置、1年あたりの固有運動
σ=~100μas@K=12mag
(サーベイ領域の銀緯方向の幅が約10度程度の場合)
銀緯方向のscanを行うことにより部分的に、
σ~20μasが可能
VERA, GAIAなどの結果とマッチングすることにより、銀緯方
向でもσ=10μasが可能。
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(VIII)衛星の軌道
Sun-EarthのL2-pointに投入予定
打ち上げ:H-IIAのdual launchを想定
(L2まで、約1.2トンを運べる)
理由:
(i)太陽、地球がほぼ同じ方向にあり、観測できる領域を
拡げられること。
(ii)熱的環境の変化が安定していること
(iii)衛星の軌道制御が比較的容易であること
(iv)放射冷却により冷却できる
○実質の観測年数: Tmis 5 yr
○1つのtargetを1年当たりにサーベイする回数: 約30回
(連続する4回は、短時間以内)
33
34
§7 精度の評価方法
○衛星システム全体(観測装置、軌道、姿勢制御、
サーベイ方法など)を仮定
どれぐらいの精度が出るものなのか、
どのようなサイエンスの展開が可能か
○必要な精度を達成
衛星のデザインにどのようなことが要求されるのか
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★精度評価の方法
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★CCDを用いた星像中心決定の実験開始
(ILOM(月面天測望遠鏡)チームと共同)
★1回の検出当たりで必要な精度:
1pixelの数百分の1で星像中心を求める必要がある。
(10μas
1/250, 4μas
1/600 )
*実験装置の概要
白 色 光
CCD カメラ
レンズ
光ファイバ
光学ベン チ( Σ-01-(2))
37
*星像中心を求める解析方法(重心方法を独自に改良したもの)は、
矢野氏によって開発済み
1pixelの1/250~1/300まで達成!
(実験では理想的には1/300~1/350)
38
★§8.データ解析方法
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★JASMINE Simulatorの開発を開始
JASMINE計画:
○従来の位置天文観測より高精度であり、高度な技術と精
密なシステム設計が要求される。
○観測する星の数もけた違いに大きく、データ解析方法の
工夫も必要である。
○システム全体の検討には様々な部分の仕様設計が複雑
に絡んでいる。
システムの全体設計やデータの誤差評価等のために、衛
星仕様、光学系仕様、検出器仕様、データ伝送仕様、
データ解析手法仕様、銀河系の模擬カタログ等を統合し
たシミュレーターの開発が必要である
40
*オブジェクト指向技術、UML(Unified Modeling Language)
によるプログラムデザインを計画(山田(京大))
○オブジェクト指向技術やUMLといったソフトウエア工学
の技術を取り入れて、効率良く、かつ再利用性や拡張性
に優れたシミュレーターを開発する。
○先ずはプレリミナリーだが、JASMINEの全体的なシステ
ムを構築していく。
○さらに、今後衛星計画を考えている全てのプロジェクトで、
システム開発の共通的な要素に関しては、必要最小限の
修正だけで利用可能な、シミュレーションソフトウエアが構
築できることも期待される。
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模
擬
( Virt u al
天
宇
宙
G al a x y +
α
)
体
Ba c k gr o u n d
S n a p - S h ot
ス
衛
星 と
の モ
デ
観
キ
観
測
装
ン
方
法
、
衛
星
置
の
姿
勢
A p p ar a nt
Sk y
ル
測
装
衛
星 、
装
管
理
ー タ
デ
ー タ
デ
ャ
処
置
置
の
ノ
イ
ズ
な
ど
Ra w
Dat a
通
デ
の
信
ー タ
理
R e d u c ti o n &
c al i b r a t i o n ,
S ci e n t i f i c
e x pl oi t a t i o n
デ
ー タ
ベ
ー
ス
42
ユースケース図の例
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§9. その他の検討課題
(1)衛星のシステム設計
(i)機器の設計、材質の検討
(ii)光学系、機器の熱構造解析
安定性が重要!
(例)望遠鏡部の安定性要求精度
ずれ
回転変動
自由
30mas
主鏡
基準
30mas
副鏡
0.7μm
150mas
20μm
自由
Compaund Mirror
凹レンズ
平面鏡
0.3mm
150mas
Compaund Mirrorの相対角の変化 ~10μas
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(1)衛星のシステム設計つづき
(iii)衛星の姿勢制御系の検討
(iv)太陽電池、電力系
(v)通信レートの評価と通信方法
(vi)重量評価と軽量化の検討
(大口径の超軽量鏡の開発が重要)
(2)星の視線速度サーベイ
○3次元の速度ベクトルを得るためには、近赤外線による
地上観測によるフォローアップが是非必要
○数km/sの精度でできるだけ多数の星を観測
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★体制の現状(Member Lists)
(1)JASMINE 勉強会メンバー:
・矢野太平(理研)
郷田直輝・小林行泰・辻本拓司・中島 紀・松原英雄(宇宙研)
・安田直樹・上野宗孝(東大)
・官谷幸利・ 越田進太郎(東大)
* 1999 年 6 月に開始。約1ヶ月に一度の割合で開催。JASMINE 計画の全体的な検討を
行う。
(2)サブ勉強会 1(アストロメトリ勉強会)メンバー:
郷田直輝、矢野太平、安田直樹、辻本拓司、官谷幸利、大越克也、山田良透(京大)
(オブザーバー:笹尾哲夫、真鍋盛二)
、サーベ
* 2001 年 2 月に開始。星像中心決定のアルゴリズムの検討(シミュレーション)
イ方法の検討、astrometoric parameter 導出のデータ解析方法の検討、海外計画の勉強など
を行う。ゼミ形式で、約1ヶ月に一度の割合で開催。
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(3)サブ勉強会 2(システム検討勉強会)メンバー:
郷田直輝、小林行泰、矢野太平、中島 紀、辻本拓司(国立天文台)
、
松原英雄、澤井秀次郎(宇宙研)
(オブザーバー:山川 宏、橋本樹明)
* 2001 年 6 月に開始。まだ、不定期。衛星の軌道、姿勢制御や衛星システム自体の検討
を行う。
(4)サブ勉強会 3(銀河系力学モデル勉強会)メンバー:
郷田直輝、矢野太平、官谷幸利、小山博子(国立天文台)
、上田誠治(総研大)
、
松林達史(東工大)
* 2000 年に開始。約1ヶ月に1度の割合。高精度アストロメトリデータが得られた場合
の銀河系の力学モデル構築方法の検討、銀河系力学に関係するサイエンスの検討(論文を
1本投稿中。さらに1本準備中)
。いずれ、VERA グループとの共同にする予定。
(5)CCD を用いた星像中心決定実験グループメンバー:
矢野太平、小林行泰、山田良透(京大)
、郷田直輝、辻本拓司、官谷幸利
+ ILOM チーム(国立天文台)
* 2001 年 6 月に開始。CCD の TDI モードを用いて、実際の星像中心決定の実験を行う。
SELENE2 での月面天測望遠鏡計画に直接関連しているため、ILOM チームと共同。
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(6)天文台で発足しているアストロメトリ衛星 WG メンバー
(2002 年 4 月 1 日現在) 47名
メンバー参加を歓迎します!
国立天文台:
○位置天文・天体力学研究系:
郷田直輝、辻本拓司
○光学赤外線天文学観測システム研究系:
中島 紀、家 正則、田村元秀、山田 亨、高遠徳尚
○天文機器開発実験センター: 小林行泰、越田進太郎
○ハワイ観測所:宮崎 聡、唐牛 宏
○天文学データ解析計算センター:
安田直樹、大越克也
○電波天文学研究系: 井上 允
○地球回転研究系(RISE): 河野宣之、日置幸介、花田英夫
○地球回転研究系(VERA): 笹尾哲夫、真鍋盛二、本間希樹、官谷幸利
○理論天文学研究系:児玉忠恭
宇宙科学研究所: 松原英雄、澤井秀次郎、井上 一、満田和久、平林 久
NASDA:
岩田隆浩、弘前大: 浅田秀樹、東北大: 土佐 誠
ぐんま天文台: 奥田治之
東大: 上野宗孝、岡村正矩、吉井 譲、中田好一、尾中 敬、牧野淳一郎
理研: 戎崎俊一、矢野太平、新潟大: 宮本昌典、西 亮一
名大: 芝井 広、長田哲也
京大: 山田良透、舞原俊憲、稲垣省五
鹿児島大: 面高敏宏
*年に1,2回、会合を開き、JASMINE に関する検討、意見交換を行う。
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I.JASMINE Simulator WG
(i)星像の Centroid 決定シミュレーション Sub-WG:
矢野太平、安田直樹、辻本拓司、郷田直輝、山田良透(京大)
(ii)Virtual Galaxy Sub-WG:
、官谷幸利、上田誠治、辻本拓司、郷田直輝
矢野太平、山田良透(京大)
II.光学系&検出器開発 WG
小林行泰、宮崎 聡、矢野太平、高遠徳尚、松原英雄、中島 紀、郷田直輝
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◎2003年6月頃にJASMINEに関する詳細なレポート
(first proposal)を提出予定
★2003年3月6日(木)、7日(金)@国立天文台
(I)アストロメトリ衛星WGの会合(参加自由)
(II)サイエンスワークショップ(参加自由)
ご参加をよろしく御願いします。
http://www.jasmine-galaxy.org/
50
Jasmine
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