夏場の健康管理~少しの知識が身体(いのち)を守る~

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Transcript 夏場の健康管理~少しの知識が身体(いのち)を守る~

大阪機械工具商健康保険組合 健康教室
夏場の健康管理
~少しの知識が身体(いのち)を守る~
日時:平成26年6月11日(水)15:20~16:30
場所:大阪機械器具卸商協同組合
健康保険組合連合会大阪連合会 保健師
1
熱中症とは
• 高温環境下で、体内の水分
や塩分(ナトリウムなど)のバ
ランスが崩れたり、体内の調
整機能が破綻するなどして、
発症する障害の総称です
• 死に至る可能性のある病態
です。
• 予防法を知っていれば防ぐこ
とができます。
• 応急処置を知っていれば救
命できます。
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熱中症を起こす条件
地球環境
・グローバル・ウォーミング
(地球 温暖化)
・ヒートアイランド
(大都市温暖化)
温熱環境因子
・気温が高い
・湿度が高い
・風が弱い
・日差しが強い
社会経済環境
・無理な節電への意識
個体因子
・性
・年齢
・既往歴
・健康状態
身体条件
・激しい労働や運動によって
体内に著しい熱が生産される
・暑い環境に身体が十分に
対応できていない
熱中症を招きやすい人
・脱水状態にある人
・高齢者
・肥満の人
・過度の衣類を着ている人
・普段から運動をしていない人
・更に心臓疾患、糖尿病、精神神経疾患、
広範囲の皮膚疾患なども温度調整がで
きず脱水に陥りやすいので要注意です。
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環境省 消防庁平成25年10月15日発表
猛暑だった昨年は、消防庁によれば熱中症での救急搬送者数は全国で約54000人にもの
ぼりましたが、今年もすでに5月30日から6月 19日までの間に全国で680人以上の人が熱
中症で搬送されているようです。
4
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WBGT測定とは
WBGT(湿球黒球温度)とは、人体の熱収支に影響
の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指
標で乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って
計算します。暑さ指数を示します。
温度基準
(WBGT)
危険
(31℃以上)
注意すべき
生活活動の目安
すべての生活活動で
起こる危険性
厳重警戒
(28~31℃)
警戒
(25~28℃)
注意
(25℃未満)
WBGT測定装置 ハンディタイプ
注意事項
高齢者においては安静状
態でも発生する危険性が
大きい。外出はなるべく避
け、涼しい室内に移動する。
外出時は炎天下を避け、
室内では室温の上昇に注
意する。
中等度以上の生活活
動で起こる危険性
運動や激しい作業をする
際は定期的に十分に休憩
を取り入れる。
強い生活活動で起こ
る危険性
一般に危険性は少ないが
激しい運動や重労働時に
は発生する危険性がある。
(例)6月3日(水)
大手町9時
WBGT指数29.3 ℃
乾球温度 31.6 ℃
相対湿度 55.0 %
黒球温度 47.2 ℃
湿球温度 23.9 ℃
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熱中症の重症度と年齢別来院時重症度
平成22年の熱中症による死亡災害発生した要因
発生要因
1
45人については、WBGT値の測定を行っていなかった。
2
33人については、計画的な熱への順化期間が設定されていなかった。
3
4
5
39人については、自覚症状の有無に関わらない定期的な水分・塩分の
摂取を行っていなかった。
17人については、糖尿病等の熱中症の発症に影響を与えるおそれの
ある疾病を有していた
4人については、体調不良、食事の未摂取又は前日の飲酒があった。
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熱中症の救急処置
図:熱中症の救急措置(現場での応急処置)
その他の熱中症症状
筋肉痛・失神・虚脱・意識障害・
けいれん・手足の運動障害・高体温
熱中症を疑う
症状の有無
有
意識の有無
意識は清明
である
救急隊の要請
意識がない
呼びかけに応じない
①涼しい環境への非難
②脱衣と冷却
水分を自力で摂
取できるか
摂取できる
③水分・塩分の摂取
①涼しい環境への非難
②脱衣と冷却
摂取できない
医療機関へ搬送
回復しない
回復する
*上記以外にも体調が悪化するなどの場合は、必要に応じて、救急隊を要請
することにより、医療機関へ搬送することが必要であること。
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引用:厚生労働省
WHO(世界保健機構)による
経口補水液の作り方
材料
砂糖40g(上白糖大さじ4と1/2杯)
食塩3g(小さじ1/2杯)
湯冷まし1リットル
作り方:よく溶かし 飲みやすい温度にする。
*果汁(レモンやグレープフルーツ等)を絞ると飲みやすくなり
カリウムの補給にもなります。クエン酸でも可
高齢者を含む成人の場合
500ml~1000mlを1回に200ml(コップ1杯)くらいずつ 数回に
分けて摂取します。
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水分・塩分の摂取量の目安は
2009年、厚生労働省は『職場
における熱中症予防対策』を
発表しました。「身体作業強度
等に応じて必要な摂取量等は
異なるが、WBGT基準値を 超
えた場合は、少なくとも0.1~
0.2%の食塩水や、100mlあた
りナトリウムを40~80mg含む
スポーツドリンクまたは経口補
水液等を、20~30分ごと に
カップ1~2杯程度を摂取する
ことが望ましい。」とされていま
す。
外部リンク:厚生労働省「職場
における熱中症の予防につい
て」
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熱中症による労働災害防止のための自主点検表
点 検 事 項
熱中症対策の内容を作業員に周知していますか
管理
体制 熱中症対策の責任者や温度・湿度の環境測定の
担当者をあらかじめ決めていますか
作業場所の近隣に冷房室や日陰などの涼しい休
憩場所を設けていますか
作業場所に温度計・湿度計を設置し、定期的に作
作業 業環境の測定していますか
環境
管理 スポーツドリンク等を備え、水分や塩分を補給する
ことができるようにしていますか
身体を冷やすための準備(氷や冷たいおしぼり
等)をしていますか
作業休止時間や休憩時間の適切な確保していま
すか?当日の気象条件(温度、湿度、日射量な
作業 ど)、作業内容、労働者の健康状態等を考慮して、
管理 適切に確保してください。
労力(エネルギー消費量)の大きな作業では連続
作業を短くしてください
点検欄
留意事項
作業計画に熱中症対策を盛り込
んで下さい。
担当者をあらかじめ明確にしてお
きましょう。
熱中症を防止するためには、気温、
湿度、幅射熱などに常に注意を払
う必要があります。熱中症が発生
するおそれがある気象条件となっ
ている場合には、熱中症対策の実
施状況をあらためて点検し、労働
者に注意を喚起しましょう。
気温が上昇する夏季は、他の季
節に比べてよりこまめに休憩をと
るようにしましょう。
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健康
管理
衛生
教育
労働者の直近の健康診断結果や当日の健康状
態を把握していますか
労働者の健康状態等を踏まえて配置等を決めて
いますか
作業場所を定期的に巡回し、労働者の健康状態
を確認して適切な指導を行っていますか
現場責任者、作業指揮者、職長などに、熱中症
の症状、予防方法、緊急時の対応について教育
していますか
労働者にも同じく熱中症の症状、予防方法、緊急
時の対応について教育していますか
毎朝労働者の健康状態を確認
を行ってください。体調不良の者
には熱中症のおそれがある作業
を行わせないなどの配慮をしま
しょう。
雇入れ時、新規入場時、作業
内容変更時などには、熱中症を
予防するための教育を必ず行い
ましょう。
救急措置に関するマニュアルを作成していますか
労働者の健康状態に何らかの異常が生じたら、
熱中症の症状(意識がもうろう
迅速に医師に受診させるよう徹底していますか
としていたり、皮膚が乾燥、体温
救急 近隣の病院等の所在地や連絡先を確認し、緊急
が上昇、頭痛や吐き気)が認め
措置 時に備えていますか
られた場合には速やかに救急措
・涼しいところで安静にさせる
置をとって下さい
・スポーツドリンク等で水分・塩分を補給させる
・体に冷水をかけながら風を当てたり、
氷でマッサージして体温を低下させる
熱中症は極めて短時間のうちに重症になる場合がありますので、労働者の健康状態に何らか
の異常が認められた場合、迅速に救急措置を講じて下さい。
・熱中症が疑われたら躊躇せずに救急車を呼び、医師による診察を受けさせる
・現場で休憩させているだけで手遅れになることがある。
★救急車が来るまでの間、被災者を放置せず、応急手当をする
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暑い夏を乗り切る方法
水分補給
夏場は汗がたくさん出て、脱水が起こりやすい状態が続きます。人間は体重の3%の
水分を失うと体温調節機能や運動機能が低下するので、水分を保つことが大切です。
「のどが渇いたな」と思う前に、早めの水分補給が必要です。
コップ1杯程度の少量をこまめに飲みましょう。飲み物は水やお茶が良いでしょう。
食事の工夫
夏場は暑さで疲れやすく、食欲不振になりがちです。そのため、さっぱりしたおかずや
麺類などが好まれますが、食事にひと工夫加えて、必要な栄養素を摂るようにしま
しょう。
例えば、麺の上に千切り野菜や卵、豚肉などをのせれば、野菜やタンパク質の不足
を補うことができます。
また、規則的に食事を摂ることにより、汗で失われたミネラル類等も補えます。
良質な睡眠
夏を元気に過ごすためには、睡眠も大切です。寝不足や生活リズムの乱れは、体力
の低下につながります。
冷房が強いと逆に疲れて、食欲低下や腹痛などの原因となります。体のためには、
室温と外気温の差を5度から7度程度にしましょう。
また、暑さでほてった体を冷まし、リラックスして良質な睡眠をとるために、寝る前に
ぬるま湯のお風呂にゆっくり入ることも効果的だといわれています。
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熱中症情報
熱中症予防情報の提供について
環境省では、生活環境の暑熱化への対策として、ホームページ上で
熱中症の情報提供を行っています。
環境省熱中症情報(http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/index.html)
予防情報(http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/index.html)
携帯電話用の情報サイト
(http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/kt/index.html)
ホームページでは、熱中症に対する注意を促すことを目的とし、熱環境の程
度を表す指標であるWBGT(暑さ指数)の実況値(東京・大阪など6都市)と、温度・
湿度などの気象予報から当日と翌日の2日分のWBGTを予測し、その値を提供して
います。
環境省HP引用
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1.最近の食中毒事情
なぜこんなに清潔になっても食中毒がなくならないの?
2.食中毒の原因菌と特色
食肉の生食や
加熱不十分は
特に危険!
参考:花王プロフェッショナル・サービス㈱ 15
3.食中毒の症状
食品や飲料を口にすることによって起こる腹痛や下痢、嘔吐、発熱などの健康被害
をいいます。細菌の種類によっては、腎不全や脳症、死亡を招くものもあります。
4.食中毒クエスチョン
① 牛乳が腐ったらヨーグルトになる?
② 煮た大豆が腐ると納豆になる?
③ パンにカビが生えていたら、カビだけとったら食べる?
5.腐ると発酵の違いは?
腐敗は、人間にとって好ましくない菌 発酵は、人にとって好ましく役に立つ菌
6.食中毒を予防するには
1)細菌発育の3条件
【栄養分】
ヒトにとって栄養となる食品は、細菌にとっても栄養源となります。調理器
具類では、食品の残さや汚れが細菌にとって栄養源となります。
【水分】
細菌は、食品中の水分を利用して増殖します。
水分含量50%以下では発育しにくく、20%以下では発育できません。
【温度】
ほとんどの細菌は、10~60℃で増殖し、36℃前後で最もよく発育します。
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7.食中毒予防・食品衛生の3原則
1.付けない
(清潔)
原材料は清潔なものを使用し、施設・設備は清潔に保ち、調理・加工は清潔
な器具を使用し、 清潔な従事者により食品を取り扱う。
2.増やさない
(迅速)
食べ物は時間の経過とともに劣化してきます。食べ物についた菌は時間とと
もに倍々と増えていきます。そして、食中毒を起こす菌量にまで増えるのは5
~6時間あれば十分です。調理や加工は、増殖の時間を与えない「迅速」が
必要です
3.殺す
(加熱または冷却)
加熱をして、細菌を死滅させる。一般に細菌の発育にもっとも適した温度は
37℃前後ですが、それ以外の温度でも10~60℃では多くの細菌が増殖可能
です。調理後すぐに喫食する以外の食品は10℃以下または65℃以上で管理
することが望ましいです。
刺身など生食するものは4℃以下に保管し、
調理後2時間以内に喫食する。
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8.食中毒と思ったら?
1.応急手当の
ポイント
2.すぐに医者に
診てもらう
3.他人への
感染を防ぐ
・脱水症状にならないように水を十分に摂る。
・全身を温かくして安静にする。
・自己判断で市販薬を飲まない。
・症状の現れた時期、最近食べたもの、便の様子、
一緒に食事をした人の様子等を伝える。
・原因と思われる食品、もしくはその容器や包装紙が
あれば持参する。
・吐いたものや便には、直接触れない。
・吐いた物や便で汚れた服は、煮沸か薬品で消毒後、
他の洗濯と分けて洗い、日光でよく乾かす。
・手洗いはこまめに行う。
・食中毒が疑われる人は、最後に風呂に入り、シャワー
のみにする。(乳幼児との入浴は避けること)
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参考:最近わかってきた歯槽膿漏の本当の怖さ
歯周病を悪化させるパターン
1.歯石やバイオフィルム(細菌のこびり付き)が
歯の周囲に付着する
↓
2.歯肉が腫れて出血しやすくなる
↓
3.歯磨き時に血が出たり、水がしみたりするので
歯磨きしたくなくなる
↓
4.汚れが取り残されさらに歯石やバイオフィルムが
さらに増える
「血が出るのは、歯磨きのしすぎ?」と思い込むことも多く、一度悪循環に入り込むとなか
なか抜け出すのが難しく、重症化しやすくなります。歯周病が進行すると、炎症も増大し
てしまうため、わずかな治療の刺激でも痛みを感じやすく、治療自体も辛くなりがちです。
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バイオフィルムと身体への影響
歯周病になりやすい生活習慣と対策
①タバコを吸う人⇒禁煙する
②糖尿病の人⇒野菜を最初に食べるや血糖値が上がらない食事を選ぶ
③ストレスが多い人⇒自分なりの上手なストレス解消法を見つける
④降圧剤、抗うつ剤などを服用している人⇒食事はよく噛んで食べる、ガム
を噛む、医師に相談する
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