4 日本企業の取締役会の進化と国際的特徴

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Transcript 4 日本企業の取締役会の進化と国際的特徴

日本私法学会シンポジウム
内田交謹(九州大学)
[email protected]
2013/10/13
日本私法学会シンポジウム
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1. はじめに
 日本企業の取締役会改革
 取締役会規模は米国企業と同水準に縮小
 2010年度末東証一部・二部上場企業平均8人
 一方で、2010年度末時点、東証一部・二部上場企業の
社外取締役数メディアン はゼロ

東証一部上場企業のメディアンは1
 国際的にみて、取締役会独立性が低い
社外取締役割合 (東証一部・二部
)
各国企業の独立(社外)取締役割合
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0.12
0.1
0.08
0.06
0.04
0.02
0
2002
2013/10/13
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
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アメリカ
イギリス 中国 (Liu et 韓国 (Choi et 日本 (Cges)
(Wintoki et (Guest, 2008) al., 2012)
al., 2007)
al., 2012)
2
1. はじめに
 社外取締役導入の推奨・義務化の動き
 世界の動向


Dahya and McConnell (2005): 1993年~2000年の間に少なくとも18か
国で、取締役会独立性に関する強制ルールもしくはガイドラインが
成立
Dhaya and McConnell (2007): 1990年代以降、少なくとも26か国で、
上場企業の社外取締役数の最低水準を定めたガイドラインが公表
 日本
 コーポレート・ガバナンス原則・議決権行使基準による推
奨

CalPERS, 厚生年金基金連合会、地方公務員共済組合連合会等
 2009年12月、東京証券取引所が上場企業に対して最低1名の
社外役員導入を義務化

社外監査役でもよい
 2011年法務省法制審議会・会社法改正中間試案で、公開大企
業に対する社外取締役導入義務化を提示

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最終的には義務化見送り。社外取締役が存在しない場合は、その理
由を報告させる
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1. はじめに
 本報告の目的
 社外取締役導入義務化を検討する上で重要な検討
材料となり得る実証研究の成果を紹介
 パフォーマンスの研究だけでなく、特定の専門的
職務に関する研究についても考察
 独立取締役強制的導入の研究もレビュー
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1. はじめに
 一般に取締役に期待される機能
 モニタリングとアドバイス
 社外取締役に関するコスト・ベネフィット
 (+) 内部出身者よりも、少数株主の立場に立ったモニ
タリングや経営陣に対して批判的なモニタリングが可
能。

Kim et al. (2007): ヨーロッパで少数株主の法的保護と取締役
会独立性の間に正の関係
 (+) 社内出身者にはない専門知識を用いたアドバイス
が可能。
 (+) ネットワーク効果
 (-) 情報の非対称性に直面
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1. はじめに
 本報告の構成:
1. はじめに
2. 取締役会独立性とパフォーマンス
3. 取締役会独立性と専門的職務



4.
5.
6.
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経営者報酬・交代
買収関連職務
利益操作・会計不正の抑制
取締役会独立性の内生性と企業価値
推奨・強制による社外取締役増加の効果
結論と考察
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2. 取締役会独立性と企業価値
• 米国の株価反応に関する実証結果
– 独立的取締役の存在が企業価値に正の影響を与えることを示
唆
– Rosenstein and Wyatt (1990):
• 社外取締役選任に株価が正の反応
– Gupta and Fields (2009)
• 社外取締役の辞任に株価が負の反応
– Nguyen and Nielsen (2010)
• 社外取締役が突然死去した際に株価が有意に低下
• 特に、在任期間が短い場合、現職CEOによって選任されていない
場合
累積日次株式収益率
– 留意点:サンプルにバイアスの可能性
日次株式収益率
0.60%
0.20%
0.50%
0.15%
0.40%
0.10%
0.30%
0.05%
0.20%
0.10%
-0.05%
-20 -17 -14 -11 -8 -5 -2
-0.10%
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1
4
7
10 13 16 19
0.00%
-0.10%
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-20
-18
-16
-14
-12
-10
-8
-6
-4
-2
0
2
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6
8
10
12
14
16
18
20
0.00%
7
2. 取締役会独立性と企業価値
• すべての企業を対象にした分析も重要:
4
3
2
1
0
T o bin 's Q
 Agrawal and Knoeber
(1996); Mehran (1995);
Yermack (1996); Klein
(1998); Erickson et al.
(2005); Franks et al.
(2001); Feris and Yan
(2007); Adams and
Mehran (2012);
Easterwood et al. (2012)
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– 米国では、取締役会独立性が高いほど企業価値が高く
なるという結果は得られていない
– 負の関係が観察されることもある
0
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.2
.4
Board independence
.6
.8
8
2. 取締役会独立性と企業価値
• 取締役会独立性のパフォーマンス効果は企業
特性によって異なる
– Coles et al. (2008)
• R&D比率の高い企業では、内部出身取締役割合がTobin’s
Q と正の関係。
– Duchin et al. (2010)
• SOX法及び証券取引所による規制前後における取締役会
独立性の変化が、情報獲得コストの低い企業ではパ
フォーマンスに正の影響を与えるが、逆に情報獲得コス
トの高い企業では、パフォーマンスに負の影響。
出所:
Coles et al. (2008)
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2. 取締役会独立性と企業価値
 日本
 社外取締役選任企業の分析
 Saito (2009)

社外取締役ゼロの企業が社外取締役を導入した際に正の株価反
応。営業パフォーマンス改善。
 内田 (2009)

社外取締役ゼロの企業が社外取締役を導入した際、Tobin’s Q が
有意に上昇。
 社外取締役選任イベントのない企業を含めた分析 (1)
 三輪 (2006)

社外取締役と Tobin’s Qに有意に正の関係
 Miwa and Ramseyar (2005)

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取締役会独立性と企業パフォーマンスの間に有意な関係はない
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2. 取締役会独立性と企業価値
 日本
 社外取締役選任イベントのない企業を含めた分析 (2)
 内田 (2012)

株式持ち合い比率が高く、外国人持株比率が低い企業において
のみ、社外取締役割合が企業価値に正の影響
 宮島・小川 (2012)

情報獲得コストの低い企業でのみ社外取締役割合が企業価値に
正の影響
 日米ともに、すべての企業で独立的な取締役会が企業価
値を高めるという実証結果は提示されていない。
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3.取締役会独立性と専門的職務
 独立取締役は特定の職務においてのみ、モニタリング
やアドバイス機能を果たすかもしれない
 Schwartz-Ziv and Weisbach (2013) :イスラエルの取締役
会では、事業プロジェクトや戦略的事項等について意
思決定を行うケースは少ないが、財務諸表、投資・
ファイナンス、執行役の選任・解任等については意思
決定を行っている。
 神作 (2009): 日本企業の取締役会は付議事項が非常に多
い一方で開催時間は十分でない。すべての議案につい
て実質的な意思決定は不可能。
 先行研究の分析:
 経営者選任・報酬決定の効率性、買収関連のモニタリ
ング・アドバイス、利益操作・会計不正との関係
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3.取締役会独立性と専門的職務
 経営者選任・交代に関するモニタリング
 米国:Borokhovich et al. (1996)
 取締役会独立性が高いと、社外からCEOが招聘される確率が




高く、社外からのCEO招聘は正の株価反応を得る。
米国:Ryan and Wiggins (2004)
 取締役会独立性が高いと、株式ベースの経営者報酬が多く付
与される。
米国: Cornett et al. (2009)
 銀行において、取締役会独立性が高いと経営者報酬の業績感
応度が高くなる
オーストラリア: Suchard et al. (2001)
 大企業については、経営者交代とパフォーマンスの関係が取
締役会独立性と正の関係
日本:Liu et al. (2011)
 金融危機直後の業績悪化企業について分析。社外取締役割合
の高い企業ほど経営者交代確率が高く、減配確率が低い。
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3.取締役会独立性と専門的職務
 買収関連アドバイス
 米国:Byrd and Hickman (1992); Matsusaka (1993):
 買収発表企業の株価反応が、独立取締役割合と正の関係
 米国:Brickly et al. (1994):
 取締役会が独立的な企業では、ポイズン・ピル導入時の株価反応が
有意に正。
 米国 Cotter et al. (1997)
 取締役会が独立的なテイクオーバー・ターゲットは、高いプレミア
ムと株価上昇を得る。
 米国: Cai and Sevillir (2012)
 買い手とターゲットに取締役を通じたコネクションが存在すると買
収の株価反応が高い


買い手とターゲット両方の取締役
買い手とターゲットの取締役がいずれも別の同じ会社で取締役
 米国: Paul (2007)
 買収発表後に株価が大幅に低下した企業を分析。取締役会独立性が
高いと発表した買収を実施しない確率が高い。実施した場合も、資
産リストラを実施する頻度が高い。
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3.取締役会独立性と専門的職務
 利益操作・会計不正に対するモニタリング
 米国
 Klein (2002): 社外取締役が取締役会の過半を占める企業は
そうでない企業に比べて超過裁量会計発生高が低い。
 Xie et al. (2003): 独立的かつ上場企業での執行役員経験のあ
る取締役の割合が超過裁量会計発生高と負の関係
 Cornett et al. (2009): 銀行について、取締役会独立性が会計
利益と正の関係にあり、会計利益、取締役会独立性が利益
操作と正の関係。
 Beasley (1996): 会計不正を行った企業はそうでない企業に
比べて社外取締役割合低。
 Agrawal and Chadha (2005): 修正決算報告 (restatement) を
行った企業はファイナンスの専門知識を持った独立取締役
が少ない
 中国:
 Chen et al. (2006): 社外取締役割合が会計不正発生確率と
負の関係
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3.取締役会独立性と専門的職務
 独立取締役に専門的職務を期待するならば、バックグラ
ウンドに関する分析も重要
 米国
 Defond et al. (2005): 会計・ファイナンスの専門家が選任さ
れた時に正の株価反応。特にガバナンスの強い企業で高い
株価反応。
 Fich (2005): 他の会社のCEOが社外取締役として選任される
際に正の株価反応。特に商業銀行出身者の場合に株価反応
が大きい。
 カナダ
 Erickson et al. (2005): カナダ企業(集中的株主構成)の実証。
金融機関出身の取締役は企業価値に正の影響。Dual class
share が持つ負の影響を緩和する。
 Park and Shin (2004): 金融仲介機関、アクティブ機関株主
から派遣された社外取締役が、カナダ企業の増益型会計政
策を減少させている。
 総じて、専門的職務については独立取締役の有効性が支
持されている。
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4. 取締役会独立性の内生性と企業価値
 取締役会独立性の決定要因を分析することが重要:
 企業が自発的に最適な取締役会構成を選択しているの
であれば、規制対象とする必要はない:
 取締役会独立性の決定要因:
 組織の複雑さ (+):セグメント数、負債比率
 情報の非対称性 (-):Tobin’s Q、株式ボラティティ、
R&D
 経営者の交渉力 (-):経営者持株比率、在任年数
 最近の米国・英国の研究: これらの要因が取締役会
独立性に有意に影響
 米国:Boone et al. (2007); Coles et al. (2007); Linck et
al. (2008) ; Lehn et al. (2009)
 英国:Guest (2008)
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4. 取締役会独立性の内生性と企業価値
 取締役会独立性が内生変数であるなら、そのパ
フォーマンスへの影響をみる際も、内生性を考慮す
る必要がある
 Lehn et al. (2009):

2段階最小二乗法による推計。前期の企業価値 (market-tobook ratio) が内部出身取締役割合に正の影響を与えるが、
内部出身取締役割合は同じ期の企業価値に有意な影響を与
えていない。
 Wintoki et al. (2012); Pathan and Faff (2013):


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Dynamic panel estimation を用いて内生性を考慮:過去の
パフォーマンスと現在の取締役会構成の関係を無視すると
推計にバイアスが生じる
Pathan and Faff は銀行について負の関係を観察
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4. 取締役会独立性の内生性と企業価値
 日本の取締役会独立性は最適に決定されているか?
 内田 (2012); 斎藤 (2011); 宮島・小川 (2012)



いずれも、社外取締役割が米国の研究で指摘される説明変
数と予測通りの関係を持っていない面があることを示して
いる。
特に情報の非対称性変数が取締役会独立性と正の関係を持
つことが報告されている。
内田 (2012) :持ち合い比率が高く、外国人持ち株比率の低
い企業) の社外取締役割合が低い。
 総じて、日本企業の取締役会独立性は最適に決定され
ていない可能性を示唆。

そもそも、メディアンがゼロであったことからもその可能
性が高い
 内田 (2012), 宮島・小川 (2012)
 社外取締役割合の低い企業群で、社外取締役割合とパ
フォーマンスに正の関係
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 取締役会独立性規制の必要性を示唆
5. 推奨・強制による社外取締役増加の効果
 取締役会独立性規制の強化の是非
 強制によって導入された社外取締役が、自発的に導入
された社外取締役と同じ効果を持つのかに留意する必
要
 取締役会独立性を高める規制もしくは強い推奨が実施
された国での実証分析が重要

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内生性によるバイアスを軽減する上でも重要
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5. 推奨・強制による社外取締役増加の効果
 英国
 企業不祥事を契機としたキャドベリー委員会報告 (1992年12
月)
 最低3名の社外取締役、CEOと取締役会議長の分離を推奨
 法的拘束力はないが、ロンドン証券取引所が上場企業に対
して、報告に従っているかどうか、従っていなければその
理由を報告させるため、一定の拘束力がある。
 米国
 Enron 事件等を契機としたSOX法、証券取引所の上場基準
改訂。2004年12月31日までに、独立取締役を過半数に。
 韓国
 アジア通貨危機を契機にIMFとアクティビストの要求が契
機
 1998年2月、上場企業の取締役の最低25%を社外取締役にす
るよう規制
 中国
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 2003年6月までに取締役の3分の1以上を社外取締役とする規
5. 推奨・強制による社外取締役増加の効果
 英国
 Dahya et al. (2002)


CEO交代とパフォーマンスの関係が強くなった。特に、委
員会報告を採用した企業で強い関係がみられる。
Franks et al. (2001) は、業績不振企業において社外取締役割
合とCEO交代の間に有意な関係を観察しなかったので、大
きな変化。
 Dahya and McConnell (2007)
 委員会報告に従って社外取締役を選任した際に株価が上
昇。会計パフォーマンスも上昇。
 Dahya and McConnell (2005)
 委員会報告に従った企業は社外からCEOを招く確率が高
く、社外CEOの招聘時に株価が正の反応。
 Peasnell et al. (2000)
 委員会報告後には、社外取締役割合と増益型利益操作の間
に負の関係
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5. 推奨・強制による社外取締役増加の効果
 韓国
 Choi et al. (2007):規制実施後、取締役会独立性とパ
フォーマンスの間に正の関係
 Black and Kim (2012):立法イベントの発表時に、規
制の影響の大きい大企業が中規模企業よりも大きな株
価反応を示す
 米国
 Chhaochharia and Grinstein (2007):取締役会規制を満
たしていなかった企業は、規制によって株価上昇。た
だし、規模の小さい企業では効果がない
 Jain and Rezaee (2006): SOX法成立の可能性を高める
立法イベント発表時に株価が有意に上昇。
 Li et al. (2008): Jain and Rezaee (2006) と同様の結
果。特に、利益操作の大きい企業ほど株価が上昇
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5. 推奨・強制による社外取締役増加の効果
 米国 (続き)
 Chhaochharia and Grinstein (2009): 取締役会規制を満
たしていなかった企業ほど、規制導入後、CEO報酬を
減少させた
 Guthrie et al. (2012): Chhaochharia and Grinstein の結
果はApple の Steve Jobs など異常値によるものと指摘
 Wintoki (2007): 取締役会規制発表の株価効果は企業特
性によって異なる。企業規模・年齢と正の関係にある
が、モニタリング・コストの高い企業では株価効果が
小さい。
 日本
 内田・梅澤 (未定稿):2009年12月の東京証券取引所に
よる社外役員選任義務化について分析。有意な株価反
応は観察されない。
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6. おわりに
 米国の実証研究
 企業が自発的に最適な取締役会構成を選択しており、一般
に取締役会独立性がパフォーマンスに正の影響を与えると
は言い難い。
 ただし、独立取締役は経営者報酬・交代や利益操作・会計
不正に対するモニタリングを行い、買収関連のアドバイス
機能を果たすことが指摘されている。
 日本の実証研究
 取締役会独立性が最適に決定されていない面があり、取締
役会独立性の低い企業群で、取締役会独立性と企業価値に
正の関係が観察されている。
 金融危機時に、独立取締役が株主の立場に立ったモニタリ
ングを行ったとする研究もある。
 よって、取締役会独立性の規制強化は検討の価値がある。
 イギリス・韓国の分析は、独立取締役の強制導入を支持
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6. おわりに
 社外取締役の機能は限定的かもしれない
 買収関連のアドバイス機能→メインバンク等が代替
 会計不正→公認会計士による監査が代替
 従業員の昇進競争における取締役ポストの重要性→社
外取締役の存在によるインセンティブ低下のリスク
 形式的対応の可能性



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Hwang and Kim (2009): 米国企業の87%がいわゆる独立的な
取締役会を有しているが、社会的にも独立な取締役会を有
しているのは62%にすぎない。社会的にも独立な取締役会
が経営者報酬・交代に関するモニタリング機能を果たして
いる
内田 (2009), Uchida (2011): 2000年代前半に取締役会規模を
縮小した日本企業の多くが同時に執行役員制を導入してお
り、取締役数と執行役員数の合計はそれほど減少しなかっ
た。
Shinozaki et al. (2013): ストックオプションを新規導入して
いる日本企業は配当支払いが多く、取締役会規模が小規模
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で、社外取締役が多い。しかし、ストックオプションのイ
6. おわりに
 経営者は独立取締役を受け入れるか?
 Adams (2009): 経営者の業績評価を重視する取締役
は、自分の意見が経営者に重視されていないと感じる
傾向
 Adams and Ferreira (2007): 取締役会が強力なモニタリ
ングを行う場合、CEOが取締役会に企業固有の情報を
出さなくなる
 社外取締役増加に関する理想のストーリー
 規制による社外取締役導入→経営者が社外取締役の効
果を実感→積極的な情報提供と建設的なアドバイス・
適度のモニタリング
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参考文献 (商事法務未掲載分)
 Chen, G., Firth, M., Gao, D. N., Rui, O. M., 2006.
Ownership structure, corporate governance, and
fraud. Evidence from China. Journal of Corporate
Finance 12, 424-448.
 Kim, K. A., Kitsabunnarat-Chatjuthamard, P.,
Nofsinger, J. R., 2007. Large shareholder, board
independence, and minority shareholder rights.
Evidence from Europe. Journal of Corporate Finance
13, 859-880.
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