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アパレル業界の変革
~顧客満足の追求~
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馬場 温子
目次
第1章 まえがき
第2章 アパレル業界の歴史と現状
2.1 アパレル業界の歴史
2.2 消費者のアパレルに対する価値観の変化
2.3 アパレル業界の価格競争
第3章 販売チャネルの動向
3.1 ファッション小売業
3.2 百貨店
3.3 ショッピングセンター
3.4 ネットおよびモバイル通販
第4章 消費者の購買意欲
4.1 アパレルに対する購買意欲の低迷
4.2 アパレル業界における顧客満足の重視
第5章 アパレル業界の今後
5.1 従業員満足の強化
第6章 あとがき
第1章 まえがき
私たちにとって洋服とは、なくてはならないものである。またおしゃれを
楽しむ人々にとっては、ファッションは娯楽の一つともいえる。
近年、景気の停滞感による消費者の購買意欲は低迷している。また、
消費者の価値観の変化に伴い、ものを買わない時代になっている。
そんな中、苦戦を強いられているアパレル業界。今後生き残っていくた
めに、どのような対策が必要なのだろう。就職活動を通して、アパレル業
界での顧客満足=CSや従業員満足=ESを大切にしている企業が目
立った。しかしファストファッションのように接客の少ない店舗が増えたり、
ネット販売が増えたりしている今、直接、顧客との関わりがなくなってしま
うことで目に見えないサービスの中で顧客満足度向上を達成するにはど
のような方策があるのであろうか。
ここでは、アパレル業界の歴史と現状について、調査・分析し、顧客
満足を重視したマーケーティングの今後のあり方について考察していく。
第2章 アパレル業界の歴史と現状
2.1 日本のアパレル業界の歴史
• 1960年代(導入期)
ミニスカート、モッズルックからファッションの意識が高まる
• 1970年代(成長期)
アパレルメーカーやアパレルという言葉が使われ認識される
• 1980年代(成熟期)
“アパレルの時代”と呼ばれる。 DCブーム、インポートブーム
• 1990年代
SPA(製造型小売業)の台頭
ファストファッション、ユニクロブーム
2.2 消費者のアパレルに対する価値観の変化
• 1990年以前
10人が1色(1種類)
皆が同じ物を持つことで満足を得ていた時代
• 1990年から2000年の10年間
10人が10色(10種類)
自分に似合う物を持つ時代
• 2000年から2010年
10人100色(100種類)
人とは違うこだわりを持ち、欲張りの時代
2.3アパレル企業の価格競争
[低価格路線アパレルメーカー]
• ファストファッション
• SPA
[高価格路線アパレルメーカー]
• 高級ブランド
• 百貨店アパレル
アパレル企業の二極化の時代
第3章 販売チャネルの動向
• 3.1ファッション小売業
・日本の衣料消費市場規模
2000年
2009年
小売売上高
約12兆円 → 9兆円弱
増減 約3兆円(25%)減
・販路別シェア
2000年
2009年
百貨店
約35% → 26.4%
量販店
約27% → 15.5%
専門店
約33% → 48.4%
無店舗販売
約 5% → 9.7%
「FBプロフェッショナルへの道、『明日のために」、繊研新聞、平成22年10月22日より
3.2 百貨店
• 百貨店を主販路とするアパレルメーカー
ワールド、オンワード樫山、レナウン、山陽商会
強力なナショナル・ブランドを持つ総合アパレルメーカーは、
特に1980年代後半までは、売り上げを伸ばしてきた
バブル崩壊後、消費者の消費の停滞により、高級ブランド
は高価格路線のアパレルメーカーが多い百貨店の売り上げ
は減少している。
3.3 ショッピングセンター・ファッションビル
• ショッピングセンター(SC)
複数の商業施設が集まった商業施設である。単独出店と比べ顧客吸引力が強くでき、駐
車場などの施設が共用できる。老若男女問わず楽しめる施設である。ショッピングモールと
も呼ばれる。大型百貨店やアウトレットモールも含まれている。日本では、1969年に玉川高
島屋ショッピングセンターがオープンしたのが最初である。
• ファッションビル
大都市の中心部に建てられ、人気のブティック、セレクトショップ、レストランや映画などを
テナントとして入れている、若者層をターゲットとしているテナントビルのことである。また、
乗降者の多い主要駅に隣接していたり、人が集中したりする都市など集客のために、立地
の良いところにあるのが特徴だ。パルコ、丸井、OPAなどが代表的で全国展開している。
• アウトレットモール
アウトレットモールとは、メーカーやブランドのシーズン遅れの商品、廃番品、サン
プル品、B級品などの商品を、定価よりも安い割引価格で販売する店舗を集めた
ショッピングモールである。
3.2 ネットおよびモバイル通販
• テレビ通販
・ジュピターショップチャンネル
・1996年に米国のホーム・ショッピング・ネットワークと住友商事との合併
より開業
・日本初の商品の買い付け、番組制作、受注や問い合わせの窓口、配
送、インターネットショッピングを自社で一貫管理するシステムを導入
・2004年にテレビショッピング専門チャンネルでは初の24時間完全生放
送を実施
・QVCジャパン
・2001年に三井物産と世界最大の24時間テレビショッピングチャンネル
の米QVCと合併し、開局
・商品の魅力や機能を専属のナビゲーターやゲストが紹介する。また、
・視聴者の質問も受け付ける。商品の購入手段は、電話・インターネット、
携帯サイトがある。
・ネット通販
・ZOZOTOWN
• 2004年に12月にスタートトゥディが「ZOZORESORT」を開設
• オンラインショッピングサイトZOZOTOWNや居住居型SNS、全国のリアル
ショップ検索サービス、ファッション関係者や著名人のブログ閲覧サービ
スを提供
• 1400以上の人気ブランドが集まる日本最大級のファッション専門通販
サイト
• 最新ファッションアイテムを常時8万点以上取り揃えており、ネット上で購
入すると最短翌日に届けるというシステム
現在、テレビCMなどで広告し、
新規会員 年間76万人
売り上げ 前年比60%増の171億円を達成
第4章 消費者の購買意欲
4.1アパレルに対する購買意欲の低迷
• リーマンショック以降、世界的な不景気が続き、
モノが売れない時代に突入
[消費スタイルの変化]
• 「高級志向」と「価格志向」に二極化
「ブランド志向」
「リアルクローズ志向」
4.2アパレル業界における顧客満足の重視
• アパレルビジネスの現状
アパレル市場での低価格化が進行し、マスプロダクション・
マスセールというビジネスモデルが脚光を浴びた。その結
果、フィットしない規格外サイズの顧客や、自分の個性に
合った服を求める「こだわり」を持った顧客は、現在のアパレ
ル市場に不満を募らせている。
• 本来のアパレルビジネスの役割
ターゲットとする顧客が嗜好する製品を、顧客の体形・サイズ
に合うよう設計・生産し、適正価格で販売することにある。
顧客満足向上への取り組み
GAPジャパンや日本ランズエンドの取り組み
・日本人の体形に適合したアパレル設計を行う
ことにより、顧客満足を得ている。
・パターンメーカーが、ターゲットとする顧客の
体形・サイズを熟知したうえで、顧客にとって
バランスのとれた美しいシルエットの衣服を
設計する必要がある。
「アパレル設計力の向上」が求められる
・顧客満足度向上への取り組みへの評価
• 「JCSI」(日本版顧客満足度指数:Japanese
Customer Satisfaction Index)調査
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経済産業省の委託を受けサービス産業生産性協議会が、
日本初の業界横断での比較・分析が可能な顧客満足度の
調査を行った
顧客満足
顧客期待
知覚品質
6つの項目で企業の
口コミ
顧客満足度を指数化
ロイヤリティ
アパレル業界 顧客満足度1位企業
業界名
企業名
顧客満足
顧客期待
知覚品質
口コミ
ロイヤリ
ティ
百貨店 伊勢丹
71.5 70.8 67.7 59.8 60.9
スーパー イオン
マーケッ
ト
68.7 65.3 66.4 58.6 57.5
衣料品 ユニク
専門店 ロ
70
60.6 72.4 57.6 55.5
平成21年度の日本の主なサービス業29業界・291社の顧客満足度上位企業の調査結果
サービス産業生産性協議会、平成22年3月16日
第5章 アパレル業界の今後
• 顧客満足の見直しが必要
アパレル市場の衣料品の低価格化が進
む一方で、消費者は個性のこだわりや
フィットする衣料品を求め、品質に厳しく
なる
• ネット販売の強化
「JCSI」調査でもECカレントが3位に入る
など、50位以内に11社の通信販売業界
がランクイン。これから消費者の大注目
の市場の参入や協同への取り組みが重
要
第6章 あとがき
平成不況やリーマンショックの影響でモノが売れない
時代。消費者の商品を選ぶ目は厳しい。より購買意
欲を高める商品やサービスを提供しなければならない。
アパレル業界は今、転換期に突入している。ファスト
ファッションの海外企業参入や無店舗販売の台頭。接
客の少ない店舗やネット上でのサービスでも、消費者
からの顧客満足度は高い評価を得ている。つまり、消
費者の欲求が多様で多面的であり、個性やこだわり
を持っているからである。こうした欲求を満たし、他企
業との差別化を図るためには、目に見えない顧客満
足の向上は今後も課題となるだろう。これからもアパ
レル業界の変革に注目したい。
☆ご清聴ありがとうございました☆