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課
題
<4> 個人の効率的選択と規制
~<A2> 空の旅にようこそ~
A2 個人が選ぶ最適安全水準  <N3章 pp.37-44>
1 ★<3章>空の旅にようこそ?
2 ★主体均衡モデルの比較静学
3 個人の選択の自由と効率性
Microeconomics 競争市場と公共政策
[email protected]
Q 読解力チェック PP.37-44
Slide 2
第3章 (pp.37-44) の主旨・用語を理解した?
1.
2.
3.
4.
5.
飛行機・車・徒歩,最も安全な手段は? p.37,43
安全水準が高まると,安全の限界便益は? p.38
安全水準が高まると,安全の限界費用は? p.38
効率的(最適)な安全水準の達成条件は? p.39
消費者は航空会社の安全性を認識してる? p.42
1 <3章> 空の旅
Slide 3
完全な安全性? ≠ 効率的な安全水準 p.40

莫大な費用 or 航空旅行の禁止
効率的(=最適)安全水準  <A>希少性
1.
2.
安全の余剰S(純便益=便益B-費用C)を最大
∴限界便益B’=限界費用C’  <A>限界原理
復習: 限界 = Marginal ≒ 増分・勾配
航空安全の便益Bと費用C
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安全性の水準X <A>
B(X)は逓減的増加
2. C(X)は逓増的増加
  最適水準X*は?
1.
∴<A>S(X)は単峰山型
1.
2.
余剰S(X)=B(X)-C(X)
X*: Sを最大化するX
B:逓減的増加
B
C
C:逓増的増加
X*
X
Q1 ★ 航空安全の限界分析
Slide 5
前頁の航空機の安全水準Xについて,
1.
2.
3.
4.
5.
便益Bの限界値(増分・勾配値)のグラフは?
この限界便益B’が右下がりの理由は? P.38
費用Cの限界値(増分・勾配値)のグラフは?
この限界費用C’が右上がりの理由は? P.38
グラフ上のどこが最適安全水準X*? P.39
★ 限界原理と効率的安全水準X*
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限界便益B’と限界費用C’
B’
1. B’(X)は右下がり(B”<0)
2. C’(X)は右上がり(C”>0)
C’
3.
B’:限界便益 C’:限界費用
交点で B’(X) = C’(X)
最適安全水準X*
1.
2.
S’(X)= B’(X) - C’(X) = 0
限界原理:B’(X*)=C’(X*)
X*
X
Q演習問題(P.44)1&4
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「安全すぎる」ことは可能? どういう意味?
1.
1.
2.
4.
可能 (最適水準X*より大きい水準)  B’< C’
 前頁の図では,どのあたり?,余剰の大きさは?,なぜ?
一般の定期便と比べて,アメフトのプロのチャーター便は
より安全か?

より安全になる (損害賠償額↑+ 評判・信用損失額↑)

 前頁の図では? BとB’の上方シフト  X*↑
 次頁の比較静学
 シフト:曲線自体の移動,スライド:曲線上の移動
★ 効率的安全水準の変化
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比較静学: 与件の変化  均衡の変化
B
C
B
B’
C’
B’
C’
C
X* X**
X* X**
政府による安全規制の根拠と問題
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政府による安全規制の根拠
 If
 p.41
航空会社の自由  安全水準↓
 ∵安全水準を消費者が判断できない(情報費用)
政府による安全規制の2問題
1.
2.
 p.42,フリードマン
効率的安全水準は決定不能 安全のB: 消費者
消費者は航空会社の安全性を認識・評価
テロ 対策ルール  政府強制 or 民間任意?
2 主体均衡モデルの比較静学
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基本的な「主体均衡」モデル
1.
2.
合理的な主体: 人間・家計・企業・政治家・官僚
選択の自由  余剰Sの最大化: 限界原理
単純&少数の「モデルによる思考」
1.
2.
複雑&多様な現実の理解  モデルの適用
現実の変化を予測  モデルの比較静学
Q2 ★ 石油が枯渇しない理由 1
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「殻付きナッツの部屋」モデル  S1: R(03)
1.
部屋中に好物の殻付きナッツ,ただし殻は持ち出し
厳禁,さて部屋のナッツを食べ尽くす?
 X:
2.
3.
ナッツの量  余剰S = 便益(効用) B - 費用C
なぜ? その結論に達する本質的な仮定は?
R(03)では,このサムの説明を後ろの生徒が嘲笑った,
どうして?
A2 予測・説明力: モデルと寓話
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モデル≒寓話 : 予測・説明の道具
1.
No  S(X)は単峰山型: 最適水準X*が存在

2.
殻の持ち出し禁止  C(X)は逓増的増加

3.
逓減 or 不変的増加のB + 逓増的増加のC
Cが不変的増加なら? Cが一定値なら?Q3
仮定が非現実的だから  部屋一杯のナッツ
 科学モデル・寓話:
仮定は現実そのものではない!
Q3 Cが一定(固定)値の特殊ケース
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便益Bは逓減的増加 (B’>0 & B”<0)と仮定
 上限値XUがあるとき,最適なX*は?
1.
2.
3.
履修単位数Xにかかわらず,授業料100万円
毎月定額4000円のネット接続時間X
ビールの本数Xは2000円で飲み放題
注意: 特に3など「B’<0」の可能性を除外
A3 限界費用ゼロなら上限値選択
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費用Cが一定値(C’=0) X*=上限値XU
B
C
B’
C’
B
B’
C:一定値
C’= 0
X*=XU
X*=XU
「比較静学」分析
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与件の変化  均衡値の変化
 外生変数(B・Cの形)
内生変数(X*)
上記の「石油費消モデル 1」のケース
 X*の変化の予想は?
原子力から火力発電への移行  B: Q演4
掘削の技術革新(イノベーション)  C: Q4
 与件の変化の例
1.
2.
Q4 ★ 比較静学によるモデル思考
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再考「謎を解く道具」  S1: L (04)
1.
2.
3.
シートベルト義務化は交通事故死者を減らす?
車の燃費の向上はガソリン消費量を減らす?
避妊具の改善は意図しない赤ん坊を減らす?
「X = 速度,GAS量,セックス数」として,
①変化はB or C? ②増加 or 減少? ③X*は?
A4 限界費用C’の低下によるX*の上昇
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いずれも費用Cの低下  最適水準の上昇
B
C
B’
C’
B
B’
C’
C
X* X**
X* X**
3 個人の選択の自由と効率性
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(相互に独立した)主体均衡モデルの含意
1.
2.
個々人が余剰Sを最大化  限界便益=限界費用
∴「選択の自由」は「効率的な選択」に必要 情報
「選択の自由」の重要性
 S3<A1> ノージック
 効率的な選択に不可欠  フリードマン(08,12)
 自己所有に基づく固有の権利
 消費者を守るのは,政府の規制ではなく,自由な市場
例1 タクシーの規制緩和と規制強化
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官僚主導の「需給調整+価格統制」  Y(11, 4章)
1.

 長い行列・乗車拒否
2002年:参入規制撤廃  小泉政権の規制緩和
2.
1.
2.
運転手1万人↑ + 多様なサービス  利便性↑
But 料金↓は不十分(規制)  需要↑も不十分
2009年:台数「適正化」  民主党による規制強化
3.

地域の協議会が台数決定,国交省は4.5万台を余剰
国交省による統制経済へ逆戻り  業界衰退?
4.

「強制値上げ」差し止め訴訟: MK勝訴 (2014/5 大阪地裁)
例2 LCC元年の高速ツアーバス規制
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2012年は格安航空会社(LCC)元年
1.
2.
ピーチ,エアアジア,ジェットスター
 価格競争・需要拡大  国際競争
高速ツアーバスの規制緩和と強化
1.
2.
3.
 乗合バス
急速な価格低下 + 需要拡大(年600万人)
But 関越自動車道事故(2012/4)  規制強化
ツアーバスを廃止し,乗合バスに一本化(2013)
国交省によるツアーバス廃止の根拠と効果は?
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国交省による規制強化の効果?
1.
2.
3.
4.
既に2007年に,8割のバス事業者が法令違反
規制強化: 運行に許可,価格・便数にも制約
国交省: 旅行業者の高速乗合バス化
∴ 便数↓ & 料金↑  選択の自由の低下
But 12年には消費者は運転手数をチェック
S5<A3>「認定はしても認可できない」制度は?
要点
本日のポイント
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主体均衡モデル  S2<★★A> 限界原理
1.
2.
選択の自由  効率的な選択(余剰の最大化)
比較静学分析: 与件の変化  内生変数の変化
日本の政府介入の問題  S3<A1> 集権&裁量
 高費用:S5
& 腐敗: S6  効率性・成長の低下
次回準備: N1章 & <★A3> トレードオフ
参照文献紹介
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ミル
(2011)
『自由論』 日経BP
(山岡洋一訳)
 功利主義をふまえた自由論の古典
フリードマン (2012) 『選択の自由』 日経
 英BBCで放映された同名ビデオの啓蒙書
フリードマン
(2008)
『資本主義と自由』 日経
 2より簡潔・形式的で古い原著の新訳版