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肝臓病教室
-慢性C型肝炎-
湘南鎌倉総合病院
肝臓病教室実行委員
薬剤部 小澤康久
慢性肝炎とは
慢性肝炎とは
6ヶ月以上、肝臓に炎症が持続する病態をいう.
※実際には 6ヶ月以上の肝機能検査の異常
日本には180万から200万人いる
原因は
C型
B型
除外する病気
脂肪肝,肝硬変,
原発性胆汁性肝硬変,
原発性硬化性胆管炎など
NBNC型
1%
BC型
21%
11%
67%
慢性肝炎のたどる道
どのような経過をたどるか
慢性肝炎自体で死亡することはない.
慢性肝炎は,長い経過で肝硬変へと進行することがある.
肝硬変に進まない例も多い。
肝硬変は,3大死因として,
肝不全,肝臓癌,消化管出血があるが,
これらは治療によりコントロールが可能
ウイルス性慢性肝炎でもまれに肝臓癌がでることもある.
慢性肝炎では1年間に0.5%の発症
肝硬変では 1年間に6~8%の発症
慢性肝炎のたどる道
感染後20~30年
感染後1~30カ月
肝硬変
急性肝炎
約70~80%
約80%
約30~40%
感染後10~20年
慢性肝炎
感染後25~35年
肝癌
HBVとHCV
B型肝炎
・乳幼児期に母親から感染し
キャリアとなる
・20-30代で慢性肝炎として
発症する
・時々肝炎の活動性が上がる
(ウイルス量と相関)
・階段状に組織が悪くなる
・肝細胞癌は慢性肝炎でも
起こることがある
C型肝炎
・昔の輸血や医療行為などに
より感染
・徐々に徐々に進行する
・慢性肝炎を経て肝硬変に至る
・肝細胞癌の起こる確立は肝硬
変になるに従って高くなる
・ウイルス量とAST (GOT), ALT
(GPT)値が相関しない
いずれにせよ慢性肝炎から肝硬変・がんに至らないようにしたい!
治療のゴール
1.第一目標
ウイルス排除:治癒
2.第二目標
進行を遅らせる
3.第三目標
肝細胞癌の予防
C型肝炎治療の経過
HCV確認
受診・検査(LC・typeなど)
肝生検
助成金申請
治療開始
治療終了
C型肝炎治療の経過
HCV確認
受診・検査(LC・type
など)
肝生検
助成金申請
治療開始
治療終了
インターフェロン治療後の肝発がん率
インターフェロン治療に成功す
れば肝発癌率が低下する
ALT正常では線維化の進行は遅い
ALT正常
ALT異常
症例数
53
101
線維化ステージ
0.9
1.8
線維化ステージの進行度
0.05
0.13
肝硬変までの期間
60
25
すでに肝硬変に進展した症例
2%
11%
Mathurin P et al., Hepatology 1998; 27:868
C型慢性肝炎に対するIFN治療のもう一つの利点
昔は蓄積した線維は回復しないといわれていたが...
HCVの排除が成功すると
線維化の程度が軽くなることが判明した
C型肝炎治療の実際:原因療法
INF単剤
Peg-INFα +リバビリン
3剤併用療法(Peg-INFα+リバビリン+テラプレビル)
INFβ+リバビリン
C型肝炎のgroupとウイルス量
2a 2b低ウイルス量
>1b低ウイルス量
>2a 2b高ウイルス量
>1b高ウイルス量
Group 2 a
・IFNの効果が高い
・60歳以下の若者におおい
20%
Group 1b
・本邦のC型肝炎者のなかで
1番頻度が高い
・IFNの効果がうすい
・60歳以上におおい
10%
Group 2b
・本邦では比較的稀
70%
Shonankamakura general
C型肝炎治療の実際:初回治療の選択
Genotype1
高ウイルス量
(5.0 Log IU/mL
300 fmol/L
1 Meq/mL以上)
低ウイルス量
(5.0 Log IU/mL
300 fmol/L
1 Meq/mL未満)
3剤併用療法
Peg-IFNα2b(24週間)
+Ribavirin (24週間)
+Telaprevir(12週間)
Genotype2
Peg-IFNα2b+Ribavirin
(24週間)
IFNβ+Ribavirin (24週間)
IFN (24週間)
IFN (8-24週間)
Peg-IFNα2a (24-48週間)
Peg-IFNα2a (24-48週間)
★ Genotype 1・高ウイルス量症例では、治療効果に寄与するホスト側の因子であるIL28Bの遺伝子及
び
ウイルス側の因子である遺伝子変異(ISDR及びCore領域aa70)等を参考にして、治療の開始を決定
する のが望ましい。
★ 年齢、Hb値、性別を考慮して、Telaprevirを含む3者併用療法を行うことが困難と予測される場合
は、IFN+ Ribavirin併用療法を選択する。
★ Genotype 1, 2ともに副作用の出現が予測される場合には、IFNβ+ Ribavirin併用療法を選択するこ
とが望ましい。
C型肝炎治療の実際:再治療の選択
Genotype1
Genotype2
高ウイルス量
(5.0 Log IU/mL
300 fmol/L
1 Meq/mL以上)
低ウイルス量
(5.0 Log IU/mL
300 fmol/L
1 Meq/mL未満)
3剤併用療法
(Peg-IFNα2b+
Ribavirin(24週間) +
Telaprevir(12週間))
Peg-IFNα2b+Ribavirin
(36週間)
Peg-IFNα2a+Ribavirin
(36週間)
IFNβ+Ribavirin (36週間)
INF単剤
Genotype1
高ウイルス量
低ウイルス量
Genotype2
3剤併用療法
(Peg-IFNα2b(24週間)
+Ribavirin (24週間)
+Telaprevir(12週間))
Peg-IFNα2b+Ribavirin 24週
間)
IFN (24週間)
Peg-IFNα2a (24-48週間)
IFN (8-24週間)
Peg-IFNα2a (24-48週間)
IFNβ+Ribavirin (24週間)
(1週間に1回投与)
Peg-INFα
2b
INF
α
INF
β
(1週間に3回投与)
(連日投与または1週間に3回投
与)
C型肝炎治療の実際: INF単剤
筋肉注射、または皮下注射
皮下注射
点滴静注または静脈注射
皮下注射
慢性肝炎とインターフェロン療法
副作用
初期
インフルエンザ様症状(発熱,悪寒,頭痛,
(1週間以内) 関節痛,筋肉痛,倦怠感)
微熱,易疲労感,消化器症状(食欲不振,
吐き気)皮膚症状,精神症状(自殺企図),
(1~8週間)
胸痛,心筋梗塞,不整脈,月経異常
中期
後期
脱毛(α),糖尿病,
(2ヶ月以降) 免疫異常(自己免疫疾患の悪化),
甲状腺機能異常,間質性肺炎
その他
出血傾向,脳梗塞,脳出血,眼底出血,
LDH高値,白血球・血小板の減少,
蛋白尿(β)
インターフェロンの長期投与
累積肝細胞癌発生率
A: 6ヶ月間投与例(n=27)
1.0
B: 6ヶ月-2年投与例(n=20)
C: 2年間以上投与例(n=20)
0.8
0.6
0.4
0.2
0
0
20
40
60
80
100 120 140 160 180
(months)
C型肝炎治療の実際: Peg-INF+リバビリン療法
Genotype1
高ウイルス量
低ウイルス量
Genotype2
3剤併用療法
(Peg-IFNα2b(24週間)
+Ribavirin (24週間)
+Telaprevir(12週間))
Peg-IFNα2b+Ribavirin 24週
間)
IFN (24週間)
Peg-IFNα2a (24-48週間)
IFN (8-24週間)
Peg-IFNα2a (24-48週間)
IFNβ+Ribavirin (24週間)
INF単独時の副作用
(週に1回注射)
Peg-IN
(インフルエンザ様症状・うつ傾向)
F α
+
リバビリン
溶血性貧血・催奇形性
24週または48週
C型肝炎治療の実際: Peg-INF+リバビリン療法
+
+
C型肝炎治療の実際: Peg-INF+リバビリン療法
インターフェロンαと
リバビリン療法と脳梗塞
リバビリン販売開始後8ヶ月で2万4千人が使用さ
れ、4人の脳出血があり、そのうち3人が死亡(い
ずれも高血圧と糖尿病の合併者)
◦ 8千人に1人/6ヶ月
◦ 25人/10万人/年
日本全国で約12万人が脳血管疾患により死亡
95人/10万人/年 (平均)
年齢別では
60人(55-59歳)、 95人(60-64歳)、
150人(65-70歳)、
280人(70-74
歳)
◦
国民衛生の動向より
◦
◦
◦
◦
Peg-INF+リバビリン療法のウイルス陰性化(SVR)率
Ⅰ型高ウイルス量 SVR率
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
Ⅰ型高ウイルス量以外 SVR率
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
C型肝炎治療の実際:三剤併用療法
Genotype1
高ウイルス量
低ウイルス量
Genotype2
3剤併用療法
(Peg-IFNα2b(24週間)
+Ribavirin (24週間)
+Telaprevir(12週間))
Peg-IFNα2b+Ribavirin
(24週間)
IFN (24週間)
Peg-IFNα2a (24-48週間)
IFN (8-24週間)
Peg-IFNα2a (24-48週間)
IFNβ+Ribavirin (24週間)
(週に1回注射)
副作用:Peg-INF+リバビリン療法
Peg-IN
F α
リバビリン
(インフルエンザ症状・うつ傾向・貧血)
テラプレビル
+皮疹・食欲不振
12週
24
C型肝炎治療の実際:三剤併用療法
C型肝炎治療の実際:三剤併用療法
Ⅰ型高ウイルス量 SVR率
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
Ⅰ型高ウイルス量以外 SVR率
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
3剤併用療法の初回治療では、
アドヒアランスなどにも関係しているが、
SVRが70%に達するとされている。
C型肝炎治療の実際: INF-β+リバビリン
Peg-INFα+リバビリンより副作用中止
が少なく、血小板の低下が軽微
Peg-INFが使用できない場合に使用
例えば、うつ傾向の場合など
INF
β
リバビリン
(連日または週に3回注射)
C型肝炎治療の実際: INF-β+リバビリン
医療助成金について
保健所にて申請用紙をもらって
いただき、当院で記載して、
保健所に提出
外来受診の流れ
1階または2階の受付機にて肝胆膵受付する
受診なし
受診あり
2階消化器病センター㉒に患者カードを出し、継続問
診などを記入していただき、診察を待つ
点滴あり
点滴なし
1階点滴室へご案内していただき(クラークさん案内)
1階点滴室にて注射して帰宅
1階会計⑤に患者ファイル(緑のファイル)を出していただき、
会計
薬の引換券番号あ
院外処方と記載あ
記載な
り
り
院内薬局にて
院内薬局の横にて
し
薬を受け取る。
院外処方箋を受け取
る。
帰宅
ご清聴ありがとうございました