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動詞の学習
動詞の語意の推論はどのように行われるの
か
動詞の特徴
指示対象が環境中で切り出させれていない
時間軸に沿ってダイナミックに変化
モノとモノとの関係を指示する
→モノは変数
こどもは動詞について「メタ知識」を持っ
ているのか
そもそも子どもは動詞と名詞の般用について
の基礎的な「メタ知識」を持っているのか
動詞と名詞の即時マッピング
実験
ビデオ画像を見せ、動的なイベントの中で未
知の名詞あるいは動詞を聞いたとき、名詞は
アクションに独立に事物を指示し、動詞は事
物に関わらずアクションを指示するというメタ
知識を子どもが持っているのかどうかを調べ
る。
実験方法
被験者
3歳児グループ 29人(男15 女14)
4-5歳児グループ 27人(男13 女14)
デザイン
2(年齢)X2(条件:動詞条件vs. 名詞条件)
刺激
実験刺激
一人の人物が物体で特定のアクション
を行うシーンのビデオ画像(標準刺激
とテスト刺激)
テスト刺激
行為が同じで事物が違う
事物が同じで行為が違う
Example of a Standard
scene
Two test stimuli
Experiment set-up
名詞条件、動詞条件で「動作が同
じ」ビデオを選んだ割合
(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
noun
verb
3-year-olds
5-year-olds
結果
5歳:
動詞→事物が変わっても同じ行為へ
名詞→行為が違っても同じ事物へ
3歳
名詞はOK
動詞はランダム反応
結果
5歳:
動詞→事物が変わっても同じ行為へ
名詞→行為が違っても同じ事物へ
3歳
名詞はOK
動詞はランダム反応
3歳児の結果が何を表すのか
Understand that verbs are mapped to actions,
but the object (that appeared in the action) is
incorporated in the verb meaning.
→UNDER-GENERALIZATION
Assume that a verb refers to an action OR the
object related to the action.
→OVER-GENERALIZATION
The task was too demanding for 3-year-olds
Study 2
(Imai et al., 2005)
強制選択ではなく、ひとつひとつのテスト刺
激に対してYes, Noで答えてもらう
「同じ動作」テスト刺激と「同じモノ」テスト刺激
のほかに、「動きなしモノのみ」テストも含める
6 standards X 3 tests=18試行
Yes-No paradigm
Proportion of Yes-response
6
5
4
3
*
2
1
0
Action-change
Object-change
Still object
「動きなしモノのみ」に
は動詞は適用しない
「同じ動作」「同じモノ」
刺激はどちらもチャン
スレベル
人が変わったら?
3-year-olds can extend a verb to the same
action with a different actor, as long as the
object remains the same
言語の構造的違いは動詞学習に影響
するのか
日本語、中国語、英語の比較
英語→動詞の項の省略をしない
日本語、中国語→動詞の項は頻繁に省略さ
れる
インプットの中の動詞の割合
→日本語、中国語>英語
動詞の屈折→日本語、英語にはあるが、中
国語にはない
中国語→語の形態としては動詞、名詞の区
別がない
英語児と中国語児における名詞・
動詞学習
中国語
100
100
90
90
80
80
70
60
50
3-yr-olds
5-yr-olds
40
30
% AS response
% AS response
英語
70
60
5-yr-olds
40
30
20
20
10
10
0
3-yr-olds
50
0
Noun
V-full
watch X-ing
X-ing
Noun
Bare
V-Ag-only
V-full
子どもはどのように動詞を学習するの
か
子どもは、初期から動詞が名詞と異なり、モノでは
なく、動作を指示することは理解している
しかし、動詞語意にとって核となる、「動作のみの共
通性」の抽出は難しい
当初は保守的に、もともと動詞が結び付けられた動
作イベントと、モノも含めて全体が非常に似ているイ
ベントにのみ、動詞を適用する
つまり動詞の般用は名詞のそれよりもずっと保守的
に行う
動詞学習の特徴
新しい動詞語意の推論が新しい名詞語意の
推論よりも難しいのは、言語普遍的
母語の言語的特性が、動詞語意学習のとき
に子どもが注目するインプット情報に影響を
与える
英語母語児→項の省略のない完全な文
中国語母語児→言語情報以外の社会的、文脈
的手がかり
なぜ動詞の語意学習は
むずかしいのか
イベントのどの部分に動詞を対応づけるのか
を決めること自体難しい
イベントのはじめと終わり
イベントのどこが動詞の意味に関わるのか
動詞の意味を理解するためにはイベントを分
解し、ある特定の部分(つまり行為)のみの類
似性に注目し、変数(事物)の類似性は無視
しなければならないから
なぜ動詞の語意学習は
むずかしいのか (2)
動詞には、さまざまな下位クラスがあり、「関
係の同じ性」といっても、動詞の種類によって、
「結果の同じ性」「動作の様態の同じ性」「動
きの方向性の同じ性」などさまざま
動詞語意は統語と深く結びついている。動詞
語意推論をするためには、動詞の項構造と
意味の関係を子どもは理解しなければならな
い
動詞学習には手助けが必要
養育者がしていること
擬態語の多用
擬態語(gitaigo /mimetic
word)
擬音語・擬声語(onomatopoeia)
人・動物の声や音を真似た言語
例)わんわん ざあざあ びゅうびゅう
擬態語(mimetic word)
視覚・触覚など聴覚以外の感覚印象を言葉で表現した語
例) ふわふわ ふらふら ひりひり にこにこ
Gitaigo≠onomatopeia
擬態語は動きや状態、そのほかの感覚を表現することができ
る。
擬態語は実際の音に依存しない
実際には音のしない感覚や動きを擬した言語音を使用する。
従来の言語発達研究における
オノマトペ・擬態語の位置づけ
なん語から一語発話への過程で発話されるように
なる
1歳・2歳の言語のInput outputともに発話率が高
い
オノマトペ(特に擬音語)はIconicityが強く、恣意性
が一般言語に比べて高いためなん語から一語文へ
の橋渡し的存在であるとされてきた。
擬音語だけでなく擬態語は?
→例)縄跳びをしている場面を描写の擬態語表現率
親⇒子 約35%(19/55word)
親⇒大人 約10% (2/21word)
動作への擬態語表現も多く使用されている。
Picture book reading study
(Okada et al. in prep)
18-20ヶ月児の母親に様々なアクションの絵を見
せ、子どもに絵について話してもらう。その後、大人
にも絵の記述をしてもらう
Mother to child: Mimetic words were used
for 58.1% of action references (tokens)
e.g.
“pyon(mim)-shiteru (do-ing)”
Mother to adult: Mimetic words were used
only 11.8% when they referred to actions.
e.g. “tobi(jump)-oriru(decend)”
仮説
・動きを表現した擬態語は動詞の使用の移行を助け
る橋渡し的役割を担っているのではないか?
・擬態語のもつ音表象が動きの特徴を表現していて語
意味推論を助けているのでは?
⇒ 動詞般用課題を用いて擬態語と動詞を比較
動詞学習における擬態語の役割を考察する。
音象徴性ブートストラッピング仮説
意味と指示対称の間の恣意的でない、感覚
的な連結が抽象的なシンボルである語と感
覚経験をつなげ、言語学習を助ける
それは特に動詞学習において顕著である
子どもや外国語話者にも音象徴性
が理解できるのか
 新奇な擬態語動詞をつくる
 のすのすしているのはどっち?
(Where is (it) doing nosu-nosu?)
刺激作成
 予備調査結果(24語)
→コントラストの大きい12語を抽出
その語にあわせて動画作成
↓
動画から連想される擬態語表出 (成人15名)
最頻出擬態語を既存マッチ擬態語とする
↓
変換を加えてマッチ擬態語を作成
↓
マッチ擬態語と作成した動画のマッチ度評定(成人8名)
↓
マッチ度高:マッチ擬態語動詞
マッチ度低;ノンマッチ擬態語動詞 とする
マッチング課題結果
% matching action selected
(Imai et al., Cognition, in press)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
J adults
E adults
J 25m-olds
J 42m-olds
25ヶ月児、日本語を知らない英語話者も「正しい」アクションに
新奇擬態語をマッピングできる
音象徴性は新奇動詞学習を
助ける?
新奇動詞学習課題
被験者: 日本人3歳児(各条件16人ずつ)
条件:
音マッチ新奇擬態語条件
音象徴性なし新奇動詞条件
コントロール:音ノンマッチ新奇擬態語条件
動詞学習での音象徴性の効果
(Imai, Kita et al., Cognition, in press)
*
100
90
*
3-yr-olds
**
ns
80
70
ns
ns
60
50
40
30
20
10
0
match mimetics
non-match verb
nonmatch mimetics
英語児にも同じ効果(Kita, Imai et
al., in prep)
*
音象徴性はプロトランゲージ?
伝統的な言語学の考え方
⇒「言語と対称の関係は恣意的である」
(ソシュール)
言語と対称の関係はすべて恣意的でない
言語は音象徴性から始まり進化した可能性
(ラマチャンドラン)
脳イメージング研究からの音象徴性プロト
ランゲージ仮説への示唆(Imai et al.,
2008, In prep.)
擬態語は他の音象徴性の低い語と異なる脳
内処理をされる
右半球の活動(c.f., Sign Language)
運動知覚、運動制御や自然音の処理などの部
位の活動
⇒普通の動詞や副詞より、感覚経験に直結した
処理がなされる
ちょこちょこ
(choko-choko)
Participants rated how well the word matched the action in the video by
pressing a bottom (1-5)
STS/STG
MT
視覚野と聴覚野の統合野
右STS:自然音(環境音)の処理
動作、運動に関連
(Hashimoto et al, 2006 ; Thierry et al, 2003)
ビデオとの一致度判断を伴わず、単語を見る
だけの自動的な課題でも擬態語では右半球
の活動がみられるのか
mimetics
mimetics
verb
verb
adverb
adverb
R
L
One sample t-test,
uncorrected: p < 0.001
mimetics
mimetics
(mimetics-verbadverb)
verb
verb
(verb-mimeticsadverb)
adverbadverb
(adverb-mimeticsverb)
R
L
One sample t-test,
uncorrected: p < 0.001
今までの研究から見えてきたもの
子どもの言語の学習は非常に柔軟で適応的
である
対象とするレキシコンの構造によって学習方略
を柔軟に変える
名詞の場合はトップダウンで即時に意味を推論
し、汎用を行うが、動詞や助数詞のように意味が
複雑で即時の推論が難しいものは保守的に事例
を溜め込む