新しい賃金制度と労働時間

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新しい賃金制度
2014年12月2日
人事労務管理論B (第9回)
LT1011教室
LT1012教室
先週の復習
人事制度の「改革」

変化の波は世界を覆う
→ 市場動向に素早く対応すること
→ 変化の方向は課題は共通だが、課題は異なる

アメリカでは
→ 機能的フレキシビリティが課題
→

日本では
→ 数量的フレキシビリティが課題
→
2
アメリカ人事・賃金制度の新しい特徴

ヒト基準へ
仕事基準(Job based)から
ヒト基準(Person based)へ
・各人が体得している「技能の質や数」
・各人の達成した「業績・成果」
・各人の能力やコンピテンシー

人事考課・査定の導入
Non-exempt、ブルーカラー層にも適用

コンピテンシー
コンピテンシーはヒト基準の一つのやり方
意外と普及していない
3
日本の新しい賃金制度
成果主義賃金
ただし仕組みや内容は多様(定まったものでない)
それまでの主流であった職能給への批判
多くの企業では目標管理(MBO)と賃金を結合
目標達成度を成果と見なす
4
成果主義の普及度
厚生労働省の調査では管理職層で18%も下落した!
非管理職層でも20%下落!!
導入している
導入してない
1998年 管理職
55.1 (72.9)
44.9 (27.1)
2001
65.0 (83.2)
35.0 (16.8)
2004
48.2 (82.2)
51.8 (17.8)
2009
46.9 (70.0)
53.1 (30.0)
2012
42.2 (60.4)
57.8 (39.6)
1998年 非管理職
55.3 (65.6)
44.7 (34.4)
2001
66.1 (79.2)
33.9 (20.8)
2004
50.5 (78.8)
49.5 (21.2)
2009
46.6 (65.3)
53.4 (34.7)
2012
40.5 (59.0)
59.5 (41.0)
( )内は従業員1000人以上の企業
5
なぜ下落?
ーーー成果主義に対する働く側の評価
2005年JIL調査より

賃金の決め方
仕事の成果を評価して欲しい
経験と能力を評価して欲しい

現状への評価
自社の成果主義は成功している
評価にばらつきがある
04年 JILPT調査
6
6
ついに労働経済白書(2008年版)も

成果主義と労働意欲
成果主義を望む従業員
成果主義を望まない従業員

労働意欲
成果主義賃金の導入だけに頼って労働意欲向上を図る
ことは好ましくない。
成果主義の適用を図る分野も十分な検討を!
7
職能給の復活と役割給の台頭
基本給の決定要素別企業数の割合
年
職務遂行能力
仕事内容
1998
69.6
(85.5)
70.1
(48.1)
2001
79.7
(84.0)
72.8
(58.5)
2009
2012
69.9
70.7
(77.3)
(74.0)
77.9
72.5
(70.9)
(67.7)
非管理職 1998
69.2
(86.5)
68.8
(46.6)
2001
77.3
(86.2)
70.6
(53.0)
2009
69.3
(80.0)
72.7
(66.2)
2012
68.7
(77.4)
68.2
(62.0)
管理職
( )内は従業員
1000人以上企業
厚労省・就労条
件調査各年版
「仕事内容」とは、仕事の質と量(企業貢献度)
→ 役割給
→ 「仕事」の期待度
8
本日のPW:tiass
役割給!

ヒト基準の賃金決定
「仕事」給とはいえ、「職務」給ではない
処遇基準を
・
・
・

人事考課に基づく賃金
・
・
9
人事評価制度の抜本的な改善を!

改善に向けた近年の動向(厚労省調べ)
評価結果の本人への通知
グループ業績を反映させる
プロセス重視

ところが!
組合や労使協議
異議申し立て制度

大切なことは
従業員の納得がいく制度を構築するべき
10
まとめ

ヒト基準からシゴト基準へ
「成果主義」:仕事への専念度ではなく

ねらい
数量的フレキシビリティ:一定額保障された
企業業績に賃金を

現状
思惑通りに浸透していない:企業によってかなり多様
成果主義は労働側から静かな抵抗
11
まとめ
賃金・処遇制度のフレキシビリティは「改革」途上

成果主義の動揺

ポイントは従業員の納得性→人事考課制度
・
・
12
主要先進国の年間労働時間
JIL『国際労働比較』(2013)
13
主要国の年間労働時間の変化
JIL『国際労働比較』(2013)14
週労働時間50時間以上の割合
国
2000年
週労働時間50時間以上の労働者割合
日本
28.1(%)
アメリカ
20.0
イギリス
15.5
ドイツ
5.3
フランス
5.7
イタリア
4.2
オランダ
1.4
ベルギー
3.8
デンマーク
5.1
スウェーデン
1.9
フィンランド
4.5
オーストラリア
20.0
ニュージーランド
21.3
JIL『国際労働比較』(2007)
15
労働時間の二極化
森岡孝二『働きすぎの時代』岩波書店、2005年、129ページ
16
長時間労働の国・日本

時短先進国ドイツと長時間の国日本
1980年代、年間で約500時間の違い
500÷40=12.5 つまり3ヶ月強に相当

政府の公約「経済運営5カ年計画」
1990年代初期には年間総実労働時間を
1800時間程度まで短縮すると約束
週48時間労働から40時間労働へ(1988年)
2004年、その目標を廃棄!
17
労働時間法制の基礎知識

労働基準法にはどう規定されているか
第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間につい
て40時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時
間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
 残業時間は?
第36条 使用者は、労働組合、労働者の過半数を代表する者と
の書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合にお
いては、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、
又は休日に労働させることができる。
http://www.houko.com/00/01/S22/049.HTM#s4
18
労働時間法制の基礎知識(2)

時間外手当
第37条 使用者が、労働時間を延長し、又は休日に労働さ
せた場合、通常の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の
範囲内で割増賃金を支払わなければならない。
3.使用者が、午後10時から午前5時までの間において労働
させた場合、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以
上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

諸外国
時間外労働の上限:多くの国は1日2時間、
年間の上限もフランスは130時間、アメリカは割り増し50%
19
労働時間法制の基礎知識(3)
年次有給休暇


第39条 使用者は、6箇月間継続勤務した労働者
に、10日間の有給休暇を与えなければならない。
2 使用者は、1年6箇月以上継続勤務した労働者
に対しては、1年ごとに、前項の日数に、次のように
加算した有給休暇与えなければならない。
1年1日、2年2日、3年4日、4年6日、5年8日、
6年以上10日
(すべてわかりやすく条文を修正してある)
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