Transcript 4/27講義

第2章 学校教育と生徒指導
 (3)教科外活動のカリキュラム化
 ①教科中心の学校(学校の成立過程)
人類が蓄積してきた知識や技術を体系的、意図的に後世
の世代に引き継ぐことが社会の重要な課題となり、その
役割を担う機関として、「学校」が成立
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2章、3章学習指導要領と生徒指導
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第2章 学校教育と生徒指導
 ②日本における教科外活動のカリキュラム化
教科課程=「どの学年でどういう教科を課するかを決め、
またその課する教科と教科内容との学年的な配当を系統
づけたもの」(昭和22年版学習指導要領一般編(試案) )
教育課程=「児童や生徒がどの学年でどのような教科の
学習や教科以外の活動に従事するのが適当であるかを
定め、その教科や教科以外の活動の内容や種類を学年
別に配当づけたものを教育課程という」(昭和26年版学習
指導要領(試案))
 この段階では、「生徒指導」という概念は登場せず、「教科以外の活
動」「特別教育活動」
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第2章 学校教育と生徒指導
– 今日では
• 小学校:各教科、道徳、外国語活動、総合的な学習の時間及び
特別活動
• 中学校:各教科、道徳、総合的な学習の時間及び特別活動
• 高等学校:各教科に属する科目、総合的な学習の時間及び特別
活動
– カリキュラム化されていない教科外活動
• 休み時間や放課後に行われる個別的な指導や、学業の不振な
児童生徒のための指導、随時の教育相談など教育課程外の教
育活動等
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第2章 学校教育と生徒指導
– ③カリキュラム(教育課程)内外における諸活動と生徒指
導の関係
1.カリキュラム化された諸活動:多数の児童生徒全体
(集団)を対象とした活動(教育内容の共通性)
2.課外活動:個別指導中心
3.狭義には、個別指導を中心とする活動(個別指導、
個別相談等)を「生徒指導」として、全体(集団)を対象
とした活動と区別する理解の仕方がある(ex.特別活
動と生徒指導を区別する)
4.しかし、教育機能としての生徒指導は、教育課程の
内外の全領域において行われている。(ex.生徒指導
は特別活動と教育相談いずれも含む概念)
5.むしろ、全体を対象とする全教育活動において、個
性を持った一人一人の児童生徒の人格の形成を目
指す「生徒指導」の観点を持っている必要がある
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第2章 学校教育と生徒指導
• (4)諸教育活動と生徒指導
• ①教科指導の生徒指導的側面
• 1.学習活動が成立するために、一人一人の児童生徒が落
ち着いた雰囲気の下で学習に取り組めるよう、基本的な学
習態度の在り方等についての指導を行う(学習活動への適
応)
• 2.一人一人の児童生徒が、そのねらいの達成に向けて意
欲的に学習に取り組めるよう、学習意欲や習慣を身につけ
させる(自己指導力の育成)
• 3.一人一人の個性を生かした学習活動を工夫する(個性
の伸長、学校生活の充実)
• 4.学習不適応への個別指導(学校生活の充実)
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第2章 学校教育と生徒指導
学習上の不適応を示す児童生徒に対する対応
– ・「わかる授業」の推進や児童生徒の関心意欲を引き出し主体的に
学べるよう指導上の工夫をするなど教育課程実施上の改善措置を
図ることが不可欠
– ・児童生徒一人一人の持つ様々な学習上の悩みや問題の相談に温
かく応じ、その能力や適性、さらには家庭の状況などについての理
解に努めるとともに、現在の学習上の不適応原因をつぶさに分析し
、一人一人の事情に即した指導方針を打ち出して、適切な指導を行
う
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第2章 学校教育と生徒指導
・特定の教科についての遅進を補うための本来の意味
の補習やその指導について配慮する
・児童生徒同士で学習を助け合うグループ活動を援助
する
・当該児童生徒にとって比較的得意とする方面を伸ば
すような方法を講ずる
・児童生徒の置かれた生活上の問題状況を改善するた
めに、保護者と相談・協力するとともに、必要に応じて
相談機関や青少年保護育成関係の諸機関と連携し
協力を得る
・不適応の原因が病気その他心身の問題による場合は
、関係方面の専門機関と連携し、治療及び相談が行
えるようにすること
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第2章 学校教育と生徒指導
• ②道徳教育と生徒指導
– 道徳教育:児童生徒の道徳的心情、判断力、実践的意欲や態度な
どの道徳性の育成を直接的なねらいとしている
– 生徒指導:道徳教育で培われた道徳性や道徳的実践力を、生きる
力として日常の生活場面に具現できるように援助すること
• ③総合的な学習の時間と生徒指導
– 総合的な学習の時間:「横断的・総合的な学習や探究的な学習を通
して、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、より
よく問題を解決する資質や能力を育成するとともに、学び方やもの
の考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的、
協同的に取り組む態度を育て、自己の生き方(高等学校は、在り方
生き方)を考えることができるようにする。」
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第2章 学校教育と生徒指導
• ④特別活動と生徒指導
– 特別活動:学級活動・ホームルーム活動、児童会・生徒会活動、学
校行事、クラブ活動等の集団的活動を通して、「心身の調和のとれ
た発達と個性の伸長を図り、集団(や社会)の一員としてよりよい生
活や人間関係を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに
、自己の(人間としての)生き方(在り方)についての考え(自覚)を深
め、自己を生かす能力を養う
– 自己指導能力や自己実現のための態度や能力の育成と直接にか
かわっている
– 生徒指導的側面:自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問
題を解決する資質や能力、共同して物事に取り組む態度、自らの生
き方を考える力の育成
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第3章 学習指導要領と生徒指導
• (1)教育基本法における学校教育の課題
• 教育基本法
– (学校教育)
第6条 法律に定める学校は、公の性質を有するもので
あって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみ
が、これを設置することができる。
– 2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよ
う、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教
育が組織的に行われなければならない。この場合におい
て、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律
を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を
高めることを重視して行われなければならない。
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第3章 学習指導要領と生徒指導
• (2)新学習指導要領総則における教育課題
• 第1章 総則
• 第1.教育課程編成の一般方針
(略)
– 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,生徒に
生きる力をはぐくむことを目指し,創意工夫を生かした特色ある教育
活動を展開する中で,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得
させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断
力,表現力その他の能力をはぐくむとともに,主体的に学習に取り組
む態度を養い,個性を生かす教育の充実に努めなければならない。
その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動を充実す
るとともに,家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確立する
よう配慮しなければならない。(中学校学習指導要領)
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第3章 学習指導要領と生徒指導
• (3)新学習指導要領と生徒指導
• 中学校学習指導要領 第1章 総則
• 第4.指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
• 高等学校学習指導要領 第1章総則
• 第5款教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項
• (資料参照)
•
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第3章 学習指導要領と生徒指導
• ①中学校
• 1.生徒指導の充実
– ・教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間
関係を育てる
– ・生徒理解を深める
– ・生徒が自主的に判断,行動し積極的に自己を生かして
いくことができる
• 2.計画的組織的進路指導
– ・生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択するこ
とができる
• 3.ガイダンス機能の充実
– ・生徒が学校や学級での生活によりよく適応する
– ・現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を
育成する
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第2章 学校教育と生徒指導(2)
• ②高校
• 1.個々の生徒の特性等の的確な把握に努め,その伸長を図る
• 2.ガイダンスの機能の充実
– ・生徒が適切な各教科・科目や類型を選択
– ・学校やホームルームでの生活によりよく適応する
– ・現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成する
• 3.生徒指導の充実
– ・教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育て
る
– ・生徒理解を深める
– ・生徒が主体的に判断,行動し積極的に自己を生かしていくことがで
きる
• 4.計画的,組織的な進路指導を行いキャリア教育を推進する
– ・生徒が自己の在り方生き方を考え,主体的に進路を選択すること
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2章、3章学習指導要領と生徒指導
第2章 学校教育と生徒指導(2)
• (2)生徒指導の充実とは
• ①基本的観点
•
生徒指導は、単なる問題行動への対応と
いう消極的な面だけにとどめるのではなく、
「すべての生徒のそれぞれの人格のよりよき
発達を目指すとともに、学校生活がすべての
生徒にとって有意義で興味深く、充実したも
のにする」ために行われる。
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第2章 学校教育と生徒指導(2)
• ②三つの観点
• 1.生徒理解
– ・多面的、総合的に理解する
– ・日ごろの人間的ふれあいだけでなく、学年、教科、部活等広い
視野からの理解を深める
• 2.信頼関係の構築
–
–
–
–
–
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・人間的なふれあい
・生徒とともに歩む姿勢
・授業等における生徒の充実感、成就感を生み出す指導
・生徒の特性や状況に応じた的確な指導
・不正や反社会的な行動に対する毅然とした態度
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第2章 学校教育と生徒指導(2)
• 3.望ましい人間関係の構築
– ・自他の個性の尊重
– ・互いの身になって考え、相手の良さを見つけよ
うと努める集団
– ・互いに協力しあい、主体的によりよい人間関係
を形成していこうとする集団
– ・生徒一人一人が存在感を持ち、共感的な人間
関係を育み、自己決定の場を豊かに持ち、自己
実現を図っていく人間関係
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第2章 学校教育と生徒指導(2)
(3)進路指導の充実とは
・生徒が自らの生き方を考え、将来に対する目的
意識を持って、主体的に自己の進路を選択決定
・生涯にわたって自己実現を図っていくことができ
る能力や態度の育成
・特別活動の学級活動を中核としつつ、学校行事
の勤労生産・奉仕的行事における進路にかかわ
る啓発的な体験活動および個別指導としての進
路相談
・系統的、発展的に 取り組む
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第2章 学校教育と生徒指導(2)
• <参考> 進路指導の指針(平成5年文部事務次官通知)
–
a.学校選択の指導から、生き方の指導への転換
–
b.進学可能な学校の選択から、進学したい学校の選択への指
導の転換
–
c.100%の合格可能性に基づく指導から、生徒の意欲や努力を
重視する指導への転換
–
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d.教師の選択決定から生徒の選択決定への指導の転換
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第2章 学校教育と生徒指導(2)
• ※キャリア教育の推進
– ・「キャリア教育」という用語は高等学校学習指導要領において示さ
れている
– ・しかしながら、今回の改訂学習指導要領においては、小、中、高す
べての段階において、「キャリア教育の推進」という観点から、様々
な取り組みが求められている
– ・中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学
校の学習指導要領の改善について」(2008.1.17)の指摘
– ① 「生きる力の形成」・確かな学力─基礎的・基本的な知識・技能の
習得、思考力・判断力・表現力(活用力)の形成、学習意欲の向上や
学習習慣の定着─形成上のキャリア教育への期待
•
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第2章 学校教育と生徒指導(2)
– 「観察・実験やレポートの作成,論述など体験的な学習,知識・技能
を活用する学習や勤労観・職業観を育てるためのキャリア教育など
を通じ,子どもたちが自らの将来について夢やあこがれをもったり,
学ぶ意義を認識したりすることが必要である。」
– ②キャリア教育それ自体の意義
– 「社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事
項」の一つとしての「キャリア教育」
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第2章 学校教育と生徒指導(2)
–
生活や社会,職業や仕事との関連を重視して,特別活動や総合的
な学習の時間をはじめとした各教科等の特質に応じた学習が行わ
れる必要がある。特に,学ぶことや働くこと,生きることを実感させ将
来について考えさせる体験活動は重要であり,それが子どもたちが
自らの将来について夢やあこがれをもつことにつながる。具体的に
は,例えば,
– ・ 特別活動における望ましい勤労観・職業観の育成の重視,
– ・ 総合的な学習の時間,社会科,特別活動における,小学校での職
場見学,中学校での職場体験活動,高等学校での就業体験活動等
を通じた体系的な指導の推進,
– などを図る必要がある。
– ・進路指導・職業指導を「キャリア教育」という視点から再編(後述)
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第2章 学校教育と生徒指導(2)
• (4)ガイダンス機能の充実
• 適切な情報提供、案内・説明、活動体験、各種の援助、
相談活動
– 具体的事例
– a.入学時、新学期時に、生徒自身が学校や学級における諸活動
や集団の意義、内容への理解
– b.新たな学習や学習活動の開始時→これから始まる学習活動へ
の興味、関心
– c.選択教科、学習活動のねらいや方法、
– d.進路選択時
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