zen com20130630
Download
Report
Transcript zen com20130630
全国社会福祉協議会 第24期社会福祉士通信課程
相談援助演習
地域福祉の事例演習
中部学院大学人間福祉学部
宮嶋 淳(博士(ソーシャルワーク))
http://web2.chubugu.ac.jp/blog/web_labo/miyajima/index.html
20130630
jun
miyajima
1
ソーシャルワークとは何か
ソーシャルワーク専門職は、人間の福利
(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会
の変革を進め、人間関係における問題解決
を図り、人びとのエンパワメントと解放を促
していく。
ソーシャルワークは、人間の行動と社会シ
ステムに関する理論を利用して、人びとが
その環境と相互に影響し合う接点に介入す
る。人権と社会正義の原理は、ソーシャル
ワークの拠り所とする基盤である。
20130630
jun
miyajima
2
ソーシャルワークの領域と目標
資料参照
20130630
jun
miyajima
3
地域福祉とは~基本的な概念確認
地域=コミュニティ
地域福祉=コミュニティ・ウェルフェア/コミュニティ・ウエルビーイング
地域福祉を支える専門職=コミュニティ・ワーカー/コミュニティ・ソー
シャルワーカー
その役割
〇推進者・・調査分析者/サービス提供者/刺戟者
〇アシスタント・・情報・技術提供者/表出者/調整者
活用する技術
①関係付け
②組織化
⑤コミュニケーション
⑦エンパワーメント
③プランニング
④行動(Action Skill)
⑥政治的技術(Political Skill)
⑧リンケージ
⑨ネットワーキング
⑩コーディネーション
20130630
jun
miyajima
4
地域の福祉の根源
=「幸せ」な生活
生活とは何か
◦ 連続性のある習慣化、あるいは文化と化
した構造的な営み・・構造化、類型化可能
生活を見つめる尺度
◦ 新国民生活指標体系
・8つの活動領域
・4つの生活評価軸
20130630
jun
miyajima
5
8つの活動領域
・・PLI8領域
住
む
…
住居、住環境、近隣社会の治安等の状況
費やす
…
収入、支出、資産、消費生活等の状況
働
く
…
賃金、労働時間、就業機会、労働環境等の状況
育てる
…
(自分の子供のための)育児・教育支出、教育施設、進学率
等の状況
癒
す
…
医療、保健、福祉サービス等の状況
遊
ぶ
…
休暇、余暇施設、余暇支出等の状況
学
ぶ
…(成人のための)大学、生涯学習施設、文化的施設、学習時間
等の状況
交わる
…
婚姻、地域交流、社会的活動等の状況
20130630
jun
miyajima
6
4つの生活評価軸
安全・安心 … 個人の欲求として
より基本的な軸
公正 … 格差の少なさや社会のやさしさ度
を表す軸
自由 … 個人生活面での選択の幅を示す軸
快適 …より気持ちよく生活できるかを示す軸
20130630
jun
miyajima
7
コミュニティ・ワークのプロセス
地域診断
・・・演習1
グループの形成
学習(再診断)
計画の作成
・・・演習2
計画実行の準備
計画の実行と進行管理
実行後の評価
課題の再発見
20130630
jun
miyajima
8
地域診断演習・・フィールド調査結果
より
インタビュー調査・・・教材①
統計資料分析・・・・・教材②
具体的問題の発見と確認
問題発生原因の考察
援助機関内での問題の共有化
20130630
jun
miyajima
9
グループの形成
住民or市民のグループ形成への呼掛け・根回し
新たな結成への呼掛け・既存グループへの働き掛
け等
当事者や関連グループとの調整
住民or市民のグループ形成
20130630
jun
miyajima
10
学習(再診断)
コミュニティの意向の確認
確認された課題についての学習の展開
(問題の構造化)
他地域の類似課題の解決状況の取材
(情報収集)
社会資源調査
(自分達の地域の資源の確認)
20130630
jun
miyajima
11
計画の作成
問題解決目標案の作成
解決案を具体的に実行する活動計画の
作成
評価計画の作成
20130630
jun
miyajima
12
計画実行の準備
広報活動の展開(情報の発信)
問題解決に取り組む住民を増やす。
(多数派の形成)
インターグループ・ワーク
社会資源の動員
20130630
jun
miyajima
13
計画の実行と進行管理
関係者による対話集会の開催
解決行動の実施
ソーシャルアクション
自分たちでの解決行動の実施
課題解決に向けての進行(運営)管理
20130630
jun
miyajima
14
実行後の評価
総括記録の作成とアカウンタビリティの確認
解決状況(タスク・ゴール)評価
活動経過(プロセス・ゴール)評価
関係拡大等評価(リレーションシップ・ゴール )
評価
20130630
jun
miyajima
15
課題の再発見
解決課題についての追跡(調査)
発見された新たな課題への取り組み
20130630
jun
miyajima
16
地域診断の具体的な展開
何がニーズとして捉えられるか
◦ ニーズ・アセスメント
◦ ミクロ、メゾ&マクロ・レベル
地域診断の内容と技法
◦ 活用できる社会資源の把握
◦ 地域課題の抽出
◦ 地域における問題解決の三つのゴール
20130630
jun
miyajima
17
ニーズとは
ある基準からのニーズ(ノーマティブ・ニーズ)を発見
するためには、関係資料を検索し、何がどのレベル
でニーズと見做されるのが一般的かを知っているこ
とが必要。
数値を比較する中からニーズ(コンパラティブ・ニー
ズ)を見出すことも必要。
個人が自覚しているが顕在化していないニーズ(フェ
ルト・ニーズ)
個人がニーズを主張し申請などを行っているニーズ
(エクスプレスド・ニーズ)
20130630
jun
miyajima
18
ニーズ・アセスメント
快適なコミュニティ生活を阻害する要因とし
ての地域課題や生活課題
コミュニティの優れた特徴(地域の宝物)を
見つけだすこと
ミクロ・ニーズがコミュニティニーズに転化
メゾ・マクロ・レベルのニーズの発見
20130630
jun
miyajima
19
ミクロニーズ・アセスメント
アセスメントに関する専門的な枠組み
基本的には、ミクロ・ニーズのアセスメントが先行する
ニーズ・アセンスメントの方法としての住民インタビュー調査
アクション・リサーチ
問題を住民意識してもらうための調査
住民の個別ニーズ把握のための聞取り調査
数量化を前提とした調査ではない・・質的調査
住民の意識の構造的把握の予備調査
20130630
jun
miyajima
20
ミクロ・メゾ&マクロ・レベル
のニーズ・アセスメント
ミクロレベルのニーズ・アセスメントの結果
からの類推
住民が解決したい問題は、抽象的問題ではな
く具体的問題。
具体的課題の解決への取り組みを想定
地域住民、誰にでも起こりうるニーズと
そうでないニーズ(特殊なニーズ)を
色分けしてください。
20130630
jun
miyajima
21
統計データから生活課題や地域課題
を探るポイント
①生活課題の発見方法として統計調査の活用
②統計資料は数字の羅列であるが、グラフにして
みると見えることが多くなる
③時系列の変化を見ることで課題を発見する方法
④他市町村との比較で課題を発見する方法
⑤データを組み合わせることで課題が見えてくる。
20130630
jun
miyajima
22
地域課題の抽出
課題の解決に向け、創造力を発揮し、どう問
題解決を進めるか考える。
①得られた情報と統計データ等の材料をもとに地域課題
(ニーズ)を抽出し、
②それらについて改めてそのニーズの具体的内容、ニーズ
となる理由を確認。
③その解決がどういう意味を持ち得るかについて当事者、
コミュニティ、行政、その他の側面からアセスメントを
行う。
20130630
jun
miyajima
23
④アセスメント結果を踏まえて、具体的な解決に向け
てのゴールを考える。
(1)緊急でかつ重要な課題
(2)成功確立が高く、容易に取り組める課題
の両者を抽出。
⑤二つに対応する社会資源について整理する。
⑥ニーズに対する「タスク・プロセス・リレー
ションシップ」の各ゴールや、
援助モデルを再度、整理する。
⑦課題への取り組みを、年次計画として作成。
20130630
jun
miyajima
24
Q.インタビュー調査結果
(ミクロ・レベルのニーズ)
と
統計データ
(メゾ・マクロレベルのニーズ)
の
組み合わせ
から
この町の地域福祉の課題を考える
*ニーズを持つ人々を類型化(≒一般化≒代表性を持
たせる)することにより、人と社会を結び付け
やすい
「こういう人たちがいるから、ここをこうすべき」
20130630
jun
miyajima
25
解決を要する地域での生活上の課題(生活問題・ニー
ズ)は、インタビュー結果だけでも、統計数値の解釈か
らだけでも発見できる。
生活問題(ニーズ)は、インタビュー結果と統計データ
を組み合わせて、両方から説明できる問題点である場
合は、確実に解決を必要とする。
従って、インタビューで出ている問題を統計資料で追
確認しておくことは大切。
インタビューで出た具体的問題は、どの統計に出てい
るかを考える応用能力が専門的力量として問われる。
20130630
jun
miyajima
26
地域における問題解決の
三つのゴール
タスク・ゴール
問題解決(課題達成)ゴール
=具体的な課題の協働的解決
20130630
jun
miyajima
27
プロセス・ゴール
参加者がそれぞれに、又は 組織として、問
題解決過程を修得するという学習的ゴール≒
教育的実践を含む
◦ 協力・協働的な態度の育成・・民主的方法と
して、目的と手段の一致
◦ コミュニティの全体的調和
コミュニティ・コンセンサス
地域社会の問題解決能力(community capacity)
を増強
20130630
jun
miyajima
28
リレーションシップ・ゴール
メンバー及びその組織がどれだけ色々な
(良好な)関係を広げられたかというゴール
コミュニティにおいて、様々な関係自体が少なすぎる
(=社会資源を知らない、
活用がスムースに進まないことに繋がっている)
ことが問題だという発想からのゴール
20130630
jun
miyajima
29
ゴールを考えるときのポイント
難易度・緊急度を推測する
想定される援助モデル
課題のしぼりこみ
教育的実践としての効果
20130630
jun
miyajima
30
ソーシャル・キャピタルを育む
高橋 満(2013)
『コミュニティワークの教
育的実践 教育と福祉とを
結ぶ』 東信堂より
20130630
jun
miyajima
31
学習としての
コミュニティワーク
一定の地域に責任をもつ専門職が、地域の
well-beingを高めるという意味で
<福祉コミュニティ>づくりに参加する中
で、実践の質を転換する契機を得ると想定
大切なことは、あくまで主体は住民であり、
住民の参加と学びを実践の中で
作り上げていくこと
20130630
jun
miyajima
32
「人のつながり」の大切な性格
信頼関係で結ばれていること
人びとが互酬性、で結ばれていること
そういう人たちが協同の活動をするこ
と
20130630
jun
miyajima
33
ソーシャルキャピタル(social
capital)=社会関係資本
パットナムの定義
◦ 人びとの協調行動を活発にすることによって社会の効率
を高めることのできる「信頼」「規範」「ネットワー
ク」といった社会組織の特徴である。
内閣府の概念構造
◦ 社会的信頼
◦ ネットワーク
◦ 互酬性の規範
「お互い様の関係」+「一般化された互酬性(自分に戻ってくる)」
20130630
jun
miyajima
34
ソーシャルキャピタル概念図
主体A
規範
信 頼 関 係
主体B
規範
主体C
規範
高橋 満(2013)より
20130630
jun
miyajima
35
ソーシャルキャピタルの二類型
結 合 型 : 地縁組織のネットワーク
◦ 同質的な人びとの内部志向
安心を生み出すが、血縁や地縁をもたない人を排除したり、個
人の自由や考え方を拘束・規制する
橋渡し型 : 市民活動のネットワーク
◦ 異質的な人びとの外部志向
「好み縁」に代表される自由で広範なネットワーク
20130630
jun
miyajima
36
コミュニティ・キャパシティ
コミュニティに存在する人的資源、組織的資
源、社会関係資本から構成され、
コミュニティの諸問題を解決したり、
コミュニティのwell-beingを改善し、高める力
を持っていること。
コミュニティ・キャパシティの4つの次元
◦ 個人・組織・ネットワーク・制度政策
(環境的基盤)
20130630
jun
miyajima
37
評価の指標
1.
2.
「それは正しいか」・・・活動の妥当性を吟味する
「行っていることは正しいか」・・・FIT基準からみて、
質的に適切か
3.
「参加者が変化したか」・・・参加者の知識や意識の肯定
的な変化に焦点をあてる
4.
「コミュニティに変化を生じさせたか」・・・コ
ミュニティの変化の具合
5.
現在の介入方法とは異なるアプローチはない
か、再検討する
20130630
jun
miyajima
38
指標の例
短 期 ・中 期
を想定
・長 期 のアウトカム
個人的
成長
リーダーとして
の役割と位置
コミュニティ発展
キャパシティ・
ビルディング
「力がついた」と自信を持っていえるロジック(理路)を用意する。
20130630
jun
miyajima
39
Q.計画作成演習
住民が取り組む=コミュニティ福祉活動計画
ワーカーが行う=コミュニティ・ワーク計画
共通項としての「課題の概要」「ゴール」
「援助モデル」「準備とその期間」
主体が明確でない場合、主体形成、あるいは
キーパーソンやグループの発掘、
から始まる
20130630
jun
miyajima
40
ロジック・モデルの利点
1.
参加者の議論の結果を図によって示す方法をとる
2.
計画の妥当性と実行可能性を検討する際に重要とな
るポイントを明示化する
3.
積極的な参画型の学習機会を提供するツール
4.
ロジック・モデルをつくること自体が協同の実践で
あり、かつ協同の学習のプロセスである
⇒計画・評価のプロセス自体が、
ソーシャル・キャピタルを豊かにする実践ともなる
20130630
jun
miyajima
41
変化の理論の構成
変化の理論モデル・・・・概念的であり、プログラムの骨格
Do:戦略 ⇒ Get:結果
プログラム・ロジック・モデル・・・操作的であり、
骨格に筋肉や血管
をつける
問題の設定⇒ 目標 ⇒ 根拠・前提 ⇒ 資源
⇒ 活動 ⇒ アウトプット ⇒ アウトカム の循環
どのような資源を使い、どのような活動を、
どの位するのか、それが何を産み出すのか
20130630
jun
miyajima
42
焦点を定める基準
重要性:その問題にねらいを定めることが、あ
なたの機関の使命に合致しているか
変革可能性:先行する諸条件は、変えうる可
能性を持っているのか
妥当性:あなたが選択した戦略は、「目標」を
実現するうえで十分な根拠を持っているのか
実行可能性:あなたが利用できる資源で実現
可能か
20130630
jun
miyajima
43
点検の基準
:
SMART と
FIT
特定性(specific):するべきことは何か。行為する
測定可能性(measurable):内容は量的にも質的
行為志向性(action-oriented):内容は、認知、
のに十分明確であり、アウトカムと結びついているか
にも捉えられる
知識、スキルそして行為における変化を引き起こすように選
択される
現実性(realistic):内容の妥当性、実現可能性
適時性(timed):内容は期間を特定しており、結果
に向けての進歩のためにアウトカムの時間による順序を説明
する
20130630
jun
miyajima
44
FIT基準
頻度(frequency):発生の頻度
強度(intensity):所与のエフォートの程度また
は強度
狙い(targeted):特定のマーケートまたは対象
者にねらいを定めること
20130630
jun
miyajima
45
評価の指標
2.
「それは正しいか」・・・活動の妥当性を吟味する
「行っていることは正しいか」・・・FIT基準からみて、
3.
「参加者が変化したか」・・・参加者の知識や意識の肯定
4.
「コミュニティに変化を生じさせたか」・・・コ
5.
現在の介入方法とは異なるアプローチはない
か、再検討する
1.
質的に適切か
的な変化に焦点をあてる
ミュニティの変化の具合
これらを意識しながら、年次計画を作成していく
20130630
jun
miyajima
46
地域福祉活動計画を作る
地域福祉活動計画≒CO福祉活動計画+
コミュニティ・ワーク計画
◦
◦
◦
◦
解決目標案の作成
目標に向かって進むための行動計画の作成
取り組むべき順序
評価計画の作成
20130630
jun
miyajima
47
コミュニティにある
グループの類型
当事者グループ
周辺グループ
取りまとめグループ
それぞれのグループの役割は異なる
20130630
jun
miyajima
48
グループから組織へ
任意の集まりとしての「グループ」
目的やルールに基づく「組織」
法人格を持つ組織
20130630
jun
miyajima
49
ワーカーの任務:連絡調整活動の推進
住民参加の促進と連絡調整
①連絡調整活動の推進
②活動主体(代表者)間の連絡調整
(インターグループ・ワーク)
20130630
jun
miyajima
50
専門職の問題解決の基本
自分の問題は自分で、家族の問題は家族で、コ
ミュニティの問題はコミュニティで、(自助力)
しかし、現代社会では、個人や家族やコミュニティ
への相互の影響力が極めて大きい(共助力)
自分で、家族で、コミュニティで解決できない問題
の解決を、
様々な立場(行政、社協、関連NPO等)の人・組織
が支援する(公助力)
20130630
jun
miyajima
51
コミ・ワーカーのチーム・アプロー
チ
地域課題を発見し、その問題解決を促し
ていく仕事
地域コミュニティは、その主体である住
民の意思によって組織されるべきである
という基本的な考え方
方法としての地方自治体(最低水準維持)と、先
進的問題解決への取り組み や その伝統を踏ま
えたNPOの活動
20130630
jun
miyajima
52
活動内容評価の諸問題
Plan(計画) Do(実行) Check(検証) Action(見直し)
前提条件としての「計画」と「実行」
「Check」
≒「エヴァリュエーション(事後)」と「アセスメント(事前)」
「検証」≒「評価」
「評価」の中心は、ゴールへの寄与、SP、CD、CP
「最終的評価」や「序列」を作ることが最終目標ではない。
20130630
jun
miyajima
53
全 体 発 表 会 (分かち合い)
20130630
jun
miyajima
54