資料 - 東京大学

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企画セッション:法・裁判と統計
合理的討論と統計学
石黒真木夫(統計数理研究所)
法廷における統計
中村多美子(弁護士法人リブラ法律事務所)
不確実性下の意思決定
椿広計 (統計数理研究所)
裁判における科学的な証拠/統計学の知見の評価と利用
弥永真生 (筑波大学大学院)
法と統計学
宮本道子 (秋田県立大学)
事実の認定を支える証拠と公的な判断
柳本武美 (中央大)
座長からアナウンス
(1) 荷物からは目を離さないように
(2) 展示コーナー(受付のところとその2階)に
は
できるだけ足を運ぶように。
(3) 自分のPCを使う報告者は、
前もってPCを立ち上げておくように。
合理的討論と統計学
2014.9.15
@企画セッション 法・裁判と統計学
@統計関連学会連合大会
石黒真木夫@統計数理研究所名誉教授
アウトライン
1. 調査
2. 「ことば、ことば、ことば。」
3. 法・裁判におけるベイズ公式の利用
4. 「統計学が最強の学問である」
5. 経緯
調査(1)
専門分野を「法律関係」と「統計関係」に分けたとして…
自分は「法律関係」だと思う方、
手を上げて下さい。
満員で100名の部屋がほぼ埋まったなかで手を上げたのは1人
調査(2)
1. 次のスライドで示すことばを以前からご存知だったら手を
あげて下さい。
2. ことばの意味が分かるかどうかの調査ではありません。い
ままで知らなかったことばだったら手をあげないでください。
3. あげた手はつぎの質問まで下げないでいてください。
4. お分かりいただけたでしょうか?
「帰責」ということばを以前からご存知だったら手
をあげて下さい。
1. 意味が分かるかどうかではありません。
2. 次の質問まで、あげた手は下ろさないでいてください。
手を上げたのは6人
3.調査(1)で自分の専門として法律分野を
お選びになった方は手をおろして下さい。
4.ありがとうございました。
「ことば、ことば、ことば。」
(注)
[ ことば1 ] 訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証
明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を
招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人
が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、
それで足りるものである(最裁昭和50・⒑・24民集29巻9号1417ページ)。
[ ことば2 ] 裁判所の事実認定は、法律要件に直接あてはまる事実が間接事実や
証拠に基づいて認められるかどうかという観点から行われ、証拠調べの結果および弁
論の全趣旨に基づいて裁判官が自由に形成する心証による(民事訴訟法247条,刑事
訴訟法318条)。
[ ことば3 ] 証拠の証明力は裁判官の自由な判断に委ねられているのであるが、こ
の自由心証は裁判官の恣意を意味するものではなく、論理の法則、経験則に基く合理
的なものでなければならない( 東京高判昭和37・1・23下刑集4巻1=2号16頁).
[ ことば4 ] 統計学が最強の学問である。
(注)小田島雄志訳「ハムレット」2幕2場
「ことば、ことば、ことば。」
法分野のことば
帰責
事実認定
因果関係
「v.」
v.
v.
v.
v.
v.?
統計分野のことば
?
?
因果関係?
「vs.」
Versus の略語の記法の「調査」を追加。結果は「 2 v. 絶対多数」
証拠能力
心証
証明力
v.
v.
v.
?
主観確率?
事後確率?
「心証=主観確率=蓋然性」を仮定すると…
[ ことば1´] 訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証
明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を
招来した関係を是認しうる高度の主観確率を証明することであり、その判定は、通常
人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、か
つ、それで足りるものである。
[ ことば2´] 裁判所の事実認定は、法律要件に直接あてはまる事実が間接事実や
証拠に基づいて認められるかどうかという観点から行われ、証拠調べの結果および弁
論の全趣旨に基づいて裁判官が自由に形成する主観確率による。
[ ことば3´] 証拠の証明力は裁判官の自由な判断に委ねられているのであるが、こ
の自由主観確率は裁判官の恣意を意味するものではなく、論理の法則、経験則に基く
合理的なものでなければならない.
[ ことば4 ] 統計学が最強の学問である。
法・裁判におけるベイズ公式の利用(1)
p( x| )   
 (|x) 
 p( x| )   

科学的知見
討論が必要
その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に
真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし
 (|x)  1?
討論が必要
法・裁判におけるベイズ公式の利用(2)
訴訟上の…の立証は、…、経験則に照らして全証拠を総合検討し…
 (|x) 
p ( x| )   
 p( x| )   

 (|y ) 
p ( y| )   
 p( y| )   

p ( y| )  (|x )
 (|x, y ) 
 p( y| )  (|x)

p ( x, y| )   
 (|x, y ) 
 p( x, y| )   

科学的知見が
必ずしも用意
されていない
討論が必要
「統計学が最強の学問である」
理想と
現実
「統計学」は絶対的に強
い学問ではなく、相対的
に強いに過ぎないが、こ
れを使うしかない。
(注)西内啓氏の著作のタイトル
(注)
「法」の側で
経緯
2009年10月:科学技術振興機構
(JST)社会技術研究開発センター
(RISTEX)において、委託研究「不確
実な科学的状況での法的意思決定」
プロジェクトスタート
2010年12月19日:法と科学の哲学カ
フェ「合理性の衝突」
2012年8月:法と科学のハンドブック
2014年6月26日:法と科学の交錯
(岩波講座 現代法の動態 第6巻)
「統計」の側で
2009年11月12-13日:統計
数理研究所公開講座「法
廷のための統計リテラ
シー:合理的討論の基盤と
して」
2013/06/11
Subject: Re: JIR 受
け入れ 統計数理研
究所
From: Tamiko
Nakamura
To: Hiroe Tsubaki
2014年8月31日:「法廷の
ための統計リテラシー:合
理的討論の基盤として」
(ISMシリーズ:進化する
統計数理 3, 近代科学社)
2014年9月15日;統計関連学会連合大会企画セッション「法・裁判と統計」
司法と行政とアカデミズムの風景
統計数理研究所
裁判所
背後に立川市役所