極成層圏雲と大気波動の役割に関する研究の可能性

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第1回ドップラーライダーによる宇宙からの風観測に関する講演会
衛星搭載ライダーによる
極中間圏雲、極成層圏雲と
大気波動の役割に関する研究の可能性
佐藤 薫
東京大学・大学院理学系研究科
極成層圏雲(PSC)と極中間圏雲(PMC)
極成層圏雲(PSC) z~20㎞
冬の極域の下部成層圏に出現
オゾン層破壊をもたらす
オゾンホールの発生原因の1つ
極中間圏雲(PMC) z~85㎞
夏の極域の上部中間圏に出現
人間活動の影響で出現する
ようになったと考えられている
2009年夏にはパリ上空にも出現
大気波動の極中間圏雲・極成層圏雲への役割
• 大気波動は大循環の駆動を通して大規模な気温を
変える
→雲量を変える。 大きなスケール
• 大気波動の気温擾乱を伴う
→雲量や雲の分布を変える
小さなスケール
極域の大気温度
★
極中間圏雲
★
極成層圏雲
高さ90km:
白夜なのに低温
高さ50km:
極夜なのに高温
大気には大循環がある
7月
大気大循環は大気の波が駆動している
PANSY(南極昭和基地大型大気レーダー計画)パンフレットより
大気大循環は大気の波が駆動している
7月
重力波
ロスビー波・
傾圧波
重力波
重力波
傾圧波
Okamoto et al. (JGR, 2011)
大気波動の極中間圏雲・極成層圏雲への役割
• 大気波動は大循環の駆動を通して大規模な気温を
変える
→雲量を変える。 大きなスケール
• 大気波動の気温擾乱を伴う
→雲量や雲の分布を変える
小さなスケール
各波動による極成層圏雲の雲量と分布の変化
プラネタリー波
(ロスビー波)
総観規模波
重力波
Kohma & Sato
(ACPD,2011a)
CALIPSOによる極成層圏雲観測
Wang et al. (2008)
cloud maskデータ : PSCの有無
解像度 : 水平5km 鉛直180m
高度11~30kmを解析対象に
高度
CALIPSO/CALIOP
衛星軌道
PSCの観測頻度
経度20°×緯度5°×鉛直1kmのボックスで1日毎に計算
Aura MLS
H2O, HNO3 混合比
A-train Constellation
CALIPSO
PSCに対する波の役割を調べるため、PSC量を気温、
水蒸気、硝酸のデータで再現する。
Kohma and Sato (2011a)
各波動の雲量変化への寄与の定量化
Kohma and Sato (2011a)
より低緯度でのPSCの増加→オゾン層破壊の促進
プラネタリー波
~100% for y ≧ -70 @ z = 16-20km
総観規模波
~ 60% for y ≧ -70 @ z ~ 12 km
重力波
~ 20% for y ≧ -70 @ z ~ 15km
~ 30% for y < -70 @ z ~ 15km
Kohma and Sato (2011a)
極成層圏雲に関する問題
○上部対流圏の雲と極成層圏雲の同時存在
高度
Wang et al. (2008)
A
衛星軌道
B
鉛直運動がカギ?
○雲の履歴→雲粒の流れ
Kohma & Sato (2011b)
ドップラーライダーによる大気運動の観測が重要
The Aeronomy of Ice in the Mesosphere (AIM) mission
(Russell III et al., JASTP, 2009)
2007年4月に打ち上げ
Solar occultation for ice
experiment (SOFIE)
Cloud imaging and particle size
experiment (CIPS)
July 17, 2007
July 1, 2007
極中間圏雲
(PMC)
CIPS
Nadir view
Russell III et al. (2009)
June 30, 2007
5日波(大気の自由振動の一つ)によるPMCの変調
Merkel et al. (JASTP, 2009)
ほかの測器による観測でも報告されている (e.g., Benze et al., 2009)
SOFIE: Limb view
氷質量密度
Russell III et al. (2009)
水蒸気観測の例
水蒸気混合比
観測緯度
オゾン混合比
北極の極成層圏雲が消えると南極の極中間圏雲も消える?
南北中層大気結合
Karlsson et al., (JASTP, 2009)
Koernish&Becker (ASR,2010)
夏半球極中間圏雲と冬半球成層圏東西風
Karlsson et al. (GRL, 2009)
AIM CIPS衛星観測
2007-2008
灰色:北半球の成層圏西風
U, averaged over 59.75 – 61.25N and 800 – 1200 K
黒:南半球の極中間圏雲頻度
lag-adjusted SH PMC frequency, |y|>70S
極中間圏雲に関する課題
○雲の周辺の運動の直接観測がない
衛星搭載ドップラーライダーによる空間連続観測と
PANSYレーダーによる時間連続観測との組み合わせ
Kohma & Sato (2011)
PANSYレーダー(南極昭和基地)
(Sato et al., 2010)
まとめ
• 衛星搭載ライダーによるドップラー観測は、雲物理そのものや大
気波動による雲の変動の理解に重要
対流圏の雲だけでなく、
極成層圏雲(オゾン層破壊に関連)、
極中間圏雲(ほぼ未解明。人間活動の影響を強く反映)
の観測も重要
• 地上のレーダーやライダーとの組み合わせ・3次元モデルとの組
み合わせにより、雲のさまざまな側面が観測可能。
• 大規模な温度を決める重力波の運動量輸送の推定
(非地衡風=温度成分から風成分が推定できない)
ブリュワ・ドブソン循環等中層大気物質循環の再現の精度向上