EDIは役立っていますか?

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Transcript EDIは役立っていますか?

「“EDI”は役に立っていますか?」
中小企業製造業経営者仲間とのディスカッションから
2010年7月24日(土)
SCMとIT経営実践研究会
会員 今野浩好
1
(参考)今回、意見交換をした方々
東京都中小企業振興公社 支援 若手経営者の会 「つれづ連」メンバー
会社名
氏名
役職
業種
(株)マテリアル
細貝淳一
代表取締役
アルミ素材加工
40 大田区
大田区優工場、東京都の若手製造業のリーダー的存在。25歳で起業し、21年間で40名
年商8億の会社を一代で築く。多くの大手メーカーと直取引。防衛関係の受注に注力。
(株)チバダイス
千葉英樹
代表取締役
歯車用金型加工
30 葛飾区
プラスチックギア用金型で高い技術力。加工技術で数多い特許をもつ。東京商工会議所
「勇気ある経営大賞」大賞受賞。
(株)浜野製作所
浜野慶一
代表取締役
プレス、精密板金
33 墨田区
従業員5名で会社を継承。工場の全焼など不慮の危機を乗り越え、30名の会社に急成
長。産学連携にも熱心に取り組む。「IT経営力大賞」優秀賞など受賞多数。
電化被膜工業(株)
廣門伸治
営業マネー
ジャー
表面処理(鍍金)
32 大田区
アルマイト、硬質クロムなど鍍金で高い技術力。小ロット特殊加工に特化。東京都「アマ
テラス」PJメンバ。航空宇宙産業で技術力が認められる。
(株)プレック
村井英夫
代表取締役
精密旋盤加工
22 青梅市
小径の引き物量産部品。カム式旋盤を独自のジグの工夫と製造ノウハウで高い生産性
を実現。ベトナムハノイの工場が稼働し、アジア展開を積極的に推進。
東京パック(株)
田畑虎幸
代表取締役
真空成型
30 足立区
電子部品用トレー、パッケージの真空成型。高い製品提案力と、金型~成型までの一貫
対応力。中国、フィリピンでの海外生産で顧客の海外進出へ対応。
(株)テクニカ
比留間良太 代表取締役
基板設計・実装
36 西多摩郡
半導体装置関連等の回路設計~基板設計~実装。筐体、組立も含めた装置受託開発
など一貫対応できる高い技術力。基板設計拠点としてベトナムハノイに進出。
富士精器(株)
藤野雅之
代表取締役
精密機械加工
18 目黒区
NC複合旋盤加工による金属切削加工(棒材、難削材)で、高い精度の重要保安部品を
手がける。戦前は中島航空機の直属工場で、都内機械加工業の草分け。
(株)ティケイワイプロダクツ
原 嘉大
代表取締役
精密機械加工
15 八王子市
ノビナイト加工など光学系の高精度な設備部品・治具加工に特化。5軸マシニング加工、
縦型NC旋盤による高度加工と、3次元測定データ添付による品質保証サービス。
新東工業(株)
加納信和
樹脂成形
12 葛飾区
プラスチック金型の設計、製作から成形(射出成形、圧縮成形)まで一貫対応。顧客設計
部門に対する技術提案力。八潮市に工場を集約移転し生産性向上を図る。
(株)益喜樹脂
吉田 崇
樹脂加工
20 三郷市
アクリル等の樹脂ボードの切削、組立加工で高付加価値なディスプレー。確かな加工技
術と高いデザイン力。樹脂への高画質印刷機導入など、経営革新認定計画推進中。
細貝さん
2
代表取締役
千葉さん
従業員 地区
浜野さん
備考
比留間さん
廣門さん
EDIは役立っていますか?
製造業の経営者仲間10人に聴いてみました!


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
現状のEDI受注は、メリットよりデメリットが大きい。
面倒なことも多々あるが、まあ仕方ないか。
量産では案外便利です。(納期回答等)
個別受注品はメリットなし。仕事は別のところで動く。
“EDI”普及すれば
生産性向上? 疑問だな・・・
「EDIが役立つ分野」は、
そもそも中国にいっちゃう
のでは(苦笑)
我々の「成功の鍵」は“EDI”ではないよね・・・
3
「個別生産」にはEDIはマッチしていない・・・
EDIは、仕様、価格、納期がFIXしている量産品では機能するが・・・
個
別
生
産
(
試
作
品
・
開
発
品
)
仕様が固まっていない
■図面・仕様書・現物(支給品)で動く。
→ EDIは単なる事務処理。
■加工方法の提案→設計へのフィードバック
■顧客側の設計変更・仕様追加
単価が決まっていない
■都度見積もり。メール、ファックスで処理。
■仮単価も多い。双方の信頼関係、継続取引
関係の中で、処理していく
■受注者側の生産能力による分納
納期・数量が確定しない
■特急対応にEDI処理が追いつかず
■品質不適合が発生した場合の受注残の処理
かえって手間・・・
発注企業の要求部門との緊密なやりとりが大切。
「現場、現物、現実」で仕事は動き、後付けでEDIにデータ入力。
4
「個別受注型生産」の「連携」で大切なことは
発
注
企
業
(研究・開発・技術)
要求部門
購買部門
品質情報
納期情報
メール・図面・CADデータ・写真
要求仕様打合せ、見積もり
受
注
企
業
引合い
受注
品質情報
納期情報
発注
生産
メール・図面・CADデータ・写真
最適な加工技術の選択、アイデア交換、見積もり
協
力
企
業
引合い
受注
請求
納期情報
品質情報
発注
生産
受注前段階のメール、FAX、打ち合わせ等によるやりとりが最も重要!
→ 企業間・企業内での「チエ」の交換と蓄積
5
買掛(検収)情報
請求
中小企業経営者の問題意識
激変する経営環境、量産のアジアシフトの中で・・・
■どのように新しい受注(仕事)を創っていくのか?
■どのように付加価値を高めていくか?
 お客さまに価値を認めてもらう(高く買ってもらう)
 現場や業務全般にある、付加価値を生まない「ムダ」をとる
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め
に
!
6
■開発、試作、小ロット、異分野で勝負。(量産はアジアへ)
■営業力強化、ソフトなサービス、顧客との継続的信頼
■得意分野を持ち寄って、仲間で連携しよう!
■業態を変えていこう! (単品加工→複合、ASSY受注)
ITツールはどう役に立ちますか?
EDIの前にやるべき課題が多い!
■そもそも社内の「一気通貫」が実現できていない・・・
 販売、生産管理、購買、会計のシステムを個別に導入
 「第2工場」「地方工場」にはシステム未導入、あるいは連動せず。
営業
設計
受注
発注
生産
請求
■自社にマッチした「生産管理システム」がない
 投資に見合う、安価なシステムがない
 部品加工 → ASSYへの業態拡大 生産管理システム対応できず
 製造工程のカイゼン、内外製区分の柔軟な変更しにくい(マスタがちがち)
■現場カイゼン、見える化、業務プロセス改善が必要!
 「基準・ルール」なくして「管理」なし! (だが、そういう現場が多い・・・)
 システムを使わないで(お金をかけずに)生産性向上できる余地が大きい。
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海外に勝つためのIT
ニッポンのものづくりがアジアで勝ち残るために
ニッポン町工場の「本来の強み」を引き出す
ニッポンがつくりだした独自の
IT
・・・ってないですか?
8
(参考)寄せられたメールから①
EDIで納品情報を打ち込み、プリントアウトをし、送付する。プリントアウトの際、打ち込んだ情報が消えてしまっているので、
手書きをしている。などなど、システムが不完全なのかどうか不明ですが、手間が増えているだけです。
標準化をお客様と共有してシステムが組めると効率は上がると思いますが、(例えば、お客様の注文形態で発注、製造ま
で行えるなど)当社はそんなに綺麗に仕事が出来ていないので、実現には遠い道のりがありそうです。
弊社の場合は、NEC系列会社とお取引がある為NECのシステムを使っておりますが、今後、東芝グループ、日立グループなど
の会社と、お取引が生まれた場合は、新たに顧客向けシステムを構築しなければならないのが欠点。
発注情報がリアルタイムで更新されますので、常にチェックをしていないと、受注漏れなどが発生してしまいます。1個、試作品、繰り返
し品でないものなどには向いてないな。
いいところは、データの共有化ができるなど、繰り返し品・量産品などには有効
うちは事前にメールで内示がくる(笑)。 急ぎの場合ウチには在庫があるのに出荷出来ない場合がある。お客さんの資材課と生
産管理課と開発課で内輪モメになる事も〜〜
注文見落としに関しては、東芝さんのシステムはお知らせが無いので、自分で定期チェックが必要。キヤノンさんの場合、情報更新が
された時点で自動メール配信がされます。内容も通知されます。
うまく使われている業者さんはいて、エクセルにデータを移して納期管理やったり、検収状況の確認ができますので、わざわざ問合
せる必要はありません。
表面処理の場合、(特に弊社の様な小ロット)加工が終わってデータ入力をしても伝票に反映されるのは翌日なので、間に合わない。
そこで、物は別管理の発注書で処理を行い、納品後に正式伝票を打ち出すような事をやっています。(笑)一部の工場ですよ!
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(参考)寄せられたメールから②
「いま加工終わったから、これから取りに来てくれる?」 「悪いんだけど午前中に上げて!」 てな感じなので、弊社の場合は、
フォーキャストの概念が通用しません。
発注納期が現実のリードタイムが考慮されていなくて、支給品が遅れるなどしてデータ上は「納期遅れ」になる。お客さんの現場と
は連絡とっていて支障もないのだけど、購買がきちんと納期変更処理をしてくれないと、「納期遅延」になってしまう。あげくに、その
データが集計されて、「納期遵守率が悪いですね」ということで、評価にマイナスになる。気をつけないと!
お客さんの資材の担当者が、 現場やものを知らない。現実的なリードタイムと無関係に事務処理的に「納期」を入力してしまう。会
社によっては、現場監査に来てくれて、加工別に標準リードタイムを把握してかえってくれる。結局、EDIが便利だからといって、購
買業務の基本をしっかりやらなければダメということじゃないでしょうか。
あるポンプの会社のシステムはまだまだ改良途中?の為か、いろいろなところに問題が起きています。例えばお客さんの社内では
注文を取り消しをしたのにEDIのシステム上にその注文が残っており、製作をしてしまった。引き取れる・引き取れない・・・などすっ
たもんだが発生。結局、引き取ってもらいましたが・・・。面倒臭い。
毎月流れているリピート品なのに見積り依頼になっている。協定単価の取り決めもあるのに・・・。「あれっ?コストダウンの依
頼?」って思いながらも今まで通りの単価を入力するとそのまま発注になっている。これは何?
弊社でのメリットですが今のところそれほど感じません。メールでの発注でも充分機能は満たしていると思います。ある意味せっかく
のシステムなのでもう少しうまく利用した方が良いとは思いますが・・・。
当社でEDI注文は、1件あります。7年前から対応しており、慣れました。1つの注文に対しプリントアウトするのは1枚。注文書・現品
票・納品書・受領書が4分割で、注番や単価なども、すべて印字されていてラクです。
お得意様でEDIを3回バージョンアップしたので現在では、納期も変更自由だし、小ロット単価も自動的に変更されて発注されてく
るのでデメリットはありません。
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(参考)寄せられたメールから③
仲間の会社で倒産、訴訟になった例がある。単価の高い特殊な材料で、納入リードタイムが長い品物だったのでEDIのフォーキャスト
をみて、材料の先行手配をしていた。それは相手の購買も了承済みのはずだった。ところがその製品が突然打ち切りになり、多額の
デッドストック。これが引き金になり資金ショートして倒産。訴訟を起こして、全面的に勝って、全額代金はもらったけどね・・・・。倒産し
ちゃったんだからお終いだよ。
EDIのせいじゃないのかも知れないけどさ。システム化された時代に育った担当者は、取引のモラルとか、商道徳とか、商売人とし
ての常識みたいなものがない人が多いような気がするよ。なにも「下請法」なんか持ち出さなくても、普通にやればいいだけなんだ
けど。
EDIで「電子入札」があって一時期は使われていたけど、最近やめたみたい。不特定多数のつきあったこともない会社から、相見積も
りをとって、一番安いところに発注したら、品質で大問題になったらしい。そんなの、あたりまえだよね。QとかDとか、その他の技術提
案力や経営基盤などときちんと総合判断するなかに、Cがなくちゃいけない。
インターネット使うから安く買えるなんて言う人がいたけど、コスト、コストで発注側も失敗して、そういうことを最近言わなくなってきた
のはいい傾向。また、QとDが見直されてくればいい。
たとえば、200万円とかするCADソフトや毎月高額な保守料を我々は払っているのに、中国は海賊版で200円で買えるんですよ。タ
ダ同然。人件費格差だけじゃないんだよね。そうした前提での「低価格」なんだから、「インターネットの時代だから海外でもどこでも一
番安いとこころからEDIで調達」 なんて言う人は、そうした現実を知っているのかな・・・。
納品案内書発行の際、正しい単価を入力しても(変更の場合)もとの登録されている単価で検収されてしまう場合がある。EDIの納期
をこちらで変更(2回目以降)してもデータはすぐに変更されない。納入済み(納品案内書発行済み)でもEDIのデータに残っている場
合がある。キャンセルの場合、納品書を一度発行してFAX(MAIL)しないとデータに残ってしまう。
「E調達率をあげよ!」という号令がかかっているらしい。購買担当者の評価指標になっているみたいだけど、現場で何が起こっている
かとか、全然便利になっていないとか、号令かけている人が知らないとしたら問題だと思う。
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