有能なチームの一員であること

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トピック4
有能なチームの一員であること
Patient Safety Curriculum Guide
1
学習目標
 医療におけるチームワークの重要性を理解する
 有能なチームの一員となるための方法を学ぶ
 学生自身も医療チームの一員となることを認識する
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2
習得すべき知識(1)
以下を理解する:



医療チームの種類
効果的なチームの特徴
個人の価値観や思い込みが他者との相互作用に
どのような影響を及ぼすか
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3
習得すべき知識(2)
以下を理解する:

チーム内の各メンバーの役割と,心理的要因が
チーム内の相互作用にどのような影響を及ぼすか


変化がチームに及ぼす影響
チーム内での患者の役割
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4
習得すべき行動内容








以下に挙げるチームワークの諸原則を適用すれば,効果的な医療
を促進できる:
他者の価値観や思い込みに留意する
心理社会的要因がチーム内の相互作用に及ぼす影響に留意する
変化がチームに及ぼす影響に留意する
患者とその家族をチームの一員とみなす
適切なコミュニケーション技術を用いる
相互的な支援技術を用いる
コンフリクト(意見の対立)を解決する
行動の変容と観察を受け入れる
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5
チームとは
チームとは以下の条件を満たす複数の個人の集まりである:




動的に相互作用する
共通の目標/任務を持つ
特定の課題が割り当てられている
専門的かつ相補的な技能を有する
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6
チームとは….
複数の個人が共通の価値ある目標/目的/任務のために動
的,相互依存的かつ適応的に相互作用する,ほかとは明確
に区別できる集団であり,各メンバーに特定の役割又は機能
が割り当てられ,かつメンバーとしての資格に期限が設けら
れたもの。
Eduardo Salas
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7
医療分野にはどのようなチームが
存在するか?
医療分野には,さまざまなチームが存在する:



多職種で構成/単一の職種で構成
1カ所に集中/複数の場所に分散
一時的/長期間存続
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8
医療分野にはどのようなチームが
存在するか?
TeamSTEPPSでは,医療分野におけるチームの種類として
以下のものを特定している:
 コアチーム(core team)
 調整チーム(coordinating team)
 緊急対応チーム(contingency team)
 補助的サービスチーム(ancillary service)
 支援サービスチーム(support service)
 経営陣(administration )
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9
チームはどのようにして患者の医療を
改善するか?
 チームは患者の医療を改善する実践的な方法を反映してい
る
 チームは以下のレベルにおいて医療を改善できる:
• 組織
• 患者 ― 転帰と安全
• チーム全体
• チームの個々のメンバー
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10
チームはどのように形成され
発展していくか?
Tuckmann は,チームが編成され発展していく過程を次の
4段階に分けている:




形成期(forming)
混乱期(storming)
規範形成期(norming)
実践期(performing)
Source: B. Tuckmann 1965
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成功を収めるチームの特徴とは?
効果的なチームには以下の特徴がある:
 共通の目的
 測定可能な目標
 有効なリーダーシップと対立の解決法
 効果的なコミュニケーション
 良好な結束とメンバー間の敬意
 状況のモニタリング
 自己モニタリング
 柔軟性
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リーダーシップ(1)
効果的なチームリーダーは,以下の役割を果たすことによって
チームワークの向上を促進する:
 任務や役割をメンバーに委任する
 ブリーフィング,ハドル,デブリーフィングを実施する
 メンバーが自由に発言及び質問できるよう推奨する
 チーム向けの改善活動や訓練を計画する
 メンバーの士気を高め,前向きなチーム文化を維持する
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リーダーシップ(2)
効果的なチームリーダーは,以下の役割を果たすことによって
チームワークの向上を促進する:
 リーダーとしての役割を引き受ける
 必要に応じて支援を求める
 継続的に状況をモニタリングする
 優先順位を定め,決定を下す
 活動の成果を最大限引き出せるように資源を活用する
 チーム内のコンフリクトを解決する
 チーム内の作業負荷を調整する
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コミュニケーション
医療現場でのコミュニケーションを促進するための技術がいくつ
か開発されている:




ISBAR
コールアウト(声出し確認)
チェックバック(再確認)
引き継ぎと申し送り
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意見の不一致や対立を解決する
チームのメンバー全員が率直に意見を言えるようにするための
技術がいくつか開発されている:



2回主張のルール(two-challenge rule)
CUS
DESCスクリプト
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16
効果的なチームワークに対する障害





役割の変化
環境の変化
医療従事者の上下関係
医療の個人主義的側面
チームの安定性の欠如
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17
他産業での事故
他産業で発生した事故の要因として,次に挙げるチー
ムとしての問題が特定されている:



役割が明確に定義されていない
系統立った協調性がみられない
コミュニケーションに問題がある
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チームの実践能力を評価する
 チームの実践能力は次の状況で測定できる:
•
•
•
実際の現場で
シミュレーション環境で
チームワーク訓練の観察によって
 チームワークの評価は,外部の専門家が行ってもよい
し,同僚同士で観察し合うことでも可能である
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要約
 効果的なチームワークは自然に養われるものではなく,
• 成功を収めるチームの特徴を理解し
• チームがどのように機能し,効果的な機能を維持するにはどうす
べきかを知っておく必要がある
 医療系の学生が知っておくべきチームワークの原則が確
立されている
 チーム内でのコミュニケーションを改善するべく,さまざまな技
術が開発されている
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チームワークの原則を適用する方法(1)
医療系の学生は,チームワークの原則を他の学生とのやり取
りに適用することができ,また医療チームを観察し,チームの
一員として働くことによっても実践可能である
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チームワークの原則を適用する方法(2)
実務を行う医療従事者のための実用的なヒント:
 チームへの自己紹介を欠かさないようにする
 指示を復唱し,コミュニケーションのループを完成させる
 思い込みを避けるため,明確な言葉で話す
 不明な点があれば質問や確認をし,はっきりさせる
 指示を出す時には必ず相手の方を見る
 自身の役割をはっきりさせる
 主観的な言葉ではなく,客観的な言葉を用いる
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チームワークの原則を適用する方法(3)
実務を行う医療従事者のための実用的なヒント:
 メンバーの名前を覚え,呼びかけるときは名前で呼ぶ
 必要な時には,はっきりと主張する
 わからないことがある場合は,他者の視点から考えてみる
 チームでの活動を開始する前にはブリーフィングを行い,
終了後にはデブリーフィングを行う
 対立が起きた場合は,「誰が」正しいかではなく,患者に
とって「何が」正しいかに集中する
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